カジノ誘致でまちづくり?

Posted by 秋山孝二
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 このところ新聞記事で、「カジノ誘致でまちづくり」を何回か読みました。複数の北海道のまちが、町おこしの企画として検討している内容ですが、正確には、どなたかが町にそんなプランを持ち込んでいる、ということでしょう。以前札幌市にも議員数名から話があったと聞いています。

マカオ観光局公式サイト

マカオ観光局公式サイト

私は昨年9月に香港に出張する用事があり、台風接近中ではありましたが、ひととき自由な時間も出来たのでマカオに日帰りで足を延ばしました。その時にも道内の「カジノ誘致によるまちづくり」の企画が思い出されて、何か気になっていたのです。今、本気で「カジノ誘致」でまちを創ろうとお考えの方がいらっしゃるのなら、世界のカジノで成り立つまちを真剣にリサーチされているのか、お尋ねしたいのですよ。沢山の議員たち他の日本人が、「視察旅行?」でモナコ、ラスベガス等も訪問している事実もありますから。

マカオ観光局公式サイトには、『2005年7月、南アフリカで開催された第29回ユネスコ世界遺産委員会において、マカオの22の歴史的建造物と8カ所の広場が「マカオ歴史市街地区」として世界文化遺産に登録されました。中国の世界遺産としては31番目の登録であり、世界で三番目に多く世界遺産を持つ国となりました。』とあります。

約450年の長きにわたり、マカオでは中国とポルトガルの両国民が文化を融合・共有してきましたが、そもそもは16世紀半ばにポルトガル人航海士たちがマカオに居住を始めたことに始まります。遺産登録された歴史的建造物に教会が多いのはその証であり、彼らがもたらした西洋的な社会インフラ技術や建築遺産の数々が、中国の伝統的建築物に囲まれ完全な形で保存されている姿に、マカオの世界遺産たる価値があるようです。

また、観光パンフレットには、「マカオ歴史市街地区は世界遺産ではありますが、立ち入り禁止区域になったり入場料が必要になったということはありません。旅行者にとって世界遺産は観光の対象ですが、マカオ市民にとってここは今なお生活空間そのもの。また建築物・史跡など有形のものに限らず、様式、宗教的寛容さ、食文化など多くの無形文化が街とともに共存しています。マカオはまさに街全体が歴史・文化の博物館なのです。・・・・・・・・」とも書かれています。歴史と今の暮らしとの位置づけを表現していて、理想的な観光資源と読み取れました。

ところがです、すでに行かれていてご承知の方も多いとは思いますが、マカオのフェリー乗降場に近づくにつれてまず目に飛び込んで来るのは、金色に輝く異様な建物・ネオン群でした。観光局公式サイト・観光パンフレットとは大きく違い、外観がカジノ一色の違和感は、価値のあると言われている文化の融合・共有とは程遠く、喉の渇きを覚える光景でした。そして、外観だけではありません、簡単な見学ツアーで数十分、あるカジノの中を巡りましたが、パソコン操作によるゲーム台は、およそ面白さとは無縁な感じの無機質で、ただ一つトイレの立派さが際立っていました。人の体から出てくるものはどんな場所でも同じだというのにですよ。

アジアでカジノでのまちづくりを本気で構想するのなら、マカオを越えるようなプランになるのでしょうが、北海道のどんな都市も、あそこまで今ある資源を台無しにしてはいけないと思います。「目を醒ませ!」、思いつきならすぐに撤回すべきですし、まともにそんな企画を提案するのなら、もう一回顔を洗って出直して頂きたいと思いますね。とても責任のあるお話とは受け止められません。