著書・ドラマ『パチンコ』!

Posted by 秋山孝二
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 先月末に開催された国際シンポジウム「 グローバルな物語としての『パチンコ』-『在日』の表象と植民地主義の記憶」は、大変興味深いお話と議論でした。

* https://www.imc.hokudai.ac.jp/rfmc/event/202210/002842.html

 【開催趣旨】~~~HPより
 「歴史認識」が大衆文化として消費される歴史修正主義の時代を私たちは生きています。日本の戦争責任の問題解明を担ってきた専門家の研究やジャーナリストの映像作品に裏づけられる学知は、こうした言説空間ではあまり有効なファクトチェックとしての機能を果たせていません。それどころか、学知よりも情動的な主張を展開する歴史修正主義の組織的な動きは、「戦後50年」に向けて表明されることで一定の共感を引き出した「歴史認識」のコンセンサスを掘り崩しています。
 学知と社会の間隙がますます乖離する時代に、「加害」と「被害」の対立的構図を超えて、東アジアでは、互いに共感できる歴史/物語をいかにして築きあげることができるのでしょうか。そのような意味において、在米コリアンのミンジン・リーの同名小説をドラマ化して2022年に配信を開始したApple TV+シリーズ「PACHINKO パチンコ」は「良質な物語」といえます。一方で、ディアスポラの普遍性に訴えるドラマ的効果が「在日」の単調な描写によって劇的になることは、国民国家とグローバル資本が生産する歴史叙述のあいだにずれが生じる歴史的リアリティへの問いを提起します。本シンポジウムでは、グローバルなメディア消費が普遍的となる状況に鑑みて、歴史的リアリティは誰に向けて、どのように構築されるのか、またそれらが消費され再生産されるスタイルに照準をあて、国内外の研究者がこれからの学知と社会とのあり方について議論します。

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◎基調講演 「パチンコ」と在日コリアンの「社会資本」−歴史とフィクションのはざま
テッサ・モーリス・スズキ(オーストラリア国立大学)

◎座談会 ドラマ「パチンコ」から考えるグローバル・メディア時代の記憶と忘却
テッサ・モーリス・スズキ/鄭炳浩(漢陽大学)/姜信子(作家)

◎パネルディスカッション 「在日」からみたディアスポラと植民地主義
倉橋耕平(創価大学)/深沢潮(作家)/ハン・トンヒョン(日本映画大学)/伊地知紀子(大阪公立大学)/宮地忠彦(専修大学)

司会:玄武岩(北海道大学)/金敬黙(早稲田大学)/李美淑(東京大学)

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 学知と社会が乖離する時代、東アジアで互いに共感できる歴史・物語をいかにして築き上げていくか、今を生きる私たちの課題だと再認識しました。