8月は「戦争特集の月」と数回前のこの欄に書きました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=17629)。今年はなぜか「零戦」関連の話題が多いですね。
先日は、埼玉県所沢にある「所沢航空発祥記念館(http://tam-web.jsf.or.jp/contx/modules/tinyd1/index.php?id=1)」を訪問しました、ニュース映像でも紹介されています(http://www.nikkei.com/video/?bclid=67379774001&bctid=584058891002&scrl=1)。映像で零戦の操縦席に座っているのが、金髪の男性というのは違和感がありますね、「今はお前たちの零戦ではない」と言わんばかり、ここはアメリカ人的には譲れないところなのでしょうか。
見ているうちに、2010年6月に訪問した「大和ミュージアム:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=4585」を思い出しました。いずれも「日本の技術」に敢えて焦点を当てて、それを支えた技術者たちの紹介でした。
一方、「零戦」といえば、映画「風たちぬ:http://kazetachinu.jp/」も話題沸騰ですね、先日の札幌でも若い方々を中心にかなりの観客でした。こちらも「戦争」をテーマにしたというよりも、技術者のロマンと愛情、流れる曲も含めて、「生きねば」をテーマに夢にあふれた作品でした。すでに580万人以上を動員し、ベネチア国際映画祭コンペティション部門にノミネートされました。声の出演者が重厚で、随所のキメ台詞が見事でした。
映画のHPから引用です~~~~~~~~~~~~~
この作品の題名「風立ちぬ」は堀辰雄の同名の小説に由来する。ポール・ヴァレリーの詩の一節を堀辰雄は“風立ちぬ、いざ生きめやも”と訳した。この映画は実在した堀越二郎と同時代に生きた文学者堀辰雄をごちゃまぜにして、ひとりの主人公“二郎”に仕立てている。後に神話と化したゼロ戦の誕生をたて糸に、青年技師二郎と美しい薄幸の少女菜穂子との出会い別れを横糸に、カプローニおじさんが時空を超えた彩どりをそえて、完全なフィクションとして1930年代の青春を描く、異色の作品である。
~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり
映画では、こちらも今、話題です、「終戦のエンペラー:http://www.emperor-movie.jp/」。「風たちぬ」から比べると観客の平均年齢は少々高め。劇中に登場する関屋宮内庁次官は、この映画のプロデューサー・奈良橋陽子さんの祖父(関屋貞三郎/奈良橋の母方)にあたり、共同プロデューサーで息子の野村祐人さんの曾祖父にあたるそうですね。お父様(奈良橋一郎)も外交官で、奈良橋さんにも幼い頃から、「些細な行き違いからはじまる誤解や喧嘩、ひとりひとりがそれぞれ平和を願う立場を理解すれば、戦争はなくせる」とよく語られていたようです。そんなメッセージも込めての映画と受け止めました。ハリウッドの視点から「昭和天皇」を表現する方が、日本国内的タブーが少なくて新鮮ですね。
アニメとフィクションは、ドキュメンタリーと違って歴史的事実を軸にはしていますが多彩なストーリーが組み込まれて、かえって奥深い作品になっていると思います。歴史研究者とかドキュメンタリー作家の方々も、「こういう解釈が出来るのか」と、新しい気づきがあったのではと感じます。「映画作品」としての面白さ、違った視点からの新鮮な物語、硬直しがちな歴史に何か揺さぶりとスパイスを与えてくれるようで面白かったです。
今年、2013年も8月が終わろうとしています。私にはまだ戦争、とりわけB・C級戦犯裁判を巡って調査・検証の宿題が残っています。引き続きイギリスの裁判記録を求めて、何とか扉を開けられる手立てを考えなければなりません・・・・・。