年初に講演二つ 2014

Posted by 秋山孝二
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 興味深い講演が続けて二つ札幌で開かれました。

 一つは、寺島実郎さんの講演と山口二郎さんとの対談。「リベラル再生」に向けたやり取りは的を射たものでした。2年前に設立された「『市民が主役』の政治をつくろう!北海道フォーラム(http://www.jichiro-hokkaido.gr.jp/2012/10/post_1487.html)」が主催。

 寺島実郎さんは、現在の状況を 1)プチナショナリズム症候群、2)株が上がってめでたい症候群、と評し、マネーゲーム批判を含めて、近代に正面から向き合った本来の「リベラル」の意味、根源的問いといった姿勢に言及しました。民主主義の価値を戦い取っていない日本、デモクラシーをパスしてしまったこれまでの日本を総括して、社会的ストレスが掛かった時にすぐに国権主義、国家主義に取り込まれてしまう民の脆弱性を鋭く指摘しました。

「リベラル再生の道筋」、700人の満席の聴衆

「リベラル再生の道筋」、700人の満席の聴衆

 もう一つは、北海道経済同友会・新年例会として、(公社)経済同友会の副代表幹事のお一人、御立尚氏さんの「変化の時代」です。20世紀、21世紀、今後のマクロに睨んだ世界の変化について、例えば、一つの災害・事件・事故がグローバルに影響を与える時代のリスクマネジメント等への視座を示しました。日ごろ、目の前の課題解決に追われている企業経営者にとって、時間軸を長期に見据えて目線を遠くに運んでくれる内容でした。

 この日、羽田空港悪天候で飛行機の出発が遅れ、さらに着陸後、新千歳空港から札幌市内までの高速道路が猛吹雪で閉鎖、講演自体も約1時間少々遅れて始まりましたが、その間、北海道経済同友会の横内龍三代表幹事が時間を繋ぐ熱弁で普段聞けないご自身のお考えを述べられ、逆に貴重なひと時となりました。予定の大幅変更でしたが、殆ど退席される方もなく、悪天候の中集中した空間でした。

「変化の時代」、北海道経済同友会・新年例会で

「変化の時代」、北海道経済同友会・新年例会で

アイヌ文化とこれからの北海道

Posted by 秋山孝二
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 経済同友会の「札仙広福・四極円卓会議」が、今年は4巡目のスタートで第13回、北海道経済同友会のホストで開催されました。今年のテーマは「地方における成長線戦略」、特別講演は、札幌大学副学長・本田優子先生による「アイヌ文化とこれからの北海道」でした。私も個人会員の「ウレシパクラブ」を立ち上げて、今、アイヌ文化の伝承と啓発等でグローバルに大活躍です。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=4680

経済同友会・「札仙広福」会議で本田優子先生のご講演

経済同友会・「札仙広福」会議で本田優子先生のご講演

 講演の冒頭に、今、全国で上映中の映画「許されざる者:http://wwws.warnerbros.co.jp/yurusarezaru/index.htmlについてのエピソードを語られ、大変興味深く聴きました。このリメイクのお話を、今回の監督・李相日さんから最初に本田先生が聞いていろいろアドバイスを行い、アイヌの方々はじめ、北海道のプロの役者さんたちも多数好演しています。映画のエンドロールには、「北海道演劇財団」、「前田一歩園財団」の名も銘記されていました。

 主演の渡辺謙さんについては、今年7月にこの欄に書きました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=17215)。アイヌ語のアドバイスで、渡辺謙さんと本田優子先生は、至近距離の時間を共有したようです、このお話はまた別の機会にゆっくり伺いたいものです!?

北海道の役者さんたちも大勢出演!

北海道の役者さんたちも大勢出演!

 仙台、広島、福岡、北海道の各経済同友会の代表の方々が、それぞれ地域の成長戦略を発表しました。各地の特色を活かした活動は、日本経済を支える一翼としての力を感じましたね。特に、「六次産業化」という表現よりも、「商農工連携」の方が現実的ではないかというご意見、すなわち、流通・生産のプロが「農」を支える発想の重要性を一様に語っていましたね。しかしながら、これには経済産業省、農林水産省が批判的とか。

 コラボレーションの時代において、地域課題の解決は、超党派的であり、総合的であり、従来の枠組みを越える「特区」的発想からしか活路を拓けない、そんな意を強くしました。

(公社)経済同友会幹部との意見交換

Posted by 秋山孝二
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 北海道経済同友会の新春例会は、今年は東京から、「公益社団法人 経済同友会(http://www.doyukai.or.jp/)」の長谷川閑史(やすちか)代表幹事ほか10数名の幹部の来道となり、代表幹事の例会での講演のほか夜の懇談会、翌日は北海道経済同友会との意見交換会も開催されました。

2013年新年例会で

2013年新年例会

長谷川代表幹事のご講演

長谷川代表幹事のご講演

 長谷川代表幹事のお話は大変分かりやすく、「日本の課題と再生戦略」について、「富」の再配分から「負担」の再配分の時代であるという認識、今までのような戦略では「国家の均衡ある衰退」への道でしかないこと、国家ビジョンとしての「歳入増」、「歳出削減」、「経済成長」は明らかであり、要はそれらを責任を持って「実行する」ことにあると語られました。

 今や、世界は国レベルの競争の中にあり、各国の「政策」がその競争力を左右している実態、従ってこれまでの日本の中央政府・官僚の視座からは、変化している新しい時代における「政策立案」がきわめて困難であるという指摘も的確でした。中央集権から大幅に地方に権限を渡すには、「税源」、「権限」、「人材」の移転を速やかに行うことが肝要とも。

 この講演後に、フロアーとのやり取りの時間があり、私は質問しました。「経済同友会は個人での登録に特色があり、自由闊達な議論がこれまでの価値だったはず。ところがこの所、いわゆる『経済界』とマスメディアに取り上げられる時は、経団連、商工会議所と雁首を揃えての政策提言といった場面が多く、本来のこの団体の価値と優位性を失っているのではないか。経営者の多様な意見、健全な議論、論点の提案こそ、経済同友会のあるべき姿ではないか」と。

 これに対して長谷川代表は、「なかなか辛口のご質問」と前置きして、大変真摯にお応えになりました。「同一歩調を取っているつもりはないが、もし、そういう印象を与えているとすれば今後注意したい」と。ただ、原発に関しては、3・11以降、その年の夏に、軽井沢での議論を経て、「脱原発」ではなく「縮原発」を提起したとも説明されていました。

 結局、講演会は、私のこの質問一つだけで終了しました。終了後に、長谷川代表は私の席までいらっしゃって、「秋山さん、今の官僚組織では、個々の能力は大変高くとも、従来の構造からしか課題解決を図らないので、どうしても縦割りの弊害が否めない。今ある国家的、地域的課題は全て、複数の省庁に関連するものばかりなので、どうか地域での課題解決を先行して実践して頂きたい。自分なりに積極的に意見を述べてはいくが、従来の中央集権的なやり方では時間が掛り過ぎてとても間に合わない」と、アドバイスを頂きました。

 その日の夜は、双方合計10数名での着席懇談会・会食でした。私の両隣の席だった長島徹・副代表幹事、前原金一専務理事、向かいの髙須武男 ・副代表幹事らとも親しくお話ができて有意義な時間を過ごしました。特に、長島さんは、エネルギー・環境委員会の委員長でもあり、昨年の富山での全国会議分科会(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=12630)にもご参加になって私の話もお聴きになっていましたので、再生可能エネルギーの積極的展開でもさらに意見交換することができました。それ以外に、ここにはとても書けない「経済界の真実!」もたくさんお聴きしました、何かの機会にご紹介致します。ただ、TPP、安倍政権の教育論議等については、幹部個々のご意見には私はかなりの違和感もありました。

 翌日は、北海道経済同友会の幹部と東京からのご一行が約2時間の意見交換。その前に、東京の幹部は農業関連のトップとも実のある意見交換を行えたそうです、経済団体と農業団体とがTPPを始めとした懸案事項で、しっかり議論することそれ自体に今は価値があると思いますね。

 安倍政権の重要な会議のメンバーに、経済同友会幹部が名前を連ねて積極的な発言をしています。私、及び私たち北海道で再生可能エネルギーの実現、省エネに向けて努力している人々の実践も積極的に報告しており、その一部は中央にも伝わっていることを先日確認しましたので、これからも現場での実践の成功モデルを、経済同友会を通じて国の政策に反映させていきたいと強く思いました。

 2年前の意見交換よりも、はるかに実のある時間を過ごすことができました、今後に期待したいですね。二日間、異なった意見で私は異論のあったテーマもありましたが、とにかく一番残念なのは地元経済人の「無反応」です、何を言ってもただ微笑んでいるだけ、今それで良いのかと蹴り上げたくなる過激な私の心境です。肝っ玉が小さい、いや、もともと無いのかもしれない、尊敬できる経営者が極くわずかなことが、私の唯一残念に思うことです。

再稼働なしで、この冬を乗り切ろう!

