加藤周一の思考と言葉

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 小森陽一さん、小川和也さんの対談「“加藤周一氏没後10年”:加藤周一さんの思考と言葉をめぐって」、戦争を止められなかった日本の知識人への問題提起、濃密な時間、戦争と日本の近代史を振り返りました。

 これまでのここでの関連記事ーー> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E5%8A%A0%E8%97%A4%E5%91%A8%E4%B8%80

【 アーカイブス「加藤周一が残した言葉」

1) https://www.youtube.com/watch?v=8JOb_8wzORY

2) https://www.youtube.com/watch?v=uaZSsC7THdg

3) https://www.youtube.com/watch?v=lMtfmU0D5Kc

https://www.youtube.com/watch?v=thDtd9U9jNQ

小川和也(中京大学教授)さん――> https://www.chukyo-u.ac.jp/educate/letter/member/rekibun/staff3.html

ゲストの

ゲストの小川和也さん

小森陽一(東京大学教授)さん――> https://dokushojin.com/person.html?i=3228

小森陽一さん

小森陽一さん

 対談では、お二人と加藤周一さんとの出会い・議論の積み重ね等から、加藤周一さんが残した含蓄のある言葉の数々を紡ぎだしていました。言葉から解釈できる思考の深さに、あらためて戦前・戦中・戦後を生きた人間の奥深さを感じました、以下、手元メモから順不同で拾いだします。

* 戦争を止められなかった日本の知識人

* 近代日本における知識人は、外来思想で学んでいるだけーー服を脱ぐごとく思想転換する

* 偶然にも生き残った自分、友人・中西の死、3・10東京大空襲で東大病院に運ばれる人々、終戦直後のアメリカ調査団の広島市内での被爆者調査同行体験が、彼にとって戦争と向き合う全ての始まり

* 「憤(いきどお)る」ことを失ってはいけない

* 「個人の自由な決断・意志」があって初めて「連帯」を生む: フランスにおけるレジスタンス活動

* 「国家」を越える価値を持っていないと「戦争」には反対できない

* 人ひとりを救えなくて何が国際平和か

* 2005年有明コロシアムの1万人集会(http://www.9-jo.jp/ariake/) 「1万人の人口!」

* 2011.9.11は「同時多発テロ」ではなく、「反米テロ」と言うべき

* 2011.9.11は、『ゴッド・ブレス・アメリカ』と『イマジン』が闘っている

* 2003年イラク戦争を経て、本格的憲法論議に:命を掛ける「九条」

第16回遠友みらい塾 開催!

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 新渡戸稲造記念遠友みらい塾(http://enyumirai.main.jp/、今回は第16回となり、寺島実郎塾長に1時間20分、今年を振り返るお話、さらに出席会員からこの間の活動報告がありました。

* これまでのみらい塾――> http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E9%81%A0%E5%8F%8B%E3%81%BF%E3%82%89%E3%81%84%E5%A1%BE

熱のこもったお話

熱のこもったお話

 寺島実郎さんが東京から早く到着したので、開始を10分繰り上げて今回はスタート。私から開会挨拶、寺島塾長の講演は、時間を20分程延長の熱弁でした。

 いつものように「最新資料集」を基本に、今回は、今秋、頼まれた講演の話題から始まりました。加藤周一、田中角栄にまつわる話は、活字とは違った臨場感。生きた人間同士だからこそ、交わすことのできる心情の温かさ、清々しさ、そしてエネルギーを高める化学反応のような別次元へのステップを彷彿とさせてくれるものでした。

 講演終了後、活動報告ではまず私から「札幌遠友夜学校記念館 建設募金のお願い」、「記念館建設支援“連続講座”」の報告とご案内など。続いて、大沼さんから『「北海道版100才人生:ジェロントロジー宣言」31章』、20年前の寺島さんがインタビューを受けている新聞記事(朝日新聞・98年10月19日付)コピー『アメリカニズムとは何か』、三井物産総合情報室長時代です。続いて、小嶋英生さん(雪氷環境プロジェクト他)の活動、さらに安川誠二さん(日本農業新聞記者他)のお話で終了しました。

