“ふじのくに日本”の新・成長戦略(4:最終)

Posted by 秋山孝二
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 静岡と言えば、徳川家康公。先日も書きましたが、来年には徳川家康公顕彰四百年記念事業として家康公四百年祭(http://www.ieyasu400.com/index.html」が企画されています。

 今回、会議の前に、市内の駿府城公園・静岡浅間神社をゆっくり散策しました。紅葉山庭園(http://www.sunpu-park.jp/)は素晴らしかったですね。

駿府城公園

駿府城公園で

紅葉山庭園

公園内の紅葉山庭園

紅葉山庭園内の滝

紅葉山庭園内の滝

東御門巽櫓(ひがしごもんたつみやぐら:http://www.sunpu-park.jp/gomon/)も良かったです。

駿府城公園東御門巽櫓

駿府城公園東御門巽櫓

 今回の全国フォーラムを振り返ってみると、やはり「成長戦略」を再度考え直すきっかけになりました。新聞等で見られる「成長戦略」、言い換えると今のアベノミクスでいう「成長戦略」は、実体経済の中での「実行計画」が欠如しています。企業で言えば、上滑りで出来の悪い経営企画部が、ただ上から目線の「戦略」を語るだけの状態。今、地方に根差した企業が将来を展望する「戦略」は、まるで別物であることを再確認しました。

 フォーラムの翌週、外資系金融機関の方で、永くお付き合いしている方と意見交換する場がありました。国際金融からみた「日本の成長戦略」、結局は「高株価維持」だけだったのでは?と。アメリカ経済の低迷、ヨーロッパのソブリン危機によって、一時的に「円」、「日本株」にお金が入っては来たものの、結局、ヨーロッパが落ち着き、アメリカの実体経済が勢いをつけてくれば、円はただ売られていくだけの市場だった、日本市場自体に魅力があったというよりも一時避難場所、残念ながら国際金融の大きなうねりの中では、ローカルでエスニックなマーケットに過ぎないことを確認することになっていく、まあ、こんなところでしょうか。それにしても、この間の円安傾向の中で、大幅な売り越しは日本の機関投資家を中心とした日本人です。実体経済の回復努力なしでただひたすら円安だけを享受している日本国、滅びの国へまっしぐらです。

 地方から今の日本を見ていると、そんな実態をつぶさに理解できるので、さらに現在のこの国の政治・経済の指導者たちが情けなく思えるのです。国の政策に期待できない現状では、地域で生きる私たちは、まさに地域の資源をよりどころにして、外部からお金を持ってきて地域内循環を促す活動、実体経済の強化なのでしょうね。今の北海道には、そのポテンシャルは十分にあると私は思います。その気になれるかどうか、これがポイントです。

 静岡で城址公園を散策し、札幌・帯広の往復、そして折からアメリカ合衆国バラク・オバマ大統領来日の喧噪の東京を歩き、私なりの「成長戦略」を再確認した4月中旬でした。

“ふじのくに日本”の新・成長戦略(3)

Posted by 秋山孝二
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 1日目の夜は1000人の全国の経済同友会メンバーが集まる懇親会でした。今年の全国フォーラム、冒頭ご挨拶は静岡県・川勝平太知事で「富士山礼賛」でしたが、懇親会のはじめは静岡市(http://www.city.shizuoka.jp/index.html)の田辺信宏市長がノリノリのご挨拶、まさにエンターテイナーですね。

静岡市  市長

静岡市・田辺信宏市長の歓迎ご挨拶

 懇親会会場には、大道芸ワールドカップ in 静岡2014(http://www.daidogei.com/」のボランティアピエロの方々も現れて大盛り上がりでした。

大道芸ワールドカップ in 静岡2014のボランティアピエロの方々

「大道芸ワールドカップ in 静岡2014」のボランティアピエロの方々

 全体パーティーの後はさらに町なかの有名な「浮月楼(http://www.fugetsuro.co.jp/」で懇親会二次会です。

「浮月楼」中庭の池

「浮月楼」中庭の池と浮殿

町なかの「浮月楼」の名物打ち上げ花火

町なかの「浮月楼」の名物打ち上げ花火

 何とも豪華な懇親会でした。

“ふじのくに日本”の新・成長戦略(2)

Posted by 秋山孝二
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 二日目の特別講演は、徳川宗家十八代当主・徳川恒孝(つねなり)さんのお話でした。札幌に戻って調べてみると、徳川恒孝さんは、会津松平家に生まれて、松平恒孝だったそうです。十七代の徳川家正さんのご長男・家英さんが早世したため養子となり、「徳川宗家十八代」になりました。

 丁度、前日4月17日が徳川家康公のご命日、講演の前座として、木やり保存会「東嘉会」も力強かったです。来年には徳川家康公顕彰四百年記念事業として家康公四百年祭(http://www.ieyasu400.com/index.html」が企画されています。