Posted by 秋山孝二
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 先日、北海道大学吉田文和先生が、北海道の道政記者クラブで記者会見を行い、私も同席致しました。12大学130名を越える研究者の方々の声明に、経済団体の一員、経営者としてこれに賛同する立ち位置でです。

 昨年3・11以降、マスメディアでは「経済界」、「経済団体」とよく出てきますが、メッセージが「満場一致」の議決を経て出されている訳ではありません、いやそれどころか、あたかも日本で営む企業を代表するかのような誤解は、しっかり払しょくしなくてはなりません。先月私が書いたように(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14447)、経済団体のそれぞれの中身は多様であり、様々な意見を持つ経営者がいることを、世の中の方々に分かって頂きたい、少なくとも北海道民には、そんな思いが私にはずっとありました。それゆえ、今回、吉田文和先生ほか研究者の皆さまの思いに賛同する意思を、経済団体に所属する経営者として明確にしたつもりです。限られた時間でしたので、実際はここに記載されている以上の、多くの賛同する経営者がいらっしゃいます。

声明文概要は下記で、賛同した経営者は11月2日現在です。

~~~~声明文概要~~~~~~~~~~~~~~~~~~

泊原発の再稼働なしでこの冬を乗り切ろう―泊原発再稼働問題について        2012年11月2日
吉田文和(代表声明者、他130名北海道内大学研究者)
(1)泊原発は再稼働できる条件にはない
 この冬の電力不足が想定されるとして、北海道電力泊原発1号、2号の再稼働について、当事者である北海道電力を先頭に、経団連とともに北海道の経済団体が経済産業大臣に再稼働実施の働きかけを行っている。そもそも福島第1原発の事故については、政府と国会の事故調委員会報告がすでに公表されており、これを受けた原発の新たな安全基準づくりが求められており、新たに発足した原子力規制委員会の安全基準づくりも来年7月を目途とされる。したがって、この冬に泊原発の再稼働を求めることは、その新基準の前に再稼働を迫る異常な行動である。
 原発に関する将来選択については種々意見があるが、論理的に考えて、震災前の安全基準が徹底的に見直され、それが確認されるまで原発を稼働できないことは当然の考え方である。現段階で原発を再稼働することは、近い将来再び大震災が起こることはない、という根拠のない無責任な楽観論を拠り所にしているといわざるをえない
 現在の泊原発は、東日本大震災に匹敵する頻度で起こりうる地震と津波に耐えられないことは明らかでる。しかも福島第1原発に設置されていた免震重要棟はなく、オフサイト・センターは海抜わずか4mに位置しており、移転を計画中である。また泊原発は加圧水PWR型で、ベント装置もフィルターも設置されていない。周辺の避難道路の整備も遅れている。北海道電力が泊原発で予定している、津波対策の防潮堤の完成などは2、3年先であり、指摘されている周辺の黒松内断層などの影響による送電線倒壊についても、影響評価と防止対策が明らかにされていない。
 以上のような状況において、冬の電力不足を理由に泊原発の再稼働を認めることは、安全性が確認できない原発を稼働することによるリスクに、北海道民をさらすことになりかねず、再稼働すべきではない。万が一の事故が起こった場合には、道央圏が放射能の汚染によって居住不可能になる場合があること、北海道の基幹産業である一次産業が大きな打撃を受けることを考えなければならない。
(2)安全な電力確保は電力会社の社会的責務である
 一方、原発を再稼働させない場合、冬の電力不足と停電のリスクの問題があり、原発再稼働のリスクかあるいは冬の停電のリスクかという、一種の「社会的ジレンマ」といわれる事態に北海道が直面しているかのような状況を呈している。この「社会的ジレンマ」を解決するには、関係当事者の責任と分担を明らかにして、一部の人々の負担に頼るのではなく、社会の構成員全員の積極的参加と議論に基づく対処と行動が不可欠である。
 そこで、原発再稼働のリスクと停電のリスクの両方を避けながら、予防原則に立ちかえり、安全サイドに舵を切りながら、道民が10%を目標に節電対策などに最大限努力、協力して節電対策を行えば、原発の再稼働は必要なくなる。そして、第3者検証により、もしどうしても火力発電による燃料代金値上げの必要性が確認できれば、その分の消費者負担も多くの道民は受け入れることになるであろう。その際はもちろん、社会的経済的弱者への配慮が不可欠である
 そうしたうえで、電力の安定供給は地域独占が許された電力会社自身の社会的責務であり、北本連系線による本州からの送電確保、自家発電の要請、予備電源の準備など、北海道電力が行うべきメニューは数多くあるので、これまでの努力を踏まえさらに改善に取り組むべきである。政府の需給検証委員会でも指摘されているように、北海道電力の具体的な電力確保対策、節電対策は、まだ不十分である。
(3)道民の知恵と協力で電力危機を乗り切ろう
 鉄道や病院には優先的に電力を確保することにより、道民の生活や健康・生命は確保される。泊原発ができてから、オール電化のキャンペーンなどで道内の電力消費は1.5倍になったのであり、電気を代替できる石油ストーブ、ガス、ストーブへの切り替えによって電力消費を抑えることができる。北海道電力は停電や計画停電を避けるように最大限努力し、一方で道民、企業等も不測の事態に備えるべきである。また住民が節電に努力できるよう節電の可視化やインセンティブの設定をいっそう推進すべきである。
 これまでにない電力危機を、道民の協力で乗り切るべく、当事者である北海道電力は、今後、情報開示を一層積極的に行い、電力確保に努め、北海道庁をはじめ行政各機関は、各企業、道民と協力して対処すべきである。
 泊原発の再稼働なしでこの冬を乗り切れるかどうかは、ひとえに北海道民の知恵と協力にかかっている。従って当事者である北海道電力は、他の経済団体を巻き込んで、泊原発の再稼働に動くのではなく、再稼働をしないで冬の電力供給の責任を果たすために、できる限りの方策を講じるべきである。火力発電の停止の場合を想定した計画停電も避けるべく最大限努力すべきである。通常の火力発電の運転確保も保証できない技術レベルで、どうして原発を安全に再稼働できるのだろうかと、残念ながら疑問を持たざるをえない。こうなったのは、原子力に過度に投資をし、天然ガス火力発電への投資が遅れ、本当の意味でのベストミックスを見失った一方で、泊原発も防災・安全対策が不十分であるという、経営のあり方の問題なのである。
 新しくできた原子力規制委員会の新基準の策定前に、この冬の泊原発再稼働を認めれば、原子力規制委員会そのものの存在価値が問われかねず、政府も再稼働に慎重にならざるをえない国内情勢があり、他方で、北海道の基幹産業である農業と水産業の従事者が再稼働反対で北海道知事も新基準前の再稼働に慎重な姿勢を取らざるを得ない道内情勢がある。北海道電力の経営陣は、これらの情勢を理解判断することができず、いまだに再稼働に固執し、本格的な電力供給の緊急対策に腰が入らない状況は誠に遺憾で、危険な状態である
 昨年8月に泊原発3号機の「無条件の営業運転開始」を容認できないという声明をだした私どもは、北海道電力が経団連や北海道の経済団体とともに泊原発の再稼働を要求しているという事態の緊急性を鑑みて、泊原発再稼働問題について声明を公表いたす次第である

 

<経営者の声明賛同者>   肩書のない方は、みなさん「代表取締役社長」
* 植田英隆  株式会社 りんゆう観光
* 内山博   株式会社 旅システム 
* 清水誓幸  株式会社 スーパーライン北翔        
* 白鳥雅芳
* 加城祐史   オホーツク警備保障 株式会社
* 川田弘教   川田自動車工業 株式会社
* 國枝恭二   株式会社 帯建工業    (*エネ経会議 北海道支部長)
* 小枝秀則   小枝産業 株式会社
* 後藤健市   合同会社 場所文化機構
* 竹本直人   株式会社 ネクセスステージ
* 仁志方紀   有限会社 仁志陶器建材店
* 爲廣正彦   株式会社 エコERC(エルク)
* 前川和弘   北海道生活協同組合連合会 専務理事
* 舛川誠     北見通運 株式会社
* 三宅雅登   左希子化粧 株式会社
* 宮下 周平  株式会社 まほろば 
* 森実さとみ
* 秋山孝二  北海道経済同友会 幹事
<参考>
「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議
https://enekei.jp/page/concept>
~趣意書より~
私たちが具体的に取り組むべきは、単なる反原発運動ではなく、原発がないほう
が健全な国・地域づくりができるという対案を示し、それを実践していくことだと
思っております。そのひとつは地域でのエネルギー自給のしくみを、最初は小さく
ともいいから、同時多発的に実現させることであり、そのための活動をしてまいり
ます。たくさんの小さな循環を起こし、そのネットワークを創っていくこと。いわば
「実践のネットワーク」。それが私たちの役割だと任じています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

松村昭雄さんの札幌訪問

Posted by 秋山孝二
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 国連アドバイザーだった松村昭雄さんが、先日50年ぶりに札幌をご訪問され、その折に、札幌市上田文雄市長ほか、北海道の経済界のトップとも面談しました。夜も、北海道経済同友会幹部と会食し、北海道が、昨年3・11以降の国難にどんな貢献が出来るかを、真摯に語り合いました、久しぶりに正しい現状認識に基づいた前向きの意見交換ができて、今後の展開に大きな助言を頂きました。

 松村さんが何ものか(?!)をご紹介するのは実に難しいことですが、今回何を札幌のリーダーたちに訴えたかったかは、私がくどくど書くよりも下記のブログをお読み頂ければ一目瞭然です(日本語は「japanese」をクリック)。ひと言で言えば、日本のリーダーたちが、今のフクシマ原発事故に対して危機感が欠如していることへの警鐘です。現実の状況としっかり向き合い、国際社会の英知も結集して、長い時間の取り組みを宣言する必要があるのでしょう、日本国の信頼を確保するために。

 チェルノブイリ事故では結局どうして爆発を収束させたか、そしてその甚大な被害が実際、今、子どもたちにどう影響しているか、世界のトップレベルの科学者、見識のある方々のコメントを直に聴きながらの松村さんのお話には説得力がありました。

<2012.6.11ブログ http://akiomatsumura.com/2012/06/what-is-the-united-states-government-waiting-for.html

<2012.8.24ブログ http://akiomatsumura.com/2012/08/the-nuclear-sacrifice-of-our-children-14-recommendations-to-help-radiation-contaminated-japan.html

 

 昨年10月のIBM北海道会議(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=10557)でも小磯修二先生が講演されたように、北海道という地は、その開拓の歴史をさかのぼると、明治維新の幕末諸藩の雇用創出としての大移民計画、第二次世界大戦直後の外地からの復員兵とその家族の雇用創出移民計画等、国策としての移民政策の成功モデルとして世界的な評価を得ています。

 今、「フクシマの復興」というよりも、「日本の復興」という意味で、北海道の果たすべき役割は大きいでしょう。そしてその計画は、「避難する人々の受け入れ」ではなく、福島の方々の誇りを尊重するものでなくてはなりません。人が場所を移して暮らすことは、憐憫の情では長続きはしません、たとえば、福島の伝統・文化の導入、技術移転とかですね、第三の大移民計画」とでも呼べるものが必要なのではないでしょうか。

経済団体は、思考停止状態!

Posted by 秋山孝二
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 この所のエネルギー論議の中で、日本の経済団体の動きをメディアで見る限り、その責任者たちの頭は「思考停止」か、思考自体が出来ないほど「能力低下」をきたしているか、いやもっとひどい状態、もともと能力など無い、何とも醜い、昔のリーダーの方々を承知しているだけに、恥ずべき現状です。北海道の経済団体も、全く同様の醜悪さです。

