渡辺謙 in ダボス会議、ほか

Posted by 秋山孝二
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 先日フェイスブック(FB)を開いていたら、映画俳優・渡辺謙さんのダボス会議(2012)のスピーチが目に飛び込んできました、昨年1月のスイスのダボスでのものです。昨今の無原則な「原発再稼働申請」に絡んでの書き込みだったかもしれません。当時日本では、「絆」部分だけの報道だったようですが、全文を読むと再生可能エネルギーへの彼の強い信念と主張が読み取れます。

http://www.tokyo-np.co.jp/hold/2012/davos/

 最後のフレーズだけ引用します。~~~~~~~~~~~スピーチの引用

私たちはもっとシンプルでつつましい、新しい「幸福」というものを創造する力があると信じています。がれきの荒野を見た私たちだからこそ、今までと違う「新しい日本」を作りたいと切に願っているのです。今あるものを捨て、今までやって来たことを変えるのは大きな痛みと勇気が必要です。しかし、今やらなければ未来は見えて来ません。心から笑いながら、支え合いながら生きて行く日本を、皆さまにお見せできるよう努力しようと思っています。そしてこの「絆」を世界の皆さまともつないで行きたいと思っています。

~~~~~~~~~~~~~引用 おわり

 渡辺謙さんと言えば、「許されざる者:http://wwws.warnerbros.co.jp/yurusarezaru/index.html」が今年9月に封切上映となります。クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した傑作西部劇「許されざる者」(1992)を、日本映画としてリメイクしました。幕府崩壊後の明治初期、北海道開拓時代の歴史の中で、かつて「人斬り十兵衛」と恐れられていた男(渡辺謙)が、再び戦いに身を投じていく姿を描いています。北海道・阿寒湖周辺でのロケも敢行されて、エキストラで知人も出演していますが、「エキストラを越えた存在感が抜群」との前評判もあり楽しみです。

 一方、昨年秋に札幌を訪問された松村昭雄さん(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14850)のメーリングでは下記のような記事が送信されてきました、ソーシャルメディアのメッセージは、いろいろな動きを教えてくれます。

~~~~~~~~~~メールからの引用

日本の友人の皆様へ、

 過日、アメリカ合衆国原子力規制委員会のグレゴリー・ヤツコー前会長が、原子力発電所は基本的安全性にかけるので、段階的に廃止すべきであるという発言をされました。カナダの著名な原子力科学者ゴードン・エドワーズ博士がこの意見について説明をされた記事の日本語訳

原子炉は段階的に廃止すべき:前アメリカ原子力規制委員会会長の発言

原子力専門家のゴードンエドワーズ博士がヤツコー会長の決断の背景を説明します。

原子炉は段階的に廃止すべき:前アメリカ原子力規制委員会会長の発言

By: ゴードン・エドワード博士

2013年4月9日

20130409-211940.jpg昨年までアメリカ合衆国原子力規制委員会会長職にあったグレゴリー・ヤツコー氏が、全ての潜在的に危険な機械は、その全てを完全に停止できる「緊急停止スイッチ」を備えているべきである、という最も基本的な認識に至りました。原子力発電炉にはそれが無いのです。ですからヤツコー会長は、全ての原子炉は段階的に廃止すべきである、という結論を出しました。

ヒーローが爆発装置や巨大な殺人マシンの動力を間一髪に止めて大惨事が無害なものへと代わる、といったアクションアドベンチャー映画が一体何本あることでしょう。大事故の起るほんの一瞬前に(?) 装置や機械が瞬く間に悪から良に代わる。大惨事から無害へと。なぜなら、誰かが「停止」スイッチのボタンを押すからです。

しかし、原子力発電炉は完全に停止させることはできないのです。どんなに緊急な場合にでもです。とんでもない構造欠陥です! 止めることのできない自動車や消せない火事を想像してみてください。

勿論、全ての原子炉に核の連鎖反応を2秒以内に止める「緊急停止装置」はあります。そして大抵はたいへんよく効きます。スリーマイル島の原子炉は最初のトラブルのサインがあった時に直ちに停止しました。ただその後に溶けただけです。福島第一の3つの稼働中の原子炉は全て津波が到着する前に自動停止しました。ところが結局、全て溶けたのです。

問題は、核連鎖反応を止めることが熱発生を止めはしないのです。使用している規模に準じて数千度の熱が、燃料の溶け出すポイントに向かって上昇し続けながら炉心に加え続けられる、という止められないプロセスなのです。

熱は何故止まらないのでしょう? それは私達が放射能活動を停止する方法を知らないからなのです。

通常の稼動をしている原子炉の炉心で激しく発生する、放射性副産物の途方も無い一覧表があります。たとえ核分裂が止まった後にも、核燃料の核分裂の結果炉心に集まった不安定な原子の放射性崩壊(壊変)により物凄い率で熱が発生し続けます。

この熱を「崩壊熱」といい、原子炉の炉心や原子炉の炉心付近にあるもの全てを溶かすに十分なものなのです。「停止」の直後で、崩壊熱はフルパワー熱のおよそ7パーセントです。

1000メガワットの電力を作るよう設計された原子炉では、通常約3000メガワットの熱が発生しています。もし、この原子炉が突然停止した場合、およそ3000メガワットの7%の熱が、照射を受けた核燃料の廃棄副産物による容赦のない放射性壊変により生じ続けます

それは200メガワット以上の熱になります。そして、それは止められないのです。

エネルギー冷却システムで熱を取り除くことができます。しかしもし原子炉が損なわれた場合に、エネルギー冷却システムは損なわれないと、いったい誰が言えるでしょうか?

