初詣&箱根駅伝 2025

Posted by 秋山孝二
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 今年の年初はゆっくりのスタート、北海道神宮への初詣も例年より遅く行きましたが、まだまだかなりの混雑でした。

* これまでの「初詣」関連記事ーー> 秋山孝二の部屋

 今年も新春の「箱根駅伝」を二日間観ていました。レース終了後の3日午後6時から3時間、日テレで放送された「完全密着!箱根駅伝~レース後~歓喜と涙の大手町」はなかなかの編集で素晴らしい内容でした。

* これまでの「箱根駅伝」関連記事ーー> 秋山孝二の部屋

 この番組ではライブで映った走る選手ばかりでなく、そこからもれた各大学の選手たち、給水係として尽力した同僚ほか、今回の箱根駅伝本番に至るまでの悲喜こもごもを時間軸を掛けた取材に基づいて丁寧に取り上げていました。最後の各大学全登録選手名のエンドロールでの紹介は本当に素晴らしい企画で感動しました。スタジオに東京した皆さんのコメントも心に響きましたね。

年始いろいろ 2016

Posted by 秋山孝二
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 一年前の「木朝会」でのお話、ずっと手元に温めていたので、「年始いろいろ」に免じてアップさせて下さい。新しい時代の医療と地域の関係は、この処の厚生労働省マターでは優先順位が高いですね。この数年の検討課題かと思っています。

地域医療計画・地域医療構想の行方

地域医療計画・地域医療構想の行方

 今年の<箱根駅伝>、青山学院の完全優勝で終わりましたが、サイドストーリーが面白いです。

 一つは、順天堂大学は総合6位でしたが、「27歳小盛が感動の30メートル給水ラン」との見出しの記事は興味味深いですね。テレビでも取り上げられていました。小盛玄佑君の今後の活躍を期待します。

小盛玄佑(http://www.hochi.co.jp/sports/feature/hakone/data/2016/member/juntendo/komori.html

* http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160103-00000138-sph-spo

 もう一つは青山学院大学の7区区間賞の小椋裕介君です。札幌山の手高校出身で、この数年注目していましたが、4年間7区を走り続けました。特に今年は4年生としての新たな責任を背負いながら、堂々たる走りでしたね。

小椋裕介(http://www.hochi.co.jp/sports/feature/hakone/data/2016/member/aoyamagakuin/ogura.html

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=18860

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=22110

小椋選手

小椋裕介選手

 ある意味ではただ走るだけの競技ではありますが、歴史を重ねた大会となると様々な物語が生まれて、多様な人生模様も見て取れます。来年もまた新しいヒーローの出現を期待しながら、若い世代の躍動が楽しみです。

新しい時代の始まりを感じて

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 年末・年始のまとまった休み、自分のライフスタイル自体は普段とさほど変わりはないつもりですが、周辺もお休みなので自分だけの時間が持てて少し「非日常」かな、と。

 年末の複数のボクシング世界タイトルマッチは興奮しましたね、勝ち負け以上にその試合展開は人生のドラマを観るようでした(http://www.h3.dion.ne.jp/~toomo/html/titlemach.html)。

 特に印象に残ったのは、12月30日の井上尚弥、4度のダウンを奪う衝撃的な2回KO勝ちで2階級制覇を達成、約12年間世界王座に君臨してきた名王者ナルバエス(アルゼンチン)から4度のダウンを奪った試合は、観ていても衝撃と言えるほどの鮮やかさでした。

https://www.youtube.com/watch?v=BMN1poI9SkI

 年が明けて恒例の「箱根駅伝」も91回を迎え(http://www.hakone-ekiden.jp/)、今年は青山学院のぶっちぎりの総合優勝、選手一人一人の表情が明るく、自分で考えながら走ることを「組み立てている」、そんな感じを受けました。

 今年のチームの特徴が公式サイトで紹介されています。故障を減らすために専属のトレーナーを増員してケアに努めた結果も出たようです。そう言えば、他校では、ケガで多くの有力選手が出場できなかったり、無理して走って途中で失速といった場面もありました。選手の意志を尊重といった無責任なトレーニング環境、精神論だけで乗り越えようとするチームの雰囲気、気を付けなければ選手を使い捨てにしてしまいます。マスメディアも、ことさらドラマチックにこういったアクシデントを取り上げてはいけませんね。

~~~~~~~~~~~~~~~ 公式HPから青山学院チームの欄

全体的な走力が格段と上がっています(自己ベストもほとんどの選手が更新)。
年間を通して故障者が少なかったのが一因だと思います。
また競技レベルに関わらず、一人一人が強くなる為に陸上と向き合い、自分に何が必要か、足りないか考えて練習、生活してくれています。
強くなりたいという想いや、自主性が高まったと感じています。

