昨年末に、講演で札幌にいらっしゃっていた順天堂大学の先生から、新渡戸・南原賞のお話を伺いました。5年間、新渡戸稲造、南原繁のお二人の偉大な教育者の軌跡を記念して、授賞事業を継続していたそうです。財政的事情から、今後の事業継続に懸念が出てきて、受け皿を模索中とのお話でした。
一方秋山財団では、この間の努力により新たな財源が生み出されて、新規事業の検討を行っていました。テーマ性のある事業への支援、将来の新しい担い手を育成する事業等への応援を軸に構想を練っていた時だったので、この新渡戸・南原賞の件を伺って、トントン拍子に事が進み、来年度から秋山財団での事業とする事に致しました。
私は、何か事を始める時に、「原点」を大切にしたいといつも思うのです。新渡戸稲造、南原繁という人物はどこに生まれ、どういった時代、どんな人生を生きた方なのか、まずお二人が眠る東京の多摩霊園に墓参に参りました。6月8日、この事業の代表者東京大学名誉教授の方、他2名とご一緒に、新渡戸稲造、内村鑑三、南原繁、矢内原忠雄の各墓前にお花を捧げ、各先生のご功績等を話合いながら、約2時間を掛けて回りました。途中、日本海軍の英雄、東郷平八郎、山本五十六の墓前にもお参り致しました。私の父、秋山宏(旧姓野田宏)は海軍兵学校66期卒で、キスカ撤退作戦、レイテ沖海戦で旗艦の通信長を務めましたが、2年前に90歳で亡くなりました。
8月末に、その父の故郷青森県八戸市で「いとこの会」が開催されました。20名程の親戚が一堂に会し、在りし日の先祖をそれぞれに語り、絆を再認識しました。翌日に妻と二人で、盛岡市の先人記念館に紹介されている新渡戸稲造の資料、花巻市の新渡戸稲造記念館を訪問して、あらためて新渡戸稲造の多彩な功績の数々に圧倒されました。
そして、先日10月23日、四国香川県東かがわ市三本松の南原繁の生誕地を訪問することが出来ました。今も現存する県立三本松高校の同窓会100周年会館内の記念展示を拝見して、今もなお地元でしっかり受け継いでいる南原繁の精神を目の当たりにして、その偉大さとそれを継承している帝國製薬社主の方をはじめとする地元の方々の活動に、強く感動しました。大坂峠からみる景観は、南原繁がしばしば思い出したふるさとの原点となっているとの事でした。
私もこれまで数多くの国・都市を訪問しましたが、結局自分の心の中にある原風景は、ふるさと札幌の藻岩山であり、豊平川の水の流れであり、円山公園の空に向かう木々でした。
どんな時代においても、変わらぬ立ち位置、ポジショニングは、すなわち変わらないミッション(使命)を意味している訳で、今年の故郷巡礼の旅は大変貴重なひとときとなりました。
10 月 5th, 2010 at 8:33 AM
[...] 「現代を生かす新渡戸稲造と妻メアリーの精神(こころ)――教育と平和」と題して、東京女子大学(http://www.twcu.ac.jp/)前学長・湊晶子先生のご講演でした。湊先生は、秋山財団の一つの事業「新渡戸・南原賞:http://www.akiyama-foundation.org/nitobe/」で、その運営委員会メンバーのお一人です。この賞を秋山財団が受け継いだ経緯は一昨年のこの欄に掲載しています(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35)。 素晴らしいご講演 [...]
10 月 22nd, 2010 at 8:42 AM
[...] 2年前に、この事業を引き受けるに当たって、お墓参りと故郷巡礼に行ったのを思い出しました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35)。新渡戸稲造、南原繁、お二人は大変困難な時代に生きた稀有な人物ですが、その哲学と信念は今の時代に一層学ぶ価値があるように思います。先日の受賞者・関係する方々のお話から、現在の日本を憂う気持と強い危機感と同時に、若い世代育成への並々ならぬ意気込みを感じ、日本の「良心」に勇気づけられました。 [...]
8 月 5th, 2011 at 2:45 PM
[...] 人には、他の人には何の変哲もない景色に、たくさんの想い出と物語が詰まっている場合があります。この角度からの札幌「藻岩山:http://www.welcome.city.sapporo.jp/sites/moiwa」は、私にとっての札幌の原風景です。3年前のこの欄に、こんな書き込みもしました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35)。 [...]
9 月 19th, 2011 at 10:20 AM
[...] なお、「新渡戸・南原賞:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35」の受賞式は、9月26日に東京神田・学士会館で開催予定です。昨年の様子はこの欄にも書き留めました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6170)。東京でも新たな出会いがあることを楽しみにしています。 [...]
1 月 14th, 2012 at 7:44 AM
[...] 今から4年ほど前に、褒賞事業「新渡戸・南原賞」を秋山財団で引き受けました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35)が、それから、ご一緒に多磨霊園へ新渡戸稲造・内村鑑三・南原繁・矢内原忠雄のお墓参り、南原繁の母校の四国・三本松高校の訪問等、鴨下先生には運営委員長として、この間大変お世話になり、昨年9月の秋山財団「新渡戸・南原賞」授賞式には、お元気な姿でご出席・ご挨拶をされていました(http://www.akiyama-foundation.org/nitobe/)。 [...]