<講演趣旨> ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
* 戦争の背景には「エネルギー問題」、エネルギー不足が戦争を引き起こす場合が多い:現在はエネルギー需要の増大時期
* 「エネルギー不足」よりも「地球温暖化」の課題が優先順位として高かかった:しかし、20123.11以降は転換
* 2011年、南アフリカのダーバンで開催された気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)の合意
* 2011年3月、欧州連合理事会のエネルギー大臣決定:2050年までに温室効果ガス排出量80~95%削減(1990年比)
* 東西ドイツが統一した時に、東ドイツにあった原発を止めた
―― フクシマ原発事故のインパクト
* ドイツの「脱原発政策」はすでに決定していた。問題はいつまで、どんな順番でというのが議論の焦点
* エネルギーの問題は「社会問題」、「私たちの問題」、倫理の議論をする必要性を政府は痛感
* 安全性の問題、代替エネルギーの問題、送電線の整備等、付随する様々な問題を早い時期に想定
* ドイツ政府・国民は、ハイテク日本での大事故とその後の対応に衝撃を受けた
* ドイツは、迅速な対応により、古い原発を即停止した
* 新しいエネルギー政策は二つの軸: 1)自然エネルギーの普及、2)エネルギー効率の向上
―― 「倫理委員会」の議論
* 17名の委員:「原子力」は社会を二分していた
――倫理的に問題あり: 都市と地方、次世代の資源を使って、次世代に廃棄物を残す――>「脱原発」で統合できる
* ドイツの将来のエネルギー転換のための協同プロジェクト「エネルギー・ヴェンデ」
* 「エネルギー・ヴェンデ」をエネルギー革命として世界に普及する言葉としていく
* 原子力発電の安全性には楽観的だったが、「チェルノブイリ事故以上の可能性を想定すべき」へと転換
* 原子力発電は事故になった場合は、ほかのどのエネルギー源よりも危険
* 次世代に廃棄物処理などを残すことは、倫理的問題としての認識
* 「原子力」より安全なエネルギー源としての「自然エネルギー」
* 再生可能エネルギー普及とエネルギー効率性政策で原子力を段階的にゼロへ:経済的にも大きなビジネスチャンス
* 原発を停止する順番の決定:地域の電力事情を考慮して明確化
* ドイツの失敗から日本は学べるのではないか
* 自然エネルギーの最適ミックスを考えるべき
* 自然エネルギーは地域資源に依拠: ドイツは風力主体、日本は風力と森林バイオマス、水力等の地域特性を活かすべき
* 太陽光: ドイツは太陽光よりも風力に優位性あり、将来はコスト的には風力に投資すべき
* 都市の魅力発信として「100%再生可能エネルギーのマチ」:輸送システムの転換、ライフスタイルの転換等
――ハンブルグは「European Green Capital」、フライブルクは「Green City」、 世界から多くの訪問者
* 政府が動くまで「待つ」のではなく、地方が独自に地域資源を活かしてエネルギー転換を実践すべき
* ドイツでは、1970年代に地方で「脱原発」を実践し始めた。成功の秘訣は成功モデルを地方から見せること
* 「「エネルギー・ヴェンデ」」の必要性は、電気だけ考えていては困難、輸送システム、新しい技術等も含めた議論が必要
* 「新しい技術」を待っていても何も始まらない、あるものからまず始めよう。
* 今使っているエネルギーがどこから生まれているかを考える時代
* 今までのエネルギー論議は、「技術論議」に終始していたが、社会のため、生活レベルのため、どうやって「もっと住みやすいマチ」、「もっと住みやすい社会」を創造できるかの視座が重要
* 「エネルギー・ヴェンデ」が会社のためにはどういう意味があるのか、経済にどういう価値があるのかを議論、新しい技術、新しい考え方等、ビジネスチャンスが大
* 原子力のコストは高すぎる――保険を払っているのは国民、廃棄物処理コストも含まれていない
* 「脱原発」は、ドイツに取って大きなビジネスチャンス: 「経済界=企業群」が率先してけん引した
* ドイツに日本の「経団連」は存在しない、個々の企業の意思決定が全て:個々の企業がリスクとプロフィットで迅速な判断可能
* 「エネルギー・ヴェンデ」は新しいドイツを創造する――>どうやってヨーロッパのエネルギー革命へとするか
* ビジョンが無いと前へ進めない、必要なことはどういうマチにしたいのか、草の根の力、「地域のビジョン策定」が重要
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~おわり
今回のミランダ・シュラーズ先生のお話で、今、私たちが北海道で推進する「エネチェン・ロードマップ:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=13681」にも力を頂きました。まさに地方からのエネチェンを実践するこの取り組みが、将来のエネルギー転換の基盤になっていく、まさに「エネルギー・ヴェンデ」の実践モデルとなる確信を得ました。