W杯サッカー南アフリカ大会で、予選リーグを通じて岡田ジャパンは前評判を覆す大健闘でしたが、昨晩の決勝トーナメント1回戦パラグアイには惜しくも敗れました。目標のベスト4への進出が出来ずに残念ですが、試合内容はこれまでのどの大会よりも素晴らしく、岡田監督の采配、選手達の一体感、闘志あふれるプレーぶりは、多くの人々に感動を与えたに違いありません。
とは言っても、今回私は、各試合を最初から最後まで見ていたわけではありません。野球でもそうなのですが、最近は90分間緊張してテレビを見ている根気が無くなったというのでしょうか、終わり部分を見て結果を確認し、後は報道各局・各紙で振り返り、特に日本全国の応援の様子、世界各国の岡田ジャパンの評価を若干の余裕ある状況で知れば十分、そんな心のあり様です。昨晩も夜外で食事をしていたら、「今日試合を見ないのは非国民だ!」と、隣の席の方々が話をされていましたが、私は帰宅後、試合前に寝て、十分「非国民」でした。
岡田監督はここまで、メディアをはじめ沢山のバッシングに遭いながらも、覚悟を持って信念を曲げずに良く戦いました。責任ある当事者としての立場を全うした稀有な人物、本当に素晴らしい仕事をされました。試合後の公式記者会見の席でも、「本当にこれだけ頑張ったので、選手には勝たせてあげたかった。私の力が足りなかった」と、ひと言ひと言が明快で歯切れが良かったです。思い起こせば、2008年に脳梗塞(こうそく)で倒れたイビチャ・オシム前監督の後任として急きょ就任し、翌年1月のチリ戦から指揮を執り、2月から始まった南アフリカ大会アジア予選を突破しました。W杯予選を突破した日本人監督は1人だけで、岡田監督にとっては98年大会の予選に続く2度目の突破でした。
選手たちのコメントも、どこか哲学的でインテリジェンスの高さを感じましたね。デンマーク戦に勝利を収めた直後に本田選手の「なぜかそれ程喜べない」みたいなコメント、昨晩は、「批判する人がいなかったら、ここまでこれたかどうかわからない。応援してくれた人だけでなく、批判してくれた人にも感謝したい」等は、奥行きのある発言で興味深かったです。
地味ではありますが、ディフェンス陣の相手エースの徹底したマーク等、相手を十分研究し、それぞれチーム内の役割をしっかり果たして戦った姿は、何か新しいアジア的、日本的サッカーの「かたち」を見た思いです。同時に、攻撃の創造力というか突破力というか、常識を越える「何か」も足りない気がしますね。以前本であるスポーツ評論家が語っていました。「W杯サッカーで得点をあげるのは、昼間に銀行強盗するようなもの」と。例えは甚だしく不適切ですが、セオリーでは勝てないという意味だと思います。
課題はいろいろあるのでしょうが、20代・30代の日本の若者が、一生懸命に目標に向かって切磋琢磨し、努力し結果を出し、私たちに夢を与えてくれた、そんな彼らに心から感謝したいです.お疲れさま,胸を張って日本に帰って来て下さい!!