札幌市まちづくり戦略ビジョン

Posted by 秋山孝二
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 私も幹事をつとめる北海道経済同友会の例会で、札幌市の上田文雄市長をお迎えしました、「札幌市まちづくり戦略ビジョン:http://www.city.sapporo.jp/kikaku/vision/index.html」について、今後の札幌市の方向性を分かりやすくお話されました。

上田文雄市長の講演

上田文雄市長の講演

まちづくり戦略ビジョンを語る

まちづくり戦略ビジョンを語る

 ビジョンの詳細はHPで見ることが出来るので省略しますが、これまでの行政が策定したビジョンとは違ってかなり面白いですね。

~~~~~~~~~~~~~~「ビジョン」のデータ編(http://www4.city.sapporo.jp/kikaku/vision/kihon/)から引用

(3)策定に当たっての基本的な視点

「札幌市まちづくり戦略ビジョン」の策定に当たっては、以下の3つの基本的な視点に立って作業を進めます。

  1. 「行政にとっての計画」から「市民と共有できるビジョン」へ今後、「市民が主役のまちづくり」を引き続き進めていくという観点から、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」については、これまでの「行政にとっての計画」から、「市民と共有できるビジョン」への転換を目指します。具体的には、市民の皆さんと共有できるよう、内容はシンプルで分かりやすいものにするとともに、策定プロセスの中に市民の皆さんに参加していただける様々な場面を設け、市民の皆さんと一緒に策定作業を進めていきます。
  2. 「選択と集中」のための重点戦略へ今後も厳しい財政状況が見込まれる中、札幌市も、真に必要な分野に政策や事業を「選択と集中」していくことが求められますが、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」については、今後の政策や事業の「選択と集中」のための重点戦略を目指します。具体的には、ビジョンの中に、今後、札幌市として特に力を入れて取り組んでいく「まちづくりの重点戦略」を明記し、今後の政策・事業の重点化の指針とします。
  3. 計画体系の簡略化(「3層構造」から「2層構造」への転換)「札幌市まちづくり戦略ビジョン」の位置付けをより明確にすることで、市民の皆さんと共有しやすいものにするとともに、社会経済情勢の変化にあわせた柔軟な見直しを可能にするという観点から、現行の3層構造の計画体系(基本構想―第4次長期総合計画―新まちづくり計画)を簡略化し、2層構造(札幌市まちづくり戦略ビジョン―中期計画)へと転換します。

計画体系構造図

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用おわり

 今後の高齢社会が、まちづくりの基本にどう影響するかを見据えて、「札幌の未来」をしっかり展望している「ビジョン」だと思います。代替エネルギーへの転換も、「エネルギー転換調査:http://www.city.sapporo.jp/kankyo/energy/koubo/documents/h23gaiyou.pdf」の結果を踏まえて、明確に記述されています。

 これから暮らし続ける市民として、それぞれのフィールドでやれることをやる、今、市民力が問われているのでしょうね。思考停止に陥らずに、自立する市民として自分のマチを切り拓くのです。

 

 会場の札幌グランドホテルに向かう途中、地下鉄大通公園駅から駅前地下通路を歩いて行くと、節電で少し暗くなっている通路の中で、ひと際明るいエリアがありました、そうです、地上から太陽光が入って来ている場所でした。

駅前地下通路:ひと際明るいエリア

駅前地下通路:ひと際明るいエリア

北海道の再生可能エネルギー

Posted by 秋山孝二
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 この所、「再生可能エネルギー」関連の勉強会が続きます。

  北海道再生可能エネルギー振興機構設立準備会が主催する勉強会(http://enavi-hokkaido.net/event/index.php?smode=Daily&action=View&event_id=0000007351&caldate=2012-8-20)が開催され、150名を越えての参加者で満席の盛況でした。

代表・前北海道知事の堀達也さん

代表・前北海道知事の堀達也さん

  北海道経済産業局の増山壽一局長は、これまでの豊富なご経験から、昨今社会にあふれる「自然エネ」「再生可能エネ」「グリーンエネ」「クリーンエネ」を踏まえて、「全くエネルギーを使わないエネルギーはない」ことを冒頭に明言し、ブラッセル欧州委員会での「再生可能エネルギー」の定義が、地域に根差した資源であり、従って地域的偏在を容認した議論の展開が前堤、とも説明されました。更に、「再生可能エネルギーを増やしていくことは『国是』である」と、何回も強調されました。

北海道経済産業局長・増山壽一さん

北海道経済産業局長・増山壽一さん

 

 二つ目は、「北海道地域エネルギー研究会」です。幹事のお一人、麻田信二さんは学校法人酪農学園(http://www.rakunogakuen.org/)の理事長です。

 先日の勉強会では、こちらでも増山壽一局長がお話をされましたが、違った視点からのアプローチで興味深かったですね。今、「地域に必要なのは、総論よりも各論である」こと、「エネルギー問題は、昨今、数字だけの議論で、手触り感がない」と、敢えて数字の全く入らない資料と、詳細の統計・資料をあらかじめ準備されてのご説明でした。

 日本での議論で欠如しているのは、産業としてのエネルギー議論であり、今後、どのフィールドで日本はエネルギー争奪を設定するのか、グローバルな視点での比較優位性を意識するべき、と。そして、北海道の位置づけでは、資源大国ロシアとの関係が重要であることも指摘されました。いずれにせよ、今後のエネルギーは、「誰かが持ってきてくれる」のではなく、「自分で取りに行く・造る」時代に入ったと締めくくりました。

 もうお一人の講師は、国土交通省北海道開発局農業水産部長です。「北海道農業における小水力発電導入の検討」と題して、最近の新しい動きを解説されました。小水力発電施設設置に向けて、電気事業法、河川法等の手続き簡素化について、この1年半で、かなりの規制緩和、省略等が進んでいる実態を知りました。

 

 三つ目にご紹介したいのは、この間、枝廣淳子さんを代表に積極的に情報発信している「JFS:http://www.japanfs.org/ja/(ジャパン・フォー・サステナビリティ)」です。これまでのJFSニュースレターや、今月号の「エネルギー・環境の選択肢をめぐる国民的議論」記事にもあるように、日本ではいま、2030年までの日本のエネルギー政策の方向性をめぐって、国中で議論が繰り広げられています。日本がどのようなエネルギーを使っていくのか、原発をやめるのか、維持するのかは、日本のみならず世界中に、また未来世代にも影響を及ぼすものです。

【ニュースレター】新しいエネルギー基本計画に向けて
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/031720.html
【ニュースレター】エネルギー政策を考える土台としてのGDP成長率の見通しにチャレンジ!
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/031998.html

 日本国内では、6月末から8月12日まで、政府のウェブサイトやメール、ファックスなどで、政府の提示した選択肢についての意見を国民から募りました。この問題について、世界の人々の意見や声を集め、日本の政府、メディアその他広く伝えることを狙いとして、JFSでは「『日本のエネルギー政策』に関する国際世論調査」を実施しました。

 以下は、「JFS国際世論調査の結果」についてのプレスリリースです。

——————————————————

「日本のエネルギー政策に関する国際世論調査」、世界は7割が原発ゼロを支持
日本の環境情報を世界188カ国に発信しているNGOジャパン・フォー・サステナビ
リティ(JFS)は、現在、国内で議論されている、2030年までの日本のエネルギー
政策の方向性について、インターネットを通じて国際世論調査を実施し、世界か
らの声をとりまとめた。

今回の調査は、世界の人々がどのように日本のエネルギー政策を考えているかを
伝えることによって、国内のエネルギー政策をめぐる議論に資することを目的に、
JFSの海外ネットワークを中心に、オンライン国際世論調査への参加を呼びかけ
たもの。2012年7月26日から8月14日までの間に、世界53カ国から322通の回答
寄せられた。

その結果、回答者の70%が、3つの選択肢の中で2030年までのなるべく早期に原
子力発電率をゼロに、とするゼロシナリオを支持していることがわかった。その
結果の内訳比率は以下の通り。(括弧内は回答数、n=322)

  ゼロシナリオ  2030年までに原発比率をゼロに           70% (224)
  15シナリオ  2030年までに原発比率を15%程度に        15%  (47)
  20~25シナリオ 2030年までに原発比率を20~25%程度に  10%  (34)
  その他            4%  (13)
  わからない       1%   (4)

それぞれの回答を選んだ理由について、ゼロシナリオを選択した回答者のうち、
原発は事故のリスクが大きすぎる」(ゼロシナリオを選択した回答者の36%)、
人類は核廃棄物を管理できない」(同17%)と、原発のリスクや核廃棄物の危
険性を挙げた回答が最も多く、同シナリオ選択理由の53%を占めた。また、「
本が世界に規範を示すことを期待して
」(同10%)のほか、「再生可能エネルギー
をもっと増やせば実現可能
」(8%)、「省エネやエネルギー効率化で実現可能
(5%)と、再生可能エネルギーへの期待や、エネルギー消費の見直しを求める
意見が見られた。

15シナリオを選んだ回答者は、「原発は充分な安全対策が必要」「再生可能エネ
ルギーの開発も重要
」(それぞれ30%ずつ)との意見を寄せた。20~25シナリオ
を選んだ回答者の44%は、選択の理由として「CO2削減のため」を挙げた。
(回答の傾向や詳細など、
 詳細はhttp://www.japanfs.org/ja/aboutus/press/pages/032174.html

JFSは日本国内の環境や持続可能性に関する優れた取り組みを英語に翻訳して、
主にインターネットを通じて世界中に情報を発信し続ける活動を行っているNGO。
JFSの英語版ニュースレター読者は、各国の政府関係者や環境オピニオンリーダー、
専門家、メディアなどを中心に、世界188カ国・7,700人。環境問題に対する高い
意識と志を持つ企業・自治体・大学・NGOなど約50の法人会員、200人の個人サポー
ター、約700人のボランティアが活動を支えている。

経済産業省 資源エネルギー庁・基本問題委員会の委員でもあるJFS代表の枝廣淳
子(幸せ経済社会研究所所長)は、これらの結果を踏まえ、「国内と同じく、世
界の人々もその多くが日本がゼロシナリオを選ぶことを望んでいることがわかっ
た。世界の期待に応え、原子力からリソースの移転を進め、再生可能エネルギー
や省エネルギーの分野で世界をリードする国に大きく舵を切ることが期待されて
いる。一度起こると取り返しのつかない被害を与える事故のリスクや、未来世代
にツケを回す核廃棄物を増やし続けるのではなく、地域の自然エネルギー資源を
活用し、よりレジリアント(しなやかに強い)で持続可能な社会へのシフトが経
済的にも可能であり、かつ望ましいことを世界に示していければと思う
」と述べ
ている。

JFSでは、これらの声をまとめてウェブサイトで公開し、今後の日本のエネルギー
政策を考える議論に国際的な視点を提供するとともに、世界各国にもそれぞれの
エネルギー政策について考えるきっかけを供する予定。

———————————————–リリース おわり

 国のエネルギー政策は勿論ですが、地域における今後のエネルギーについて、確実に新しい展開が始まっています。エネルギー問題を、単なる「節電」対策ではなく、夏・冬の「省エネ」の知恵として北海道的にも出しあい、「熱」確保を巡って冬の省エネを電気以外のエネルギーで賄うことも含めて、各論で構築していきたいものです。電気をつくるための6割の熱ロスを放置して、その電気で熱を賄う愚を、少し頭のまわる道民であれば容易に気がつくはずです。