 駿府との関係はこちら――> http://www.shizuoka-cci.or.jp/assets/files/Tokugawa/tokugawa_ieyasuP2_P3.pdf

露払いとして

前座は木やり保存会「東嘉会」のメンバー

徳川宗家十八代当主・徳川恒孝さんの特別講演

徳川宗家十八代当主・徳川恒孝さんの特別講演

 穏やかなお話しぶりの中に濃密なエッセンスの数々、実にユーモアに富んで味わいのあるお話でした、終わっても反芻しながら噛み締める言葉が深かったですね。

* 歴史的に見て、大陸の戦争は「皆殺し」、日本国内の戦争は「武家vs武家」の争いで農民・町民は大切な財産で残した

* 海を渡る戦いの難しさ~地理的アドバンテージ、「島国根性」の良いところ

* 文化の学び、積み重ね文化が日本の厚み

* アイヌ文化との類似性~人間と自然が全くイコール、「ワンネス」

* 徳川260年、100年後頃が人口3000万人でピーク、1945年頃と似た状況。八代吉宗公の「質実剛健」、「質素倹約」等、今に続くたくさんの「金のかからない」文化が生まれた:お花見、菊づくり、寄席、歌舞伎、浮世絵、俳句、すし・天ぷら・そば等の町方職人衆の食べ物

* 識字率が高かった~それを支えた寺子屋教育:自由に育てた、自習が基本、長屋で本を読む光景(ヨーロッパではあり得ない)

 また、この一枚のスライドに描かれている江戸時代中期の日本橋界隈から、当時の経済システムほか、マチの状況を読み解かれていました。例えば、主たる物流は海に繋がる川だったとか、まさに現代の東京の「原点」です。

江戸時代の日本橋界隈

江戸時代の日本橋界隈

 この特別講演は、今、喧伝されているアベノミクスの株高維持のみの「成長戦略」に対する痛烈な批判とも受け取れます。人々にとっての本当の「豊かさ」とは何か、真に持続可能な社会とは、日本の「伝統」とは何かを淡々語りとウイットに富むお話、鳴りやまない拍手で舞台を後にされました、素晴らしいご講演でした。

 今年の7月に札幌では徳川家に関連するこんなイベントも開催予定です――> http://event.hokkaido-np.co.jp/tokugawa/

“ふじのくに日本”の新・成長戦略(1)

Posted by 秋山孝二
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 第27回経済同友会全国フォーラムは静岡での開催でした。「持続可能な発展を目指して~”ふじのくに日本”の新・成長戦略」がテーマです、「富士」、「不死」、「不二」等、多彩な意味を込めての今年のフォーラムも1000人の登録で盛会裏に終了しました。

* 2011福岡 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8227

* 2012富山 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12606

* 2012富山 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12630

* 2013盛岡 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=16803

会場ホテル入口で

会場ホテル入口で

 基調講演の伊藤元重先生のお話は、「日本と地域の新・成長戦略」と題してでしたが、アベノミクスの経過が主体で、第3の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」と表現するにとどまり、地域・地方への視座、言及が少なく、私自身はかなりの欲求不満でした。印象に残ったのはせいぜい、「グラビティ・モデル」という言葉が、今後の貿易分野でのキーワードという程度でしょうか。

 その後の岩手・仙台・福島経済同友会からの報告は、先月の復興会議に引き続き(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=19311)それぞれの復旧・復興の差異も分かり、大変貴重なものでした。福島県には多額の税金が投下されて新しい複数の国立の施設建設が決まり、工事も始まっているのは予想以上でしたね。でも、そこに住む人々の帰村等、暮らしの復旧・復興はそれとは裏腹で程遠く、他の2県と際立った違いでした。人の幸せは投下されている金額とは全く別物だという意味でです、ね。

 休憩を挟んでの分科会、私は第二分科会「農業・医療を成長産業として育てていくために」に参加しましたが、興味深かったです。

医療と農業のイノベーションがテーマの第二分科会

医療と農業のイノベーションがテーマの第二分科会

 たくさんのキーワードがパネラーから発せられていました。

* 終戦直後に策定された「農地法」は、戦後の小作人育成のための法律、再開発が必須の現在の農業の目的には合わない

* 「農業を経営する」、持続可能にするためには「農業の産業化」を図ることが避けて通れない

* 過疎の市町村は人がいなくなっていく――>農地の大規模化のチャンスであり、市町村は「農業」を誘致すべき

* イノベーション企業では「雇用の流動化」が大前提ではないか。終身雇用では、優秀な人材の「囲い込み」が始まってくる

* 人材もお金も止まるとよどむ

* 農業の利益構造: 大規模化 + 六次産業化 + 環境支払い + 不足支払い

* 政府はジャッジをするな! 女性の登用、農業のフランチャイズ・チェーン化

 実際のフィールドで地道に活動されている方々のお話には共通点が多く、またそれぞれに説得力がありました。