朝日地球会議 2018 (下)

Posted by 秋山孝二
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 翌日のセッションは、当初登録していたものを変更しました。と言うのは、前日頂いた最新のプログラムを見ると、私の30年来の友人である箕輪睦夫さんが講演することが分かり、そちらの会場に行きました。

 この日の最初の対談は「ドーナツ経済学」で注目されているケイト・ラワースさんのプレゼンと対談でした。

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対談「ドーナツ経済学から見える世界」

 世界経済は、社会的不平等の増大と環境破壊の悪化を避けなければ立ちゆかなくなる。このことをドーナツになぞらえて警鐘を鳴らしているのがラワース氏だ。ドーナツの外円は地球環境を破壊せずに発展する経済活動の上限、内円は貧困や格差を増大させるライン。二つの円に挟まれている領域こそが、公正で持続可能な経済活動なのだという。人類はどうすればこの二つの境界線の間、ドーナツの「身」の上で暮らすことができるのか。今年日本語訳が出版された著書「ドーナツ経済学が世界を救う」の内容を軸に、われわれは何をすべきか、何ができるかをラワース氏が語る。

ゲスト

  • 経済学者、オックスフォード大学環境変化研究所 上級客員研究員 ケイト・ラワース
聞き手

  • 朝日新聞SDGsプロジェクト担当専門記者 北郷 美由紀
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ここでの私なりのキーワード

* 空港に到着して、日本では「ドーナツ」というよりも「バウムクーヘン」の方がぴったりかな、と?

* 20世紀型企業は金銭的価値が中心、21世紀型企業は地域・社会への貢献の価値へ

* これまでの経済は、着陸を考えていない飛行機

* 9つのプラネタリー・バウンダリー(外円)

* デザインの二つの原則 1) 環境再生産型(例:フェアフォン) 2) 環境再分配型(例:モイエコーヒー)

* 20世紀を振り返る――>富の集中、21世紀は分配を想定しての活動、目的を持ったテクノロジー(例:エネルギーにおける集中型からネットワーク型へ、コミュニケーションにおける分散型へ、ブロックチェーン)

* ドーナツの内側にいる人々を引き上げる活動――>各国間の関係を変える(貿易、債務、税、等)

* 21世紀型とは、個人がたくさんのアイデンティティを持つこと:「消費者」だけではないはず

* ESG投資は、見返りだけでなく将来世代のため

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 続いては昨今、日本でもやっと話題になってきているESG投資とSDGs経営についての討論でした。

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パネル討論「本格化する日本のESG投資とSDGs経営」

 長期投資をする際に、環境や社会問題、企業統治への取り組みを判断材料にするESG投資が、日本でも急速に拡大している。安定的なリターンを得るためには、ESGを無視していては立ちゆかない。このことが、欧米に遅れを取ってきた日本でもようやく浸透してきたようだ。経営戦略としてSDGsに取り組む会社も規模の大小を問わず増えている。世界や日本国内のお金のまわり方は、これからどうなっていくのか。気候変動、資源循環、ジェンダー、働き方などの問題に、金融機関や企業はどう取り組んでいくべきなのか。国内外の抱える課題と今後の展望を議論していく。

パネリスト

  • モニター デロイト ジャパンリーダー・デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 パートナー 藤井 剛
  • 企業年金連合会運用執行理事・チ-フインベストメントオフィサ- 濱口 大輔
  • CDP事務局ジャパンディレクター、PRI事務局ジャパンヘッド 森澤 充世
コーディネーター

  • 朝日新聞編集委員 石井 徹
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 それぞれ専門分野からのメッセージは、やっと日本でも話題になってきた感があり、面白かったですね。世の中、マスメディアでは「アベノミクス効果」とか言っていますが、「防災対策」の急務、今の株高一辺倒の政策の行き詰まりと誤りを鋭く指摘していた濱口大輔さんの発言に賛同します。早く不都合な真実を認めて目を覚まさなければ、日本の沈没は後戻りできなくなります、そんな危機感を再確認した私です。

