昨年の演劇の見納めは野田秀樹(https://www.nodamap.com/)作品『農業少女』でした。野田作品独特の複数のテーマが種まきされて終盤に刈り取られていく様は、まさに廃れ行く農業そのものの移り変わりであり、都市と地方の矛盾、熱狂の中の空虚ほか、スピード感あふれる1時間30分でした。イレブンナイン(http://eleven9.jp/nougyoushoujo/)の皆さんの「young」チームと「adult」チームとの対比も大変興味深く観劇しました。
* これまでの野田秀樹さん関連記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E9%87%8E%E7%94%B0%E7%A7%80%E6%A8%B9
* 野田マップの気迫の公演『フェイクスピア(https://www.nodamap.com/fakespeare/)』
2000年にNODA・MAP番外公演として上演された野田秀樹脚本の「農業少女」、今回はELEVEN NINESの納谷真大さんが演出、主演は同劇団の内崎帆乃香さん。また内崎以外の出演者3人は今回「young」、「adult」の2チームに分かれ、ダブルキャストでの上演でした。
西日本の田舎の農家に生まれた百子(ももこ)は、ある日東京に憧れ電車に乗って上京、様々な大人に出会い、変わり、影響され、いつしか米を作る「農業少女」へと。1960代・70年代を彷彿させる社会描写にも共感しました。
<Aチーム(ヤングチーム)>
内崎帆乃香
菊地颯平
坂口紅羽
梅原たくと
<Bチーム(アダルトチーム)>
内崎帆乃香
泉陽二(札幌座)
小島達子
納谷真大
年齢の違いによって時代の受け止め方も違うのでしょうね、この作品は20年前の初演とはいえ、折からのサッカーワールドカップの熱狂が過ぎて、ヒットラー率いるナチスの熱狂と重ね合わせたり、現在にも十分通じるテーマも織り込まれています。地方からみる花の都・大東京の時代、線路が続くその先に果てしない夢を一度は見た世代としてはとても懐かしい風景です。
両チームともに出演し続けた内崎帆乃香さん、お疲れさま!!