「裏切りのサーカス」、ほか

Posted By 秋山孝二
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 今年20周年を迎えた(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=13685)シアターキノで、映画二作品を続けて観ました。

 一つは、「裏切りのサーカス:http://uragiri.gaga.ne.jp/」。東西冷戦下、英国諜報部(サーカス)のリーダー・コントロールは、幹部の中にソ連のスパイ(もぐら)がいるという疑いを持ち、ある指令を出します。しかし作戦は失敗し、コントロールは責任を取って右腕のスマイリーと共に組織を去りました。その後、引退したスマイリーのもとに、組織内の裏切り者(二重スパイ)を捜せという極秘命令が下ります。スマイリーは秘かに、残った4人の幹部の中から「もぐら」を捜し出します・・・・・・・・・。

チラシ

チラシ

 と、まあ、簡単に言うとこんな感じのストーリーのなのですが、これがなかなか一回観ただけでは理解が難しいのですよ。比較的地味な登場人物と名前がコードネームだったり何やかんやで、記憶力と読解力が試されているような。私も、観終わってHPやチラシでフォローアップしてやっと届いたような映画でしたが、これがまた不思議で、もう一回観たいなと思わしめる雰囲気があるのです。恐らくかなりのキーワードとかシーンを見逃しているのだとは思うのですが、とにかく、誰が味方で誰が敵なのかが瞬時に判別できない、そんな不安定さがたまらない魅力です。

 

  もう一つ、「11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち:http://www.wakamatsukoji.org/11.25/」。こちらはストーリーを体験で承知しているので、次の場面までも予測できるシンプルさ。ただ、それでも当時の学生運動の高揚、機動隊との衝突等と「盾の会」の運動方針の関係では、あらたな気づきもありました。

かなりの興味を持って出かけましたが・・・・

かなりの興味を持って出かけましたが・・・・

 若松孝二監督が、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程:2008年」、「キャタピラー:2010年」に続いて(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=5642)昭和を描く最新作でした。特に60年安保闘争からの戦後の激動期を、右翼・左翼の視点から描いているのは、彼なりの新しい境地なのかも知れませんね。 映画の中では実際に起きた社会党浅沼稲次郎委員長襲撃事件、金嬉老事件、よど号事件などが、「決起」した人間たちとして機会をうかがう三島由紀夫と対照的に描かれて、三島の動揺と最終行動への歴史的な遠因とあらためて理解しました。私自身の10代から20代への人生と重なります。

 クライマックスの防衛庁バルコニーでの演説(http://www.geocities.jp/kyoketu/61052.html)とその後では、2年前に私も防衛省ツアー((http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=5391))で、移転されたものとは言え現場にも足を運んだので、臨場感がありました。1970年11月25日の朝日新聞夕刊には、確か切り落とされた首が、部屋の床にあった写真も一面トップに掲載されていたような気がします。先日マスメディアに居た方に伺うと、初版の紙上だけに掲載されてその後は差し替えられたのだと。当時、首都圏で学生だった私にとってはあまりの衝撃で、今も鮮明に覚えています。

 ただ、映画としては、現実の迫力が強烈だっただけに、どこか各シーンに物足りなさを感じました。俳優なのかセリフなのかよく分かりませんが、全共闘とのやり取りの場面、決起前の覚悟の場面、何となく平面的、そんな印象を私は持ったのです、若松監督も随分淡泊になったな、と。何はともあれ、もう、あれから40年以上の月日が経ったのですね、自分も歳をとりました!

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