映画「100年の谺(こだま)」

Posted By 秋山孝二
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 映画 「100年の谺(こだま):http://taigyaku-movie.net/」上映会が、先日、市民300名の超満員で大盛況でした。内容は大変重く、多くの問題を私たちに突きつけて、歴史と真摯に向き合う姿勢をあらためて認識しました。 

 この映画では、「大逆事件」の犠牲者たちが何を考え、何をしようとしたかを明らかにするとともに、事件に対する日本の文学者達の数少ない反響を、当時フランスで起こったドレフュス事件との対比でも検証しています。

 第二次世界大戦後になって、大逆事件は再審の厚い壁に阻まれてきましたが、事件の真相が明らかになってくるにつれて、各地で犠牲者の名誉回復や顕彰をする活動が生まれ、現在に至っています。HPには、「大逆事件とはなんだったのか? 国家と司法、国家と人権、国家と私たち…、100年たった現在もなお、それは、私たちの胸の中に谺(こだま)のように 重い問として残りつづけている」、と書かれています。作品は以下の通りです。

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<主なスタッフ>

企画:白井堯子・富田玲子・藤原智子 脚本:藤原智子 演出:田中啓 演出補:山崎欽毅 撮影:松田重箕

CG:田中龍雄 朗読:高橋理恵子 語り:根岸朗 音楽:松島美毅子 制作:千原卓司

企画:「大逆事件」製作委員会 製作:イメージブレーン

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 幸徳秋水については、これまでこの欄に2回程書きました。高知県四万十市中村を訪問した時には、幸徳秋水のお墓にも足を運ぶことができました。

* 土佐で:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=3916

* NHKテレビで:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=11674

 

 インターネットで検索すると、千原卓司(上映委員会事務局http://www.saiban-kenpo.org/hatugen/backnumber/120910.html )さんのコメントが心に残ります。

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 実際に起こってもいない天皇暗殺計画をフレームアップし、彼らを死刑や無期懲役にし、迫害したり一家離散の責め苦を負わせたのです。その裁判が行われた大審院では、審理を非公開とし、証人申請はすべて却下し、翌年には早々と判決を言い渡しています。死刑判決を下した24名のうち12名を、間髪を入れず、処刑したのです。これが大逆事件の大要です。

 大逆事件当時は、予審判事が起訴して公判判事が公判にあたっていたわけですが、まさに両者が結託してほとんどの被告人を判事がつくったストーリー通りに有罪にしていきました。そのことに対しては当時からすでに違法との指摘があったようです。映画の中にも出てきますが、石川啄木も怒りを感じて「日本はダメだ」と日記に書いています。

 この事件はいまも、国家権力というものに私たち一人ひとりの市民がどう対峙していくかを問うているように思います。国家が権力だなんて、日常的にはピンとこない人が私も含めてほとんどだと思いますので、ぜひ一緒に考えていきたいと思っています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~ コメント引用おわり

 翌日の地元紙に、この上映会の記事が掲載されて、そこで大逆事件を「冤罪」とする記述がありましたが、「冤罪」というのは、ある事件が実際起こり、その犯人に全く関係の無い人が何らかの力でされることなのではありませんか。実際に起こってもいない「でっち上げ計画」により逮捕して事件に仕立て上げるのは、それ以上の「犯罪」だと思います。以前、鹿児島県警察による「志布志事件」も全く同じ構図でしたね、大逆事件は昔の話ではなく、まさに今の時代にも発生することを、私たちは肝に銘じる必要があるでしょう。

 今回の上映会に、弁護士の皆さんも多く参加されていました。これまで関係者の地域、宗教界は、名誉回復等、事件の不当性を形で撤回する活動をされてきていますが、日本の司法、とりわけ裁判所、弁護士は、これまで自分たちのフィールドで、どれだけ努力をされたのでしょうか。名誉回復、再評価等、自身のフィールドできっちり歴史を上書きする活動こそが、誠実に向き合うことだと思います。

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