* この1・2年、日本でもESG投資が本格的に議論されてきたーー>SDGs経営とESG投資との組み合わせ

* 日本の場合、企業のコーチとしてのステークホルダーが欧米と比較して未熟

* 今の日本の課題の最優先は「防災に対する対策」、次に「労働人口減少への対応」

* 現在の日本の国債市場は極めて異常、中央銀行保有率が76%(アメリカ11%、EU15%)ガバナンスを取り戻す時期~日本の「不都合な真実」であり、この解消に正面から向き合わなければ本来のESG投資には向かえない

* 株式投資を政策手段にしているのは日本だけ――>浮動株率はますます下がっている(安定?株主35%)

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パネル討論「がん患者と装い~アピアランス(外見)ケアの効果とは」

 2人に1人が「がん」になる今、治療しながら働いたり家事をしたりする人たちが増えている。病気になってからも続く「日常」の意義を実感した人々が「よりよく生きたい」と様々な活動を始めており、その一つに「アピアランス(外見)ケア」がある。メイクやファッションなど、もともと培ったスキルに自身の患者経験から学んだ視点を加えて、仲間を励まし情報発信する乳がんサバイバー2人に、「装い」の効果と重要性について解説してもらう。

パネリスト

コーディネーター

  • 朝日新聞文化くらし報道部記者 高橋 美佐子
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 午後からは、雰囲気が大きく変わって「がん患者と装い」です。このセッションは、当日急きょ変更して参加したのですが、お二人とも乳がん手術から立ち上がり、私にとっては大変衝撃的で、お聞き出来てよかったとおもいました。終わってから手元メモはほとんどなく、それ程3人のセッションにのめり込んでいました、素晴らしかったです。

* 「なぜ自分ががんに」と、最初はその理不尽さを受け入れ難かった

* カードゲーム「ババ抜き」でジョーカーを引いた感じ、ゲームを変えなければいつまでもジョーカー

* これまでの「病院」ではいつまでも「患者さん」のまま

* 無人島では起こり得ない様々の課題、人と人との関係の中で前向きに解決していく

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特別講演「身近な取り組みが『笑顔』とともにグローバルな広がりへ」

  • アデランス 執行役員 海外事業本部副本部長 グローバルCSR広報室担当 箕輪 睦夫
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 続いては、アデランス(株)の箕輪睦夫さんのお話、本当に素晴らしい内容でした。箕輪睦夫さんについては、これまで何回か書いています、年下ではありますが、私の尊敬する友人です。

箕輪睦夫さん――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E7%AE%95%E8%BC%AA%E7%9D%A6%E5%A4%AB

 アデランスの取り組みは、まさに21世紀的なもので、それも本来日本企業が基本として持っていた「三方よし」の概念であること、そこから始まるプレゼンは、一人一人の命と真正面から真摯に向き合う姿を感じ取り、前のセッションとともに感動で震えました。

 最後に、塩崎涼子さんの「TOKIMEKU JAPAN(https://www.tokimeku-japan.com/」HPより引用します、新しい時代の到来を感じました、ありがとうございます!

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【幸せに生きること】

人生における小さな『トキメキ』を積み重ねること。

どんな時も『自分らしく』生をまっとうすること。

例え命の期限が決まっていたとしても、

最後まで『自分らしく』生きること。

私たちはそれが、『幸せに生きること』だと提案します。

病気で辛い治療が続いても、年をとって身体が動かなくても、

身体と頭が思うように動かなくなっても、人は、

桜が咲けば美しいと感じ、手をつなげば温かさを感じます。

心はどんな時でも、動いています。

だから、心に響く『トキメク気持ち』を届けたい。

私たちは、センスと感性。そして、本気の想い。を武器に

世界中の逆境を抱える人へ。今、この一瞬のトキメキをお届けします!

