遠友夜学校フォーラム in 時計台(下)

Posted by 秋山孝二
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 フォーラムのメインイベントの講話は、北海道大学名誉教授、元北海道大学副学長、第54代北大応援団長、平成遠友夜学校創設者・校長の藤田正一先生でした。「一般社団法人 新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会(http://nitobe-enyu.org/」の理事・副会長でもあり、遠友夜学校記念館建設プロジェクトで私たちと一緒に活動をしています。

 新渡戸稲造、札幌農学校、遠友夜学校の理念を通じての思想・哲学を丁寧にご説明になり、今の北海道大学とのギャップほか、札幌市、札幌市民がこの歴史的価値を極めて粗末にしている現状に対して、鋭い視座から問題を提起されました。「歴史に学ぶ」、「歴史をつなぐ」とはどういうことか、まさに「学問ヨリ実行」の本質を受けとめた気がしています。

理念の継承

理念の継承

藤田先生のご講演より~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

< 札幌農学校の理念

* 矢内原忠雄・元東京大学総長の言葉より~~~~

 「明治の初年において、日本の大学教育には二つの大きな中心があって、一つは東京大学で、一つは札幌農学校でありました。この二つの学校が、日本の教育における国家主義と民主主義という二大思想の源流を作ったものです。」

 「・・・・日本の教育、少なくとも官学教育の二つの源流が東京と札幌から発しましたが、札幌から発したところの『人間を創る』というリベラルな教育が主流となることが出来ず、東京大学に発したところの国家主義、国体論、皇室中心主義等が、日本の教育の支配的指導理念を形成した。その極、ついに太平洋戦争を引き起こし、敗戦後、日本の教育を作り直すという段階に、今なっておりのであります。」

* 「Boys,Be Ambitious !」の本来の意味~~~~

 「金銭や私利私欲や、人が名声と呼ぶようなはかないものに対してではなく、知識や正義や人々の向上のために、そして、人としてあるべき究極の姿に到達できるよう、大志を抱け!」、「Be Gentleman !」

* 「国際性」、「平和主義」、「実証主義」、「現場主義」、「実学の重視」

< 新渡戸稲造の哲学 >

* 「人格主義教育」、「Liberal Arts」の原点

――> 「to do」 の前に 「to be」

――> 「専門センス」 より 「コモンセンス(常識・教養)」

「学問ヨリ実行」

――> 当時は立身出世のためには学問が必要であるという「学問のすゝめ」が流布されていたが、そんな功利的机上の学問よりも、徳を実行することの方が尊いという教え

< 遠友夜学校の理念 >

* 札幌農学校、新渡戸稲造の理念・哲学の実践した場としての遠友夜学校

* 50年間活動を支えた札幌の地

~ 今現在、札幌で活動している遠友関連の教育活動 ~

* 青空会(終戦直後) 山崎健作氏(遠友夜学校元生徒)

* 遠友市民大学(1972) 高倉新一郎(北大卒 遠友夜学校教師)

* 北星学園余市高校の転換(1988) 岩本孝一氏(北大卒)

* 札幌遠友塾 自主夜間中学 (1990) 工藤慶一氏(北大中退)

* フリースクール札幌自由が丘学園 (1990?) 亀貝一義氏(北大卒)

* クラーク講座(2002?) 山本玉樹氏(北大卒)

* 平成遠友夜学校(2005?) 藤田正一(北大卒)

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 戦後は、その理念を継承しつつ、実に多様な活動へと発展していますが、肝心かなめの発祥の跡地「南4条東4丁目」が今の状態では、札幌市民の見識が疑われます。先月から初めて「札幌国際芸術祭」が開催されました。私は先日の「V-ネットフォーラム」でも、「この50年間札幌の地で培われた札幌オリジナルの歴史的実践を顧みずして、何が『国際芸術祭』か!」と発言致しました。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=20738

 「Art」を狭い芸術・文化に留めるのではなく、まさに「Liberal arts」として幅広く捉えての札幌発の祭典としたいものです!