映画「ハーブ&ドロシー:http://www.herbanddorothy.com/jp/」、監督の佐々木芽生さんについては、何回か書いてきました。
* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8050
* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15523
今回、第2作目が完成し、3月下旬から全国で上映が始まりますが、その資金集めに「クラウド・ファンディング」手法を駆使して、見事目標額に達しました(http://www.fashion-headline.com/article/2013/02/14/641.html)。ファンドレイジング分野では、ソーシャルメディアを活用した次々と新しい手法が生み出されて、これまでとはひと味もふた味も違った「寄付文化」が生まれています。
余計なことですが、数年前にあるフォーラムで講師の方が、「クラウド」という言葉の解釈として、「雲のような」と説明していましたが、これは「クラウド」を「cloud」と理解したのでしょう、でも、本来は「crowd」で「群衆」とか「大勢」とかの意味ですよね、今思えば、以前はその程度の認識だった日本社会と言えるのでしょう。
先日メーリングで届いた佐々木監督からのメッセージを転載します。
◎ 監 督 メ ッ セ ー ジ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本でのクラウドファンディングを終えて
最初、『ハーブ&ドロシー』続編のクラウドファンディングで、
1,000万円というとてつもない目標金額を掲げた時、
随分無茶な試みだと思われた(らしい。後で聞いた話)。
自分でも、最初は達成できるかどうか、半信半疑だった。
「日本には寄付文化はない」と何度も言われ、
ファンディグが伸びない時は、やっぱりなあ、とも思った。
日本では、ネットを使った資金募集や、クレジットカードを使うことさえ
まだまだ抵抗があると。
途中で、1,000万円到達は無理かも…との考えがよぎり、
さてどうしたものかと考えた。
お金を貸してくれるという友人のオファーもあった。
企業協賛の一部を入れていただこうか、という意見もあった。
でも、そこまでして1,000万円の数字をクリアすることに意義があるのか?と
疑問に思った。
達成できなければできないなりに、何か大切な教訓があるのではないか、と
(でも、この気持ちは周囲の人には言えなかった)。
結果として、アメリカを含めて1,000人を越える皆さんのパッションと愛に
支えられて、目標額を大きく越えて、1,400万円という
日本でのクラウドファンディング最高額を達成。
なんだか、夢のようで今でも信じられない。
誤解を恐れないで言うと、今回のクラウドファンディングは
私にとって、とてもスピリチュアルな体験だった。
1人ではできないことを、大勢 に支えられて初めて達成できた。
札幌南高校の同窓生が中心になって組織された「ハーブ&ドロシー応援基金」を
通じて、合わせて200人余りの方々から、200万円以上が集まった。
全くお会いしたこともない方から、50万円のご支援を頂いた。
一昨日、そのご夫妻がカウントダウンパーティにお見えになり、
初めてご挨拶させて頂いた。
「こちらこそ、ありがとうございます。すばらしい経験をさせて頂きました」と
奥様に言われたときは、ありがたすぎて、涙が溢れた。
私は25年間NYに住んでいるので、何でも自分1人で行動することに慣れている。
人にお願いしたり、頼ったりするのが大の苦手。
特に資金援助を頼むなんてもってのほか。
でも、支援して頂く立場になって初めてわかった。
人を支援するとはどういうことなのか。
自分も誰かの、世の中の役にたてる人間に是非なりたいと。
小さなことでいいから、と思ってNYでホームレスや
ストリート・ミュージシャンを見るたびに、1ドル札を渡した。
そんな小さなことから始められればいいと思った。
「日本には寄付文化はない」って本当だろうか?
困っている人に手を差し伸べ、共感する作家やプロジェクトに
お金を出して支援したいという心を持つ人が、日本には大勢いるのではないか?
今回のクラウドファンディングの成功は、その表れなのではないか?
私たちの挑戦は、まだ始まったばかり。
クラウドファンディングが大変なのは、お金を集めることよりその後のフォロー。
支援して下さった皆さんにどれだけ満足して頂けるかが、
今回のファンディングが本当の意味で成功したかどうかを決めると思っている。
『ハーブ&ドロシー』号は、1,000人を越える乗客をのせて港を出たけれど、
この先、どんな大波や悪天候が待っていることやら。転覆しないで、今年の春、
無事目的地に到着できるよう、しっかり舵取りしなくては。
どうか皆さん、しっかり欄干に捕まっていてください。
改めて、今回のファンディングにご協力、ご支援頂いた皆様に
心からの御礼を申上げます。ありがとうございました。
監督/プロデユーサー 佐々木芽生
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~転載 おわり
従来の市民活動は、慢性的な金欠状態が多いです。しかしながら、ソーシャルメディアを駆使して「思い」を「お金」に変える、「志」とか「感動」を「寄付」という行為で託する行動、新しい時代が確実に来ているのを実感します!また、「ファンドレイジング」というと、すぐに「お金集め」と解釈しがちですが、実は「感動の共有」なのですよね。
昨年9月の秋山財団講演会で、中村桂子先生からもお話を頂きました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14449)。国際金融の収益むき出しの世界と趣を異にして、人間としての基本的な部分での思い、つながり、これこそが21世紀、3・11以降の世界の価値のような気がします!