日本経営倫理学会 CSR部会で

Posted by 秋山孝二
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 日本経営倫理学会(http://www.jabes1993.org/) CSR部会で、「渋沢栄一に学ぶ~『論語と算盤』による経営」の執筆者によるプレゼンがあり、この会のメンバーでもある永年の友人で現在アデランス(株)の箕輪睦夫(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=18767)さんからお誘いがあり、私も出席しました。渋沢栄一からそれぞれの視点で学ぶコメントは新たな気づきを与えてくれました。

< 「渋沢栄一に学ぶ~『論語と算盤』による経営」 >

http://www.robundo.com/adana-press-club/wordpress/02/2016/05/24/%E3%80%90%E8%89%AF%E6%9B%B

多くの方々の寄稿です

多くの方々の寄稿です

内容紹介

 「論語と算盤」にはその理念が次のように述べられている。「富をなす根源は何かといえば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ」この理念のもと、ともすれば失われてしまいがちな企業の社会的責任について、現在の経営を根本から見直す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

田中 宏司
一般社団法人経営倫理実践研究センター理事・首席研究員、東京交通短期大学名誉教授(元学長)。1959年中央大学第2法学部・1968年同第2経済学部卒業。1954~90年日本銀行、1970年ミシガン州立大学留学(日銀派遣)、ケミカル信託銀行を経て、2002~06年立教大学大学院教授、2008~13年東京交通短期大学学長・教授。1996~2010年高千穂大学・早稲田大学大学院・関東学院大学・日本大学等兼任講師を歴任。経済産業省・日本規格協会「ISO/SR国内委員会」「ISO26000JIS化本委員会」委員等歴任

水尾 順一
駿河台大学経済経営学部・大学院総合政策研究科教授、博士(経営学:専修大学)。1947年生まれ。神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒業、(株)資生堂を経て1999年駿河台大学へ奉職、現在に至る。専門はCSR、経営倫理論など。東京工業大学大学院理工学研究科・東洋大学経営学部兼任講師、日本経営倫理学会副会長、経営倫理実践研究センター首席研究員、2010年ロンドン大学客員研究員。2008~2009年度経済産業省BOPビジネス研究会等座長・委員。CSRイニシアチブ委員会代表、(株)アデランス社外取締役、(株)西武ホールディングス企業倫理委員会社外委員

蟻生 俊夫
一般財団法人電力中央研究所企画グループ上席、白鴎大学経営学部兼任講師(1995年~)、日本経営倫理学会常任理事・CSR研究部会長、公益事業学会評議員。1988年東北大学大学院修了(工学修士)、(財)電力中央研究所経済研究所入所。1992年日本開発銀行非常勤調査員、1994年ドイツケルン大学エネルギー経済研究所客員研究員、2005~14年電力中央研究所社会経済研究所上席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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 私なりに手元に留めたメモです。

* 「職業倫理」からの読み解き: 商業従事者の倫理=商人の倫理+企業家としての倫理、マックス・ウェーバー、鈴木正三、石田梅岩を越えて――>武士道に通じる儒学で構成されることを示した。アダムスミス、ベンサムを参照しながらも日本的価値観に基づく独自の理論を

* 思想・社会システムにおける「日本型」の再検討の重要性!

* 教育のイノベーション: 封建制下の教育から商業教育への貢献となる――> 現代的意義は、1)多様化(ダイバーシティ)と包含(インクルージョン、2)商業、経済活動に、「公、公益」という普遍的概念の導入、3)商業教育の内容変革、リーダーの育成

* ドラッカーが共鳴した渋沢栄一の社会観: CSRがすべての行動基準、意思決定の中にすでに溶け込み、企業の事業活動から切り離せない状態、活動そのものになっている。経済は社会のためにあることを共通の社会観として持っている。社会と人を幸せにするにはどうしたらよいか、からスタートしている、すなわち「人権」思想からのスタート。

* 渋沢栄一はソーシャル・アントレプレナー: 明治期の日本社会が必要としていたもの(社会的課題)をビジネス(事業)として提供した

<参考> 渋沢栄一賞(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0801/sibusawaeiichishou.html