~~~~~~~~~~~~~~~ 引用 おわり

 特に7区の小椋裕介くんは、札幌山の手高校出身でもあり、以前から注目していましたが(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=18860)、今年の走りはさらに磨きが掛かっていて綺麗で、見事区間賞を獲りました。走り終えてのインタビューの受け答えも落ち着いていて知性を感じて嬉しかったです。そして、優勝が決まった後の原晋(はらすすむ)監督(47)の談話も素晴らしかったですね、「こんなに選手が力を持っているとは思わなかった」、「箱根駅伝もビジネスも一緒です!」と。今日の新聞朝刊を読むと、サラリーマン出身で箱根駅伝の経験はないとのこと。テレビから伝わる伝統校監督の車からの罵声にも聞こえる叱咤激励とは対照的な選手への眼差し、何か従来の体育会系とは違った新しい選手育成法を感じて心地よかったです。

 他にも年末・年始にはラグビー、サッカー等数多くのスポーツで熱戦が繰り広げられていました。総じて、新しい時代の始まりを私は強く感じ、それは新しい担い手によって成し遂げられていることに、社会を変える大きなヒントを得たように思います。そうです、新たな時代を創るのは「新しい担い手」、ですね!

年末・年始、さまざま

Posted by 秋山孝二
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 話題の映画、「ハンナ・アーレント(http://www.cetera.co.jp/h_arendt/」を年末ギリギリにシアター・キノ(http://theaterkino.net/)で観ました。前評判通りの奥行きのある映画でしたね、できればもう一回観ようと思っています。

シアター・キノで上映中

シアター・キノで上映中

 4年前に、アウシュビッツを訪問した時、現地の日本人公式ガイドの中谷さんがおっしゃっていた言葉を思い出します。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=1457

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=1485

中谷さんの著書からの引用です *******

 実際にアウシュビッツを訪れてみると、たぶんここで何も考えない人はいないと思う。しかし、ここで起こった出来事を、ある国のある時期の話なんだと、僕を含めてみんな少しは思ってしまっているだろう。
ヒトラーがユダヤ人を迫害しようと考えたのは、歴史の中で急に現れた狂気的な発想というわけではない。ヒトラーがそれまでの人生の中で学んできたことの集大成で、そのような発想に至ったのだ。これは、それまでのヨーロッパの人々のユダヤ人に対する考え方というものとは絶対切り離すことはできないと思う。
 個人が持つちょっとした差別的な思いが、一気に突き進んでしまうと、こんな悲惨な歴史を作り出してしまうことになるのだ。そのことを意識して、個人それぞれが自分の中のそのような思いについて、もう一度振り返っておくということが、非常に大切なことだと感じた。

 最後に、アウシュビッツに行く前に見るべき映画を書いておきます。「シンドラーのリスト」、「夜と霧」、「ライフ イズ ビューティフル」。特に「夜と霧」はアウシュビッツで撮影された映画です。映画というよりもドキュメンタリーみたいなものですが、DVDも発売されていますので、ぜひ行く前に見てください。

****************************** 引用おわり

 恐らく最後の観るべき映画の中に、この「ハンナ・アーレント」が新たに加わることでしょうね、きっと。

 一方、年明け恒例の「箱根駅伝(http://www.ntv.co.jp/hakone/index.html」、今年も2日間飽きることなく見ていました。首位争いは勿論目を離せなかったのですが、今年は青山学院大学の7区を激走した小椋裕介君に注目でした。恐らく唯一の北海道出身者だったのではありませんか、素晴らしい走りでしたね。まだ2年生ですから、進化の著しい青山学院大学の中核として来年以降も楽しみです。

箱根駅伝復路で頑張る青山学院大学・小椋君(札幌山の手高校卒)

箱根駅伝復路で頑張る青山学院大学・小椋裕介君(札幌山の手高校卒)

2013年、静かなスタート

Posted by 秋山孝二
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 皆さま、新年明けましておめでとうございます、今年も宜しくお願い致します。昨年末からの後片付けが年明けまで持ち越しましたが、私にとっては今日から静かな新年のスタートとなりました。

 昨年末、FBで以下のような福島県飯館町の酒井政秋さんと新しい出会いがありました。

<参考 朝日新聞2012年12月11日記事>

■はぎとられる田畑 研究?何のため? 国が、政治が遠い

 東京電力福島第一原発の北西に位置する福島県飯舘村は、全村避難が続いている。国による除染が始まった。村民が戻るためには不可欠のはず。だが意外にも、「除染は村を壊してしまう」と訴える人たちがいる。それはなぜ?

