メディア・アンビシャス(http://media-am.org/)の新春特別例会として、2009年の映画「花と兵隊:http://www.hanatoheitai.jp/」の上映と、監督の松林要樹(http://d.hatena.ne.jp/motokiM/)さんと北海道大学准教授・中島岳志(http://indo.to/nakajima/)さんのトーク「ノンフィクションをめぐって」が開催されました。
上映前に松林監督は、彼が卒業した映画専門学校の今村昌平校長の言葉を受けてと前置きして、「僕たちは、戦争を知らない世代って言われるけれど、それは違うと。戦争を知らないのではなくて、戦場を知らないだけ。戦争っていうのは政治の延長だから、ごく最近でも日本が加担した戦争があるし、自分たちのすぐ手元にあるものなのだ。政治に興味を持たなければ、戦争はなくならない。戦争を止めさせたければ、政治に興味を持つしかない」と、熱く語りました。
この映画「花と兵隊」では、「未帰還兵」への取材を通して、「生きるとは?家族とは?そして戦争とは?」を問いかけ、田原総一朗ノンフィクション賞<奨励賞>を受賞しています(http://www.forum-j.com/bana024.html)。反戦へのストレートなメッセージというよりも、終戦から今日まで、彼らの家族との暮らしから、祖国日本に還らずに現地に残った気持をあぶり出す、そんな感じでしょうか。それぞれの現地の女性たちが皆さん実にきれいでした。
アフタートークでは、松林監督の1年間のアジア放浪の旅、アフガンでペシャワール会・中村哲(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=4289)先生との出会い、そして中村先生の伯父(母の兄)である火野葦平(http://hinoashihei.com/)との脈絡によって、この映画製作に至る過程等、周辺の興味深いお話も聴くことができました。火野葦平の作品「花と龍」は、数社で映画・テレビドラマ化されていますし、今回のこの映画タイトルは、彼の戦前の作品「花と兵隊」に由来するそうです、「北九州つながり」とでも言うのでしょうか。
ドキュメンタリーは、作品を観ることは第一歩なのですが、それを創った監督の思い・狙い・周辺のストーリーを一緒に聞かせて頂くと、より一層味わいも深まります。それと自宅という空間でよりも、多少時間は掛っても出かけての鑑賞の方が、集中力が増すというか、鑑賞後の他の方との意見交換も含めてさらに興味深いです。
明日、札幌で、今年の「メディアアンビシャス公開選考会」が開かれます(http://media-am.org/?p=243)。
●日時:1月23日(日)13:00~(開場12:00)
●場所:中央区民センター(南2西10)2F 視聴覚室 入場無料
映像系と活字系でそれぞれ大賞を選考する予定です。ドキュメンタリー作品・記事によって、事象がさらにメッセージ性を強めます。