~~~~~~~~~<北海道新聞10月9日夕刊掲載>

道経連など道内3団体、泊再稼働を要望 経産相は否定的見解

(10/09 16:30)

 道経連など道内経済3団体は9日午前、枝野幸男経済産業相に対し、今冬の電力安定供給に必要だとして、北海道電力泊原発(後志管内泊村)の早期再稼働を要望した。これに対し枝野氏は「再稼働がなかった場合に備え最大限の対応を行う」との考えを示し、原子力規制委員会の安全審査が終わらない段階での再稼働に否定的な見解を示した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり

 ちょっと待って下さいよ、私は北海道経済同友会の幹事ですが、この団体の中で、上記のような「再稼働要望」といった議論をした場は、一度だってありません。幹事会終了後に、常任幹事の北電副社長が、部下から「夏の節電報告」をさせているだけで、これまで今年の「冬の再稼働」の表現を出したことは全くありません。どうして、このような重要な問題を、原則的なプロセス抜きで「要望」などといって団体を代表するかのようにことを運ぼうとするのか、それこそ「再稼働を急ぐ」暴挙です。

 昨年3・11以降の原発爆発事故に対して、電力会社への不信は高まるばかり、事故の検証も殆ど進んでいない現在、そして、電力会社への不信が全く払しょくされないどころか、使用済み核燃料の問題等も含めて不安と不信は高まるばかり。安全性に対して何の対策も完了されていない現状とも重ね合わせて、今、電力会社、地元経済団体がやらなければならない行動は、ひとえに道民に対しての信頼回復、それを行動を持って示すことに他ならないでしょう。

 地震等の天災や運用面でのトラブルによって、停止が余儀なくされる不安定な電源である原子力発電を基幹電源とした電力会社の企業責任を果たす、これは今一番重要な企業の姿勢だと思います。

 冬の電力不足が仮に想定されるのなら、これまで「オール電化」を促進してきた電力会社は、その民間企業としての責任として、或いはアフターサービスとして、「節電プラン」を各家庭に提示しなければならないでしょう。ただいたずらに「冬の電力不足」を喧伝するのでは、安全・安定供給の責務を全う出来ていません。そして、社会に対して、「ロードヒーティングを止めざるを得ない」と言って危機を煽る前に、こういう状況の責任として、市内のそれらの場所に、危険な日に、社員を総動員して砂袋、注意喚起のノボリ等で、車、歩行者への安全確保の活動に専心しなければならないのではありませんか、また、ルーフヒーティングに対しては、外部委託の雪おろし等の導入、それが民間企業の社会的責任です、お客様にはご迷惑をお掛けしない、でしょう。

10月12日夜のニュース

10月12日夜のニュース

 私は実は、北電が言う「冬の電力不足」は、真実ではないのではないかと思っているのです、どう考えても冬の電力は足りるからです。むしろ、北電が本当に懸念するのは、火力発電へのシフトによる「燃料費の高騰」、それが経営コストの大幅増を促す、そのことなのではありませんか?もしそうだとすれば、まさに「経営者の怠慢」以外の何ものでもありません。そういう状況こそ、経営者の経営者たる存在が試されるのですから。

 経団連の米倉会長が良く言う「産業の空洞化」、北海道に、電気料が値上がりして「海外に出て行く企業」がいくつあると言うのでしょうか。そもそも、企業コストにおいて、電気料が占める割合はどの程度だと思いますか?それよりも、何の検証・対策完了もなく原発を再稼働するリスク、放射能汚染による地域崩壊・喪失のリスクは、現在のフクシマを見れば明らかです、成長戦略も何も無い、測り知れない損失が明確です。

 尖閣列島・竹島・北方領土の比ではない、何百万、何千万人も住む日本の「国土の喪失」です。経営者として、自分の頭で考えてみろよ、今、何をしなければならないのか、答えは明らかです!それともう一つ、「2030年代云々」のエネルギーを語るのなら、最低限その時代には生きているであろう世代の方々にお願いしたいものです、そうでなければ若者たちはやってられないですよ!

