秋山財団の「社会貢献活動助成」で、新設して間もなく応援した(http://www.akiyama-foundation.org/history4/?year=2005)市民活動団体 「道はだれのもの?、札幌21:http://blog.goo.ne.jp/sapporo21net/」主催の展示会が、先月札幌市内でありました。
札幌市では、今年度中に「札幌市総合交通計画http://www.city.sapporo.jp/sogokotsu/shisaku/sogokotsukeikaku/index.html」が策定されます。HPの一節には次のように書かれています。
~~~~~~~~札幌市としても、このパーソントリップ調査によって得られたデータを活用しながら、第4次札幌市長期総合計画などの上位計画と整合を図り、札幌市独自の将来交通に対する基本的な考え方を整理するとともに、概ね10年間の短・中期における交通施策を体系化した「交通戦略」を検討し、平成23年度には「札幌市総合交通計画」として取りまとめる予定です。
「各交通モードの基本的な考え方2」編
将来的に自動車に依存した生活から、目的に応じて公共交通機関、自転車、徒歩などの多様な交通手段を使い分ける生活の普及が求められる中で、これからの自転車利用は、自動車の短距離利用にとってかわる可能性を秘め、健康増進、環境貢献と言った面における活用も期待されている。
また、鉄道やバスなどの公共交通が、特定の場所を結ぶ線的な交通手段であるのに対して、自転車は、自由な方向への移動を可能にする面的な交通手段であり、公共交通や徒歩と連携しあうことができれば、人の移動性を格段に向上させる可能性がある。
このような特性を持つ自転車は、これからの札幌市のまちづくりにおいて、欠くことができない交通手段であるといえるため、公共交通を補完する移動手段の一つと位置づけ、走行環境、駐輪環境、ルール・マナーにおいて、安全で快適に利用されていくための環境整備が重要である。
~~~~~~~引用おわり
この文章、終りの3行がそれまでの文脈とかなり落差があるとは思いませんか。自転車が「欠くことができない交通手段」と言いながら、「公共交通を補完する移動手段の一つ」との位置づけでは納得いきません。イコールパートナーとして「極めて重要な移動手段」と記載すべきでしょう。そして、ルール・マナーの論点よりも、計画に盛り込むべきは道路交通法への言及が最優先だと思います。
昨年、「自転車利用の検討会議の提言:http://www.city.sapporo.jp/sogokotsu/shisaku/jitennsya/kentoukaigi.html」が市長に提出されて、札幌における自転車活用に向けての前進が期待されました。そして先月、 『札幌市自転車利用総合計画(案):http://www.city.sapporo.jp/sogokotsu/shisaku/jitennsya/jitensya-keikaku.html』に対してのパブリックコメントの案内が、市役所担当部署から発表になりました。
昨年の検討会議では、今後の札幌市内においての自転車活用が提言されていましたが、この度の総合計画(案)では、大きく後退しているばかりでなく、論点がすり替えられています。「行政の一貫性」に、大きな疑問を抱かざるを得ません。最近、役所の施策にこの種の劣化が見受けられます、意見具申と出されてくる原案との落差が大きすぎるのですよ。
私は、以下の要旨で期限までにコメントしました、今月中にはHP上に発表になるとのことですので、注目しています。
私のコメント~~~~
今回の「1.計画策定の趣旨」、「4.計画の考え方」には、「自転車利用環境の構築」に対して、前向きの施策展開を目論んでいるように記載はされてますが、拝読するととてもそうは受けとめられないのが感想です。何か、自転車に対しての強い偏見、或いは既存自動車交通・利用者への過度の遠慮(過剰な忖度)があるように思うのです。
自転車利用への市民のニーズは、近年のマチなかの自転車数の増加をみても明らかであり、皮肉にも今の自転車利用は、劣悪な環境においてさえ増えている現実を直視する所から始めるべきだと思います。それは、環境的にも、健康的にも、経済的にも、自転車が移動手段として選択されているという動かぬ証拠だという認識に立つべきではないでしょうか。さらに、この計画案文作成には、行政の方々に多く感じられる、「自転車利用者が増えると、公共交通利用が減る」といった誤解も、根底にはあるのではありませんか。相乗効果で公共交通の利用も増えることに自信を持って頂きたいと思います。
私はマチの中心部でテナントビル管理を仕事としています。数年前に敷地内の飲料自動販売機4台を撤去して、その場を自転車置き場としましたが、迷惑駐輪も何もなく、整然と駐輪されて今日まで来ていますし、むしろ市の施策として数年前に中心街の禁止区域を拡大した時に、迷惑駐輪が増加した時がありました。それでも、あらかじめ置く場所が十分示されて、走行するレーンが動線として無理が無ければ、これからの環境に優しい安価な乗り物としての拡大可能性は、飛躍的に広がると思います。
坂が少なく、コンパクトに中心部がまとまっている市街地という札幌の地形は、今回の大地震とか災害時でも、緊急時でも、自転車は大変有効だと思います。 札幌は自転車利用の土地空間として、「比較優位性」があると認識すべきです。
よく冬期間をネガティブに言う時がありますが、せいぜい雪で走行が難しいと思われるのは3カ月、決して半年間などではありませんし、ヨーロッパでは冬でも、雨天でも、走行している人々も多いです。それどころか、天候的には夏から秋にかけての乾燥した空気と晴天も、自転車利用の比較優位性は間違いありません。
そんな基本認識に立つ私は、行政としては敢えて推進しようとしなくても、環境を整えるだけで利用者自らが推進するという、基本的スタンスに立つべきだと思います。「余計なことに関わるな」とでも言いましょうか。「4.計画の考え方」の基本方針の下ふたつは、必要がないと思います。環境改善・構築すれば、賢い市民は黙っていても推進することでしょう。
環境整備の中で、私は自転車の位置づけを、本来の車道の左側走行に戻すべきだと思います。警察とも協議して、道路交通法の特例(歩道走行可)を廃止して、基本的には自転車を車道走行に戻し、車道での弱者として自転車を位置付けて、自動車に注意義務を厳しく付与する、それが人・自転車・自動車との今後の共存体系だと思います。より強者に弱者への配慮義務付ける、それが基本的な考え方とすべきなのではないでしょうか。
札幌は、自転車利用に関して、総合的条件から大変恵まれたマチだと思います。都市間競争の時代、市役所サイドにその認識が欠如しているのと、自転車利用増進への覚悟と意欲を感じないのが、私は、最大の阻害要因だと思います。
~~~~~~~おわり
「都市間競争」、「札幌市の地形的優位性」、「公共交通との相乗効果」等のメッセージを伝えたかったのですが、どんな受け止め方を市役所はするのでしょうか。
「より強者に弱者への配慮義務付ける、それが基本的な考え方とすべきなのではないでしょうか」、これからのバリアフリーを考慮したマチづくりの鉄則だと思います。