辻井達一先生、ご逝去

Posted By 秋山孝二
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 昨日(1月15日)、北海道環境財団理事長の辻井達一先生がお亡くなりになりました。2006(平成18)年の秋山財団贈呈式の記念講演で、「湿地と貧困」と題してお話をして頂き、「秋山財団ブックレットNo.15」にもまとめました。

秋山財団ブックレットNo15

秋山財団ブックレットNo15

 その時の講演では、当時釧路公立大学学長・小磯修二先生を座長に、バングラディシュ、インドの例でアジアにおける貧困を、イタリアの例から観光名物、特産品づくりを、フランスの事例、湿地と感染症、地球温暖化と湿地の変化等、世界各地の事例と湿地を巡る幅広い課題に言及されて奥深く、今も強烈な印象として私の心に残っています。

 環境系市民活動でも熱心なご指導を受けました、特に、3年前、環境省主催の「北海道生物多様性フォーラム」で、中間支援4団体が共催で自然観察会を開催した時の札幌植物園ツアーでは、何とも豪華に、植物園の元園長・辻井先生ご自身に園内をご案内して頂き、植物園の歴史ほかをお聞きし、札幌の街なかにこの場がある価値を再認識した次第です(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=4214)。

 その時の「多様性」についての辻井先生のお言葉が忘れられません。

「『多様性』というと、何か種類を多く集めることと誤解される場合が多いのですが、本来は個々の種が生育できる環境を担保すること、というのが正確な表現です。ですから私は、『多様性』というよりも『不同性』、すなわち同じではないという言葉の方が適切だと思っています」と。「多種」イコール「多様性」ではない、そうおっしゃりたかったのではないかと目が覚めました。

 先生はつい最近まで、次のラムサール会議(ウルグアイ)にも行きたい、ついでにパタゴニア寄って来たいなと意気込んでおられたようです、まさに、湿地と真摯に向き合った偉大な研究者であり教育者でした。辻井達一先生のまごころ溢れるご指導に感謝するとともに、心からご冥福をお祈り致します。

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