千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館(https://www.rekihaku.ac.jp/)は、日本の歴史を深く掘り下げて興味深い場所です。
企画展示「『1968年』-無数の問いの噴出の時代-(https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/index.html)」はもうすぐ終了ですが、国立の施設でこの展示をすることに意義を感じます。記憶の時代から確かな「歴史」の時代になったとでも言うのでしょうか、小学生・中学生を含めてたくさんの方が訪れていました!
べ平連、大学闘争、三里塚、・・・1960年代を語る資料を約500点展示、約50年後の今にも通じる活動の連鎖が放つメッセージ、「1968年」の多様な社会運動の意味を改めて私たちに問うてきて、自分の人生にも多大な影響を与えていることを実感しました。
HPより~~~~~~~~~~~~~~~
大学闘争、三里塚、べ平連・・・1960年代を語る資料を約500点展示
約50年後の今、「1968年」の多様な社会運動の意味を改めて問う
本展は、1960年代後半に日本で起こった、ベトナム反戦運動や三里塚闘争・水俣病闘争などの市民運動・住民運動、全国的な大学闘争などの多様な社会運動に総合的に光を当てたものです。これらの運動は、戦後の平和と民主主義、そして高度経済成長や公共性を押し立てた開発計画のあり方、広くは戦後日本の政治的・経済的枠組みを「問う」ものでした。この時代に噴出した「問い」はいまなお「現役」としての意味を持ち続けています。また、1960年代後半は、日本の社会運動が、それまでの組織的な問題設定・問題解決の方式から、「個」の主体性を重視する特徴を強く顕し始める転換期でもありました。人々は様々な問題に対し異議を唱え、あるいは改革を要求する声を、各自の居場所で、多様な形態であげていったのです。こうした新しい社会運動のスタイルは後の時代にまで大きな影響を与えました。
「1968年」は、この時代の象徴的な出来事である東大闘争や日大闘争といった学生運動が活発に行われた年でした。本展は、当時を象徴する資料約500点を展示し、「1968年」を中心としたこの時代の多様な運動をより総合的に紹介することで、この時代の運動の意味を探ります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~引用 おわり
1968年は、世界に目を転じると、ベトナム反戦運動が世界的に展開され、アメリカではキング牧師暗殺を契機として公民権運動が勢いを得て、フランスでは五月革命とも呼ばれる学生運動・労働者ゼネストが起こり、西ドイツでは戦後民主主義の形骸化・権威主義化に抗議する学生運動が高揚しました。社会主義圏では、「プラハの春」と言われたチェコスロバキアの民主化運動とそれに対するワルシャワ条約機構軍の軍事介入の年、各国の新左翼学生が中国の文化大革命に、ソ連型社会主義に代わる社会主義のモデルを托そうとしていました。一つ一つの紹介ではなく、「時代」として捉えている視座が素晴らしいです。
地方都市から戦後社会を問う:神戸の街から「べ平連」発足
戦後民主主義と戦後農政への問い:三里塚闘争
経済成長と豊かさへの問い:熊本水俣病闘争
住民運動の噴出とその問い:横浜新貨物線反対運動
大学という場からの問い―全共闘運動の展開
後で分かったのですが、物理学者・哲学者の山本義隆さんが、当時の資料のかなりをこの国立歴史民俗博物館に寄贈したそうです。彼の著書『私の1960年代』の中で書いていました。著書の最後に取りまとめられた多くの同志の葬儀で述べた弔辞の中に、「連帯」に通じる重い言葉の数々を読み取れました。
今なお、真摯に時代を総括し、今の現実と向き合う彼の姿勢は、当時、松戸の千葉大学園芸学部で開催された今井澄さんが講演で語った、「歴史が必ず私たちのベトナム反戦運動を評価するだろう!」の言葉とともに、強く私の心に残っています。そして、「記録」の大切さも、ですね。