寺島実郎さんのお話から~~~~~~~~~~~~~

* 加藤周一の言、「物事の’繋がり’が分かるようになってきた」「不条理への’わななくような’怒りが大切」

* 記憶力のような「流動性知能」から課題解決型の「結晶性知能」へ

* 加藤周一と田中角栄は「戦争のリアリティ」と「中国に対するリスペクト」で共通点あり

* 土木学会での講演演題「22世紀の日本」、100年前を総括できなければ100年後を語ることはできない

* 昨今の日本: 経済の話が株価等のマネーゲームの話へ、本来は、現場力等の技術力、経営の話であるはず、「モノつくり」と言える状況にはない

* 「ジェロントロジー」は、「老年学」ではなく、「高齢化社会工学」(高齢者を活かしきる社会システムの制度設計)と受け止めるべき

* 都会の高齢者に欠けているもの: 「食」、「農」、魂の基軸としての「宗教ー死生観」

* 現代を表現すると、1)スマホ人生、2)モール人生、3)クーポン人生、いずれも「小さな幸せ」に満足!

* ささやく言葉、「皆さん、そうやっていますよ!」

* 現代は「データリズム」の時代、データのクラウド化、世界のデータを中国が握る?

* 世界の動きと日本とのギャップ:日本は「常温社会(ぬるま湯)ー内向き」:不満はないが不安はある、私生活主義

* 成熟した民主主義の国として、戦後の「工業生産モデル」を越える高齢者の「参画プラットフォーム」をどう創るか

* マネーゲームを越えた技術力の国創り、議論をプロジェクト化していく構想力

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 2018年も残すところあと2か月、今年を振り返りながら、いつもにも増して熱の入ったお話は刺激的で、たくさんのヒントを得ることができました。翌日の少人数の朝食ミーティング、2日後の東京でのリレー塾最終講義も含めて、今年も座標軸のような一連のメッセージが心に響きました。

「九条の会」講演会、日比谷公会堂で

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 「未来世代にのこすもの、私たちは何を『決意』したか」をテーマとして、今年も「九条の会:http://www.9-jo.jp/」講演会が東京・日比谷公会堂で2000名を越える参加者で開催されました。一昨年のこの会にも出席しました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=1351)。

日比谷公会堂正面玄関上

日比谷公会堂正面玄関上

 哲学者の鶴見俊輔さん、作家の澤地久枝さん、憲法学者の奥平康弘さん、作家の大江健三郎さんの4名がそれぞれ30分程度お話をされました。いずれも大変含蓄のある内容で、終了後に振り返ってみても胸に刻まれています。

澤地久枝さんの講演

澤地久枝さんの講演

 澤地さんは、「地震列島の上で営む日本人の生活である。今、『運命共同体』の船に乗り合わせて、『世直し』、言い換えれば『革命!』、この国の姿を根本から変える方向へ舵を切るべく、原点とも言えるものが日本国憲法だと思う。戦争放棄の第九条と、生存権にかかわる第二十五条に力をもたせ、それを砦として世の中を変えてゆきたい。私たちが、原発から漏れだす放射線を制御する技術を持ち合わせていないことが明らかになった今、まず、全原発廃止の方向を目指す意思表示から。小田実は、『一人から始める』と書いたそう、しかし、『一人』ではない」、「『独立した個人の人格』こそが価値である」、と満場の聴衆に熱く語り掛けました。

大江健三郎さんの講演

大江健三郎さんの講演

 4番目にお話をされた大江さんは、「井上ひさしさんが、この会ではいつもトリをつとめてユーモアあふれるお話でした」と振り返り、やはり自分にはその役回りは荷が重いとも。「Articulate(アーティキュレイト):明瞭に話す」という言葉を引用して、はっきりモノを言って抵抗する姿勢を大切にしたいと、冒頭におっしゃっていました。

~~~日本国憲法の前文~~~~~~~~~~~

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