 以下はFBでのやり取り。~~~~~~~~~~~~~

● 秋山: 朝日新聞12月11日掲載文を読みました。全く同感です。札幌で宍戸さん、菅野さんともお会いしています。微力ですが応援しています!

  • 酒井: 秋山さん、初めまして、新聞ご拝読頂きありがとうございます。
    わたしも微力ながら福島で日々やれることを地道に活動しております。これからもよろしくお願いいたします。

  • 秋山: 私たちの世代がもっとしっかりしていればと、申し訳ない気持でいっぱいです。私たちはいつまでも福島を忘れはしません。これからもよろしく!

  • 酒井: いえいえ、これは、無関心であった我々の問題でもあります。お互い力併せて行きましょう!これからも福島を忘れないでいてくれるだけでもありがたいです。励みにそして、力になります!

  • ~~~~~~~~~~~~~~
     こちらのブログに彼の記事の詳細も:http://haredasu.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-8113.html
     
     今年の箱根駅伝(http://www.hakone-ekiden.jp/)、第3区でニセコ町出身、室蘭大谷高校卒の明治大学キャプテン・菊地賢人くんが、つい先ほど頑張って走り終えました、6位ですよ、素晴らしいですね!
     今年も宜しくお願い致します。

    お正月、札幌では・・・

    Posted by 秋山孝二
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     今年も北海道神宮への初もうでは、大変な人でした。雪は少なかったのですが、人が歩く路面は氷でツルツル状態、車道は乾いて最も通り易かったのではありませんか。

    元旦、北海道神宮・表参道は人も車も大混雑

    元旦、北海道神宮・表参道は人も車も大混雑

      札幌市内の「シアターZoo:http://www.h-paf.ne.jp/tps/schedule.html」では、元旦からイヨネスコ原作・斎藤歩演出「椅子」の公演がありました。ロビーはお正月の雰囲気満載、受付の阿部さんも美しい着物姿でした。

    シアターZooでは元旦から公演

    シアターZooでは元旦から公演

    イヨネスコ原作・斎藤歩演出「椅子」

    イヨネスコ原作・斎藤歩演出「椅子」

     一方昨日と本日、箱根駅伝(http://www.ntv.co.jp/hakone/index.html)では、昨年末(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6768)のイベントでも話題となりました3連覇を狙う東洋大学、東京農業大学も頑張りましたね、結局は早稲田大学の優勝で終了しました。

     2日のNHK-BS1の番組、森達也、ジョン・ダワ―が語る「アメリカの深層:http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2011-01-02&ch=11&eid=1881」が面白かったです。アメリカではタブーとなっている言葉「ナショナリズム」について、10年前の2001年「9・11」を契機に顕在化した問題を、第二次世界大戦とダブらせての捉え方が興味深かったです。ジョン・レノンの「イマジン:http://www.youtube.com/watch?v=TCBNF4_Zf9w」で幕開けの正月、今年も課題山積ではありますが、しかし一つ一つ丁寧に議論して、解決策を見出していきたいものです。

    「哲学の庭」、一周年記念フォーラム

    Posted by 秋山孝二
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     先日東京で、「~中野区哲学堂公園:http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/504000/d005141.html『哲学の庭』建立一周年懇談会~」が実行委員会主催で開催されて、約100名の参加者で大変内容の濃いひと時でした。

    中野サンプラザ会議室で100人の出席

    ワグナー・ナンドール夫人ちよさんのご挨拶

     昨年12月、快晴の東京中野区・哲学堂公園での除幕式でした(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2792)が、早いものであれから丸一年が経ちました。

     一周年記念懇談会では、実行委員会会長の和久奈ちよさんの開会ご挨拶、続いて来賓挨拶では、1)中野区長:田中大輔さま、2)駐日ハンガリー共和国大使館(http://www.mfa.gov.hu/kulkepviselet/JP/jp/)文化担当官:アルベルト・ヤーノシュさま、外務省(http://www.mofa.go.jp/mofaj/)欧州局中東欧課長:河津邦彦さま、東洋大学(http://www.toyo.ac.jp/)学長:竹村牧男さま、にそれぞれ素晴らしいお言葉を頂きました。