 原子力発電が導入されて以来、限りなく一定の電力需要を促してきた電力会社は、まさに原子力発電の為のライフスタイルを作ってきたのです、その電源の大事故と未だ終息しない事態が発生して、安全神話が崩壊した現在、地域独占の民間企業の責任を果たすことが急務です。車の販売会社でも、車検時・事故時で車を一時的に手放し不便を掛ける時は代車を提供します。全社を挙げて、ポータブル灯油ストーブを配布するとか、いくらでも「冬に必須のエネルギー=熱」を供給する手立てはあるのではありませんか、この非常時、電気ばかりで解決ではないはずです。

 この様な事態に対しては、ただ不足を煽るのではなく、電力供給の民間企業として、節電ではピークカット・ベースカットの効果を挙げるべく、1)時間帯に電気料金に格差をつける、例えばピーク時の値上げ、2)「需要対策」に積極的な提案等、本腰で取り組むことであり、もう一つは、「広域運営のノウハウ」を早急に確立することではないでしょうか。冬の電力需要は北海道特有のものだとすれば、本州各地では電力に余力があるはずです、北本連系設備の拡充は急務でしょう。

 生き馬の眼を抜く競争社会を生きてきた経営者たちならば、今の電力会社の経営者は何も手を打っていない、そう思うはずです。とにかく、「顧客」が見えていない、ただただ地域独占の上にあぐらをかいているひ弱な姿、記者会見でも経営者の眼差しからそう感じます。ドッジボールでもボールから逃げ回るばかりでは勝てません、しっかりボールを受けとめることが勝利への道です。

 昨年3・11以降のある時、本州から単身赴任で北海道に来られている支店長・支社長の方が、「北海道では冬の電気が不足すると凍死者が出る心配がある」とおっしゃいました。何たる侮辱、北国で暮らす我々は、そんなに軟(やわ)ではありませんよ、そう言う貴方こそ冷暖房完備の会社契約マンションの一室でぬくぬくと暮らし、「北海道は食べ物が美味しいですね」と言っているだけなのではありませんか。今日の危機的な状況の中、リアリティのない推測は止めましょうよ、歴史に学び、長年この寒冷地で暮らした知恵に学び、地元住民の声に素直に耳を傾ける、そんな向き合う姿勢を行政にも電力会社経営幹部にも求めたいですね、島国北海道の住民として、同じ舟に乗っているのですから。

札幌市まちづくり戦略ビジョン

Posted by 秋山孝二
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 私も幹事をつとめる北海道経済同友会の例会で、札幌市の上田文雄市長をお迎えしました、「札幌市まちづくり戦略ビジョン:http://www.city.sapporo.jp/kikaku/vision/index.html」について、今後の札幌市の方向性を分かりやすくお話されました。

