加藤周一さんの志、品川正治さんの肉声に触れて

Posted by 秋山孝二
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多様な各地の活動

多様な各地の活動

  6月2日、東京の日比谷公会堂で講演会が開催されました。タイトルには「加藤周一さんの志を受けついで」とありました。開始1時間少し前に日比谷公園に行きましたが、何と500人を越える程の長蛇の列、入口が開いてから私が入るまでに15分位掛かりましたでしょうか。これまで何回も日比谷公会堂には行っていますが、こんなことは初めてでした。2階席の前から3番目に座りました。ご存知のようにここは2階席と1階席の数がそれぞれ1000席強で、ほぼ同数です。それだけ2階席がせり出している造りになっています。開会前には超満員、舞台右手に加藤周一さんの生前の笑顔の大きな写真が掲示され、ビデオ上映も開会前に放映されていました。

井上ひさし、大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝のご講演、パートナーだった矢島翠さんのあいさつ、「さくら横ちょう」のうた等、盛沢山でした。http://www.eizoudocument.com/0106katou.html 

翌日の新聞では、大江健三郎の講演趣旨が主でしたが、私は澤地久枝さんのお話が印象的でした。ご自分がまだ学生時代、加藤周一の「ある晴れた日に」を読んでも、その青年医師のメッセージを読み取れなかった事、数十年後にやっと理解出来た事を恥じたと告白し、「今どきの若いものは・・、というのはやめよう!」と聴衆に向けて訴えました。若い人たちが立ち上がらなくて誰がやれるのか、とも。

事務局長の小森陽一さんは現在は東大教授ですが、北大のご出身ですね。

札幌での講演会
札幌での講演会

  一方札幌では、財団法人国際開発センターhttp://www.idcj.or.jp/top/aboutus_f.htm 会長、経済同友会終身幹事の品川正治さんの講演会が開催され、こちらも大変熱心な聴衆でいっぱいでした。ご自分の中国最前線での戦闘体験から、戦後を生きる人間として、「二度と戦争を起こさない国にすること」を信念とされて活動されています。

昨年のリーマン・ブラザーズの破綻、年末・年始の日比谷公園の派遣村についての前向きなご意見も印象的でした。最後に、「日本型資本主義の模索」について、困難な道ではあるけれど、暫くの間どう耐えていくかを真剣に考えれば、必ず確立できるはずとの信念も語られました。

私達へのメッセージは、「自分が主権者であること」を自覚して、選挙の一票の重みの再認識。そして今、「アメリカと日本は違う」ということにより、世界史を変える好機であり、それを決められるのは「主権者としての権利行使」以外あり得ないこと、子供・孫の世代の為にも、と力強くお話を結ばれました。

背筋の伸びた姿勢で2時間淡々とお話になるその姿に、品川さんのこれまでの生き方を見る思いでした。そして何よりも、経済界には殊のほか同じ志を持つ経営者が多い事も知り、経営者の立場から、国際社会における日本の主張の方向性を見つけた気がしました。奥様も札幌市立高女(現在の札幌東高)ご卒業とのことで、札幌との少なからずのご縁も感じた次第です。