停止できない原子炉はあたかもステロイド地獄のようなものです。そして、全ての原子炉がそうなのです。

ゴドン・エドワーズ

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前原子力規制委員が原子炉は欠陥であると発言

By: マシュー・L・ワルド、201348日付ニューヨークタイムズ紙

ワシントン発:現在アメリカ合衆国で稼働中の104の全ての発電用原子炉に直すことのできない安全性の問題があり新しい技術と交換されるべきである、と前原子力規制委員会の会長が月曜日に発言した。彼は、全てを直ちに停止するということは現実的ではないが、原子炉の(稼動)寿命を長くしようとするよりは段階的に廃止することを支持する、と発言した。

前会長であるグレゴリー・ヤツコー氏の発言は数多くの原発反対派グループの中では珍しいことではない。しかし、その安全確保を担当していた前原子力規制委員会の会長が、業界に対しそうもはっきりと批判することは至極珍しいことである。

ヤツコー博士は発言後のインタビューで、一体なぜ会長在任中にこの指摘をしなかったのか、という質問に、「私は最近まで本当に考えつかなかった」と言った。

2011年に日本での福島原子力事故でさらに明確となった「問題のことをもっと考えていて、業界と当局として、この本当に難しい問題をどう対応するかを模索する原子力安全コミュニティー全体を監視していました」、「バンドエイドにさらにバンドエイドを貼り付けてもこの問題は修復しません」と発言した。

ヤツコー博士は、ワシントンで行われたカーネギー国際原子力政策会議の福島事故に関する会合で、原子力委員会から初期の40年認可を超えてさらに20年の許可を得た多くのアメリカの原子炉は、おそらくそれほど長くは保たないだろうと発言した。彼は、原子炉が合計80年間稼動するということを意味する、2度目の20年延長申請を原子炉オーナーに許可する、という委員会の提案も拒否した。

ヤツコー博士は、原子炉燃料が連鎖反応停止後もおびただしい量の熱を発生し続けるという特徴について挙げ「崩壊熱」が福島のメルトダウンを引き起こしたものであると言及した。彼は、解決策はおそらく熱が燃料の溶融ポイントまで上がらない小さな原子炉である、と言った。

原子力業界はこのヤツコー博士の査定に不合意。業界の貿易協会である原子力エネルギー研究所理事長のマービン・S・ファーテル氏は「アメリカ合衆国の原子力エネルギー施設は安全に稼動している」、「それはグレッグ・ヤツコー氏の原子力規制委員会会長在職期間以前のケースである。これは多数の安全と性能インディケーターにより立証された原子力規制委員会の特別福島対応専門調査団に認知された彼の会長在職期間のケースである。今日のケースなのである。」と発言した。

ヤツコー博士は、委員会の他の4人の委員との数ヶ月間にわたる対立の後、昨年夏に会長職を辞職した。彼はしばしばあらゆる安全問題について、より強力な安全性の向上を主張する少数派に投票し、原子力業界より疑惑に見られていた。ヤツコー博士はネバダ州のハリー・レイド上院多数党院内総務の前補佐であり、提案されたラスベガスから100マイル程にあるユッカマウンテンの核廃棄物処理場の進展を遅らせる手段としてレイド氏の唆しで指名された(と疑惑視されていた)。

この記事は2013年4月9日付ニューヨーク版A16ページに「前規制委員が原子炉は欠陥であると発言」という見出しで出たものです。

(翻訳:木村道子)

~~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり

 翌日、松村昭雄さんの別便でさらにこんなサイトの紹介も:

http://akiomatsumura.com/2013/07/beyond-control-our-loosening-grasp-on-nuclear-security.html

 私は、グレゴリー・ヤツコー博士について今年4月にこの欄でもご紹介しています。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=16358

 つい先日の福島第一原発の汚染水によると思われる海水汚染、メディアの原発事故に関する追及は甘いですね。肝心の日本国内の認識がこのレベルでは、参議院選挙でどんな結果になろうとも、国際社会でのボジショニングはどんどん下がっていくでしょう、憂うべきことです。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013071002000248.html

 福島第一原発自体の事故収束、汚染水の現状と今後、使用済核燃料の問題、何一つ解決の目途も立っていない現実から眼をそらして、日本の将来を考えることはできません、日本の政治の貧困とそれに関わる政治家の質の低さ、そして担い手意識の低い主権者としての国民、これが今の日本の「実力」なのでしょうか。