上田文雄市長の講演

上田文雄市長の講演

まちづくり戦略ビジョンを語る

まちづくり戦略ビジョンを語る

 ビジョンの詳細はHPで見ることが出来るので省略しますが、これまでの行政が策定したビジョンとは違ってかなり面白いですね。

~~~~~~~~~~~~~~「ビジョン」のデータ編(http://www4.city.sapporo.jp/kikaku/vision/kihon/)から引用

(3)策定に当たっての基本的な視点

「札幌市まちづくり戦略ビジョン」の策定に当たっては、以下の3つの基本的な視点に立って作業を進めます。

  1. 「行政にとっての計画」から「市民と共有できるビジョン」へ今後、「市民が主役のまちづくり」を引き続き進めていくという観点から、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」については、これまでの「行政にとっての計画」から、「市民と共有できるビジョン」への転換を目指します。具体的には、市民の皆さんと共有できるよう、内容はシンプルで分かりやすいものにするとともに、策定プロセスの中に市民の皆さんに参加していただける様々な場面を設け、市民の皆さんと一緒に策定作業を進めていきます。
  2. 「選択と集中」のための重点戦略へ今後も厳しい財政状況が見込まれる中、札幌市も、真に必要な分野に政策や事業を「選択と集中」していくことが求められますが、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」については、今後の政策や事業の「選択と集中」のための重点戦略を目指します。具体的には、ビジョンの中に、今後、札幌市として特に力を入れて取り組んでいく「まちづくりの重点戦略」を明記し、今後の政策・事業の重点化の指針とします。
  3. 計画体系の簡略化(「3層構造」から「2層構造」への転換)「札幌市まちづくり戦略ビジョン」の位置付けをより明確にすることで、市民の皆さんと共有しやすいものにするとともに、社会経済情勢の変化にあわせた柔軟な見直しを可能にするという観点から、現行の3層構造の計画体系(基本構想―第4次長期総合計画―新まちづくり計画)を簡略化し、2層構造(札幌市まちづくり戦略ビジョン―中期計画)へと転換します。

計画体系構造図

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用おわり

 今後の高齢社会が、まちづくりの基本にどう影響するかを見据えて、「札幌の未来」をしっかり展望している「ビジョン」だと思います。代替エネルギーへの転換も、「エネルギー転換調査:http://www.city.sapporo.jp/kankyo/energy/koubo/documents/h23gaiyou.pdf」の結果を踏まえて、明確に記述されています。

 これから暮らし続ける市民として、それぞれのフィールドでやれることをやる、今、市民力が問われているのでしょうね。思考停止に陥らずに、自立する市民として自分のマチを切り拓くのです。

 

 会場の札幌グランドホテルに向かう途中、地下鉄大通公園駅から駅前地下通路を歩いて行くと、節電で少し暗くなっている通路の中で、ひと際明るいエリアがありました、そうです、地上から太陽光が入って来ている場所でした。

駅前地下通路:ひと際明るいエリア

駅前地下通路:ひと際明るいエリア

経営者たち、変わる認識 (2)

Posted by 秋山孝二
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 オープニングの大ホールの指定席で、隣の分科会登壇者、中野剛志・京都大学准教授とご挨拶をしました。「災害に強い国づくりを考える」がこの分科会のテーマですが、この所は「TPP亡国論:http://ochimusya.at.webry.info/201110/article_23.html」等、TPPに対しての反対論者として脚光を浴びており、つい4月上旬には、札幌・旭川でも講演をされました。彼の発言には、私は所々違和感を感じてはいるのですが・・・、確か原発については推進の立場でしたね。

 私の登壇した第二分科会「エネルギーと環境問題を考える」では、議長に(公社)経済同友会幹事・(株)ニチレイ(http://www.nichirei.co.jp/corpo/message.html)会長の浦野光人さん、パネリストには、(社)神戸経済同友会常任幹事・昭和精機(株)(http://www.showa-seiki.co.jp/company_top.html)社長の藤浪芳子さん、資源エネルギー庁(http://www.enecho.meti.go.jp/)長官官房総合政策課戦略企画室長の定光裕樹さん、と私の4名のディスカッションでした。

260名を越える分科会参加者を前に

260名を越える分科会参加者を前に

  私がエネルギーを語るというのも時代の変化だ、と自分に言い聞かせて、昨年末にお話を頂いた時以来、それなりに資料を集めて学んできたつもりでした。(公社)経済同友会の原発、ガレキの受け入れに対してのメッセージには、必ずしも賛同できない自分としては、今回のこの分科会の場は「アウェー」を覚悟して、しっかりした立ち位置から意見を述べようと思っていましたが、事前の意見交換をしていく中で、かなりの共通理解があることを知り、率直に言って驚きでしたね。そして、2時間を越えるフロアーの方々とのやり取りを終えて、その印象は確信に変わりました、「2011・3・11」を経て、経営者の皆さんのエネルギーへの意識は間違いなく「変わってきています」!

 私の論点をまとめて、あらかじめ参加者への配布資料としました。~~~~~~~~~~引用はじめ

25回全国経済同友会セミナー 第2分科会 配布資料      2012.4.19  富山

                             北海道経済同友会 幹事

                             秋山 孝二

<私の視座・立ち位置>  311以降の覚悟

A.北海道:地方から視る日本

――北海道開拓の歴史、転換期における国への貢献

  ――そして今、「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例~2001.1.1施行~」

B.活動のフィールド

医薬品卸(株)秋山愛生舘・五代目社長、(株)スズケン・副社長ほか、を経て

(公財)秋山記念生命科学振興財団(http://www.akiyama-foundation.org/) 理事長

NPO北海道市民環境ネットワーク(http://www.kitanet.org/index.html)理事長

 

* 今、ふるさとに再度軸足を据えて考えると、平和であるが故に出来ること、平和でなければ育ちえない命の存在を認識する。「平和な社会」、すなわち「命の健康・地球の健康」な状態である。経済を支える企業経営者にとっては、社会貢献活動として、平和な状態の創造、それが「持続可能な企業」としての、最低限の責務だと思う。

* <若者たちの叫び> 2050年のあなたと日本社会をイメージできますか!

* ニセコ町 片山健也町長の言葉: 環境基準が厳しいことにより地域の価値が上がる時代

* 経済同友会終身幹事・品川正治さん: 経営者は「平和」に対して、もっと積極的に活動してもよいのではないか

 

「北海道エネルギーチェンジ100」プロジェクト

 1)「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kke/johrei/johrei.htm」の普及・啓発

  ポイント :化石燃料の抑制、「原子力」を過渡的エネルギーと位置づけ、「私たちは、積雪寒冷な北海道における『エネルギー』の価値を認識し、脱原発の視点に立って、限りある資源を可能な限り将来に引き継ぎ、道内で自立的に確保できる新しいエネルギーの利用を拡大する責務を有している」との附則

2)「自然エネルギーアイランド北海道」の実現に向けたロードマップづくり――政策提言の場づくり

3)「生物多様性」、「地球温暖化防止」の視点から、自然エネルギー推進の検証

 

 

「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」骨子案

~~「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例~2001.1.1施行~」に基づく計画

 

4項目の取り組みの柱

1. エネルギー需要家の意識改革〈省エネの促進〉

2. 多様なプロジェクトの早期実現化〈新エネの導入加速〉

3. エネルギーの「地産地消」など地域特性を生かした 〈地域における導入促進〉

省エネ・新エネの導入促進

4. 民間活力の積極的な活用〈関連産業の振興〉~環境産業振興戦略との一体的な展開

 

 

<私の認識>

省エネ 北海道の電力ピーク時: 冬の夕方  ~ 本州では夏の昼過ぎ

     「電力の不足」ではなく、「知恵、努力の不足」

     北海道の電力需要: 「熱」としての需要が多い

     歴史的推移: 石炭火力が多い中、石油火力が追加、そして原子力

電力会社の経営課題

     「総括原価方式」に基づく経営――>即「値上げ」を言い出す体質?

     地域独占企業の責務――>「情報開示:適時で正確な」、「第三者による評価」

再生エネルギーの宝庫

     課題1  必要条件:環境保全と環境アセスメント

     課題2  送電線拡大と電力会社による再生可能エネルギーの優先接続

 

キーワードは「分散型」、「産業ミックス」、「持続可能」、「安全・安定」

 

<取り急ぐ作業>

地域において、電力ほかエネルギー供給会社、企業、農協、漁連、NGO、市民、行政等で、「エネルギー」を議論し、「エネルギー代替案」策定に向けた「知恵の場」の創設

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用おわり

 

 

三国清三が語る、「北海道から世界へ」

Posted by 秋山孝二
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 この1カ月くらい、私が関係する諸団体で、講演等イベントが目白押しです。先日は、北海道経済同友会の例会で、「オテル・ド・ミクニ(http://www.oui-mikuni.co.jp/cgi-local/top/index.cgi)」のオーナーシェフ・三国清三(きよみ)さんをお招きして講演がありました。北海道増毛町(http://www.town.mashike.hokkaido.jp/menu/kanko/kankou-top/mashike-kankou1.html)出身、私より3歳若い彼の話は、ほぼ同時代を生きていながら、アメリカ・ヨーロッパでの活躍の映像からも推し量れ興味深く、彼自身の人生から紡ぎ出される言葉に力がありました。

最初に修行した札幌グランドホテルで講演

最初に修行した札幌グランドホテルで講演