     田中さまは今年の夏に、ハンガリー・ブダペストのゲレルトの丘に建つもう一つの「哲学の庭」を訪問し、当日その「訪問記」をまとめられて参加者が受け取りました、歴史を踏まえた大変優れた紀行文でした。

     アルベルト・ヤーノシュさまは、ボハール・エルヌー駐日ハンガリー大使からの祝辞を述べて頂きました。ハンガリー共和国から中野区へ、日本・ハンガリー外交開設140周年・国交回復50周年記念事業として、贈り物としての意義を熱く語りました。

     河津さまは、同じく日本とハンガリーとの歴史の長い外交関係に言及されて、今後の発展に期待する旨のお言葉を述べられました。

     牧村さまは、東洋大学の創始者・井上円了の哲学と哲学堂公園の由来を懐深く語られ、最後は新年早々に開催される「箱根駅伝:http://www.hakone-ekiden.jp/」での3連覇への抱負を語られ、会場はドッと沸きました。

     続いて年明け1月に完成するDVD「哲学の庭」の放映でした。作品の紹介ばかりでなく、ハンガリーにも撮影に行き、これまでに関係の深い方々へのインタビューを通して、ワグナー・ナンドールの哲学、作品に賭ける思いも理解できました。ゆっくり流れる音楽、作品群のコンセプトも含めて、完成が楽しみです。

     ハンガリーでワグナー・ナンドールの作品保全活動を行っている財団のキッシュ・シャンドール(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6371)理事長のメッセージも紹介されました。

     最後は、特別講演「哲学の庭から、これからを考える」と題して、東京農業大学(http://www.nodai.ac.jp/)名誉教授・前学長の進士(しんじ)五十八先生のお話で、日本の文化を「柿の実と色」と表現されました。今年のCOP10の様子もご紹介があり、「環境持続性」は、「自然的環境:生物多様性」、「社会的環境:生活多様性」、「文化的環境:景観多様性」と説明され、更に、「農業は文化」、「『Civilization』とは野蛮からの脱却という意味」、「観光とは『地域が地域らしく』あること」であり、そのアウトプットが「景観:ランドスケープ」であると。講演では、箱根駅伝には東京農業大学も参加している旨応援宜しくとも付け加えられて、一堂、大爆笑でした。

     主催者の一員ではありますが、何とも「知的な」、「教養に満ちた」素晴らしいひと時でした。是非、東京都中野区の哲学堂公園に一度足をお運びになり、ゆったりした時間を過ごされることをお薦め致します。

    初詣、何を祈願でしょうか?

    Posted by 秋山孝二
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      私にとっては静かな年始です。元旦の初詣、いつものように北海道神宮で祈念をしました。人出は相変わらずでしたが、気のせいか例年に比べてお賽銭の量・金額が少ないような気がしましたが。

    2010北海道神宮

    2010北海道神宮

     大晦日のNHK紅白歌合戦http://www9.nhk.or.jp/kouhaku/index.htmlは、数日前の過去特集も見ましたが、スーザン・ボイル、矢沢永吉が印象的でした。「大人の歌」というか、素晴らしいですね。今年は60回という節目でもあり、特別な演出だったのでしょう。

     2日から今日までの箱根駅伝(http://www.hakone-ekiden.jp/http://www.ntv.co.jp/hakone/index.html)は、毎年色々なドラマがあって目が離せません。メディアの事前取材、特に走っている選手の出身地・出身高校の表示、それらを支えているチームメイトの紹介、そして「今昔物語」として合間合間に紹介される人を巡るストーリーは、選手たちが必死で繋ぐタスキと相まって、時を越えて継承されていく「伝統」と、それを担う人の営みを感動的に報道してくれます。

     レースの勝敗以上に、ここに至るまでのドラマ的視点は、スポーツ中継を越えてドキュメンタリー番組を見ているようで、毎年手に汗握ります。そう言えば昔は、相撲中継でもそれぞれの力士の人生の深い解説もあったりで、聴き入っていたのを覚えています。最近は相撲でも、野球でも、サッカーでも、ボクシングでも、目の前の勝敗の解説に終始して奥行きがありませんね。解説する方々の見識の違いでしょうか。