 方向性は決まりました、http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=13681

2012.8.15 を過ぎて

Posted by 秋山孝二
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 この夏は、話題満載で、なかなかこの欄にも掲載しきれません。どうしても目の前の出来ごとに目を奪われがちですが、気になる記事・番組をこの間少しずつメモしてきました。今、お盆を過ぎてふり返り、この夏を忘れないように書き留めます。

 まずは、つい先日書いた札幌の演劇界の盛り上がりとロンドン五輪に絡んで:

 演劇シーズン2012 夏:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14067

 ロンドン五輪(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14041

 

 原発関連では今も続く見逃せない動きです:

* 山本義隆の洞察 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=11550 :彼の「科学技術(「科学」と「技術」ではなく)」に対する考察は、1960年代後半から一貫しています。未熟な技術としての原発、原発ファシズムの指摘、数十年ぶりの問題提起は「未だに健在」で説得力があります。

* 国会事故調(http://www.naiic.jp/

 再稼働反対の動きはまだまだ続きます:

* 原発再稼働反対デモ(http://www.youtube.com/watch?v=r7328uIAaqY

* 原発再稼働反対:タクシーでの取材 http://www.youtube.com/watch?v=w26klgPfBio

* 再稼働反対集会(7月16日) http://www.youtube.com/watch?v=YBeaTplNGBo&feature=related

http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&NR=1&v=8vTbW_y4V5c

 目を引く外国テレビ局2社の報道番組も: 

* 4号機が爆発した本当の原因と東電がそれを隠す理由/フランス・ドイツ共同の国営放送局 ARTE 「フクシマ-最悪事故の陰に潜む真実」(日本語字幕)、「4号機の建屋が爆発した本当の原因」が解説されている動画、ドイツのテレビ放送番組。
 
http://www.dailymotion.com/embed/video/xpzmuo_yyyy-yyyyyyyyyyy_news

  国の「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する意見の募集(パブリックコメント)、2030年の原発依存度に関して 0%、15% 20-25% の3つの選択肢を提示し、国民の意見を募りました。これが開始された7月2日時点での日本国内の原発への依存度は0%。

* グリーンピースが提示した「エネルギーレボリューション」でも原発依存度0%は可能です。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/library/publication/20110912/?gv20120707

 原発設置の歴史から学ぶ意味では、三重県芦浜の事例は貴重で、NHK名古屋の優れた番組です。

* 三重県芦浜の事例 http://www.dailymotion.com/video/xsuk17_yy-yy-yy-yyyyyyyyyyy_news

 

 そして、8月と言えば毎年忘れることが出来ないのは、日本の敗戦の総括です。

* 昨年の終戦特集記事:ビハール号事件を軸とした私の父の話(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E3%83%93%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%8F%B7%E4%BA%8B%E4%BB%B6

* メディアの終戦特集: 「終戦 なぜ早く決められなかったのか」、3・11以降の今の様子は全く同じ構造です。

(前)http://www.dailymotion.com/video/xsuods_yy-yyyyyyyyyyyyyy-y_news

(後)http://www.dailymotion.com/video/xsuoi2_yy-yyyyyyyyyyyyyy-y_news

 昨年、今年とマスメディアの新たな面を知り、ジャーナリズムの価値を再確認しました。特に、昨年私の父の体験に寄り添ってくれた北海道新聞のデスク・記者の皆さまにには、心より感謝申し上げます。私自身の戦犯裁判記録の調査は、この1年間はあまり進んではいませんが、国立公文書館はじめ、海外のアーカイブス関連へのアクセスを含めて、引き続き行っていこうと思っています。文書の検索は殊の外困難で、何かコツがあるのかも知れません、もし、このブログをお読みの方で、検索・調査へのアドバイスを頂ける場合は、是非ご連絡をお願い致します。

 今年の夏もまだまだ残暑は続きます、ただ、確実に過ぎ去っていく多少の焦りを感じながら、また1年、戦後が過ぎました。

「Rio + 20」、緊急報告会

Posted by 秋山孝二
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  「Rio + 20」の報告会が開催され、「今回何が決まったのか?わたしたちとのつながりは?」を確認する場となりました。主催は「環境中間支援会議・北海道:http://enavi-hokkaido.net/」で、 この報告会は、公益財団法人 秋山記念生命科学振興財団ネットワーク形成助成の採択事業の一環でもあります。

 今年6月20日から3日間、ブラジル・リオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催されました。この会合には、各国の首脳をはじめ約4.4万人が参加し、「グリーンエコノミー」、「持続可能な開発目標(SDGs)」 など、様々なテーマについて議論が行われ、最終日には成果文書として「私たちの望む未来(THE FUTURE WE WANT)」が採択されました。

 ただ、私たちにとっては関係する報道も少なく、今一、そこでの議論が理解されていないという危惧の中、今回、持続可能な社会の達成に向けて、北海道で何をすべきかを考える目的で、緊急報告会が企画されました。報告者として、1992年の地球サミットから持続可能な開発の問題に携わられている京都大学・松下和夫さん、「リオ+20 NGO連絡会」事務局を担当した「環境パートナーシップ会議」の星野智子さん、北海道から現地に足を運ばれた北海道大学・瀬名波栄潤さんを迎え、これまでの経緯や会議の内容や成果、現地の様子などについて発表されました。

[プログラム]
 ■ 報告
  *全体概要:地球サミットから20 年、そしてリオ+20
  (報告者)松下 和夫 氏 京都大学大学院地球環境学堂 教授
  *NGO からの報告:NGO が見たリオ+20
  (報告者)星野 智子 氏 一般社団法人 環境パートナーシップ会議(EPC)
  *現地報告:わたしが感じたリオ+20
  (報告者)瀬名波 栄潤 氏 北海道大学大学院文学研究科 准教授
 ■ パネルディスカッション (パネラーは3人の報告者)
  *テーマ:“わたしたちは地域で何をすべきか?”
 (ファシリテーター)荒井 眞一 氏 北海道大学大学院環境科学院特任教授
           

[共催]北海道地方環境事務所、北海道大学持続可能な低炭素社会づくりプロジェクト

京都大学教授・松下和夫さん

京都大学教授・松下和夫さん

EPC 星野智子さん

EPC 星野智子さん

北海道大学教授・瀬名波栄潤さん

北海道大学教授・瀬名波栄潤さん

 それぞれのお立場から、今回の会議で議論されたこと、されなかったこと等、貴重な報告の数々でした。特に、キーワードの「グリーン経済」については、当日フロアーからも複数質問があり、今後の活動の中から、具体的事例を創っていくプロセスが大切なようです。また、NGOからはアイヌ民族が居住する地として、北海道からのメッセージ発信が必要であるとの提起もありました。政府、産業界、NGO等、マルチステークホルダーでの合意形成の重要性も。そのための信頼構築は大前提であり、これは、3・11以降の「エネルギー問題の今後」を議論する際にも、全く共通することだと思いました。

 星野智子さんとは、2008年の洞爺湖でのG8サミット(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=54)でお会いして以来、久しぶりの再会でした。

 瀬名波先生は、新千歳空港から関空・ドバイ経由でリオデジャネイロを往復、二泊五日に強行軍だったそうです、やはり、リオは地球の裏側ですね。

「札幌演劇シーズン2012夏」、スタート!

Posted by 秋山孝二
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 「札幌演劇シーズン2012夏(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=13732)」が、21日からいよいよ始まりました。まずは、札幌座(http://www.h-paf.ne.jp/tps/tps.html)の「アンダンテ・カンタービレ:http://www.h-paf.ne.jp/engeki/34_andante.html」です。これまでの公演とはひと味もふた味も違った魅力的な仕上がりでした。

「アンダンテ・カンタービレ」初日、開演直前:シアターZoo

「アンダンテ・カンタービレ」初日、満席の開演直前:シアターZoo

  10年前では考えられなかったこの数年の盛り上がり、一番は足を運ぶ方々のすそ野の拡大のような気がします。映画に比べて生身の役者が演じる分臨場感があり感動も大きいのですが、ハズレの芝居の場合はストレス(疲労感)も強く、何となく「敷居が高い?」、そんな声を時々聞きます。それと、劇評とか報道とか、事前情報が少な過ぎて、人に紹介する時にも「自分も行ってみないと分からない」みたいな場合が多かったのですね。

 最近は、以前より格段にメディアへの演劇に携わる方々の露出も多くなってきました。昨日の北海道新聞の「かわら版」の大きな記事、その前の夕刊の取り上げられ方等、関わる方々のエピソード等も多彩で、大変楽しみな札幌・北海道になって参りました。これまであまり演劇に関わりの無かった方々が、多彩な場で芝居を語るようになってきた、雰囲気の盛り上がりも感じます。私自身がその一人です、30年程前に札幌に来た時に、観劇は好きではありましたが、こんなに演劇に関わるとは思ってもみなかったです、特に最近の時間の費やし方はどうなってしまったのか、関わる方々に「愛おしさ」を感じてしまう、まずいパターンです?!

 先日の初日公演後、シアターZOOでのささやかな祝賀パーティには、札幌市の上田文雄市長、一連のプロジェクト代表・荻谷忠男HTB代表取締役会長ご夫妻もご出席で、今回の芝居に出演の役者の皆さんと親しく懇談できました、「今日観るまではこの演目はあまり好きでは無かったが、今日の公演で印象がまるで変わりました」との激賞も複数飛び出しました。。コンカリーニョからは週末から始まる公演稽古の合い間をぬって駆けつけた役者の皆さんも勢ぞろいでした、お疲れ様でした。

 いつもは舞台上の役者の方と、こういった至近距離で親しく話ができるのは、新たな人間性に触れる思いで楽しいですね、みなさんの目に勢いがあって。先日は、「芝居を終えた直後に、観ていた観客と役者が飲みながらしばし懇談する場というのは、出演者には負担だろうか?」と役者の一人に聞いてみたら、「芝居後は自分たちもテンションも上がっている場合が多く、疲労というよりもむしろ楽しみでしょうね」との返答を得ました。何かの折に、自然な形で実現してみたいです!

 公演後のトークも、普段聞けないお話の数々で、一層演劇の面白みを味わえます。脚本製作の背景、再演を重ねるごとの芝居の進化、ご自身の演劇人生の披露等、芝居の余韻とともに、昼間の仕事で疲れていても普段使わない脳の部分を刺激されるようで、劇場を出る時には体にエネルギーが湧いてきているのを感じる時が多いから不思議です。

