一昨年の4月に、全国の独立系の映画館で、札幌ではシアター・キノで上映された映画「ハーブ&ドロシー(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8050)」は、大好評でした。国内外で多くの賞を受賞し、とりわけ日本でも5万人を越える皆さんが映画館に足を運んだようです。
昨日は、今年3月封切予定の続編・第二弾の映画「ハーブ&ドロシー50×50:http://motion-gallery.net/projects/herbanddorothy5050」のプロモーションを兼ねて、前作無料上映会が開催され、佐々木芽生監督もご挨拶・アフタートークで登壇されました。第二弾の映画の日本語名称も「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」と決まったようです、彼女は札幌出身、私の高校の後輩です。
前作は、郵便局員と図書館勤めの夫婦が、つつましい給料からアート作品を買い集め、やがて世界屈指の現代アート(ミニマル・コンセプチュアルアート)のコレクションに…そして最後は全てをアメリカの国立美術館に寄贈しました。数点売ればすぐに大富豪になれるのに、1点も売ることなく、静かにNYの1LDKのアパートで年金暮らしの二人。この夫婦の話を広く伝えたいという思いだけに駆られた佐々木芽生監督が、4年かけて完成したドキュメンタリー映画でした。
第二弾は、国立美術館に寄贈されたハーブ&ドロシーのコレクションのうち、約2,500点を全米50州の美術館にそれぞれ50点ずつ寄贈し、小さな1LDKのアパートから始まった二人のささやかな趣味は、最後は全米50州の美術館に届けられ、次世代に引き継がれる歴史的なコレクションにまで発展する様子を記録したものです。残念ながら、ハーブさんは昨年お亡くなりになりましたが、詳細はHPに記載されています(http://motion-gallery.net/projects/herbanddorothy5050)。
今回のプロジェクトで特筆されるのは、映画自体の評判と同時に、その資金・サポーターの集め方「クラウド・ファンディング」です。佐々木監督はHPで以下のように語っています。
~~~~~~~~~~~~~引用 はじまり
クラウドファンディングは、インターネットを使って、小額を多数の支援者から募り、アート、音楽、映画などのクリエイティブなプロジェクトを実現する、という画期的な資金調達とサポーター集めの方法です。一般の人々が気軽に参加できるという点で、文化支援における民主的なプロセスであり、欧米では、ここ2年ほどでかなり広まってきました。
私も『ハーブ&ドロシー50×50』(原題)を製作するにあたって、この4年間、アメリカの多くの財団に助成金を申請したり、企業協賛をお願いして廻りましたが、その大変さは、ここでは言い尽くせないほどです。興味を持ってもらえるのは、20~30回に一度、という状況。そんな中で救われたのが、クラウドファンディングという資金調達の方法でした。アメリカで2011年の秋に、キックスターター(Kickstarter)というサイトを通じてご支援をお願いした結果、世界中の730人ものサポーターの皆さんから、8万7千ドルを越える資金援助を頂きました。そのおかげで、製作がストップしていた映画は、撮影を終え、編集をスタートすることができたのです。
クラウドファンディングは、まさに『ハーブ&ドロシー』のスピリットでもあります。二人は決して裕福ではありませんでした。でも、わずかな公務員の収入から、自分達が払える範囲で作品を買い集め、アーティストの成長をささえてきました。その結果が、新作『ハーブ&ドロシー50×50』(原題)で見ていただく通りです。小さな1LDKのアパートから始まった二人のささやかな趣味は、最後は全米50州の美術館に届けられ、次世代に引き継がれる歴史的なコレクションにまで発展します。
世界的な景気低迷が続く今、公共、民間を問わず、 真っ先に予算カットされるのが文化プログラムです。アーティストが、活動を続けていくことがとても困難になっています。でも、この大変な時代だからこそ、私たちに生きる力を与えてくれるのが、表現者達の発信ではないでしょうか。
私はこのクラウドファンディングというメソッドが、日本でも現実的なレベルで広まり、 アーティスト、音楽家、映画監督、演劇、あらゆる種類の表現者がアイディアを実現し、発表するための手だてとして広まれば、どんなにすばらしいだろうと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり
私は前回、キックスターター(Kickstarter:http://www.kickstarter.com/)から寄付をしました、T-シャツ他も受け取りサポーターの一人でした。今回、2年を経ると世の中での「クラウド・ファンディング」への関心も一層高まり、第二弾上映に当たり、新しい応援基金も生まれています(https://sites.google.com/site/hd50×50fund/)。3月末の日本での上映開始に向けて、映画を支える仕組みも大きく変化しているのを実感します。芸術をより身近に、まちづくりの原点とも共通する新しいコンセプトです!
2 月 17th, 2013 at 7:11 AM
[...] * http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15523 [...]
3 月 31st, 2013 at 7:43 AM
[...] 映画「ハーブ&ドロシー」については最初の作品発表の時、震災直後の2011年4月にここで書き(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=8050)、今年のお正月に、2作目のプロモーションも開催されて大いに盛り上がっていました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15523)。 [...]