~~~~~~~~~~~~~

 前文に2回表現されている「決意した」に、特別の価値を見出したいと。加藤周一、小田実、井上ひさしが相次いで亡くなり、呼びかけた人の数は少なくなるけれど、7500を越える各地の「九条の会」は、それぞれの活動によって勢いを大きくしています。北海道でも、グリーン九条の会(http://green9zyo.blogspot.com/)等多くのユニットで活動しています。

 井上ひさしさんの同級の憲法学者・樋口陽一(http://www10.ocn.ne.jp/~sak/higuchi-chosho.html)さんを紹介しながら、「立法事実:立法を必要とする情況」という言葉を引用し、戦争における「加害体験」としての憲法制定事実を思い起こすことの大切さも強調しました。1)とりわけ中国・朝鮮に対して、2)日本軍が国民に対して、3)軍幹部が兵士に対して、の加害体験です。そして、今こそ「決意し」て、再出発の意志を固めよう!と結びました。

 最後に事務局長の小森陽一さんが、「九条の会は今年の11月19日で7年を迎えます。ヒロシマ、ナガサキ、第五福竜丸、そしてフクシマへと続く日本から世界への核廃絶の発信を、これからも一層強固に進めていきましょう!」との呼びかけと御礼の言葉で、今年は終了しました。

 会場出口で、大江さん、澤地さん、小森さんにご挨拶も出来ました、演者の一つ一つの言葉の深い意味を反すうしながら、日比谷公園をあとに、3・11以降、また新たな出発です!!

加藤周一、「しかし、それだけではない」

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  加藤周一ドキュメンタリー映画、「しかし、それだけではない:http://www.ghibli.jp/kato/」の札幌上映会が、満員の大盛況で開催されました。

上映チラシより

上映チラシより

  2008年12月にこの世を去った知識人・加藤周一が出演し、監督・鎌倉英也、プロデューサー・桜井均が試みたのは、「決して意見が変わることのない」幽霊たちとの対話でした。武家社会の中、26歳で命を絶たれた源実朝、戦時下自由な言論が失われた状態でも意見を曲げることのなかった神田盾夫、渡辺一夫といった恩師の先生、そして、敗戦直前に学徒出陣で戦地に向かい若い命を落とした友。彼らと語り合う加藤周一の言葉が、映画を観たものへ強い問題提起です。そして気がついてみると、映画を観ている私たちが加藤周一という「幽霊」と向き合うことになっているのです。

 終盤に、「一人の意識が世界を変える力を持つ、そのことは間違いの無いことだよ」と静かに語る場面が、今を生きる私たちに強いインパクトを与えてくれます。彼自身の体験に基づく、「文楽」、「夢幻能」への言及、そして「反戦」への一貫した強い意志、「自由・自立した個人」等、言葉の端から、しばしの沈黙の間から、鋭い眼光の表情から発せられるメッセージは、心の深い所に届きます。ラストの曲、「死んだ男の残したものは:http://www.youtube.com/watch?v=kLThp2qMgDQ&feature=related」は染み入ります、作曲・武満徹、作詞・谷川俊太郎です。

 

 会場に向かう道すがら、円山公園のサクラもやっと咲きました。

札幌円山公園では(1)

札幌円山公園では(1)

札幌円山公園では(2)

札幌円山公園では(2)

 まだまだ気温は低いのですが、恒例となった(?)ジンギスカン他、多くの市民が繰り出し始めようとしていました。ビニールシートで場所取りをする光景は、毎年の風物詩となりましたね。それにしても、焼き肉のもうもうたる煙と臭いには、地域住民としては閉口ですが・・・・。

西巻糸子さんのこと

Posted by 秋山孝二
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 先月26日、「足利事件」で無期懲役刑での服役中に釈放された菅家利和さんに対する再審が宇都宮地裁であり、無罪判決が言い渡され、同時に裁判長が謝罪をしたと報道されましたhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100326-00000033-mai-soci。謝罪の後、3人の裁判官が立ち上がって菅家さんに深々と頭を下げたそうです。再審で無罪を求めた検察側は同日、控訴しないことを地裁に申し立てたので、無罪が確定しました。「完全無罪」の文字も躍っていますが、突然の逮捕から18年以上を経ています。