 誰か名の売れた役者を観に行く、それはそれで楽しみ方の一つだとは思いますが、地元の脚本家、演出家、役者等が日々進化・成長していく姿を、自分の人生と並走して生きていくみたいな感じで見続けて、時々は世界の大舞台とか映画とかテレビ番組に堂々と出演している、「あいつ、最初は札幌のこの舞台に立っていたんだよね」とか言って飲みながら語らい合える、これからの私の小さな夢ですね、自分なりのこだわりと言うか。

 これから8月20日までの長丁場、コンカリーニョプロデュース公演「歯並びのきれいな女の子」、札幌座公演「瀕死の王さま」も楽しみにしています。

北海道の 「エネルギー・ロードマップ」

Posted by 秋山孝二
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 私は昨年6月から世話人の一人として、「エネルギーチェンジ100プロジェクト:http://www.enechan100.com/」という活動を行っています。現在、私が理事長の「認定NPO法人 北海道市民環境ネットワーク(きたネット):http://www.kitanet.org」の会員も多く参画しています。

 プロジェクトではこれまで、「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例」を皆さんに知っていただくための活動や、「私のエネルギーチェンジ宣言」を集めてHPに上げる活動をしてきました。

北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kke/johrei/johrei.htm

 

 その3つ目のアクションとして、昨年6月から、北海道を自然エネルギー100%アイランドに変えていく「ロードマップ策定」に取り組んでいました。岩井尚人さんをリーダーに、この議論・作業は市民有志12名(会社員、NPO職員、自治体職員、経営者、大学研究者、大学院生など)が検討を重ね、先日、「北海道の電気 再生可能エネルギー100%へのロードマップ」ができ上がり、発表しました。今年3月の中間報告(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12044)について、かなり辛口のコメントをした私としては、今回の最終報告は大変分かりやすく、今後の議論に十分耐え得る内容の濃いものになっていると思います。

北海道版エネルギー・ロードマップ(http://www.kitanet.org/enechan/enechanroadmap.html)>

 7月7日の七夕に、北海道新聞、朝日新聞で記事になっています。
* 北海道新聞  http://on.fb.me/NFLZjf
* 朝日新聞 http://on.fb.me/NmAU82

 策定するのが目的ではなく、これをテキストに、電力・ガス・石油会社等の供給を担う方々も含めて、多くの皆さんが環境活動の勉強会などで活用したり、団体のMLなどでご紹介していただけると嬉しいですね。市民目線から北海道の短期・中期・長期をどう予測するか、最終ページに算定基礎も記載されていますが、いずれも大変控え目な数字であり、それでも北海道では、自然エネルギー100%どころか200%を造り出して、長期的には「売電」で成長戦略を構築できると確信しています。実現のできるかどうか、今、道民に求められているのは、その「覚悟」だと思います。 

 「北海道エネルギーチェンジ100プロジェクト」の活動やエネルギーに関する情報は、下記のHPや、Facebookページなどで発信しています。ぜひこちらもご覧ください。

<北海道エネルギーチェンジ100プロジェクト>
ホームページ http://www.enechan100.com/
Facebookページ https://www.facebook.com/enechan100
Twitter https://twitter.com/#!/enechan100

<ご参考>

■「北海道エネルギーチェンジ100プロジェクト」とは:

北海道の自然環境とこどもたちの未来を守るために。
北海道の地産地消エネルギー最大限の活用、さらに自然エネルギーアイランドへ
のシフトをめざす団体・個人が、声をあげ、北海道の未来をつくるための提案を
行うとともに、北海道の「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例」の周知
と、自然エネルギー推進のために活動する市民活動の支援ネットワークをつくる
プロジェクトです。

■北海道の電気 再生可能エネルギー100%へのロードマップ:

自然資源豊かな北海道で、自然エネルギーの最大限の活用のための道のりを描き
ます。 ポイントは市民目線。子どもたち、お父さん、お母さん、おじいちゃ
ん、おばあちゃん、全ての世代が、未来に可能性と希望が感じられるような、自
然エネルギーが主役になる社会へのロードマップです。出来上がったロードマッ
プは広く公開し、「自然エネルギーアイランド北海道」 実現の次のステップの
ために、みなさんと共有していきます。

★ホームページ ★環境情報blog  http://bit.ly/3Qyat
★きたネットTwitter  http://twitter.com/kitanet
★きたネットFacebook  https://www.facebook.com/kitanet.org
★きたネットTV(動画配信サイト) http://kitanettv.blogspot.jp/
★北海道エネルギーチェンジ100 HP http://www.enechan100.com/
「北海道の電気 再生可能エネルギー100%へのロードマップ」をダウンロードしてご覧いただけます。
★ラブアース・クリーンアップin北海道  http://bit.ly/7vdgim
★北海道の環境活動のポータルサイト「環境☆ナビ北海道」 http://enavi-hokkaido.net/

★E☆navi版北海道環境白書 http://enavi-hokkaido.net/wp/
★中間支援会議・北海道パンフレットができました: ダウンロード http://bit.ly/LFPBnU

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 新しい動き、新しい担い手による、新しい時代の到来を感じている昨今です。

第9回 アースカフェ in 十勝

Posted by 秋山孝二
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 これまで、私も何回か参加している「アースカフェ:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7」、昨日は雨の中、十勝で開催されました(http://www.leaps.jp/?p=3340)。今回の企画は、児玉ヘルス商事(株)(http://www.boneace.com/)の児玉誠也社長のご尽力で実現しました、詳細はこちらにも(http://www.boneace.com/blog/?p=1818)。

 午前中・昼食は、「外山農場:http://www.toyama-nojo.net/」でした。540m四方の一区画を基本として、「循環型農業」の確立、輪作体系の一環として菜種栽培を開始、菜種油、菜種ハチミツ生産・販売に取り組まれています。

外山(左)、外山(右)

外山隆祥さん(左)、外山聖子さん(右)

  農場見学はもちろん素晴らしかったのですが、それ以上に、担い手・外山さんご家族の「哲学」、「信念」に感動しました。「フェイム新聞:http://www.toyama-nojo.net/about_us/fame-news-paper/index.htm」も歴史を刻んで、HPには、次のように紹介されています。

 ~~この新聞は家族や農場の様子を伝える「家族新聞」で、第1号は1992年に発行されました。タイトルの「フェイム新聞」は公募により東京都の小山七重さんの「おいしい農産物とのかかわりの中で、名声を博して欲しい」という願いを込めてつけられたものです。農業者の思いをそのまま伝えたい、そんな思いから手作りの新聞になっています。
 内容は、家族の紹介、産直農産物を使ったレシピ、農場の出来事、農業に対する思い。などによって構成されています。今年から年1回だった発行が2回に増え、農場の四季をよりタイムリーにお届けしています。「フェイム新聞」は外山農場の産地直送商品に同封している他、農場にて無料で配布しています。~~~~~

一面の菜種畑

一面の菜種畑で養蜂

 菜種畑で養蜂、倉庫内では遠心分離でハチミツを取り出すデモンストレーションも。今まで、私の妻の実家・千葉県館山市周辺で冬に見ていた菜の花とは少々趣を異にしていました。後でお聞きすると、種類がかなり違ったものだとのお話に、植物の奥深さを感じました。

 このハチミツを直接パンにつけて試食、これ以上ない贅沢な食べ方に、参加者一同、「感動」でした。

遠心分離で蜂蜜を採る

遠心分離で蜂蜜を採る

菜種から搾油(手前に)、残りカス(右)

菜種から搾油(手前に)、残りカス(右)

 

 午後は、「(株)エコERC(http://www.ecoerc.com/gaiyou/index.html)」の豊頃のプラント見学です。

 北海道産菜種を原料とする食用ナタネ油を製造するとともに、廃天ぷら油を用いて、バイオディーゼル燃料(BDF)も製造しています。食用油とBDFの両方を製造しているのは全国でもここだけ、2009年秋から本格稼働。日本は、現在0.4%の食用油の自給率、原材料の生産、油の製造、販売、循環型のビジネスモデルに期待が集まります。

(株)エコERCの為廣社長のご案内

(株)エコERCの爲廣正彦社長のご説明

BDF製造パイブラインの説明

BDF製造パイブラインで熱心なご説明

 2011年の3・11以降、脱原子力依存の日本のエネルギー転換に、大きなヒントを与えてくれます。国のエネルギー政策はさて置き、以前からこのような新しい地域自給エネルギー創造に取り組まれている爲廣正彦社長はじめ十勝の皆さまに、敬意を表します。

 HPには、会社の理念が書かれています~~~ 

 ~地球環境と地域のために~ 今、地球環境問題が大きく取り上げられています。地域社会としてもこの問題に前向きに取り組んでいく必要がありますが、それは同時に、地域の新たな活力や個性を発揮できる環境にやさしい地域づくりもつなげていかなければなりません。当社としては、この「地球環境と地域のため」の取り組みへの一歩を踏み出し、それを可能とする「循環型ビジネス(企業)」の確立に挑戦していきたいと思います。この思いを社名に込めました。~~~~

 昨晩の少人数の懇親会でも感じたのですが、十勝に来ていつも思うのは、「食」に関して、皆さんが実に深く関与していて前向きな話題が多いことです。日頃農業に従事されているので、当たり前と言えばその通りですが、「食」への積極的関心と話題が私にとっては大変新鮮です。

二つのフォーラムで

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朝日・HTB北海道フォーラム2012 「3・11からエネルギー問題を考える」が開催されました(http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000831205280001)。

 基調講演は、北海道大学の吉田文和(http://www.econ.hokudai.ac.jp/~yoshida/j_index.htm)教授が 「原発ゼロのシナリオ~原発なしでも電力を供給できるか~」と題して、大変分かりやすいお話でした。先生の新著、「脱原発時代の北海道:http://shop.hokkaido-np.co.jp/book/products/detail.php?product_id=418」には、これからのエネルギーの展望が示されています。それにしても、日本のエネルギーバランスで、最終消費段階では「ロス」が30%にも及ぶ事実は、衝撃でもありました。まさに「省エネ」は、最大の「創エネ」ですね。

 また、いち早く福島原発事故から学んでいるスイス等の外国当局の例を引用して、日本のその後の対応・対策の遅れも指摘されていました。

基調講演・吉田文和先生

基調講演・吉田文和先生

