「鈴木大拙館」 in 金沢

Posted by 秋山孝二
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 鈴木大拙の記念館は、「鈴木大拙館(http://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/」として、2011年7月に竣工しました。4年前に金沢を訪れた時(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2518)は、生誕地に碑と胸像が置かれていただけだったので、先月、時間をかけてじっくり見学しました。「見学」というよりも「滞在」したという方が的確かもしれません。

極めてシンプルな玄関アプローチ

極めてシンプルな玄関アプローチ

中庭の水:静寂

中庭の水と斜面緑地の一体感:静寂

 HPによると:~~~~~~~~~~

敷地の特長である小立野台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを設計の基本方針としました。

建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「水鏡の庭」「露地の庭」によって構成されています。この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています。

~~~~~~~~~ 引用 おわり

 記念館のコンセプトが実に明確で、それが訪問者に理解しやすい構図になっています。広い空間の中で、単に展示を鑑賞する場というのではなく、来館者が鈴木大拙と出会い向き合うことにより、そこから得た感動や心の変化につなげたいと意図してしています。パンフレットにも、「展示空間で配置される書や写真、著作など鈴木大拙を真っ直ぐに伝える芯のある資料から大拙を『知る』ことに始まり、学習空間で鈴木大拙の心や思想を『学ぶ』ことを通し、さらに、思索空間で自ら『考える』ことに至る3つの行動を、施設計画と一体となって展開する構成としています。」とあります。

 彼の代表的な著書「禅と日本文化(http://kindai.bungaku1.com/showa01/zen.html)」については、この欄でも2009年3月に記載しています(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=709)。

 この記念館を企画・設計した方々の理念と見識、それを育ててきた古都・金沢の底力とでも言うのでしょうか、私自身、これからの展示・記念館建設の参考にしたいものと、帰り道に思いを巡らしました。

秋山財団、<25周年記念>

Posted by 秋山孝二
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 「公益財団法人 秋山記念生命科学振興財団(http://www.akiyama-foundation.org/)<25周年記念>講演会・贈呈式」が先日開催されました。毎年9月に行われていますが、今年は設立25周年記念の節目となりました。当日、私自身は写真をとる暇がなく、リアルな現場の模様をお伝えできないのが残念ですが、後日HPにアップ出来ると思いますので、そちらでご覧いただけると嬉しいです。

 テレビ・ラジオ・新聞でもお馴染みの北海道出身・寺島実郎(http://terashima-bunko.com/)さんの講演会には、約300人の聴衆が参加し、熱心に聞き入っていました。

 最近の寺島実郎さんは、2011年5月10日に親鸞聖人750回忌講演会で「今を生きる親鸞」の題でご講演、ご存知のように、親鸞は浄土真宗の開祖であり、50年前の700回忌の講演会演者が鈴木大拙(禅文化・仏教学者:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%A4%A7%E6%8B%99)で、寺島氏は現在、鈴木大拙の鎌倉・松ヶ岡文庫(http://matsugaoka-bunko.com/ja/index.html)の理事も務めていて、不思議なご縁を感じます。

 またそれに先立つ2007年8月4日には、90年の節目の高野山大学(http://www.koyasan-u.ac.jp/)夏季講座、で、「現代に生きる空海――経済人の視点から学ぶべきこと」と題してご講演、これまでにこの場では、新渡戸稲造、司馬遼太郎等の方々もお話をされています。

 さらに、直近で発売された月刊誌「世界:http://www.iwanami.co.jp/sekai/」10月号では、連載「脳力のレッスン」で、自らこの10年のご自分の発言を検証・総括されています。 

講演会パンフ:今年は25周年記念として演者に寺島実郎氏

講演会パンフ:今年は25周年記念として演者に寺島実郎氏

 その後に、受賞者、来賓、財団関係者が出席して、贈呈式が行われました(http://www.akiyama-foundation.org/what/index.php?year=2011&mon=06&day=30#36)。

来賓として北大・佐伯総長、財団賞受賞者・浅香正博先生

来賓として北大・佐伯浩総長、財団賞受賞者・浅香正博先生

 冒頭の私の挨拶で、財団の現況をお越し頂いたみなさんにご報告しました~~~~~以下、引用です。

1つ目は、一昨年12月から、「公益財団法人」という法人格として、順調に活動を始めており、つい先日は北海道庁担当者による最初の監査も終了しました。「民が担う新しい公共」として、確実に財政基盤を固めつつ、なお一層311以降の北海道の将来に向けて貢献する決意を新たにしています。

 

2つ目は冒頭にも申し上げましたが、今年、秋山財団設立25周年を迎えるにあたり、昨年度から「記念事業」を推進しています。昨年の片桐一男先生の記念講演会はその第一弾であり、この財団の原点であります「『愛生舘事業』の志」を再度確認する意図で開催致しました。今年は、それをまとめた「ブックレット」の発刊、資料・書籍の収集・調査研究の継続、そして今年7月には片桐先生による5日間連続の「古文書講座」を開催して、広く本州からも含めて多くの市民のご参加を頂きました。

 