  無罪が確定した菅家さんについて、宇都宮地検が無罪を証明する再審結果通知書を菅家さんの本籍地である栃木県足利市に送付し、3月30日付で受理されました。これにより、市が管理する「犯罪人名簿」から名前が削除され、14日開かれる市選挙管理委員会を経て、菅家さんの選挙権も復活するとの記事も読みました。当時のDNA型鑑定の信憑性の議論もポイントでした。

また、今月1日に最高検察庁・警察庁が足利事件を検証する報告書を公表しましたhttp://mainichi.jp/select/jiken/news/20100402ddm041040007000c.html、http://www.asahi.com/national/update/0401/TKY201004010113.html。当該HPを探しましたが、今現在は掲載されていないので、新聞報道からのものを添付致します。

 無罪により名誉回復、選挙権復活とは言っても、この18年以上にも及ぶ間に失ったものは余りにも多く、まさに「不条理」です。司法はこの年月をどう償うのでしょうか。私はこの冤罪(えんざい)事件について、一貫して支援してきた方々の常識を越えるご努力と勇気に、心から敬意を表します。「INVICTUS:負けざる魂」そのものですね。今回特に際立ったのは、菅家さんの送り迎えをはじめ、この間支援者として支えてきた西巻糸子さんの存在です。

 先日もテレビニュースの特集で、一連の支援活動における彼女の献身的な姿を報道していましたが、「幼稚園バスの運転手をする人が、幼児を殺すはずはない」との、ごく当たり前の情念を拠り所に今日まで全面的に支援してきた様子を知り、あらためて人間としての原点を確認した思いです。昨今、理不尽なことばかりの世の中、人間の尊厳と信念に基づいて行動する勇気を思い出させてくれました。

 それに対して、「捜査の可視化」への検討のフットワークの悪さは何なのでしょう。千葉景子法相は「こういう事件を契機に、捜査の可視化(録音・録画)にも踏み出してきたし、法相としても再発防止のために法的、制度的検討をしなければならない」と閣議後の記者会見で述べたそうです、記事の見出しでは「捜査の可視化へ法相改めて意欲」とあります。中井国家公安委員長も菅家さんから研究会で意見を聴く意向を示したようです。

 ちょっと待って下さいよ。民主党はこれまで、国会に完全可視化を実現する法案をすでに2回上程したのではありませんか。この段に至って法相・国家公安委員長が「検討する」だの「意見を聴く」だの、寝ぼけたことを言うではありませんよ。何を躊躇しているのか、誰に遠慮しているのか、ことの重大さを全く理解していないし、完全可視化への情熱を感じません。以前には「2年間は研究する」とも語っていました、情けないの一言です。まさに「法治国家」ならぬ「放置国家」です。

 加藤周一はある対談で人間の知的活動について語っていました。「情報収集というのはいくら頭が良くてもダメなんで、目の前で子供を殺されたら、怒る能力がなければなりません。あるいは、何か一種の感情を生じないとダメです。ただ情報を集めただけじゃどうにもならない。『人間の尊厳を守る』と言ってもよいかもしれません」。

 このような事件は二度とあってはいけないのは当然として、西巻さんに見る支援の姿勢から多くの教訓を学ぶ思いです。

大盛況、後藤ちしをさんのリサイタル

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  今月2日に続き、更に一つ「2」が増えた平成22年2月22日です。

 北海道演劇財団http://www.h-paf.ne.jp/の応援団、「TPSくらぶ」の新年会でもお会いしたソプラノ歌手・後藤ちしをさんのリサイタルが札幌でありました。500席を越えるホールは満席の盛況で、イタリアオペラ、日本のオペラ等幅広いジャンルから素晴らしいコンサートでした。