  第二部のパネルディスカッションは、北海道グリーンファンド(http://www.h-greenfund.jp/)・鈴木亨理事長、民間事故調「福島原発事故独立検証委員会:http://scienceportal.jp/news/daily/1203/1203022.html」のメンバーを務めた鈴木一人(http://www.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/)先生・北大大学院教授(国際政治経済学)、吉田文和教授がパネラーで登壇し、竹内敬二・朝日新聞編集委員がコーディネーターで、内容の濃い意見交換でした。

3人のパネラーによる意見交換

3人のパネラーによる意見交換

 鈴木亨さんのお話では、電力会社の経営体質等、これまで風力発電事業で長く電力会社と付き合ってこられた経験に裏付けられたお話が興味深かったです。

 鈴木一人さんは「「安全神話」にまつわる「深層防護:http://yaplog.jp/defend_japan/archive/260」の言及に、説得力がありました。世界標準では、原子力の「深層防護」は、5段階、「第一層:逸脱防止、システム故障防止」、「第二層:事故への拡大防止(スクラム等)」、「第三層:安全停止、閉じ込め機能」、「第四層:シビアアクシデント対策」、「第五層:防災対策」、です。鈴木一人先生のブログはお薦めです(http://kazutosuzuki.blogspot.jp/)。

 ところが、すでにお気づきでしょうが、日本ではメディア等でも、これまでの責任ある人・機関の方々が、繰り返し繰り返し「多重防護」と称して、「第三層」までのリスクしか想定せずに済ませてきていたのです。国際標準に明記されている「第四層」、「第五層」を検討しない(想定しない)で、「原子力は安全」と言い続けてきた責任を問わずして、3・11以降、何を検証し、学んだと言うのでしょうか、これは「犯罪」でしょう。インターネットで、「多重防護」を検索しても、電気事業連合会のこの説明(http://www.fepc.or.jp/present/safety/shikumi/bougo/index.html)が象徴的です。

 

 もう一つ、東京での講演会 石原信雄さん(財団法人 地方自治研究機構:http://www.rilg.or.jp/001.htm)「日本人への遺言」も含蓄がありました。石原さんは、1926年生まれ。地方自治庁(現総務省)に入庁し、84年事務次官、87年(~95年)内閣官房副長官(竹下、宇野、海部、宮澤、細川、羽田、村山の7代内閣)を務められた方です(http://www.koho.or.jp/columns/ishihara/index.html)。阪神・淡路大震災で陣頭指揮をされた経験等、「危機管理」、特に「安全保障」のお話は良かったです。「最悪の事態を常日頃から考えておく必要があり、それは国民に多くの負担を強いることゆえに、避けた結果の不幸も議論することが重要」と。

 原発の再稼働については、事故の徹底的究明・検証が必須であり、その後に再稼働かどうかの決定を行うべき。同じ事故は二度と起こさないことが最も重要である、そう明言されていました。

 外交分野はじめ、どんな場合でも、「セカンド・トラックづくり」は必要であり、自由に物を言う場、対話の場が、課題を解決する道であること。そして、「対話」は、自分たちの主張をしっかり言う・伝えることであり、同時に、相手の主張を聴くこと、そうおっしゃっていました。ごく当たり前のことを、今、この時期に壇上から発せなければならない日本の実情、ここでも政治の混迷が浮き彫りになってきます。

 

 短期間に濃密なフォーラムに参加して、日本の「良心」を感じ取り、勇気も湧いてきました。まだまだ日本は立ち直れる、そんな一筋の光明とでも言いましょうか。

テーケシュ・ラズロー氏は語る

Posted by 秋山孝二
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 日本を初めて訪問したテーケシュ・ラズロー氏(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12758)は、私の一つ年下で、同時代を生きてきています。

 成田空港到着後、まずは成田ビューホテル(http://www.viewhotels.co.jp/narita/)前庭に建立されているワグナー・ナンドール作のステンレス像「道祖神」の見学、そこから益子に直行して除幕式に出席しました。次の日に東京に移動して外務省を訪問、在日ルーマニア大使、ハンガリー大使等とも面談し、翌日には、広島、京都を相次いで訪れて、先日、東京経由で日本を離れました。お帰りになる前日の晩に、「SAYONARA晩餐」で今回の旅の感想等を聴くことができました。

ハンガリー民謡を歌うテーケシュ・ラズロー氏(右)とキッシュ・シャンドール氏

ハンガリー民謡を歌うテーケシュ・ラズロー氏(右)とキッシュ・シャンドール氏

 初めての日本訪問、最初の見学が成田ビューホテルの「道祖神」だったことには大きな意義がある、とお話を始めました。日本の外務省では高官との面談もあったとか。かなり遠慮しながらもその時のやり取りの概略を伺いましたが、何とも恥ずかしくなるような気がしました。

 テーケシュさんは、ティミショアラの集いの前に、奥さま・お子さまを含めて、当時のチャウセスク政権、直接的には秘密警察に命を狙われ続けた聖職者です。彼の逮捕を予測してルーマニアの西部・ティミショアラに集まった数万の民衆のエネルギーが、1週間後のチャウシェスク政権崩壊の引き金になったのです。

 その彼を前に、先日、「チャウシェスク大統領自身は良い人物で、夫人がひどかったと聞いている」と、日本の外務省高官の政治家は言ったそうです。テーケシュさんは苦笑しながら私たちにお話をされていましたが、何という井戸端会議以下の情報レベルに、歴史観も見識も無く、「恥を知れ!」と残念ながら言わなければなりません。どこに行ってもこのレベルの情報で各国の代表と会っているとすれば、何とも「日本の品格」を疑われても仕方ないですね。

 ティミショアラの集会から20周年、2009年にはこのサイトも創設(http://timisoara1989.ro/en/)、実に興味深い真実の数々です、最初の画面にある動画には、若かりし日のテーケシュさん、父ブッシュ・アメリカ大統領と会談する姿等も見られます、是非アクセスしてみて下さい。遠い昔ではなく、つい20数年前の出来事で、日本はバブルの頂点、まさに歴史の転換点で、ルーマニア国民の声が聞こえてきそうです。

ティミショアラ1989年から20周年を記念したパンフ

ティミショアラ1989年から20周年を記念したパンフ裏表紙 & サイン(左中央)

 広島では、広島平和記念資料館(http://www.pcf.city.hiroshima.jp/)の副館長が丁寧に説明をされたとか。ルーマニアでもハンガリーでも、8月6日の原爆投下日は、祈りの式典を今でも続けているそうです。ただ、彼は聖地と思っていた広島の平和公園では、ゴールデンウィークの最中でもあり、ジャズ等のかなりの音量のイベントも開催中で、少々意外で、がっかりしたとも。難しいですね、広島といえども365日追悼の日々でもないのでしょうから。

 京都・祇園のお茶屋では、三味線・舞子さんの演奏も堪能されて、「比較的哀しい曲風が多く、トランシルバニアと同じ心情」と喜ばれて、お話の途中途中でハンガリー民謡を数曲大きな声で唄っていました。また、新幹線の時間の正確な運行には感動し、駅に到着した時に、自分の腕時計をその時刻に合わせた程正確だ!との冗談も。

 

 と、ここまで書き続けたのですが、今回、成田空港でお出迎えをして以来、彼の周辺の方々への立ち振る舞いで少々気なることもありました。「上から目線」と言うか、「強者」を感じさせるやや傲慢な言動を見てしまったのですね。以前ナジュバラドでお会いした時より少し違った印象なのですが、と、ある方に私はつぶやいた所、「いや、もともとそうだったのかもしれない」と、苦渋の表情で返答をされました。民衆の絶大な人気を集めて独裁政権打倒の先頭で戦った闘士・聖職者が、その後の立場の昇格により変質したとすれば、私は残念であり、何とも失望する今の彼の姿です。

原発「稼働」ゼロの世界

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 「42年ぶり国内全原発停止 泊3号機の定検開始http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/370156.html」との新聞の見出し、3・11を経て、「全原発停止」状態が実現しましたが、あくまでも「稼働ゼロ」、「停止」であり、「脱原発」に向けてはしっかりしたデータとロジックに基づく必要があり、予断を許さない状況と見るべきでしょう。

 田中優さんは、ご自身のブログ(http://tanakayu.blogspot.jp/2012/05/blog-post_2393.html)で、鋭く「偽装停電」を指摘されています。どんな社会的課題の解決でも同じですが、一見追い風に見える状況というのが最も警戒すべき時とわきまえるべきです、からめ捕られない地に着いた活動を展開しなくては。なぜなら、再稼働を急ぎたい輩の恐れることは、「電力不足」ではなく、「節電等によって原発ゼロ状態で乗り越えてしまう」ことなのでしょうから。

 「電力不足は正しい情報に基づいているのか」、「不足の前提にしている条件に恣意的な誘導はないのか」、「昨年の『計画停電』の過ちをどう乗り越えているのか」、全原発停止状態を喜んでいる暇はありません。政府・電力会社は行動で改善・改革を成し遂げているのかどうか、国民は実績をしっかり見極め、データの適時開示を求め続けて、なし崩し的再稼働を許さない見識が必要です。

 メディアの誘導に対しても監視を続けなければなりません、電力会社の記者会見での毎回の生ぬるいやり取りでは、国民の前に「真実」を知らしめることはできないではありませんか。今こそ、「メディア」の本来の機能に立ち返ってもらいたいものです、独自のコメントの前に、当事者たちに正しい情報の公開を要求をして明らかにする、そんな原点です。

 「原発再稼働」については、3月に私はコメントしました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12331)。とにかく、昨年3・11以降、東電福島第一原発は未だ終息せずに事故は継続中、使用済み核燃料の状態は全く変わらず不透明、泊3号機に溜められている使用済み核燃料についての言及も見つけることは出来ない現状です。複数の事故調査報告に真摯に向き合い、その答えを国民に明示すること、民間企業としてのイロハであり、いやしくも企業経営者の立場に居て報酬を得ている人間の基本です。

 先月の富山での経済同友会全国セミナーでは、電力会社の不適切な情報開示に対して、私の想像以上に全国の多くの経営者が憤っていました。そして、原材料の値上がりを理由に電気料金値上げを言いだす電力会社の経営体質に対してもです。日ごろ、コスト削減に真剣に向き合っている経営者の生の声だと感じました。

 今回の「停止状態」を契機に、本格的に自然エネルギーを軸とした「代替エネルギーへのシフト」を、新たな技術革新、エネルギー・イノベーションに着手する、それが国際社会の日本復活への道です。

薩摩と会津への訪問、因縁ですね

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 何も意識していなかったのに、後で振り返ると「そうだったんだ!」と妙に因縁を感じる時があります。 3月・4月と私自身が全く別の目的で訪問した土地、鹿児島と福島、そう言えば幕末から明治に掛けて以来の「薩摩」・「会津」の微妙な関係でした。

薩摩:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E8%96%A9%E6%91%A9

会津:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E4%BC%9A%E6%B4%A5

 会津若松の訪問で、掲載し忘れた1枚の写真です、「フクシマ」を実感しました。

中学校の校庭の一角に大熊町、双葉町の木造仮設住宅

鶴ヶ城よこ、中学校の校庭の一角に、大熊町、双葉町の一時避難所・木造仮設住宅

 

 そんな折、外岡秀俊(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12165)さんの最近の著書、「複合震災」と「震災と原発 国家の過ち」はメッセージ満載です。たまたま「震災と原発 国家の過ち」を読み直していると、「第4章 東北とは何か」に、実に興味深いことが書かれています。少々長い引用になりますがお許し下さい。放言で辞任に追い込まれた松本龍復興担当相のやり取りに絡んでです。

 