 増毛の浜で採れる「ホヤ」の味で育った三国さんは、「五味:甘い、すっぱい、しょっぱい、にがい、うま味」の大切さを感じ、その後のシェフ人生の基盤となりました。

 2003年に札幌駅南口に「ミクニ サッポロ:http://www.stellarplace.net/floor_guide/142/」開業、このところは子供たちの食育活動(http://mikuni555.com/conts/)、スローフード運動にご尽力されています。

 最後は、「結局は、最も価値のあることは『オリジナリティ』であり、それがグローバル社会での日本人としての『アイデンティティ』、『誇り』だと思います」と結ばれました。

札幌開府の槌音!!

Posted by 秋山孝二
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 北海道経済同友会の今年度総会があり、引き続きの例会では、北海道神宮(http://www.hokkaidojingu.or.jp/)の吉田源彦宮司のご講演でした。札幌開府の歴史を、担った人々をご紹介しながらの視点で面白かったです。

北海道経済同友会例会での講演

北海道経済同友会例会での講演

北海道神宮・吉田源彦宮司

北海道神宮・吉田源彦宮司

 特に、開拓使設置以前の北方探検・松浦武四郎(伊勢の国出身)の功績、さらに吉田宮司の著述には、「北海道の歴史は浅い」という従来の通説ではなく、「先住民アイヌ民族の文化が永い間維持されてきていて、北海道の大自然というものを今日に伝えてきた」と記されています。

 新政府は、諸外国の圧力に危機感を持つ佐賀藩主・鍋島直正を蝦夷開拓督務に命じ、島義勇(よしたけ)、松浦武四郎らを蝦夷開拓御用掛に、その後、鍋島は明治2年に開拓使設置とともに開拓使長官、島は開拓判官に任命されました。

神宮境内の島義勇(しまよしたけ)開拓判官像

境内の島義勇(しまよしたけ)開拓判官像

 島判官は、「札幌本府建設」、「大友堀(現在の創成川)」、「大通り」、そして「開拓三神の鎮齋:http://www.hokkaidojingu.or.jp/history.html」等で大きな功績を残しましたが、その後は必ずしも陽のあたる一生ではなかったようです。今も命日の4月13日には、佐賀にゆかりのある方々が参列して、北海道神宮で祭祀が執り行われています。

 さらに、北海道開拓に心血を注ぎ、偉大な業績を果たした功労者三十七柱をお祀りしている「開拓神社」の説明もあり、開拓神社大神輿、子ども神輿の由来も知ることができました。

開拓功労者37柱をお祀りする開拓神社

開拓功労者37柱をお祀りする開拓神社

 5年前でしたか、秋山愛生舘の発祥の地、「札幌市中央区南1条西5丁目」が属する「本府連合町内会:第一祭典区」が、10年に一度の北海道神宮の年番となり、私も総務部の一員として活動しました。190万人の大都会となった札幌のマチ中を渡御するのは大変ですが、札幌の6月の風物詩として、今も続いています。思い出します、その時の連日の「直来(なおらい)」を。「ハレ=祭」から「ケ=日常」への移行期、「直り合う」意味でお供えを頂く、そう言った意味だそうです。

 儒教・仏教が伝来して後に、「神道」という言葉が生まれ、古代より日本は、本来「まつりごと」として、祭政一致の歴史だったとお話されていました。

 ほぼ毎日通っている北海道神宮境内、お話を伺ってから、また一味違った心持で歩いています。

忘れられない中谷さんの言葉

Posted by 秋山孝二
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 30数年前の原子力発電に関係する書類を読む一方、当時から反原発活動に関わった方々の話を個別に聴く場面では、今、多くの方が、「手がけた反原発運動の不徹底さを悔いている」と、今回の大事故を目の当たりに苦渋の表情で語っています。すべてが主張してきた「想定内」の出来事であるからにほかなりません、普通はその通りになるのは喜ぶべきことなのですが・・・・。

 1979年のアメリカ・スリーマイル事故を受けて、80年代には日本でも原子力発電を不安に思い、反対する多くのごく普通の市民がたくさんいました。小学校の保護者会等でも、子どもの将来を気遣う自然な気持として、原発問題について語る雰囲気もあったと聞きます。次第に時が経ち、「原発推進」と「原発反対」が鋭く対決する情況の中で、「反原発」は政治マターの範囲に限定されていき、何かごく普通の場でまともに議論することを避ける風潮となってしまったのではないでしょうか。変わらず原発への疑問を語り続けていると、ある種の「変わり者」として疎外されるような。

 そして、このような「時代」の推移で、推進勢力のパブリック・アクセプタンス(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8003)の影響もあり、教育現場でも当たり前に、原子力発電のリスク・恐怖について、むしろ昭和20年・30年代に教えられたよりもはるかに少なく、「避けてきた話題」となり、「教育の敗北」を感じるのです。

 

 私はこのところ、繰り返し思い出しています。この欄にも書き留めましたが(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=1485)、一昨年6月に、ポーランドのアウシュヴィッツ収容所を訪問し、現地のただ一人の日本人ガイド・中谷さんのお話を伺った時の言葉です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

* 日本の平均的教育レベルの高さに期待している。ただ極限状態に追い込まれた時に、どの程度理性的に行動し得るのか、人間の本生の赴くままになってしまうのか、それが今もこれからも問われるのだろう

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ビルケナウで、「何と残酷な」、「どんな種類の人間がこんなことを実行できたのか」とかのやり取りの最後に、彼が私たちに向かっての言葉だったと記憶しています。

 今回の大震災で被災した人々に象徴される「日本人」への国際社会の報道は、「暴動等もなく秩序を保った」、「忍耐強い」等、大変な称賛で溢れていました。ただ、先月末の東電原発汚染水の海洋への漏えい、意図的投棄以降は、「日本国」への評価は大変厳しいものになっていることを、しっかり認識すべきでしょう。

 極限状態に追い込まれた時の行動、私は日本人の「耐えるレベル」、「理性的」には確信を持っていますが、むしろ、「集団の雰囲気を過剰に忖度(そんたく)する精神構造」、「他者への過剰な遠慮」に、大きな社会不正義を見過ごす、結果的に容認してしまう、弱さを危惧します。「主張することを躊躇する弱さ、勇気の無さ」とでも言うのでしょうか。中谷さんがおっしゃった「問われる」とは、私を含めた日本人の「勇気の無さ」なのではないかと、今思います。憲法に書かれている「人権」を、本当に市民社会のものにする活動を躊躇してはいけないのでしょう。

 

 昨日、北海道経済同友会の幹事会が早朝に開催されました。今までになく多くの役員の方々がお集まりになり、会の終り頃に北海道電力の経営幹部から、今回の東電福島原発事故の報告と、北電泊原発の安全性についての説明がありました。これまででしたら、恐らくただ黙って説明を承ってといった雰囲気だったと思いますが、昨日は明らかに違っていました。

 私はこう発言しました。汚染水海洋投棄以降の国際社会の厳しい視点から、今後の原子力発電継続の難しさ(停止・廃止)を勘案し、比較的電力供給では余裕のある今こそ、企業系・家庭系の北海道的節電・ピーク時削減プラン或いは議論を提案すべきではないか、と。やり取りはその後、「危険度の高い浜岡原発はすぐに停止すべき」等、各産業セクターの経営トップもかなりの危機感を持っている様子でした。エネルギー問題は、今や全ての日本で活動する人々が当事者であることを実感しました。

 ある出席者は、会議終了後に、節電等にはその動機が大切で、今回の場合は、北海道の節電分を、今の60万キロワットの本州への支援を大幅に増やすことに使うといったストーリーが良いのではないか、とおっしゃっていました。北海道民による福島支援の具体的方策としての節電・ピーク時削減プランとして、勇気を持って北電がこう提起して、企業・道民がムーブメントを起こすのは如何でしょうか。

2020年の「日本創生」

Posted by 秋山孝二
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 今年1月に、北海道経済同友会の新年例会で、講演「経済同友会が考える『この国のかたち』」と題して、公益社団法人経済同友会の提案概要(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110111a.html)を聞き、私は少し時間が出来た時に自分なりに熟慮しようと思ってこの原稿をファイルしていました。

北海道経済同友会・新年例会の講演で

北海道経済同友会・新年例会の講演で

  さらに同じ1月、北海道大学高等研究センター主催のシンポジウム(http://www.juris.hokudai.ac.jp/~academia/symposium/symposium20110122.pdf)では、厚生労働省の香取政策統括官が、「安心社会をどう創るか~『少子化時代の社会保障ビジョン』~」と題して、基本的考え方を説明しました。香取さんとは、厚生省薬務局経済課勤務時代から機会ある毎に意見交換をしてきました。久しぶりにお会いしましたが、「相変わらずこんなことをやっています」と終了後に笑顔でお話をされていました。税金の再配分、新しい時代の社会保障ビジョン、収入・支出の関係性等、大変明解でした。

 この二つを軸に「2020年の日本創生」と題して、いつかここで掲載しようと思っていたのですが、「3.11」以降全く違ったかたちのメッセージとなりました。

 

 昨日、菅総理が、「東日本大震災」の復興に向けて「復興構想会議:http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201104/01kaiken.html」を提唱し、従来に戻す「復旧」を超えて、新しい東北づくりに向けて一歩踏み出そうと表明しています。この機会をむしろ前向きに、21世紀の「地域主権」も含めて、これまでの東京一極集中の弊害を大きく変える経済・エネルギー・社会保障での構想力を持って欲しいですね。

 このところの週刊誌、新聞の寄稿で、キラリと光る文章を幾つか眼にします。私と同じ視座の方々もいらっしゃるのだなと、自分自身勇気を貰います。法政大学社会学部教授・田中優子さん(http://lian.webup08.jp/yuu/)の「個として、共に生きるために」では、今年大佛次郎賞受賞された渡辺京二さんの言葉を引用して、素晴らしい文章ですし、ジャーナリストの桂敬一さん(http://www.news-pj.net/npj/katsura-keiichi/index.html)の「一番怖い放射性物質の濃縮蓄積」では、原発の内部被曝の危険を食物連鎖によって説明しています。