3つ目は「コラボレーション」、「ネットワーク」の視座、拡がりへの期待です。いわゆる研究分野での「アウトリーチ活動」であり、市民活動分野での「コラボレーション」です。たとえば、昨年財団賞を受賞された上田宏先生は、今年の札幌でご自身が主宰する国際学会で「市民講座」を開催されました。市民活動助成では、当財団と前田一歩園財団さんとの共同で報告会を開催し、その模様をustreamでライブ・録画配信して多くの方々と共有しました。また、研究助成の募集要項には、「アウトリーチ活動」の要望を書き込みました。これから益々、ソーシャルメディア等も駆使した研究者と一般市民とのコラボレーションが、成熟した市民社会の醸成に寄与すると信じています。http://www.akiyama-foundation.org/what/index.php?year=2011&mon=07&day=01#37

 

4つ目は、今検討中のものですが、財団と助成受領者・団体との「パートナーシップの形成」です。今年度中に、「秋山財団の未来像2011」を策定し、助成受領者には論文掲載等の機会提供支援、受領団体とは密接な活動報告とアドバイス等、インターネットのホームページも駆使して、共に進化していく財団でありたいと思っています。

 

以上ご報告しました様に、当財団は一歩一歩ではありますが、皆さま方の率直なご意見・ご提言に耳を傾け、25周年を節目として、財団の初心である「生命科学(いのち)の視座」を忘れることなく、着実に前進して参りたいと思っています。

 贈呈式後の懇親会にも多数ご参加を頂き、多くの交流が図られたようで良かったです。年に一度の財団としてのメインイベントが大盛況で終了し、また来年からワンランク上のステージで少しでもお役に立ちたいと気持を新たに致しました。

 なお、「新渡戸・南原賞:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=35」の受賞式は、9月26日に東京神田・学士会館で開催予定です。昨年の様子はこの欄にも書き留めました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6170)。東京でも新たな出会いがあることを楽しみにしています。

 これまで秋山財団を応援して頂いた皆さまに、心から御礼申し上げます。今後とも宜しくご指導をお願い致します。

鈴木大拙、生誕の地ほか

Posted by 秋山孝二
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  金沢大学医学部を訪問する機会があり、短い時間でしたが「石川四高記念文化交流館http://www.pref.ishikawa.jp/shiko-kinbun/」と「鈴木大拙・生誕の地」にも足を運びました。

 記念館の一つ「石川四高記念館」には、四高(しこう)と四高生を育んだ風土と時代の展示があり、自治精神に貫かれた寮生活の様子も知ることが出来ます。四高が生んだ多彩な才能として、鈴木大拙、中谷宇吉郎、中野重治、井上靖等も紹介されていました。もう一方の「石川近代文学館」では、「三文豪」の泉鏡花、徳田秋声、室生犀星の展示に加えて、今年の生誕100周年を記念して鶴彬(つる・あきらhttp://tsuruakira.jp/modules/tinyd03/)の特別展示も開催中でした。ドキュメンタリー映画の上映も全国各地で開催中です。生きていた時間が長くなかったせいか豊富な展示ではありませんでしたが、吟味された言葉から蘇る情景には重たいメッセージが込められています。 

旧制四高校舎・現在は石川記念文化交流館

旧制四高校舎・現在は石川記念文化交流館

  そこからゆっくり市内を散策しながら、鈴木大拙の生誕の地に向かいました。本多町の学校向かいの角、ひっそりした場に胸像と記念碑とパネルが設置されていました。

生誕の地に建つ碑・銅像

生誕の地に建つ碑・銅像

 

パネル

パネル

 彼の著書「禅と日本文化http://kindai.bungaku1.com/showa01/zen.html」については、この欄09.3.13」にも記載しました。あの時代に英文で書かれた文章から彼の生い立ちに興味を持っていたので、今回生誕の地を訪れることができて嬉しかったです。

 文化の香りが輝く奥行きのある金沢のまち中でした。

早起きは三文の得

Posted by 秋山孝二
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 日曜日の早朝5時頃、何気なくテレビのスイッチを入れましたら、NHK教育テレビで「こころの時代~無は無限大~」が放映されていました。

相國寺派管長http://www.shokoku-ji.or.jp/shokokuji/index.html

有馬賴底(ありまらいてい)老大師http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%97L%94n%81@%97%8A%92%EA/list.html

「人間本来 無一物」と題して、「無は無限大」の意味を1時間、丁寧に語っておられました。以下、印象に残ったお言葉です。

*「知」は会得するもの、真の自由人は解き放たれる

*「転じる力」を培う ――>執着したり、とらわれたりしている時はダメ

*霊性を揺さぶる力 ――>眠っている力

*空っぽで生きていく事が、最も豊かな事

*僧堂にこもる + 行脚する  :黙想と行動のバランス、体験して初めて納得できる

*師匠の笑顔は見た事がない

*ボヤの直後の「片付けろ!」の師匠のお言葉、「見ていてくれた」事への感動

一方、つい先日、鈴木大拙著「禅と日本文化」(岩波新書)http://kindai.bungaku1.com/showa01/zen.html を読んだばかりでした。この本の初版は英文で1938(昭和13)年、和訳本は北川桃雄訳で1940(昭和15)年の出版です。禅と美術、武士、剣道、儒教、茶道、俳句、を通して禅の精神を几帳面に述べています。同時に日本文化を世界に説明する強い意欲を感じました。冒頭の第一章では「禅の予備知識」として、丁寧にその基本が記述されています。日本文化の非相称性、禅の精神の「孤絶性」、「孤独性」他、「無執着」と言い換えてもいました。

新渡戸稲造の「武士道」もそうですが、欧米人に対して日本文化を伝えたい、という情熱を全体を通じて感じます。

休日の早朝、頭が「空」の状態で響き会う言葉も多く、「三文の得」でした。