~~~~~~~~~~ここから引用

 中央の権力を笠に着て、被災地の首長を見下し、威嚇する。果てはマスコミを恫喝する。こうした人物が、復興基本法でできた重要ポストに就いたこと自体が驚きだった。

 だが数ある放言のなかで、私がもっとも気になったのは、「九州の人間だから、東北の何市がどこの県とかわからんのだ」という発言だった。これには訳がある。

 学生のころ、仙台市に拠点を置く『河北新報』の社長に、話をうかがったことがある。社長は、東北ブロック紙の現状について語る前に、新聞の紙名の由来を説明した。「東北には、『白河以北一山(ひとやま)百文(もん)』という言い伝えがあります。戊辰戦争で負けてのち、薩長は東北を蔑み、福島県の白河の関から北には、何の価値も無いといった。意地でもその逆境を撥ね返してやる、とつけたのが、『河北新報』の名前です」

 この「白河以北一山百文」の出典は定かではない。東北をめぐる近代の言説をつぶさにたどった河西英通氏の『東北』『続・東北』(中公新書)によれば、1878年8月23日の『近時評論』誌の記事が、最初の記述だろうという。

 一般には、戊辰戦争の際に、官軍の将校が発した言葉という説が流布している。しかし河西氏の文献考証から、この言葉は、「一山:いちざん」と号した岩手出身の原敬が、1918年に首相に就任した前後、それまで「賊軍」「朝敵」とされてきた東北の名誉回復の機運が高まって、「官軍スローガン」説がつくられた、と推測している。

 いずれにせよ、東北では、「白河以北」という言葉は、西南日本による、いわれなき蔑視と差別を象徴する言葉なのである。

・・・・・・・・高橋富雄氏は『地方からの日本学 地方(じかた)日本学――方法と実践』(歴史春秋出版)の中で、一章を設け、「東北呪詛(じゅそ)」の響きをもつ「白河以北」の言葉がうまれる3つの要因を分析している。

 第一は、自然の要因である。弥生型生産様式としての稲作農耕は、暖国西南には適合しても、寒冷な東北には不向きだった。縄文時代には日本の中心だった東北も、その後は冷害、凶作、飢饉の常襲地帯になり、その運命は人為を超えていた。

 第二は歴史の要因だ。これは第一の要因が18・19世紀に長期的な天災となって顕在化したことを指す。宝暦、天明、天保と続いた凶作は未曽有の飢饉となって東北を襲い、「東北一円無一物」が常態化した。戊申戦争が惨憺たる敗戦に終わったのも、その経済的基盤に弱点があったからだ。