 当面の復旧への対処と同時に、新しい日本を創る志を基に、復興を目指す計画は極めて大切です。これからの「地域」がどうあるべきか、この際、北海道についてもしっかり議論して実践で示していきたいものです、現場で証明していくスタンスを忘れたくないですね。

栗山町議会改革から学ぶ

Posted by 秋山孝二
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 北海道経済同友会の今年度4回目の地方行財政問題委員会が開催され、今回のテーマは、「栗山町議会(http://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/parliament/gikai.html)の改革の取り組みについて」と題して、北海道・栗山町議会議長・橋場利勝さんのお話でした。

 平成12年の地方分権一括法(http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/990401bunkenhou.html)で、それまでの機関委任事務の市町村への移管が最も大きな改革の糸口となったこと、「栗山町議会基本条例(http://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/parliament/g_kihon.html)の誕生と展開についてほか、着実に進めてきた変革の足跡を理解することができました。

* 条例を作って初めて「2元(首長と議員)代表制」の意味を知った

* 総務省・北海道庁は当初は極めて冷ややか

* 策定のきっかけは平成17年3月の「議会報告会」の実施――市民の評価が高く、これからも続けて欲しいとの要望大

* 議会における議決責任は、すなわち「市民への説明責任」

* 議員は町民の代表として広く意見を聴く――議員の評価の場=住民の前に立つこと

* 議員は「口利き」の為ではなく、議論ができなければ資質が問われる

* 情報公開条例等、議会を「見せていく」努力: 「言論の府」であるには、議員同士の議論、合議に至る過程も

* これまでの「追認機関としての議会」からの変革

 「議会モニター制度」、「議会サポーター制度」等の導入、ユニークな取り組みの源泉は、ごく当たり前のことを合意を形成して一つ一つ実践していく着実さだと感じました。特別の手法が有るわけでもなく、この委員会に集まっている企業経営者にとっては、いわば「常識」的変革です。国政レベルでは何とも歯がゆく不甲斐ない政治の世界ではありますが、基礎自治体でも基本的構造は同じな中で、ひときわ新鮮な議会イノベーションのお話でした。

 それにしても、どうして日本全国の議会では、このようなごく当たり前の改革が実施されないのでしょうか、議員の資質の貧困か、それを許す民度の低さなのでしょうか。政治の枯渇と叫んでみても、今の日本の議員レベルでは、今後しばらくは期待しても難しいですね、どいつもこいつもストライクゾーンを大きく外れた連中ばかり、歴史認識はじめ全く勉強不足ですし、人生できっちり仕事をしてきた人間がこの世界にはほとんどいないのではないかと思われるし、まさに自立する市民の活動に期待する方が、現実味があるような気がします。

 税金の最大の無駄遣い、それは見識の無い連中が議会で時間を潰していることでしょうね!!ブルーベル・シンガーズ、天地茂が歌ってヒットした「昭和ブルース:http://www.youtube.com/watch?v=MbP_G40haAQ」の一節(うまれた時が悪いのか、それとも俺が悪いのか、何もしないで生きてゆくなら、それはたやすいことだけど・・・)が、妙に心に沁み入りますね。

13億人の中国事情

Posted by 秋山孝二
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 北海道経済同友会(http://www.doyukai.or.jp/links/doyukailist.html)の総会・定例講演会が開催されました。今回の演者は駐札幌中国総領事館の胡勝才・総領事でした。

 大変流暢な日本語で、「中国の発展がもたらすチャンスについて」と題して、約1時間半一気にご講演をされました。1978年以降の「改革・開放」の動きの中で、昨年建国60周年を迎え、今年の上海万博という流れで更に20年は高度成長を続けるだろうと自信を深めている様子でした。同時に大変謙虚に学ぶ姿勢も随所に見られ、これからも世界各国と「Win-Win」の開放政策により経済発展の実現を目指しているとも語られていました。

 現在、7億人は農村地帯に住んでおり、「食」問題は最重要課題であると認識されていて、「和」は中華文化の基本で、経済のグローバル化、政治の多極化の国際社会でも変わることはないと強調していました。そして、世界各国から見て中国は、1)成長推進を促す、2)対中製品輸出の機会増、3)対中投資の機会増、4)「新たな消費」の出現等で期待されるし、未だに都市化は中期段階で、2030年まで一層発展するだろうとも見通しを語っていました。

 中日協力に関しては、1)首脳交流を相互訪問等で継続的に行う、2)戦略的に正しく向き合って正しい歴史観、領土に関しての正しい認識を持ち合う、3)観光による相互交流、青少年の交流拡大等、民意基盤を確立して国民感情の改善に努力することを提起されました。

 13億人の中国の国情とは、日本と比べて、遅れている部分が一人当たり日本と同じであれば日本の10倍、日本を抜いたと言われるGDPでも、13億で割れば一人当たり日本のまだまだ10分の1に過ぎない発展途上国、それが現実ですと講演を結びました。

 北海道日中経済友好協会(http://local.yahoo.co.jp/detail/spot/a439bba360fdbe2668e0e36d7e86d482/)、留学生の相互交流等の活動を通して、これからも北海道での中日の交流を促進したいものですね。

今西祐一さん、逝く

Posted by 秋山孝二
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  まさに突然の訃報でした。9日にケープタウン・ヨハネスバーグ・香港と飛行機を乗り継いで香港空港に到着して、空港搭乗口ロビーでパソコンメールを確認したら、(株)スズケン執行役員・愛生舘営業部長の今西祐一さんが急逝されたとの報でした。札幌で昨日お通夜、本日告別式があり、私は弔辞を述べさせて頂きました。

花で飾られた美しい祭壇でした

花で飾られた美しい祭壇でした

 

「弔辞

  株式会社スズケン執行役員・愛生舘営業部長今西祐一さまのご霊前に、謹んでお別れの言葉を申し上げます。

昨年末、愛生舘営業部の方から今西さんがご入院中とお聞きしており、新しい年にはご回復して少しでも早い現場復帰をと、お祈り申し上げていました。三日前の朝、私はアフリカからの帰国途中、香港国際空港でメールを確認して今西さんの突然のご逝去を知り、しばし呆然としてその場に座り込みました。

平成十七年七月に愛生舘営業部長として着任してすぐに、大変明るいご性格でリーダーとしての風格を漂わせながら、早々に秋山財団にご挨拶にお越し頂いた時のことは忘れることができません。まだ着任間もないにもかかわらず、「北の大地・北海道」をこよなく愛するお言葉の数々に、私自身この地域のスズケンの営業活動に一層の期待を寄せた次第です。以来、秋山財団の活動にも大変深いご理解をお示し頂き、昨年九月の講演会・贈呈式開催に際しても、道内の支店長全員のご出席を促して、お陰さまで成功裡に終了することが出来ました。

また平成十八年一月の私の父の葬儀では、ご多忙の中、株式会社スズケン及び関係グループの社員を代表して弔辞を読んで頂き、大変感銘を受けました。心から感謝申し上げます。

それ程回数は多くはありませんでしたが、故郷土佐のお話も伺った気がします。昨年五月、私も所属する北海道経済同友会がホスト役で、年一回の全国会議が札幌で開催され、約九〇〇名の方々が参加されました。その少し前に今西さんにお会いした時、「来年は土佐経済同友会がホストで四月に開催予定です」とお話を致しました。その会議もいよいよ来月に迫り、私は近いうちに土佐のお話をあらかじめ詳しくお伺いしようと思っていた矢先のご逝去でした。四月に訪問する時は、今西さんの育った土佐の地を、一層の思いを込めて肌で感じて参ります。

北海道で活動する愛生舘営業部の社員を、ある時は深い愛情をもって励まし、ある時は厳しいリーダーとして指導されていた今西さん、あなたの部下たちは、その志をしっかり個々で受け止めて、これからの社業に貢献すべく努力してくれることを私は確信しています。

 一昨日ご自宅に参りました時、奥様・お子様からご家庭での今西さんが、会社と同じご様子であったと伺い、あらためて生前のお姿を思い出して胸が詰まる思いでした。残されたご家族に対して、これまで今西さんにお世話になった愛生舘営業部で働く人々、そして秋山財団関係者は、少しでもそのご恩に報いるためにもお力になることをお誓い申し上げます。

 今西祐一さまの生前のご尽力に対し、深く感謝の念をささげてご冥福をお祈り申し上げます。

 どうか安らかにお眠り下さい。

 

 

平成二十二年三月十二日

 公益財団法人

秋山記念生命科学振興財団

理事長 秋山孝二     」

 

今西祐一さんのご冥福をお祈りすると同時に、残されたご家族のご健勝を祈念致します。

 

 

日本の農業の課題と将来展望

Posted by 秋山孝二
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 北海道経済同友会の新年例会が開催されました。 

 講演のスピーカーには、(社)経済同友会http://www.doyukai.or.jp/・副代表幹事:JFEホールディング(株)代表取締役社長の數土(すど)文夫氏でした。現在、農業改革委員会の委員長を務められていて、昨年7月29日に日本の農業に関して、「国土保全・持続的農業生産・消費者重視への転換――直接支払い制度の導入で三位一体のコメ農業改革を」との表題で提言書を出しました。http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2009/pdf/090729a.pdf

 何故、経済同友会が農業問題への提言なのか、農業を盛り上げる、一「産業」として日本の将来での位置づけを明確にしていく手立てとしての熱意を感じました。このところの国際社会で、日本の凋落を肌で感じている経営者の見識に触れた思いです。ひしひしと危機感が伝わってくる、そしてこの分野の将来において、北海道の優位性も強く示唆していました。

 今の政治の「混乱」の中で、待ったなしに世界は激動しています。農業産出額が毎年8兆円、そこに国・地方合わせて毎年4兆6千億円もの税金を投入している今の日本社会は、異常と言わざるを得ません。そして、この数字すらも、色々積算してごく最近明らかになったというお話を伺い、これまで農業政策の担い手と言われていた「三者懇:生産者(農協)・政治・行政」の責任は大きいですね。

 個人の資格で会員となっている唯一の経済団体として、これからも思い切った提案をしていきたいものだと思います。

