今、企業経営のトレンドは?

Posted By 秋山孝二
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 昨年も「戦略経営塾」等でお話がありましたが、1990年代以降の日本の企業経営について、時間軸をやや長く取って傾向を分析すると下のチャートのようになります。

日本企業経営の変化

日本企業経営の変化(BS11寺島実郎さんの番組より)

 要するに、日本の伝統的企業経営の理念から大きく変遷して、人件費を抑え(流動化し)、設備投資を控え、配当を増やし、内部留保を大幅に増やして株主価値を上げてきているのです、刹那主義、グローバルマネーに翻弄される危険性を感じます。

 先日も、ある企業に務める方とお話をしていて、90年以降のリストラの嵐が今も続いており、そのしわ寄せの殆どが現場の従業員に向けられている様子を具に知りました。いったい本来の「リ・ストラクチャリング」の意味合いはどこへ行ってしまったのか、長年現場を支えてきた第一線の社員に対して、管理者・経営幹部は一体どんな応分の責任を果たすのか、さらには、やろうとする「リストラ」の目的は何か、コストダウンによって利益を出してそれが何なのか、話を聴いていて憤りすら感ずる昨今の経営者の劣化です。

 年末にも書きましたが、東芝、化血研等の経営トップの記者会見でも、まるで他人事の表情で語る姿は、覚悟を持って経営に当たっている姿ではありませんね。どうして、日本の大企業はこうも筋が悪くなったのでしょうか。

 私は時々出会う金融機関窓口でも同様ですね。昔に比べてかなり顧客対応が下がっていますし、窓口のコミュニケーションも全く内向きで紋切り型が横行しています。散々待たせておいて、急ぐならATMに行けと言い放つ女性の言葉に出会うと、今の金融機関の体質を目の当たりにします。低金利・高額手数料等、顧客不在の収益向上で一体誰が利益を貪るのか、書き始めたら留まるところを知りません。

 「経営組織論」を教える立場から、これまで何回も書き留めてきました。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E7%B5%8C%E5%96%B6%E7%B5%84%E7%B

 私は、単なるノスタルジックな感情でモノを言っているのではありません。今日の日本社会を支えてきた柱となる企業の「人材育成」をないがしろにして何を上位の価値と置くのか、経営者のきっちりとした説明を聞きたいのです。自分が所属する経済団体での経営者の劣化も甚だしい、もっともっと平和に関してコミットしなければならないですし、芸術・文化に対してももっと造詣を深くしなければ、国際社会の中での日本の立ち位置も低下し漂流していくでしょう。

 ニュースを見ていても、直接経営者の話を聴いても、現場で働く能力の高い人々の声を聴いても、今の日本の企業経営者は危機的です。そんな状況の中で、地域に生きる若い経営者に期待したいですね、これからの時代は君たちが担うのです、と。

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