 しかし、「白河以北」が明治維新による「東北断罪」の言葉になったのは、直接には第三の政治の要因による。会津、仙台、南部をはじめとする「皆敵奥州」は、賊国として一切の政治的な特権を停止、剥奪され、その後も、政治的には「軟禁状態」、経済的には「禁治産者状態」に置かれた。

 高橋氏は、後に原敬がいうように、「戊辰戦争は政見の異同のみ」であった、という。それは原理的には五分と五分のたたかいで、「勝者」が「敗者」を断罪する覇道ではなく、結果に優劣を求めることをしないフェアな武士道によって遇するべきだった、という。

 だが、こうして「白河以北」に結晶化した「遅れた東北」のイメージは、歴史的には、より深い古代の地層から長い時間をかけて析出されたものだった。・・・・・・・・・・・・・・ 

 このように歴史をたどったうえで、高橋氏は、「東北的なもの」とは、「日本文化、あるいは日本史における未知なるものを典型的に代表するもの」だと定義する。

 縄文以来、東北の根に生き続けている元始的なもの、変わらないものは、「近代」のモノサシから見れば「遅れた」存在に映るかもしれない。しかし、文明が行き詰ったときに、新しい文明や文化を創造するエネルギーをもたらすものは、つねに旧来の「歴史」を超える超近代の「元始」であった、「東北的なもの」には、近代が行き詰ったときに、「もうひとつの日本」を構想する重要なカギが隠されているのではないか。

 高橋氏の基調講演は、「東北的なもの」の可能性を問いかけて終わっている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり

 

 最後のフレーズに力がありますね。外岡氏は、「文学が被災者に希望を与えるのではなく、被災者が希望であることを教えるのが文学であることを知った」とまえがきで語っています、豊富な読書と知識、高い見識に裏付けられた、実に鋭い考察だと思いました。3年前の9月に、私も友人たちと青森・弘前・大間を旅行し、確かな東北の歴史は目に焼き付いています。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2170

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2172

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2203

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2175

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2250

 

 5月の「メディアアンビシャス:http://media-am.org/」例会で、外岡秀俊さんをゲストスピーカーにお招きしています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

日時 5月15日(火)午後7時から(午後6時には開場しています)

場所 愛生舘ビル (札幌市中央区南1西5北西角、市電沿いビル:入
口は二つありますが、南側入り口から入った右手奥、 1階会議室)

講師 元朝日新聞 外岡秀俊さん(昨年3月末で朝日新聞を退社し、
ふるさと札幌に拠点を移して活動中)

テーマ 「大災害とメディア」、「マスコミとフリーの違い」等について
     ~~朝日を退職してゆっくり札幌で活動と思っていた矢先の
3・11、以前の阪神淡路大震災、中国の四川大震災等の取材経験を
踏まえて、今年になって出版した2冊の本も大変読み応えのある内容
でした。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 例会の場で、彼の捉える今回の大震災・津波・原発被害について、さらに突っ込んだメッセージを期待したいですね。

経営者たち、変わる認識 (3)

