二日目の特別講演は、徳川宗家十八代当主・徳川恒孝(つねなり)さんのお話でした。札幌に戻って調べてみると、徳川恒孝さんは、会津松平家に生まれて、松平恒孝だったそうです。十七代の徳川家正さんのご長男・家英さんが早世したため養子となり、「徳川宗家十八代」になりました。
丁度、前日4月17日が徳川家康公のご命日、講演の前座として、木やり保存会「東嘉会」も力強かったです。来年には徳川家康公顕彰四百年記念事業として「家康公四百年祭(http://www.ieyasu400.com/index.html)」が企画されています。
駿府との関係はこちら――> http://www.shizuoka-cci.or.jp/assets/files/Tokugawa/tokugawa_ieyasuP2_P3.pdf
穏やかなお話しぶりの中に濃密なエッセンスの数々、実にユーモアに富んで味わいのあるお話でした、終わっても反芻しながら噛み締める言葉が深かったですね。
* 歴史的に見て、大陸の戦争は「皆殺し」、日本国内の戦争は「武家vs武家」の争いで農民・町民は大切な財産で残した
* 海を渡る戦いの難しさ~地理的アドバンテージ、「島国根性」の良いところ
* 文化の学び、積み重ね文化が日本の厚み
* アイヌ文化との類似性~人間と自然が全くイコール、「ワンネス」
* 徳川260年、100年後頃が人口3000万人でピーク、1945年頃と似た状況。八代吉宗公の「質実剛健」、「質素倹約」等、今に続くたくさんの「金のかからない」文化が生まれた:お花見、菊づくり、寄席、歌舞伎、浮世絵、俳句、すし・天ぷら・そば等の町方職人衆の食べ物
* 識字率が高かった~それを支えた寺子屋教育:自由に育てた、自習が基本、長屋で本を読む光景(ヨーロッパではあり得ない)
また、この一枚のスライドに描かれている江戸時代中期の日本橋界隈から、当時の経済システムほか、マチの状況を読み解かれていました。例えば、主たる物流は海に繋がる川だったとか、まさに現代の東京の「原点」です。
この特別講演は、今、喧伝されているアベノミクスの株高維持のみの「成長戦略」に対する痛烈な批判とも受け取れます。人々にとっての本当の「豊かさ」とは何か、真に持続可能な社会とは、日本の「伝統」とは何かを淡々語りとウイットに富むお話、鳴りやまない拍手で舞台を後にされました、素晴らしいご講演でした。
今年の7月に札幌では徳川家に関連するこんなイベントも開催予定です――> http://event.hokkaido-np.co.jp/tokugawa/