RETHINKING IMPACT @香港 (3 最終)

Posted by 秋山孝二
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 一日目の夜は場所を移して、カクテル&ディナーでの交流会。ここでもフィゲレスさんがショートスピーチです。

午後8時からのパーティでも

午後8時からのパーティでも

 すべての終了は夜11時をまわっていましたが、疲労感よりも充実感の方が大きかった今回のプログラム1日目でしたね。ダイナミックなグローバルマネーのシフトを感じました。

* * *

 二日目は少し人数が絞られてのパネルディスカッション二つです。前日の宿泊の部屋は46階、私は今年4月の別府での地震(後にこれが「熊本地震」の本震となった)の体験から、高い所での宿泊は少々トラウマがありよく眠れません。香港は大丈夫とは思いましたが、非常階段の昇り降りを想像すると、やはり頭のどこかに不安が過ります。

4月の別府――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=26258

宿泊はホテルの46階

宿泊はホテルの46階

 最初は、「Sustainable Seas」。海運業界ほか、海に纏わる環境に配慮した企業活動でした。広大な「海」が、ビジネス、投資のポテンシャルが大きいですね。

持続可能な海を巡って

持続可能な海を巡って

 後半は、「Investing in a Low-carbon World」、投資家サイドから見た低炭素ビジネスの展望です。

海への新たな投資機会

低炭素社会への新たな投資機会

 このフォーラム、昨年は「再生可能エネルギー」、今年は「気候変動・温暖化」に焦点を当てて、グローバルなトレンドを知る機会となりました。普段、日本国内で暮らしていると、なかなかこの種のホットなニュースに触れるチャンスがありません、大変残念ですが。

 そうこう振り返っていると、時代は動いていますね、枝廣淳子さんから以下のようなニュースが飛び込んできました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~メールの引用

 先日、「モントリオール議定書の締約国会議、代替フロンの規制を採択」というニュースをメディアが報道していました。どのような規制か、削減の目標はどのくらいか、いつ発効するか、といった報道が主です。日本のメディアではそれほど大きな扱いではなかったように思いますが、海外の持続可能性に関わる専門家のネットワークでは、「これはパリ協定よりも画期的だ!」といった発言も多く見られました。

<地球温暖化への影響が大きい冷媒の廃止に向け画期的な協定>

http://www.nytimes.com/2016/10/15/world/africa/kigali-deal-hfc-air-conditioners.html?_r=0

 米中の動きが注目されています。両国が、「温暖化を競合優位を創り出すための産業政策のひとつとして見ており、取り組んでいる」ことが明らかです。

 2016年10月15日に成立した協定は、温暖化対策として、エアコンや冷蔵庫に使われている冷媒(温暖化効果の高い化学物質)の使用を世界全体で削減するというもので、法的拘束力を有する協定です。ルワンダの首都キガリで行われたこの会合は、日本でのメディアの扱いもそうでしたが、パリ協定ほどは注目されませんでした。しかし「ここでの成果は、地球温暖化の減速への取り組みに対して、パリの場合と同じくらい、もしくはもっと大きい影響すら及ぼす可能性がある」とニューヨークタイムズの記事では強調しています。

 ジョン・ケリー米国務長官の「これは私たちの地球の温暖化、将来の世代にとっての温暖化に歯止めをかけるために、私たちが今この瞬間に踏み出すことのできる、たった一つの、最も重要な一歩となるだろう」という言葉が引用されています。

 パリ協定は、あらゆる発生源からのCO2が対象となりますが、今回の新しい協定の対象はたった一つ。エアコンや冷蔵庫に使われる代替フロン(ハイドロフルオロカーボン、HFC)という化学的冷媒です。HFCが大気中の温室効果ガスに占める割合はほんのわずかですが、その温室効果はCO2の1000倍とのこと!

 今回の協定は、2050年までに、CO2に換算すると700億トンの削減に等しい効果を生み出すと期待されています。700億トンとは、世界全体のCO2排出量の約2年分です。記事では、「科学者は、HFCの温室効果作用を考えると、この協定によって気温上昇は摂氏0.56℃近く抑えられるだろう、とみている」。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 引用 おわり

 また、パリ協定と同じく大事な動きがもう一つ、昨年9月に国連サミットでありました。持続可能な開発目標(SDGs)が国際社会の合意となったことです。SDGsがどのような背景で作られたのか、バラトングループのアラン・アトキソン氏ら「17goals(http://17goals.org/)」というサイトがあります。

<持続可能な開発目標(SDGs)がつくられた背景~環境メールニュースより~>

http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2016/libnews_id008327.html

 日本の動きを世界に発信するJFSでは、SDGsのサイトを立ち上げ、日本の最新情報や政府の取り組み、JFSの関連記事を紹介しています。

<JFS:持続可能な開発目標(SDGs)サイト>

http://www.japanfs.org/ja/projects/sdgs/index.html

* * *

 世界は枠組み構築でどんどん進み、状況はすごいスピードで変化していて目が離せません。フォーラムに参加して考え込んでいる場合でもないのでしょうね、日本国政府が世界の動きに乗り遅れていたとしても、地球環境の悪化は待ってはくれません。引き続き幅広い「環境問題」に注目しつつ、広く情報を収集し、自分たちのできるフィールドでイノベーションを続けることが大切だと、香港から戻ってあらためてそう感じています。

RETHINKING IMPACT @香港 (2)

Posted by 秋山孝二
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 今年のフォーラムは、主催者のご挨拶に続き、最初は昨年のCOP21で中心的な活躍をされた気候変動枠組条約事務局長のChristiana Figueres さんの基調講演、Post-COP21 Futureでした。

