今年は、日米安全保障条約改定から50年の節目の年で、全国各地で記念イベントも多く、今月初めに、私もこの欄に書きました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6264)。
先日、映画「ANPO:http://www.uplink.co.jp/anpo/」を観ました。今年9月から順次全国での上映のようです。札幌では12月18日から6日間、シアター・キノ(http://theaterkino.net/)で一日一回上映予定です。宣教師の娘でアメリカ人として日本で育ったリンダ・ホーグランドがプロデュース・監督し、「あの熱かった時代の日本を、アーティストたちはどう表現したのか」との問いから始まる映画です。
私は、歌手の加藤登紀子さんのHP(http://www.tokiko.com/)から、この映画のことを知りました。彼女も、登場する33名のアーティストの一人として語っています。歴史監査にはMIT教授で、2001年ピューリッツァー賞受賞作品「敗北を抱きしめて:http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/5/024420+.html」の著者、ジョン・ダワーも関わっています。
監督のリンダ・ホーグランドは、日本の映画界では、海外映画祭に出品する際の通訳、映画字幕の翻訳として知られているようです。彼女は、1960年の安保闘争で、当時のアーティストたちが絵画や写真を通して安保問題・米軍基地問題を表現していて、日本にも市民による「抵抗の歴史」があることを発見したと語っており、それがこの映画製作のきっかけだったようです。日米関係の原点を再確認する意味でも、1951年の講和条約締結とセットとなった日米安保条約締結の歴史は、まさに今に引きずる「在日米軍基地問題」を直視することなのだと思います。
単に1960年を語る映画ではなく、そこに端を発する戦後の日本の歴史を振り返る貴重な映画ですし、芸術家たちが表現したメッセージは、作品として今も受け継がれているその価値に気がつきます。21世紀の新しい日米関係、ささやかでも地域からも新たに構築していきたいですね。