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 先日、私は書きました。

~~~~~(公社)経済同友会の原発、ガレキの受け入れに対してのメッセージには、必ずしも賛同できない自分としては、今回のこの分科会の場は「アウェー」を覚悟して、しっかりした立ち位置から意見を述べようと思っていましたが、事前の意見交換をしていく中で、かなりの共通理解があることを知り、率直に言って驚きでしたね。そして、2時間を越えるフロアーの方々とのやり取りを終えて、その印象は確信に変わりました、「2011・3・11」を経て、経営者の皆さんのエネルギーへの意識は間違いなく「変わってきています」!~~~~~

 これはパネラー控室ばかりではなく、分科会でのフロアーの方々のご意見と雰囲気からの実感です。経団連(http://www.keidanren.or.jp/)と違って、経済同友会(http://www.doyukai.or.jp/about/about.html)の自由闊達な雰囲気の成せる技かとも思います。それはさておき、幾つかの気づきを書き留めて、今回の報告のまとめとします。

 

* 「原発再稼働」について、企業経営者的には「電力不足」を極力回避したいという切実感のあらわれで、放射能汚染については、殊のほか政府・東京電力経営者への不信感が強い

* 東京・埼玉はじめ首都圏の経営者からは、東京電力の値上げ宣言、原発対応等に対しての憤り、不満は想像以上のもの

* エネルギーにまつわる公開情報について、「情報適時開示」、「説明責任」をわきまえる企業経営者は、単位がバラバラで比較が難しい、定点・定時情報開示が不足等を的確に指摘

* 原発事故の調査・検証を含めた日本の対応は、国際社会における日本の「責任」であることを、複数の方々が語っていた

* 新しい技術として、「自然エネルギー」への期待と努力に、多くの経営者は前向き、それと日本なら出来るとの発言も

* 資源エネルギー庁の方からも、大変前向きな今後の課題提起、例えば、「大規模電源」依存システムを変えていかなければならない、供給会社・電力材料等について「需要家が選択できる電力」へ、「集中型」から「分散型」へ、等

 

 私が発言したかったいくつかのことは、ほかのパネラー・フロアーの皆さんから伝えられましたし、自らリスクを取って日々ビジネスをたくましく展開する企業経営者の真摯な姿勢にも感動しました。もちろん、分科会でのコメント・雰囲気をもろ手を挙げて喜ぶわけにもいかないことは承知しています、2日目の各分科会議長報告では、従来型視点からのメッセージもあったからです。それでも、少なくとも経済団体として発表されている以上に、会員の多様な意見が印象的でした。

 市民活動、メディアがよく言う「経済界」、「企業なんて」の認識こそが、一番遅れているような気がしてきます。2011・3・11以降の世界では、「脱原発・自然エネルギーへのシフト」に意識を変えた企業の出現に注目していく必要があります、新しい芽を見逃さないようにです、ね。

 「アウェー」が、「ホーム」になっていく日まで、私も諦めずに頑張ります!!

経営者たち、変わる認識 (2)

Posted by 秋山孝二
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 オープニングの大ホールの指定席で、隣の分科会登壇者、中野剛志・京都大学准教授とご挨拶をしました。「災害に強い国づくりを考える」がこの分科会のテーマですが、この所は「TPP亡国論:http://ochimusya.at.webry.info/201110/article_23.html」等、TPPに対しての反対論者として脚光を浴びており、つい4月上旬には、札幌・旭川でも講演をされました。彼の発言には、私は所々違和感を感じてはいるのですが・・・、確か原発については推進の立場でしたね。

 私の登壇した第二分科会「エネルギーと環境問題を考える」では、議長に(公社)経済同友会幹事・(株)ニチレイ(http://www.nichirei.co.jp/corpo/message.html)会長の浦野光人さん、パネリストには、(社)神戸経済同友会常任幹事・昭和精機(株)(http://www.showa-seiki.co.jp/company_top.html)社長の藤浪芳子さん、資源エネルギー庁(http://www.enecho.meti.go.jp/)長官官房総合政策課戦略企画室長の定光裕樹さん、と私の4名のディスカッションでした。

260名を越える分科会参加者を前に

260名を越える分科会参加者を前に

  私がエネルギーを語るというのも時代の変化だ、と自分に言い聞かせて、昨年末にお話を頂いた時以来、それなりに資料を集めて学んできたつもりでした。(公社)経済同友会の原発、ガレキの受け入れに対してのメッセージには、必ずしも賛同できない自分としては、今回のこの分科会の場は「アウェー」を覚悟して、しっかりした立ち位置から意見を述べようと思っていましたが、事前の意見交換をしていく中で、かなりの共通理解があることを知り、率直に言って驚きでしたね。そして、2時間を越えるフロアーの方々とのやり取りを終えて、その印象は確信に変わりました、「2011・3・11」を経て、経営者の皆さんのエネルギーへの意識は間違いなく「変わってきています」!

 私の論点をまとめて、あらかじめ参加者への配布資料としました。~~~~~~~~~~引用はじめ

25回全国経済同友会セミナー 第2分科会 配布資料      2012.4.19  富山

                             北海道経済同友会 幹事

                             秋山 孝二

<私の視座・立ち位置>  311以降の覚悟

A.北海道:地方から視る日本

――北海道開拓の歴史、転換期における国への貢献

  ――そして今、「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例~2001.1.1施行~」

B.活動のフィールド

医薬品卸(株)秋山愛生舘・五代目社長、(株)スズケン・副社長ほか、を経て

(公財)秋山記念生命科学振興財団(http://www.akiyama-foundation.org/) 理事長

NPO北海道市民環境ネットワーク(http://www.kitanet.org/index.html)理事長

 

* 今、ふるさとに再度軸足を据えて考えると、平和であるが故に出来ること、平和でなければ育ちえない命の存在を認識する。「平和な社会」、すなわち「命の健康・地球の健康」な状態である。経済を支える企業経営者にとっては、社会貢献活動として、平和な状態の創造、それが「持続可能な企業」としての、最低限の責務だと思う。

* <若者たちの叫び> 2050年のあなたと日本社会をイメージできますか!

* ニセコ町 片山健也町長の言葉: 環境基準が厳しいことにより地域の価値が上がる時代

* 経済同友会終身幹事・品川正治さん: 経営者は「平和」に対して、もっと積極的に活動してもよいのではないか

 

「北海道エネルギーチェンジ100」プロジェクト

 1)「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kke/johrei/johrei.htm」の普及・啓発

  ポイント :化石燃料の抑制、「原子力」を過渡的エネルギーと位置づけ、「私たちは、積雪寒冷な北海道における『エネルギー』の価値を認識し、脱原発の視点に立って、限りある資源を可能な限り将来に引き継ぎ、道内で自立的に確保できる新しいエネルギーの利用を拡大する責務を有している」との附則

2)「自然エネルギーアイランド北海道」の実現に向けたロードマップづくり――政策提言の場づくり

3)「生物多様性」、「地球温暖化防止」の視点から、自然エネルギー推進の検証

 

 

「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」骨子案

~~「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例~2001.1.1施行~」に基づく計画

 

4項目の取り組みの柱

1. エネルギー需要家の意識改革〈省エネの促進〉

2. 多様なプロジェクトの早期実現化〈新エネの導入加速〉

3. エネルギーの「地産地消」など地域特性を生かした 〈地域における導入促進〉

省エネ・新エネの導入促進

4. 民間活力の積極的な活用〈関連産業の振興〉~環境産業振興戦略との一体的な展開

 

 

<私の認識>

省エネ 北海道の電力ピーク時: 冬の夕方  ~ 本州では夏の昼過ぎ

     「電力の不足」ではなく、「知恵、努力の不足」

     北海道の電力需要: 「熱」としての需要が多い

     歴史的推移: 石炭火力が多い中、石油火力が追加、そして原子力

電力会社の経営課題

     「総括原価方式」に基づく経営――>即「値上げ」を言い出す体質?

     地域独占企業の責務――>「情報開示:適時で正確な」、「第三者による評価」

再生エネルギーの宝庫

     課題1  必要条件:環境保全と環境アセスメント

     課題2  送電線拡大と電力会社による再生可能エネルギーの優先接続

 

キーワードは「分散型」、「産業ミックス」、「持続可能」、「安全・安定」

 

<取り急ぐ作業>

地域において、電力ほかエネルギー供給会社、企業、農協、漁連、NGO、市民、行政等で、「エネルギー」を議論し、「エネルギー代替案」策定に向けた「知恵の場」の創設

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用おわり

 

 

経営者たち、変わる認識 (1)

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 今年の全国経済同友会セミナーは第25回で、富山市で開催されました(http://www.hokkoku.co.jp/subpage/T20120420201.htm)。

2011年福岡で(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8221

2010年高知で(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=3911

2009年札幌で(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=1272

日本は必ず蘇る

日本は必ず蘇る

  オープニングは、全校生徒100名、地元南砺平(なんとたいら)高校(http://taira-h.el.tym.ed.jp/wp/)「郷土芸能部」の生徒さんたち、「越中五箇山民謡」から素晴らしい民謡と踊りでした、表情に躍動感があって実に見事でした。「継承」というのはこのような姿なのだと感動しましたね。

南砺平高校の生徒たち

南砺平高校の生徒たち

  続いて被災三県から、昨年は、直後の被災状況の緊急報告でしたが、今年は、「復興とさらなる発展を目指して」それぞれの取り組みが紹介されました。想像以上の被害状況にもかかわらず、どの県も大きく一歩を踏み出している力を感じました。

被災三県(岩手、宮城、福島)の経済同友会からの報告

被災県(岩手、宮城、福島)の経済同友会からの報告

 休憩をはさんで、4つの分科会が開催です。私は、第二分科会「エネルギーと環境」に登壇でした。

パネリストとして、いざ出陣

Posted by 秋山孝二
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 経済同友会の全国セミナーが今年は富山で19日・20日に開催され、登録者は1000人を越えているようです。テーマは、「日本は必ず甦る~復興とさらなる発展を目指して~」です。毎年、私は参加していますが、今年は基調講演後の「第2分科会:エネルギー」に、4人のパネラーの一人として登壇します。昨年秋にその旨を伝えられましたが、この分野には全くの素人、この間、関係する情報を集めてみて、これまで取り組んだどの分野よりも、「基礎データ」、「応用データ」が限られていることに驚きます。

 思い出せば、昨年の大震災直後のフォーラム、一昨年の「龍馬フィーバー」の高知で、3年前は札幌でした、ね。

2011年福岡で(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8221

2010年高知で(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=3911

2009年札幌で(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=1272

 今年は例年とは一味違った関わりに、私自身ワクワク感も増してきます、果たして3・11を経て、今の日本の経営者は、私のメッセージにどんな反応をするのか、興味津々です!

「ガレキ処理」、「再稼働」を巡って

Posted by 秋山孝二
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先月に私は書きました、

「ガレキ処理」について:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12121

「原発再稼働」について:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12331

 いずれもその後、動きが出て来ています。何が問題かを端的に言えば、「国の言うことが信頼できない」、「判断するに十分な情報が公開されていない」、いずれも先進国としてはゆゆしき問題、危機的な状況とも言えます。それ故に、国民は志のある方々の知恵・見識等、総力を挙げて、「自らの命を守らなければならない」のです。何とも情けない事態ではありますが、「生きていく」ためには代えられませんので、本当に信頼できる政治・政府を創り出すまで、妥協なき行動をする必要があります。地球上の命を守ることに妥協など許されません。

 一連の課題について、責任ある立場として、札幌市の上田文雄市長が記者会見で明言しています。

3月26日:http://www.city.sapporo.jp/city/mayor/interview/text/2011/20120326/index.html