* 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、初代ドイツ帝国宰相のオットー・フォン・ビスマルク

* 渋沢栄一「航西(こうせい)日記」に学ぶアデランスのCSR: 世界各地での展開の基本に渋沢栄一の理念・思想、そして「San-Po-Yoshi」のCSR

<航西日記> http://school.nijl.ac.jp/kindai/SUMI/SUMI-00156.html#1

 以上、まだまだ貴重なメッセージがぎっしり詰まった意見交換でしたが、取り急ぎ書き留めました。今年1月に私が訪問した東京北区飛鳥山の「渋沢栄一史料館(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=25430」、機会を見つけて深谷の生地も訪れたいと思っています。

日本発「戦略的CSR」@箕輪睦夫

Posted by 秋山孝二
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 今からもう30年以上前に、アメリカ合衆国ハワイ州にある「JAIMS(http://www.jaims.jp/」で出会った箕輪睦夫さん、ご自身で設立した経営コンサルタント会社20数年を経て、(株)アデランス(http://www.aderans.com/)に入社し、ヨーロッパ、アメリカで改革の前線で奮闘し、現在、「CSRプロジェクト部長」としてグローバルにご活躍です。「CSR:Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任http://kotobank.jp/word/CSR」は、日本ではしばしば「社会貢献」と混同されていますが、本来の「CSR」の意味について学び直す目的で以前から札幌にお招きしたいと思っていました。

 今回、超ご多忙の中、私が講義をしている札幌学院大学「経営組織論」の第13回講義に講師として、その日の夜には、「愛生舘サロン公開講演」として、「日本型戦略的CSR」について示唆に富むお話をして頂きました。アメリカの「コンプライアンス重点型」でも、ヨーロッパの「メセナ・環境型」でもない、まさに営業の高いモチベーションをベースに、事業と一体化した日本発の「戦略型CSR」のお話に、昼の学生たちも、夜の経営者たちも、息をのみ感動のひと時でした。激動の社内・社外マネジメント環境を力強く生き抜いてきた一人の「本物のホンモノ」として、私も尊敬しています。

30年来の友人、箕輪睦夫さんのご講演 in 愛生舘サロン

30年来の友人、箕輪睦夫さんのご講演 in 愛生舘サロン

営業部隊と一体となった「日本型CSR」

営業部隊と一体となった「日本型CSR」

 これまでの「CSR」の概念と大きく違うことは、彼自身、本社に身は置くものの、あくまでも「CSRプロジェクト」部長という立場に拘るごとく、その活動は経営トップの理解の下、常に営業本部長を筆頭とする営業部隊とのコラボレーションにあることです。コアビジネス活動それ自体、すなわち「企業成長」の中に健全で永続的なCSRがある、言い換えると「事業と一体化したCSR」ですね。そして、この活動が、グローバルに展開する企業を「つなぐ」基本概念・理念になる、その着眼が素晴らしいと思うのです。コア事業に付随する活動とか、利益が出ているから社会貢献、ではないのです。そして、この視点が明確であるからこそ、「社会的責任投資:SRI(http://www.sifjapan.org/sri/」という概念にも通じてくるのでしょう。今年7月の目加田説子さんのご講演(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=17210)でも、SRIについての言及がありました。

 (株)アデランスのCSRの詳細は、是非、HPのこのページをご覧頂きたいと思います(http://www.aderans.com/csr/)。

この日私は、早朝に帯広から札幌にJRで戻りましたが、途中の景色が折からの新雪で輝いていました。占冠駅近くで思わず車窓からパチリと、充実した毎日の人との出会いに、一層華を添えてくれた感じがして嬉しかったですね。

今年の年末はいつもにも増して忙しいのですが、清々しい人々との出会いで締めくくれそうで嬉しいです。

あまりの美しさなので!帯広・札幌間の車窓から、敢えて逆光で

あまりの美しさなので!帯広・札幌間の車窓から、敢えて逆光で