札幌市内には、新渡戸稲造・メアリーのゆかりの地が、幾つかあり、その中の一つ、札幌市中央区にある「Let’s中央」内の「遠友夜学校記念室:http://www.city.sapporo.jp/kyoiku/youth/enyuyagakko/index.html」も貴重な場です。ここは、1894(明治27)年に創立された遠友夜学校の跡地です。
資料室内には、新渡戸稲造自身の書が掲げられています。
まずは「学問より実行」、これは「知ることよりも実行すること」の意で、更に実行るすることよりも自分が自分として存在することに価値がある、と続きます。
次は、「去華就實」、「うわべだけの華やかさを取り去り、実質のともなった確かな人格形成」を説きました。
更に、「心清者福也」、「心が清く誠実な者は、結局は幸せな人生を送ることができる」と言った意味でしょうか。
最後は、「With malice toward none, With charity for all !」、アメリカ合衆国第16代・リンカーン大統領の言葉で、「何人にも悪意を抱くことなく、慈愛をもって生きよ!」です。
パンフレットには、「札幌のボランティア活動の原点がある」と書かれています。1944(昭和19)年の閉校まで、50年に渡って多くの方々の支援によって支えられました。不十分な教育制度のすき間を埋めながら、希望の灯りをともし続けた、まさに新渡戸稲造・メアリーの崇高な理念と、市民の共感が結実した貴重な教育実践だと思います。「生きる力」を育てる目的の「リベラル・アーツ教育」、その出発点が、軍国主義への道を走る時代にこの札幌の地にあった意義を、今私たちはしっかり噛みしめるべきですね。