「省エネというのは、本当に大きな、市民の皆さん方の力が結集して新しい発電をするのと同じ効果を持つものでありますので、札幌市民は、ごみの減量にあれだけしっかり頑張っていただいたように、結集軸をつくればすごいパワーが出てくるということを私は信じて疑っておりませんので、北海道民も、誠実に、状況を正確に把握をした上で、本当にエネルギーというのはどうなのかということをしっかり考えていくということと、北海道電力をはじめ、電力事業者もそのエネルギーというのはどうやってつくられてきているのか、本当の正確なデータをしっかり道民に明らかにして、やれることを、いろいろな選択を、われわれができるようにしていっていただければいいのだと思っております。」

 記者会見の質疑応答を読むと、実に下らない質問しかしていない新聞記者がいるものですね、是非、会社名だけでなく、記者の名前を記録に残して頂きたいものです。「ディテールにこだわる」、「事の軽重を理解していない」、何を市長から聞き出したいのか、記者の立ち位置を聞きたくなります、本気度をですね。

 一方、インターネットにはたくさんの興味深い情報が掲載されています、そう、追いかけきれないほどです。その中のひとつ:http://www.youtube.com/watch?v=pstK4YWgksM

http://ameblo.jp/64152966/entry-11212950081.html

 多くの方々が指摘しているように、この国の政府、今の電力会社経営者には、この「国家の危機」を越える能力・見識がない、「原子力」を扱う資質がない、そう言えば分かりやすいのでしょうね、どこの政党といった話ではない、本当に情けない事態です。今こそ、自立した市民の英知を総動員して、この難局を乗り切って参りましょう!

一本足の流儀 !

Posted by 秋山孝二
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 昨日、3月の「シアターZOOサロン:http://www.h-paf.ne.jp/salon/index.html」は、「一本足の流儀~障がい者だからできるスポーツがある~」と題して、田中哲也http://tetsuyatanaka.blogspot.jp/)さんの素晴らしいお話でした!

あふれ出るエネルギー

あふれ出るエネルギー、田中哲也さん

  アルペンスキー、アイスホッケー、ゴルフ、競輪のそれぞれの公式競技に出場してきたアスリートで、長野、ソルトレークパラリンピックでは日本代表選手として活躍でした。全て一本足でこなし、今はインストラクターとして、札幌手稲ハイランド(http://www.sapporo-teine.com/snow/)で教えてもいます。日本の場合、オリンピックは文部省管轄で予算も豊富、パラリンピックは厚生労働省管轄で、「リハビリテーション」活動の位置づけで貧弱な予算だそうです、底の浅い「先進国」ですね。

パラリンピックスキーで使ったもの

パラリンピックスキーで使ったもの

普段使用の義足

いつも使っているハイテク義足

  普段使っている義足、競技に使う器具もハイテク装備で、特に関節部分、サスペンション等は、優れモノで驚きました。ドイツ製・アメリカ製が重要部分で、日本は支柱部分が少しとか。100万円以上のまさに高価な器械です。

 「障がい者」とひと言で括るのは全く現実的ではないようです。それぞれの障がいの由来、残っている部位による機能の違い等、実に多様な「個性」です。そう言えば、先日、FBでも見ましたが、中西麻耶(http://www.m-nakanishi.com/)さんも新しいタイプの「障がい者」でしょう、魅力的な体脂肪4%の体、オリジナルフォトカレンダーでお金を稼いで、次の公式国際競技に挑戦です。

 「アダプティブスポーツ」の現状と魅力、すさまじいトレーニングについて、これまでの既成概念を突き破る大変貴重なお話を聞くことが出来ました、感動をありがとうございます!

北海道エネルギーチェンジP、中間報告

Posted by 秋山孝二
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 「きたネットカフェ」で、 「エネルギーチェンジプロジェクト(http://www.enechan100.com/blog/)・ロードマップ中間報告」会が、先日開催されました。 当日の様子はこちら「http://www.kitanet.org/index.html」で録画として見ることができます。

中間報告

中間報告プログラム

 <司会・進行> 新保るみ子さん:ひまわりの種の会(http://himawari.her.jp/)代表理事

<中間報告:パネラー>

* 岩井 尚人 さん :一般社団法人 プロジェクトデザインセンター(http://prodec.jp/)専務理事

* ビアンカ・フェルスト さん :環境カウンセラー(http://www.env.go.jp/policy/counsel/list/detail.php?id=2002201004&p=110&od=&)

* 藤井 賢彦 さん :北海道大学大学院地球環境科学研究院准教授(http://www.ees.hokudai.ac.jp/carbon/mfujii/

左:司会の新保さん、右:岩井さん

左:司会の新保さん、右:岩井さん

左:藤井先生、右:ビアンカさん

左:藤井先生、右:ビアンカさん

 

<報告>  RSR2011 Energy voices of youth

 * 草野 竹史 さん:環境NGO ezorock(http://www.ezorock.org/) 代表

草野さん
草野さん

 RSR2011 Energy voices of youth2011年のライジングサン・ロックフェスティバルでは、環境NGO ezorockが会場に、「エネチェンブース」を設置して10代~20代の方を中心としたみなさんと、「私とエネルギー」について語り合い、参加者はそれぞれのエネチェン宣言を書いた紙を手にして写真を撮りました。この若者たちの笑顔と決意の表情をスライドショ―で見たのです。

 

 

 今回の中間報告会、私はこのプロジェクトの呼びかけ人なので辛口になりますが、全体を通して、私としては少々物足りない、甘ったるい内容に不満でした。中間報告にしても、もっともっと深掘りした議論であって欲しかったです。

 

 岩井さんの報告で、まずは、「エネルギー・チェンジ」にも関わらず、「電力」に最初から絞り込み過ぎている気がします。現在「電力」というエネルギーで賄っている状況を他のエネルギーに代替できないのか、その次に初めて「電力」の議論だと思うのですが・・・・。最終報告に期待しましょう。

 

 もう一つ、「原子力発電」に関しての立場が不明確です。環境系を基盤としてこの間活動してきた方々は、少なくとも「原子力発電」という技術の未熟さ、生態系における違和感等から、3・11以降の方向性はもっともっと毅然とした態度を明確にすべきだと思います。勿論、「原発推進 vs 原発反対」ありきの議論は硬直しますが、対立を避けることを気にし過ぎだと感じました。そもそも、原子力発電の可否を、この構図に仕上げていったのも、原子力推進プロパガンダの一環なのですから。このような姿勢では、今後の「提言」、「提案」も困難ではありませんか、ひと言で表現するならば、「覚悟」が足りません。

 

 私は会の冒頭で、かなりのメッセージを込めて挨拶をしたつもりです。「3・11でお亡くなりになった多くの『いのち』、そして、今もなお日々の生活で苦しまれている方々の思いをしっかりと受け止めて、今回、このプロジェクトでは議論を進めて参りました」、と。最終報告に向けて、更なる議論と英知を積み重ねて、世の中に提起していきたいと思います。

 

全道農業関連部会交流会 in 別海 (3)

Posted by 秋山孝二
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 「全道農業関連部会交流会 in 別海:http://portal.doyu-kai.net/uploads/zendounougyouinbetukai.pdf」、内容の濃い講演・パネルディスカッション・意見交換会の後は、懇親会でした。とにかく盛りだくさん、次々と登場する「おもてなし精神」満載のプログラムに圧倒されっ放しでした。

 まずはオープニングの和太鼓。

オープニングの和太鼓

オープニングの和太鼓

  次は、別海町役場の若手女性職員による、今、大ブレーク中!「別海ミルクガールズ(BMG):http://www.youtube.com/watch?v=vOg600u7C3E&feature=related」、ホームページはこちらです(http://betsukai.thefareast.asia/bmg/)、この日は一部ユニットの登場となりましたが、ユニークな振り付けが素朴でもあり、拍手喝さいでした。「ジャンボ・ホタテバーガーhttp://jumbomilk.com/jumbo-burger.php」に続いて、全国の酪農家を応援する別海町のブランドとなりつつあるとか。

別海町のアイドル:ミルクガールズ(部分ユニット)

別海町のアイドル:ミルクガールズ(部分ユニット)

  続いてはプロもびっくりのエンターテイナーの登場です。

圧巻!別海のエンターテイナー:大隅啓年さん

圧巻!別海のエンターテイナー:大隅啓年さん

 別海町尾岱沼の「酔楽 まる太http://www.odaito.com/oss/shops-info/2011/09/post-5.php」マスター、大隅啓年さん(http://betsukai-kanko.jp/kanko-blog/2011/06/post-23.php)、前夜の夜は尾岱沼のお店のカウンターで料理人の姿、特に締めの「北海シマエビ天丼」は絶品でした。翌日の夜の舞台では、まさに「偉大なエンターテイナー」、唄・踊りを通して、ジャンボホタテ貝、替え歌、下ネタ、全てをベストミックス(?)、素晴らしいステージでした。さらに興味のある方は、こちらの動画でもどうぞ:http://www.youtube.com/watch?v=AeRINATIbPw&feature=player_detailpage

 最後は、別海町・町歌の大合唱でした。

締めは、「町歌」の大合唱

締めは、「町歌」の大合唱

 

 いやいや、とにかくド迫力とほとばしるエネルギー、「おもてなし」の心をはるかに超えた地域のパワーを感じました。若い世代がきっちり地域で暮らしている実感、地元を支える各セクターの担い手としての存在感、地域名産屋台を含めて、別海町にどっぷり浸かった3日間に感謝です!!

山本義隆、変わらぬ深い洞察!

Posted by 秋山孝二
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 昨年の3・11以降、出会った最も印象的な書物に、山本義隆著「福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと:http://www.msz.co.jp/news/topics/07644.htmlがあります。わずか100ページ程ですが、ご存知の方は忘れられない名・山本義隆http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8821)、この変革期に変わらぬ深い洞察です。

 その中から幾つかのフレーズ~~~~~~~~~

* 20世紀に大きな問題になった公害の多くは、なんらかの有用物質の生産過程に付随して生じる有害物質を、無知からか、あるいは知っての上での怠慢からか、それとも故意の犯行として、海中や大気中に放出することで発生した。ひとたび環境に放出された有害物質を回収するのは事実上不可能であるが、技術の向上と十分な配慮により廃液や排気を濾過し、そのような有害物質を工場外に出さないようにすることは不可能ではなく、またこうして発生源で回収されたそれらの有害物質を技術的に無害化することも、あるいはそのような技術が生み出されるまで保管しておくことも、多くの場合可能である。・・・・いずれにせよ有害物質を完全に回収し無害化し得る技術が伴ってはじめて、その技術は完成されたことになる。

* 無害化不可能な有毒物質を、稼働に伴って生み出し続ける原子力発電は、未熟な技術と言わざるを得ない。

* 定期検査では、放射能を有する気体も大気中に放出されている。このように原発は、それ自体が放射能と熱の二大汚染源である。その影響がすぐに明らかにならないからと言って、このまま原発を稼働し続け、何世代も後にどのような影響がもたらされるかを人体実験するわけにはいかない。つまることろ原子力発電は、日常的に地球環境を汚染し、危険で扱いの厄介な廃棄物を生み出し続け、その影響を受益者の世代から見て何世代、いや何十世代も先の人類に、負の遺産として押しつけているのである。

* 税金を用いた多額の交付金によって地方議会を切り崩し、地方自治体を財政的に原発に反対できない状態に追いやり、優遇されている電力会社は、他の企業では考えられないような潤沢な宣伝費用を投入することで大マスコミを抱き込み、頻繁に生じている小規模な事故や不具合の発覚を隠ぺいして安全宣伝を繰り返し、寄附講座という形でのボス教授の支配の続く大学研究室をまるごと買収し、こうして、地元マスコミや学界から批判者を排除し、翼賛体制を作り上げていったやり方は、「原発ファシズム」という様相を呈している。

* 経験主義的に始まった「水力」や「風力」、あるいは「火力」といった自然動力の使用と異なり、「原子力」と通称されている核力のエネルギーの技術的使用、すなわち核爆弾と原子炉は、純粋に物理学理論のみに基づいて生み出された。

* 今回東北地方を襲った大津波に対して、最も効果的な対抗手段が、ともかく高所に逃げろという先人の教えであったことは教訓的である。私たちは古来、人類が有していた自然に対する畏れの感覚を、もう一度取り戻すべきであろう。

* こうなった以上は、世界がフクシマの教訓を共有するべく、事故の経過と責任を包み隠さず明らかにし、その上で、率先して脱原発社会、脱原爆社会を宣言し、そのモデルを世界に示すべきであろう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~以上 引用おわり

 日本を代表する卓越した物理学研究者・山本義隆の見識でした。

 実を言うと、私の家の書棚には、8年前に第30回大佛次郎賞を受賞した彼の著書「磁力と重力の発見1・2・3:http://www.msz.co.jp/book/detail/08031.html」が置いてあるのです。三冊をすぐに買ったのですが、最初の100ページを読んで挫折して、そのまま今日に至っていました。今回の彼の原発事故への深い考察を目の当たりにして、再度「磁場と重力の発見」に挑戦しようと意欲が湧いてきました。

 山本義隆氏の変わらぬ見識に感動し、力を得ました。