    「民主」と「愛国」

    Posted by 秋山孝二
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    今年の年始に一気に読もうと思っていましたが、正月の箱根駅伝とか他の面白いテレビに時間を費やして、机の上にそのままになっていました。1000ページの小熊英二著「民主と愛国」を、やっと読み終わりました。「戦後日本のナショナリズムと公共性」という副題もあり、永年、第2次世界大戦後を一度きっちり整理したいと思っていましたので、その中の「戦後知識人」について、今回は取り敢えず宿題を終えた気分です。

    http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/4-7885-0819-2.htm

    価値の発掘、再評価という作業は、歴史認識に基づくものでしょう。私は今まで次から次と発生する目の前の事象に目を奪われて、20世紀の歴史をしっかり自分なりに振り返る時を持てませんでした。とりわけ第2次世界大戦の前後から今日までの歴史・思想の変遷を、あらためて自分なりに検証してみたいと思って、「東京裁判」に関する書籍、「戦後知識人」の足跡等について、この数年特に興味を持っておりました。

    「東京裁判」については、それ自体の経緯と事実、そして世界の中での日本の枠組みとしての位置づけ、サンフランシスコ講和条約締結、国連加盟への一連の経緯について、より自分なりに整理をしたかったのです。靖国神社への総理の参拝、戦争責任の所在、組織活動責任の取り方・取らせ方等、現在にもつながる諸問題解決への沢山のヒントを得ました。日々の新聞記事・論評からは得られない確信みたいなものです。

    「戦後知識人」については、私が大学に入学した1969年から40年、未着手の課題でした。18歳の時に札幌から首都圏に出てみて、吹き荒れる社会問題への学生たちの行動の時代、初めて「井の中の蛙」であった自分を自覚しました。大学入試それ自体が中止になったり、社会というのが変わるのだと実感しながら、札幌から汽車・連絡船・汽車を乗り継いで上野駅へ行った昔。

    http://www.chiba-u.ac.jp/message/talk/36_akiyama.html

    大学1年のある日、大学のある西千葉から遥か遠い東京都内の豊島公会堂に行きました。その日は、堀田善衛、大江健三郎、小田実の3人の講演会でした。恐らく私が「知識人」の話を直接聴いたのは、この時が初めてだったと思います。大江健三郎の話は訥々としていてなかなか聞き取りにくいお話で、文章で読むほうがはるかに理解しやすいな、と思ったものです。小田実は早口の大阪弁で、カン高い声でしたがストレートに心に響くものだったのを覚えています。

    その後、数多くの集会・講演会に出かけました。その中で、丸山眞男、吉本隆明、江藤淳、等の戦後知識人の名前を繰り返し聞きはしましたが、じっくり著書を読む訳でもなく、時が過ぎていました。60年安保闘争以降の思想の流れの概略は理解していたつもりですが、「戦後民主主義」、「マッカーサー元帥の評価」、「日本国憲法」等の話題については、1945年直後から15年間の私なりの空白を強く感じて、自分の軸がぶれる時も多々あったように思います。そしてあの戦争をしっかり理解する為には、さらにその前の明治維新以降の歴史についての考察も必要なのだと感じました。宣戦布告への歴史は、決してあるひと時の熱病的なものではなく、歴史の「うねり」としてかなりの時間的幅があった事実、そしてそれ故に今の現状と将来に対しても、我々一人一人が自分の頭で考えて声を出していかなければ、同じ様な道を辿る危険性が十分にある、そう強く思うのです。

    今回、この本を読み終えて、1)1955年を境にしてその前の「第一の戦後」、その後の「第二の戦後」と整理すると、同じ言葉の持つ意味あいが大きく変わっている事実、 2)戦争体験というものが実に多様であること、 3)自己体験により、その後の思想が大きく影響を受けること、別の言い方をすると逃れられない社会的制約要因を検証する大切さ、等で新しい気づきがありました。

    「護られるべき祖国とは何か」という問いに対して、「『祖国』とは自分が信ずる原理であり、地縁・血縁と一致する必要はない。『ナショナル』でも『インターナショナル』でもない、『人間』の原理である」と答える知識人の言葉が印象的でした。今、世界金融恐慌の中、日本がこれまでのアメリカ一辺倒から、本来の先進国パートナーとして自立し、アジアの一員としてのポジショニングを取ろうとする時、やらなければならない事は明確なのではないでしょうか。