経済界も発言はするが・・・・

Posted by 秋山孝二
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  今年の10月から12月にかけて、札幌で経済団体による地域活性化シンポジウム・フォーラムが連続して開催されました。

 まず10月には、経団連・御手洗会長も来札されて道経連との共催で「道州制で日本を変える」と題してのシンポでした。後半のパネルディスカッションでは地元から椿原紀昭・栗山町長も出席され「まちづくり」実践について力説されました。http://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/

 論点は、1)今、なぜ道州制か、2)どこに課題があるのか、でした。実質的には、行財政改革と地方の持続的発展の実現という二つの側面があるのでしょうね。ただ、当日の議論にもありましたが、実態は期待と挫折の連続で、「振り回されてきたこの6年間」というのが率直な感想です。

 シンポのまとめ的にも意見として出ていましたが、道州制の本来の目的は「地方・市民への質の高いサービス提供」だったはずです。画一的ではない北海道の地域力に見合った議論のスピードで実現に向かう必要があるのだと思います。

 当日会場は物々しい警備、300人程度の参加者がいましたでしょうか、気になったのはその中で女性の方が2・3人でした。いかに経済団体の会合とは言え、地域の課題解決を議論する集まりに、こんなに女性が少ないのは信じられません。

開催チラシ

開催チラシ

当日パネラーの資料

当日パネラーの資料

  11月は私も幹事をつとめる北海道経済同友会の例会で、小樽市役所から「天上がり(?)」して農林水産省大臣官房政策課に転進した木村俊昭氏の講演でした。NHKテレビのドキュメンタリー番組で紹介された「地域活性化の伝道者」です。http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090519/index.html そうです、「“ばかもの”がうねりを起こす」です。

地域活性化と市町村合併

地域活性化と市町村合併

 戦略的システムデザインによる地域活性化を、実際の失敗例を挙げながらその問題点を明快に指摘するとともに、「部分最適」ではなく「全体最適」を目指す議論、「設計力」或いは「マネジメント力」の重要性を力説しました。意識改革と担い手育成をどう実現するか、大変具体的なメッセージの数々に、当日参加した経営者も大きくうなずいていました。いつもそうですが、実現出来るかどうかは、この後行動するのみだと思いますね。

 そして12月は同じく北海道経済同友会の地方行財政問題委員会での青山学院大学経済学部准教授・西川雅史先生を囲んでの議論でしたhttp://raweb.jm.aoyama.ac.jp/aguhp/KgApp?kyoinId=ymdggyyiggy。これまでの市町村合併を定量的に総括されて格差は広がったと、そして住民監視の重要性を指摘していました。北海道の今後の発展に対しても多くのヒントを提供して頂きました。

ビー・アンビシャス!

Posted by 秋山孝二
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  毎年4月、「経済同友会http://www.doyukai.or.jp/全国セミナー」が、各地持ち回りで開催されています。今年は17年ぶりに札幌で2日間行われました。北海道は4月よりも5月の方が気候も宜しいということで5月になりました。私は、北海道経済同友会の幹事で、この6年間は毎年参加しています。その時々のテーマを振り返ると、その年の経営課題を推し計る事も出来ます。この数年、登録は1000人を越えていましたが、昨年9月以降の不況とごく最近のインフルエンザの影響で参加者数が心配されていました。しかし888人と予想を上回る登録参加数で、北海道人気の高さをあらためて感じました。2日目の締めのご挨拶で桜井代表幹事は、「20世紀的な規模の拡大を追い求める開催はもうやめにしましょう。21世紀は質の追求の時代で、我々の価値観も変革しなくてはなりません」と語りました。

今年のテーマは、「ビー・アンビシャス!-21世紀の新たな課題に挑む」でした。 

フォーラム参加者の紙袋
フォーラム参加者の紙袋

基調講演・分科会・特別講演のテーマは以下です。

基調講演「iPS細胞がつくる新しい医学」 京都大学教授 山中伸弥 氏

分科会1:「低炭素社会実現に向けた取り組みと日本の貢献」
分科会2:「資源問題に直面する日本の針路を考える」
分科会3:「東アジアの交流拡大を考える」
分科会4:「地域資源のブランド化を考える」

特別講演「動物園経営から学ぶもの」 旭山動物園 名誉園長 小菅正夫 氏

今のような時期に、全国から集まった経営者の方々と情報共有が行えたのは、大変有意義でした。

 主な経済団体には、経団連(地元では道経連:近藤会長)、日本商工会議所(地元では札幌商工会議所:高向会頭)、それに経済同友会(地元では北海道経済同友会:坂本・吉野代表幹事)がありますが、唯一経営者個人の登録である団体が経済同友会です。上場企業をはじめ企業経営者が個々の頭で考えての提言は、経団連の政治的・業界的立場を踏まえた発言とは一線を画しています。特に地球温暖化等の環境問題へのスタンスではかなり違っていると私は思います。

基調講演の山中先生のお話からは、日本とアメリカの研究環境の大きな違いを知る事が出来ました。

分科会パネラーの中でひときわ印象的だったのは、立命館アジア太平洋大学http://www.apu.ac.jp/home/学長モンテ・カセム氏(スリランカ出身)の発言でした。「教育はビジネスではない、志である」、「人材育成は迷いを希望にかえるものである」、「日本は世界から信頼されているが、友情を抱かれていない」等、ストレートに心に届くメッセージの数々に、会場内は興奮していました。

セミナー終わりの桜井代表幹事のご挨拶は、「今年のスイスで開催されたダボス会議でも、世界の方向性が大きく変わってきている。今までの価値観の限界を、各国・地域・ひとりひとりが認識しはじめている一方で、日本国内の経営者の意識の低さに、強い危機感を持っている。今回のセミナーは、次の新しい価値観は何かを探る議論だった。新しい時代の新しい価値観を求めて、今後も現実と真摯に向き合って努力して参りたい」とのメッセージでした。

ただセミナーを通して気になったのは司会者・パネラーの経営者の発言で、語尾が不明確、口の中でモゴモゴと言葉を飲み込んでしまう方が多かったこと、こういった会社の社員は社長のお話をいつもきっちり聞くことが出来ているのでしょうかね。そう言った事がこれまで指摘もされずに今日に至っている現実が危機的です。経営者はいつでも「裸の王様」になってしまいます。

1日目の懇親会では、ラーメン・カニ等地場産品に大行列で、800食以上用意した品があっという間になくなりました。翌日の朝、本州からいらっしゃった方々の会話をもれ聞くと、「ラーメン横丁に行ってきたよ」、「大通公園のライラックが綺麗でした」、「北大構内も良かったよ」、「ホテルの貸自転車で朝まわってきたけれど、すごく気持が良かった」、「地下鉄も便利で車両も大きいね」・・・・、あらためて札幌のマチを惚れ直しです。

来年のこのセミナーは、四月に土佐で開催されます。常に権力に対して勇気を持って活動していた心意気を、次年度開催地の代表の方が力強く語っていました。ひとくくりで「企業」とは言っても、21世紀の新しい価値観を模索する企業もあれば、相変わらず従来型の延長で経営する企業もあり、経営者の見識で結果も自ずから明確になるでしょう。「理念」が問われているのです。

 

秋山孝二プロフィール

Posted by 秋山孝二
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プロフィール

氏名 秋山孝二
生年月日 1951(昭和26)年1月18日 札幌市生まれ
最終学歴 千葉大学教育学部 1974(昭和49)年3月 卒業
現住所 札幌市
連絡先 公益財団法人 秋山記念生命科学振興財団
http://www.akiyama-foundation.org
電話番号:011-612-3771
ファックス:011-612-3380

略歴

1974(昭和49)年 4月 東京都江戸川区立鹿本中学校 理科教諭
1979(昭和54)年 4月 株式会社秋山愛生舘 入社
1992(平成 4)年 6月 同      代表取締役社長
1998(平成10)年 4月 株式会社スズケン 代表取締役副社長
2002(平成14)年11月 同     退社
2003(平成15)年 8月 秋山不動産有限会社 代表取締役社長、2013(平成25)年4月に代表取締役会長
1996(平成 8)年 3月 (公財)秋山記念生命科学振興財団 理事長

公職

1996(平成8)年 4月 公益財団法人 杉野目記念会 評議員
1996(平成8)年 4月 北海道経済同友会 幹事、2024.6より 副代表幹事
1997(平成9)年 3月 公益財団法人 北海道対がん協会 理事
同上 2004(平成16)年5月より 監事
2004(平成16)年 4月 公益財団法人 北海道演劇財団 副理事長、2014.6 理事長、2020.6 副理事長
2006(平成18)年 3月 公益財団法人 ワグナー・ナンドール記念財団 副理事長、2012.6より 理事長
2009(平成21)年 5月 非営利活動法人 北海道市民環境ネットワーク 理事
2011(平成23)年 7月 一般財団法人 北海道札幌南高等学校林 理事、2014.11より 理事長
2012(平成24)年 4月 公益財団法人 北海道環境財団 評議員

市町村合併の現状と課題は

Posted by 秋山孝二
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 29日は、北海道経済同友会地方行財政問題委員会の今年度第一回目が開催され、出席しました。北大の先生を講師に、ご講演と意見交換の1時間半でしたが、企業経営の立場からこの間の市町村合併の過程を見ていると、如何にも危機感とスピード感に欠ける印象です。

その地域の住民の意向は、「合併してもしなくてもどちらでも良い」というのが大勢を占めている場合が各地で多いようですが、そもそも今後の将来を展望して、首長がまちづくりのビジョンを示して、説得していく過程を経なくては、成功するはずもないと思うのです。住民の意向をアンケートで取ってみたり、意識の遅れた議会議員、変わらぬ自治体職員の意識等、それぞれに本気と覚悟を感じませんね。時代の大きな転換を認識出来ないというか、したくないというか、浅いですね。

それともう一つ感じることは、地方分権が進んだ場合、それぞれの地域の自立する市民の声が、政策決定プロセスで大変大きな力になると信じるのですが、道庁はじめそんな時代の展望を全く持っていません。自立する市民を歓迎しない、政策は自分たちの仕事だとの思い込みがあるのではないでしょうか。

経済界からも、陳情ではなく、政策提言を積極的に行っていく気概を持ちたいものです。