興味深い講演が続けて二つ札幌で開かれました。
一つは、寺島実郎さんの講演と山口二郎さんとの対談。「リベラル再生」に向けたやり取りは的を射たものでした。2年前に設立された「『市民が主役』の政治をつくろう!北海道フォーラム(http://www.jichiro-hokkaido.gr.jp/2012/10/post_1487.html)」が主催。
寺島実郎さんは、現在の状況を 1)プチナショナリズム症候群、2)株が上がってめでたい症候群、と評し、マネーゲーム批判を含めて、近代に正面から向き合った本来の「リベラル」の意味、根源的問いといった姿勢に言及しました。民主主義の価値を戦い取っていない日本、デモクラシーをパスしてしまったこれまでの日本を総括して、社会的ストレスが掛かった時にすぐに国権主義、国家主義に取り込まれてしまう民の脆弱性を鋭く指摘しました。
もう一つは、北海道経済同友会・新年例会として、(公社)経済同友会の副代表幹事のお一人、御立尚氏さんの「変化の時代」です。20世紀、21世紀、今後のマクロに睨んだ世界の変化について、例えば、一つの災害・事件・事故がグローバルに影響を与える時代のリスクマネジメント等への視座を示しました。日ごろ、目の前の課題解決に追われている企業経営者にとって、時間軸を長期に見据えて目線を遠くに運んでくれる内容でした。
この日、羽田空港悪天候で飛行機の出発が遅れ、さらに着陸後、新千歳空港から札幌市内までの高速道路が猛吹雪で閉鎖、講演自体も約1時間少々遅れて始まりましたが、その間、北海道経済同友会の横内龍三代表幹事が時間を繋ぐ熱弁で普段聞けないご自身のお考えを述べられ、逆に貴重なひと時となりました。予定の大幅変更でしたが、殆ど退席される方もなく、悪天候の中集中した空間でした。