映画「ペンタゴン・ペーパーズ 」

Posted by 秋山孝二
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 前評判の高い映画「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(http://pentagonpapers-movie.jp/(原題: The Post)は、息詰まるシーンの連続で、今の時代、タイムリーな内容でした!「フェイクニュースに対する解毒剤」といった評価も見られます。第90回アカデミー賞では、作品賞と主演女優賞にノミネートされました。

* http://eigaz.net/prediction/2018.php

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 メリル・ストリープ×トム・ハンクス、スティーヴン・スピルバーグ監督

http://pentagonpapers-movie.jp/news/2018/04/04/pentagonpapers0404/

 HPより~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内には反戦の気運が高まっていた。国防総省はベトナム戦争について客観的に調査・分析する文書を作成していたが、戦争の長期化により、それは7000枚に及ぶ膨大な量に膨れあがっていた。
 ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープした。
ライバル紙のニューヨーク・タイムズに先を越され、ワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、残りの文書を独自に入手し、全貌を公表しようと奔走する。真実を伝えたいという気持ちが彼らを駆り立てていた。
 しかし、ニクソン大統領があらゆる手段で記事を差し止めようとするのは明らかだった。政府を敵に回してまで、本当に記事にするのか…報道の自由、信念を懸けた“決断”の時は近づいていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 引用 おわり

 扱っていた時代、まさに私自身の生きてきた時代そのもの。表面化するかなり前からベトナム戦争の源流があったこと、メディアと政治、マスメディア間の熾烈な競争、女性経営者と70年代、社主の決断等、複数のテーマが錯綜する濃密な映画でした。

 幾つかの評論を読むと、スピルバーグ監督は、「本作は、ジャーナリズムの英雄の物語だよ」、「脚本を読んで受けた印象は、リーダーシップの物語だということだった。“リーダーはどう生まれるか? 決断を下すことに前向きではないリーダーを前向きに変化させるようなひらめきは、どういうものだろうか?”。キャサリン・グラハムの物語に、そんな“変化”を感じ、私は心をつかまれたんだ」と語ったそうです。そして、スピルバーグ監督がこの製作を発表したのは、トランプ政権発足からわずか45日後、この物語には、現代との共通点がとても多いと考えたとか。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~以下はHPからの引用

 歴代大統領と公私共に蜜月関係を続けて来たブラッドリーが、時代の変化に呼応するメディアのあるべき姿を、少しの諦めと懐かしさを感じつつ語りかけるのに対し、グラハムはあっさり掲載を即決する。夫亡き後、新聞社を引き継ぎ、無能で社交好きな女性オーナーと蔑まれ、差別されて来た彼女が、会社存続か良心かという二者択一を迫られた時、当たり前のように後者を選択するのだ。

 それは、男性主導の世界に身を置き、秘かに疑問と怒りを溜め込んできたグラハムの痛烈なしっぺ返し。メリル・ストリープのこの種の設定でありがちな力演でなく、肩すかしのように軽妙な演技が、男女平等という最も今日的な問題を、約半世紀昔から今も変わらぬ現在へと運ぶ大事な役目を果たしている。

 女性のさらなる社会進出と、国民には見えない政治や社会の裏側に隠れた事実を次々と暴いてきた新聞及び新聞文化へのエールが、当時使われていたタイプライターや電話機、印刷所内の機器やシステム等、優れた時代考証と共に描き込まれた本作。“20世紀の映像記録人”スピルバーグが今、扱うべきテーマは、他にもまだたくさんありそうだ。

 映像では、ストリープ演じるキャサリンのキャラクターに焦点が当てられている。映画では、女性であるという偏見や、社主という重圧に苦悩しつつも、最善の決断を下そうともがく姿が描かれるが、ストリープは「彼女は元々女性らしい人だった。当時は男性だけが権力を持っていたの」と当時の時代背景を解説。

 さらに、プロデューサーのエイミー・パスカルとクリスティ・マコスコ・クリーガーは「1971年のワシントンでは、男が政治の話を始めると女は席を外した。女性経営者なんてありえない時代よ」(パスカル)、「女性の意見をテーマにした物語よ。キャサリンのおかげで、私たち女性は自己主張ができるようになった」(クリーガー)とキャサリンの偉業をたたえる。

 女性の出演者たちのインタビューも収められており、キーキャラクターの1人を演じたアリソン・ブリーは「強い女性が主人公の最高の物語よ」と誇らしげに語っている。本編映像も多数収録され、キャサリンが「政府の秘密を暴露する気か!」と言われても、き然とした面持ちで「許可ではなく、助言を求めに来たの」と言い放つ姿や、「もう父の会社じゃない。夫の会社でもない。私の会社よ」と宣言する勇ましい姿を確認できる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~HPからの引用 おわり

 キャサリン・グラハムとベン・ブラッドリーとの関係はこちらの「プロダクションノーツ」をご参考に:

http://pentagonpapers-movie.jp/production_note/3.html

 「Democracy Dies in Darkness(暗闇の中では民主主義は死んでしまう)」というスローガンで今は知られているワシントン・ポスト、この映画のラストシーンで予告しているのは、映画『大統領の陰謀』で描かれる「ウオーターゲイト事件」、こちらも面白かったです。1976年度アカデミー賞で作品賞・監督賞を含む8部門でノミネート、助演男優賞、脚色賞ほか全4部門に輝いたダスティン・ホフマン&ロバート・レッドフォード主演の実録作です。

* https://movie.walkerplus.com/mv5654/

 この作品こそ、当初は熱心な共和党支持者の単独犯行だと思われていた民主党本部への侵入と盗聴器の設置が、実はニクソン大統領の指示の下に行われた組織的な行為であることを突き止め、「ウォーターゲート事件」の真相を暴いた、ワシントン・ポスト紙の若き記者たちの物語でした。

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 今回の「ペンタゴン・ペーパーズ」のワシントンポスト社主キャサリン・グラハムを演じたメリル・ストリープは、脚本を読んで、「大きな変化は1人の人間の勇気から始まる」と語っています。「The Times」と「The Post」のジャーナリスト魂、ジャーナリズムの勇気と司法の自立性と主体性、今の日本でも発揮してもらいたいし、市民の声がこれを後押しする力としていきたいものです。できれば見逃しているシーン、味のある言葉を拾いたく、もう一度観に行きたいですね。