プログラムとチラシ

プログラムとチラシ

  以前、土田英順さんのミニコンサートを中島公園のシアターZooで行いましたが、その時にほんの少し後藤さんの歌を聞かせて頂きました。今回は、日本の「芭蕉布」、「落葉松(カラマツ)」は綺麗な日本語を久しぶりで聞く感じがしたし、「さくら横ちょう」は加藤周一の詩で意味が深かったですね。後藤さんの歌声は若さゆえか力がありました。

 今回のリサイタルは、彼女の世界というか、ホールの空間丸ごとの雰囲気を感じ取ることができて素晴らしかったです。札幌ご出身でこれまで多くの方々の支援で海外留学も経験して学ばれて、現在はイタリア・ミラノを拠点に活躍されているようですが、これからも楽しみなプロのソプラノ歌手です。普段あまり使っていない脳の部分を大いに刺激されて、大変心地よいひと時でした。こらからの活躍を期待しています。

加藤周一さんの志、品川正治さんの肉声に触れて

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多様な各地の活動

多様な各地の活動

  6月2日、東京の日比谷公会堂で講演会が開催されました。タイトルには「加藤周一さんの志を受けついで」とありました。開始1時間少し前に日比谷公園に行きましたが、何と500人を越える程の長蛇の列、入口が開いてから私が入るまでに15分位掛かりましたでしょうか。これまで何回も日比谷公会堂には行っていますが、こんなことは初めてでした。2階席の前から3番目に座りました。ご存知のようにここは2階席と1階席の数がそれぞれ1000席強で、ほぼ同数です。それだけ2階席がせり出している造りになっています。開会前には超満員、舞台右手に加藤周一さんの生前の笑顔の大きな写真が掲示され、ビデオ上映も開会前に放映されていました。

井上ひさし、大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝のご講演、パートナーだった矢島翠さんのあいさつ、「さくら横ちょう」のうた等、盛沢山でした。http://www.eizoudocument.com/0106katou.html 

翌日の新聞では、大江健三郎の講演趣旨が主でしたが、私は澤地久枝さんのお話が印象的でした。ご自分がまだ学生時代、加藤周一の「ある晴れた日に」を読んでも、その青年医師のメッセージを読み取れなかった事、数十年後にやっと理解出来た事を恥じたと告白し、「今どきの若いものは・・、というのはやめよう!」と聴衆に向けて訴えました。若い人たちが立ち上がらなくて誰がやれるのか、とも。

事務局長の小森陽一さんは現在は東大教授ですが、北大のご出身ですね。

札幌での講演会
札幌での講演会

  一方札幌では、財団法人国際開発センターhttp://www.idcj.or.jp/top/aboutus_f.htm 会長、経済同友会終身幹事の品川正治さんの講演会が開催され、こちらも大変熱心な聴衆でいっぱいでした。ご自分の中国最前線での戦闘体験から、戦後を生きる人間として、「二度と戦争を起こさない国にすること」を信念とされて活動されています。

昨年のリーマン・ブラザーズの破綻、年末・年始の日比谷公園の派遣村についての前向きなご意見も印象的でした。最後に、「日本型資本主義の模索」について、困難な道ではあるけれど、暫くの間どう耐えていくかを真剣に考えれば、必ず確立できるはずとの信念も語られました。

私達へのメッセージは、「自分が主権者であること」を自覚して、選挙の一票の重みの再認識。そして今、「アメリカと日本は違う」ということにより、世界史を変える好機であり、それを決められるのは「主権者としての権利行使」以外あり得ないこと、子供・孫の世代の為にも、と力強くお話を結ばれました。

背筋の伸びた姿勢で2時間淡々とお話になるその姿に、品川さんのこれまでの生き方を見る思いでした。そして何よりも、経済界には殊のほか同じ志を持つ経営者が多い事も知り、経営者の立場から、国際社会における日本の主張の方向性を見つけた気がしました。奥様も札幌市立高女(現在の札幌東高)ご卒業とのことで、札幌との少なからずのご縁も感じた次第です。