「Cafe Tone(http://www.cafe-tone.com/)」の宮澤洋子さんからご案内を頂き、フォーラムに参加しました、「『SHIEN』で世界を変えるセミナー」。講師の舘岡康雄(http://shienken.org/index.html)さんは、日産自動車(株)中央研究所に入社し、変革チームの中枢を担い、その後、現在は静岡大学大学院教授としてご活躍中です。
先日も講演でお話をされていましたが、21世紀型の課題解決方法として、「人をSHIEN(支援)すること」、「支援マネジメント」を提唱されています。
20世紀から21世紀に移り、ITの急速な発展、グローバルな情報インフラの進展、モノあまり時代の到来、顧客の嗜好の急速な変化など、経営環境はより複雑化し、スピードのある運営を求め始めてきています。そんな状況の変化の中で、経営のパラダイムも大きく変貌し、不確実性、複雑性に対応したマネジメントに移行せざるを得ません。
特に「情報」という刻々と動いているものを、自らも動きながら、「動いているままに扱わなくてはならない時代」になってきているとのご指摘は、実感ともフィットする認識でした。このような新しい時代において、私たちが目指す組織やシステムは、「管理・統制」の行動様式ではなく、マネジメントの基軸は、制度重視から「柔軟性・創造性」重視へとシフトしていかなければ解決への道とはなりません。 また同時に、経営スタイルも、経営資源を内部に「囲い込む」従来の経営スタイルから、各関係者が「共に参加し、互いに相互作用しあう」、多元的かつ多様なダイナミズムの中でものごとが解決していくと考えるべきとの説明にも納得します。
相互支援的なプロセスからなる新しい経営スタイル、マネジメント手法へと移行することが重要で、ここでのキーワードは、「つながり」、「オープンネットワーク」、「参加意識」、「コラボレーション」、「相互補完」、「支援」など、と。従来型の組織を越えて、プロジェクトチームによる「スペースの形成」といったお話は、企業のイノベーションの現場の声として、あらゆる集団・組織にも通用する普遍性を持ちますね。
さらに講演後に検索してみると、現場での経験をさらに深めての論文も多数執筆されてます。
~~~~~論文「エージェントの利他性と企業活動」の概要説明から引用
新世紀に入り企業活動は、空間的にはよりグローバル化、時間的にはより短縮化の道を辿っている。グローバル化とは、異なる経路依存性を持ったエージェント間の調整問題に帰結する。一方、ITの発展等を背景に関係性を飛躍的に高めたエージェント同士が、より短期間に成果を生み出そうとすれば、その動きの連鎖も、複雑性を呈してくる。この両者の状況下では、過去のインプットとアウトプットの関係性を既知とした管理行動は破綻せざるを得ない。本研究は、現在の潮流の本質をパラダイムシフト(“リザルト”パラダイムから“プロセス”パラダイムへの変化)として提言すると共に、現在のプロセスパラダイムに有効な行動様式として支援行為を取り上げ、ビジネス局面でその有効性を具体的に提示するものである。更に、“支援”概念の本質についても新たな提言を行う。
~~~~~~~引用 おわり
来月9月から、札幌学院大学(http://www.sgu.ac.jp/information/index.html)で、客員教授として「経営組織論」を一コマ15回講義をお引き受けしている私にとっても、大変示唆に富むお話で有意義なひと時でした。企業の現場を経験してなおかつ研究分野でそれを深掘りする姿勢に頭が下がります。