「グローバル化」の中の北海道

Posted By 秋山孝二
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 「北海道グローバル化地域活性化戦略セミナー」が、北海道航空・港湾研究会(http://www.kirari.com/hub/index.html(公財)北海道国際交流・協力総合センター(HIECC:旧北方圏センターhttp://www.hiecc.or.jp/との共催で、開催されました。HIECC は、平成22(2010)年4月、同年3月末で解散した社団法人北太平洋地域研究センター(NORPAC)の事業を承継しました。

 今回のセミナーは、そのNORPACの客員研究員として、25年間にわたってご助言・ご指導を頂いていた市川政司さんを講師にお招きし、「グローバル化の中の北海道の地域発展戦略」と題して、ご経験に基づいた実に内容の濃いお話でした。事務局の藤原達也さん、北海学園大学の松江昭夫さんにはお世話になりました。

講師 市川政司(いちかわまさじ) さん  【主な略歴】 明治学院大学英文学科卒業、英ロイター通信記者(東京支局)、日本経済新聞記者、国連広報官・国連ニューヨーク本部経済社会情報部、札幌アメリカンセンター副館長、在日米国大使館上級顧問等、現在、プロジェクトアナリスト(企画構想事業化・開発推進戦略策定)

 

以下、キーワードを書き留めます。とにかく、お話は全て実際に起こったことばかり、それも冷戦時代の複雑な国際社会の中でです。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

* 今回の講演の隠れたテーマは、「北海道の眠っている人を起こしてくれないか!」に応えること

* 「グローバル」という言葉: これは政治的言語、1975年の冷戦構造の中では、国境を意識した「インターナショナル」という言葉が一般的で、「グローバル」は、科学技術分野で使われており、環境問題で使われ始めた時期だった、言い換えると国境を意識しない(越えた)課題に対しての限定的な使用

* 北海道は、「国際化」では経験豊富な地域: 例としては、幕末から明治維新の函館五稜郭の戦い、札幌農学校の実践、冷戦構造において札幌で開催された1972年冬季オリンピック、KAL007の稚内沖での撃墜等

* 微妙な国際情勢にもかかわらず、見事に成し遂げてきている

* 「グローバル」な活動は、個人レベルで可能: 例としては、第二次世界大戦後の極東裁判において、函館にあった英米豪の捕虜400名の捕虜収容所の2代目所長は、食糧難の時でも捕虜の為に調達し、法廷には、当時の捕虜が救済運動の書面を提出し、所長は無罪に。アメリカのトモダチ作戦は、昨年の大震災時ばかりでなく、1959年の伊勢湾台風による大被害においても発動されて、養豚が壊滅的打撃を受けた山梨県に、米国・アイオワ州のブタを巨大輸送機を使って大量に届けた。

* 「インターナショナル化」は国境を意識しているので、あらゆる活動に「政府」が関与してきて、地域間直接交流が難しい

* アメリカ・ニューヨーク市は、国連職員へのサービスとして、170言語(170カ国ではない)に対応できる体制を完備している。できる所から、10年、20年やっていく取り組みが大切

* 2008年のG8北海道・洞爺湖サミットは、世界に「北海道」をアピールした。アメリカ・ロシア・北朝鮮・韓国・中国と隣接する国際社会の中で微妙な位置の北海道が、平和で安定している現場を示した、そのことに自信を持っていいのではないか

* 「グローバル」には、リスクも潜んでいる: 例としては、「サイバー戦」、行ったこともない地域からの攻撃。テレビでの不用意な発言があっという間に拡散して、不買運動等に発展する危険性も

* 外国人の介護分野の日本における資格取得にあたって、日本語の試験に合格しなければ国に帰す日本という国は、本当に先進国たる資格があるのだろうか

* グローバルな時代における「先進国としての責任」を意識すべきではないか

* ワシントンには、ホワイトハウスのすぐ近くに、「21世紀はこうなっています」という大きな展示フロアーがある。北海道の優れた歴史を今に刻み(馬車、DMV、先進医療、寒冷地技術、等)、一望できる場所が、玄関口の新千歳空港に存在するのか

* 「グローバル化」は、世界が家族、地球家族に加わること、今、「知能の総合力」が求められている

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 ここには書けない国家間の極秘に関するお話も幾つかありました、亡命を求めてやってくる人々への対応等の。市川さんのお話からは、「きまり」とか「規則」を越えた先にある、ギリギリの局面で人間と人間との関係に寄り添う眼差しを感じました。最後の「知能の総合力」というのは、まさに「構想力」なのだと思いましたね。複雑な国際社会の歴史の中で、日本人として優れた判断で生きてこられた人間の尊厳を受けとめました、素晴らしいお話でした。

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