 英ネイチャー誌は昨年12月17日、この年の科学界を代表する人物10人の筆頭に、地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の取りまとめに尽力した国連気候変動枠組み条約のフィゲレス事務局長(59)を選びました。フィゲレスさんは中米コスタリカ出身で、2010年に事務局長に就任し、昨年12月にパリで開かれた同条約の締約国会議(COP21)では、対立する先進国と途上国の間の交渉を橋渡しし、各国の意見を尊重して透明性を重視する姿勢を貫き、複雑な交渉を合意に導きました。「パリ協定の採択は地球にとって歴史的な瞬間そのものだった」と、多くの海外メディアが称賛しました。

<近年の受賞歴> ~~~~~~~~~~~~~~~

* 2016年: オランダのオラニエ=ナッサウ勲章オフィサー章、米国カリフォルニア州の非営利団体Vote Solar のSolar Champion賞

* 2015年: フランス・パリ市グランドメダル、フランス・レジオンドヌール勲章、ドイツ・ミュンヘン安全保障会議のエヴァルト・フォン・クライスト賞、英『ガーディアン』紙の名誉のメダル

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 この日のスピーチは聴衆に向けて、終始、炎が吹き出るような力強い演説でした。

火を噴くような力強い演説
クリスティーナ・フィゲレスさんの講演:火を噴くような力強い演説
質疑応答でも

質疑応答でも迅速なやり取り

<手元に書き留めたコメント>

* 「気候変動」それ自体がリスクという時代、それへの認識と課題解決策は企業として必須要件

* COP21パリ協定締結までは、「ノイズ」と「シグナル」が拮抗していたが、昨年末に強いメッセージを示した。「ノイズ」から「シグナル」へ時代は変わった

* 30年後、50年後ではない、今後の「5年」に掛かっている。すでに投資が始まっている

* 20世紀のテクノロジーではなく、新しいテクノロジー企業に若者は魅かれる

* アジアの高い貯金・貯蓄率には、確かな投資対象が必要ではないか、正しい投資のサイクルを確立して

* 「環境の変動」は「経済の変動」であり、「環境の安定」は「経済の安定」である

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 ところで、昨年12月のCOP21とはどんな会合だったのか、枝廣淳子さんの異業種交流会(http://www.es-inc.jp/network/index.html)ほかでも議論になったサイトをご紹介し、簡単に整理をしましょう。

* 「COP21とパリ協定のおさらい」 ~環境メールニュースより~

http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2015/libnews_id008176.html

* 「パリ協定の意味」~ガスエネルギー新聞「賢人の目」連載コラムより~

http://www.es-inc.jp/library/writing/2016/libwri_id008368.html

* 世界各国の温暖化についての関心や危機感は?

http://www.gasdemori.jp/column/index1.html

* COP21・パリ協定とは? http://www.gasdemori.jp/column/index2_1.html

* 2℃の意味  http://www.gasdemori.jp/column/index.html

* 「パリ協定」発効目前の今、経団連のすべきこと~Yahoo!ニュースより~

http://bylines.news.yahoo.co.jp/edahirojunko/20161002-00062790/

* 「COP21に向けてのリーダーシップを!」(PDF)~ビジネス情報誌『エルネオス』「枝廣淳子の賢者に備えあり」連載コラムより~

http://www.es-inc.jp/library/writing/archives/doc/ELNEOS201512.pdf

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 コンパクトにまとまったサイトの数々、残念ながら日本国内で大手企業の経営者をはじめ、これらのグローバルな動きを殆ど把握してなく、日頃、経済団体の会合でもあまり話題にならないのが残念です、無関心というのでしょうか。ひとり日本の企業だけが、また世界から遅れをとっている状況、地域からキャッチアップしていきたいものです。

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 特別講演に続いてのパネルディスカッション:

 最初は「The Business of Climate Change」です。

気候変動のビジネス

 この日の後半のパネルは「Financing Green」。グローバルマネーは今、広い意味の「環境の課題解決ビジネス」に注目しています。

環境ビジネス

環境ビジネスパネル、最前線で傾聴するフィゲレスさん

 新しいビジネスを起業して担う側、それらに注目して投資する側、今、再生可能エネルギーをはじめとする広い意味の「環境」分野は、世界各国で宝の山といった感じです。「COP21パリ協定」の成功は、新しい時代の幕開けと認識すべきですね。

RETHINKING IMPACT @香港 (1)

Posted by 秋山孝二
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 秋山財団の基本財産運用でお世話になっているロンバー・オーディエ(http://www.lombardodier.com/home.html)が、毎年、今頃開催するフォーラムに参加しました。昨年はシンガポール(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=24868)でしたが、今年は香港で濃密な二日間でした。

 日本ハムファイターズ対広島カープの野球・日本シリーズの行方を気にしながら、関西空港経由で香港に行きました、私にとってはアフリカへの中継の出張を含めて4回目だったような気がします、毎回、滞在が比較的短いので記憶が必ずしも定かではありませんが。

* アフリカ・マラウィ編――>http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%A3%E7%B7%A8

 初回訪問は随分前でしたが、1998年7月5日に閉港した「世界一危険な空港」と言われていた啓徳空港の時代でした。着陸直前に香港島向いで急旋回するあの空港です。今は、移転して広大な空港となり、九龍地区・香港島にもエアポート快速で25分程度で到着します。

* 啓徳空港――> http://dailynewsagency.com/2013/07/19/incredible-pictures-airplane-near-misses-xd5/

空港から香港島まで

空港から香港島まで25分

香港島から九龍地区を臨む

香港島から九龍地区を臨む

空は高く

空は高く

 会場は、「Asia Society Hong Kong Centre(http://asiasociety.org/hong-kong)」一階ホールです。特別展も開催中で、学校の生徒・学生たちも訪れている高台にある立派な建物でした。

会場のASIAセンター

会場のAsia Society Hong Kong Centre ロビー