きたネットフォーラム 2016

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 今年の「きたネットフォーラム」は、「北の生物多様性を守るために~研究者・拠点施設と市民活動は、どう連携できるか」をテーマに、100人を越える参加者とともに大変豊富な内容で充実した時間となりました。

 セミナー開催に先立って、きたネット理事長の私から参加者の皆さまにご挨拶を。

冒頭、理事長の私から御礼のご挨拶

冒頭、理事長の私から御礼のご挨拶

【基調講演】
野生の猛禽を診る・守る~日本とサハリン、猛禽類保全活動の現場から
講師/齊藤慶輔 氏 (猛禽類医学研究所 代表 獣医師) http://www.irbj.net/
 生態系ピラミッドの頂点にいる猛禽類を守ることは、野生動物と人間を取り巻く自然環境を丸ごと守ること。釧路市を拠点に猛禽類の治療・保全活動に取組む齊藤獣医師に、傷病・死亡原因を究明し、これを元に人為的な軋轢を軽減・予防するための生息環境の改善(環境治療)の取組みや、ロシア極東サハリンにおける調査活動などについて大変貴重なお話でした。
齊藤 慶輔 氏 プロフィール(イベントチラシより)
 日本獣医畜産大学野生動物学教室卒業。幼少時代をフランスの田園地帯で過ごし、野生動物と人間の共存を肌で感じた生活を送る。94年より環境省釧路湿原野生生物保護センターで野生動物専門の獣医師として活動開始。2005年同センターを拠点とする猛禽類医学研究所を設立、代表を務める。絶滅の危機に瀕した猛禽類の保護活動の一環として、傷病鳥の治療と野生復帰に努めるのに加え、保全医学の立場から調査研究を行う。
 近年、傷病・死亡原因を徹底的に究明し、その予防のための生息環境の改善を「環境治療」と命名し、活動の主軸としている。テレビ番組プロフェッショナル仕事の流儀、ソロモン流、ニュースゼロ、SWITCHインタビュー達人達などで活動が取り上げられ反響を呼んだ。著書「野生動物のお医者さん(講談社)」で第57回産経児童出版文化賞を受賞。世界野生動物獣医師協会(WAWV)理事、日本野生動物医学会幹事、環境省希少野生動植物種保存推進員。

基調講演1 斎藤先生

基調講演 斎藤慶輔先生

全国から追っかけファンも

全国から追っかけファンも

 続いてのプログラム:

【環境中間支援会議・北海道共催プログラム】

研究者・拠点施設と市民活動のつながり~コミュニケーターとしての市民参加
~話題提供~
■現場と協働した大学院での人事育成
講師 山中 康裕 氏 北海道大学大学院環境科学院 教授 http://www.ees.hokudai.ac.jp/
■北大総合博物館を拠点としたネットワークがめざすもの
講師 大原 昌宏 氏 北海道大学総合博物館 教授 副館長 http://www.museum.hokudai.ac.jp/

基調講演2 山中先生

話題提供1 山中康裕先生

基調講演3 大原副館長

話題提供2 大原昌宏副館長

 午後からは二つの分科会、分野別情報交換会と続きました。

【分科会A】
環境中間支援会議・北海道 連続勉強会
地域を元気にする施設、施設を元気にする地域
~地域・市民・施設の共創~
【事例1】美幌博物館「小さな町の大きな博物館」
町田 善康 氏 美幌博物館 学芸員 http://www.town.bihoro.hokkaido.jp/museum/
【事例2】「地域と環境情報施設の共創による地域資源の活用」
~種差海岸インフォメーションセンター
町田 直子 氏 NPO法人ACTY 理事長 (青森県八戸市) http://npo-acty.jp/
■ディスカッション「地域と環境学習施設の共創について考える」
コーディネーター/大原 昌宏 氏
 開かれた施設(場)があることで、そこに人が集い、情報が集まります。そこから交流が生まれ、さまざまな活動や事業がはじまる、そんな地域を元気にする力が環境・自然系施設にはあるはずです。環境調査や展示物の作成などに市民の参画を得て大きく発展した美幌博物館と、地域の自然に加えて、地元飲食店や漁業者と連携し、幅広く地域振興に貢献している種差海岸インフォメーションセンター、2つの事例から、市民と施設との共創の可能性について考えました。
【分科会B】
野生との距離感、共生のリテラシー
コーディネーター/山本 牧 氏 NPO法人もりねっと北海道 代表 http://morinet-h.org/
■現状と課題
■鉛弾規制から、次の一手を考える 齊藤 慶輔 氏
■対談 山本 牧 氏×齊藤 慶輔 氏
「ヒトは、共生を学ばなければいけない」
 「自然が豊か」と言われる北海道ですが、道民はどれくらい自然界、特に野生動物について理解しつきあっているでしょうか。身近な森を散歩しない、山菜は必要以上に採取する、ヒグマは怖いが生態は知らない。ヒグマに詳しい山本牧氏、猛禽類の救護や鉛弾問題に取組む斎藤慶輔氏のお2人が、「野生との距離感」をキーワードに、餌付けや放流、駆除と保護、メディアのスタンス、鉛弾規制などを通じて、「市民と自然の将来像」を語り合いました。
【分野別 情報交換会】
生物多様性/森林保全・活用/環境教育
<進行協力>
高木 晴光 氏 (黒松内ぶなの森自然学校 運営委員長)
能條 歩 氏 (北海道教育大学 岩見沢校 教授)
内山 到 氏 (公益財団法人北海道環境財団・きたネット理事) 他
■活動紹介 CISEネットワーク、学芸員ネットワーク、きたネット 他

* CISEネットワーク http://www.museum.hokudai.ac.jp/lifelongeducation/pastprojects/cise/

* 学芸員ネットワーク http://www.hk-curators.jp/

* きたネット http://www.kitanet.org/

分科会、最後の情報交換会も多数の参加で盛り上がり!

分科会、最後の情報交換会も多数の参加で盛り上がり!

 「野生」とは何か、生態系ピラミッドと人間の位置関係、私たち人間の生態系における自覚と使命、等、深い学びの場となり、参加者の満足度もかなり高いフォーラムとなりました。

 フォーラムの最後までご参加頂いた皆さまと記念撮影です。