先日、北海道大学東アジアメディア研究センター(http://ceams.imc.hokudai.ac.jp/)で、中国に関する講演会「当代中国の八つの思潮」が開催されました。当日配布の資料は、ここhttp://ceams.imc.hokudai.ac.jp/sub13.htmlからPDFで読むことができます。
演者の馬立誠さんは、以前、人民日報に所属して、「対日関係新思考http://www.japanology.cn/japanese/essay/suibi/05.htm」を主張し、当時の中国で大変なバッシングに遭われました。自宅に脅迫の手紙等が多数寄せられたり、お子様のプライバシーがインターネット上に公表されたりと。
この欄の’09.11.5付「http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2510」でも簡単に記載していますが、現在の中国は、基本的に鄧小平氏の「南巡講和」の延長線上に社会が成り立っている、すなわち「改革・開放」路線により目覚ましい発展を遂げている事実、そしてその過程で複数の思潮が現在混然となって今を迎えている様子を、大変分かりやすく語っていました。
今後の日中関係は、「和解」と「協力」を軸に一層発展させていかなければならない、今の日中関係は昔よりはるかに緊密になってきており、北朝鮮の核問題に関しても日中協力の必要性を説いてまとめられました。
講演の通訳は、今年北大に入学した中国からの留学生4名がつとめましたが、皆さん大変立派な語学力でした。そしてそんな若い彼女たちを気遣う馬先生のお人柄の優しさも見てとれました。中国のインターネット事情は巨大なマスとしてのネガティブ・キャンペーン他、日本とはかなり違った現実と受け止めました。日本のメディアにも、冷静で正確な報道を期待したいものですね。
一昨年のリーマンショックで全世界を覆った100年に一度の危機後も、中国市場はいち速い立ち直りで、アメリカ・ヨーロッパ・日本と比べて、着実な経済成長を遂げている姿が印象的です。それでも馬先生は、「まだまだ日本から学ばなければならない技術・文化は沢山ある」とおっしゃっていました。「今の日本は満足している状態ゆえに、若い人々も外国へ出ていく数が減っているのではありませんか」と、やんわり指摘されていました。北大を始めとした日本の大学への中国からの留学生の多さを知って、そんなコメントもありました。
馬先生は、当日司会をされた北大メディア・コミュニケーション研究院長である高井潔司先生に対して、「自分が社会からバッシングを受けている時に、北京で全面的に支援をして頂いたことは忘れられないし、今も感謝しています」と、最後に語っていらっしゃいました。馬立誠さんと時間・空間をひと時共有して、先生のお人柄に一層尊敬の念を抱きました。壇上に、まさに「人間がいる」、そんな感動でした。
11 月 11th, 2010 at 8:12 AM
[...] 私自身振り返ってみましたが、これまでに中国関係では、以下の3回書きました。http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=4136、http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=3983、http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2510、それぞれの視点からの指摘も間違ってはいなかったと思います。ただ、その前提となる「新しい時代の構図」を良く見ていなかった、それを痛感します。 [...]