菜の花忌:司馬遼太郎のたいまつ

Posted By 秋山孝二
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 司馬遼太郎記念財団(http://www.shibazaidan.or.jp/)が主催「第15回 菜の花忌」が大阪で開催され、1400人を上回る人で大盛況でした。NHK教育テレビの番組としても後日放映されるようです。この記念館については、昨年書き留めました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=5898)。開演2時間前に、下見を兼ねて会場ロビーを通ったところ、すでに200人以上の方々が列をなしているではありませんか。少し驚きましたが、私は取り敢えず隣の歴史博物館(http://www.mus-his.city.osaka.jp/)の特別展示、「発掘された日本列島2010」を見学しました。

隣の博物館では

隣の歴史博物館では

 この「菜の花忌」は、司馬遼太郎さんの命日の2月12日に、東京と大阪で交互に開催されています。今年は第15回とのこと、ホールの舞台前方には端から端までたくさんの菜の花で飾られていて、終了時には参加者の方々にお土産としてプレゼントされました。

当日のプログラムから

当日のプログラムから

 プログラムは2部構成、第一部は「司馬遼太郎賞」、「フェローシップ」の贈呈で、それぞれ現理事長・福田みどりさまからの手渡しでした。福田みどりさまは、昨年夏に腰を患って入院中とのこと、先日も病院からお越し頂いたとのことでしたが、しっかりとしたまごころ溢れる冒頭のご挨拶でした。

福田みどり理事長のご挨拶: 入院中に、あらためて「生きる」ことの意味を学んだ。入院している方々は、清らかな魂からこぼれ落ちるような笑顔、前向きで、明日だけを見ている眼差しに感動した。存命だった司馬さんを、どれだけ本当に理解出来ていたのか、振り返る時がある。

 第二部は、シンポジウム「司馬遼太郎のたいまつ――われわれが受け継ぐべきもの」と題して、興味深いお話。小学校の教科書にも掲載された、「洪庵のたいまつ:http://www.youtube.com/watch?v=ePjlDn-VH0Y」、「二十一世紀に生きる君たちへ:http://gogodiet.net/Forkids.htmhttp://yokohama-now.jp/home/?p=3504」を題材に、緒方洪庵の大阪・適塾の理念ほか、4人のパネラーそれぞれの視座から含蓄のあるご発言でした。

 ~~~~~~~「人間は自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている」と、中世の人々は、ヨーロッパにおいても東洋においても、そのようにへりくだって考えていた。この考えは、近代に入ってゆらいだとはいえ、近ごろ再び、人間たちはこのよき思想を取りもどしつつあるように思われる。

 この自然へのすなおな態度こそ、21世紀への希望であり、君たちへの期待でもある。そういうすなおさを君たちが持ち、その気分をひろめてほしいのである。そうなれば、21世紀の人間はよりいっそう自然を尊敬することになるだろう。そして、自然の一部である人間どうしについても、前世紀にもまして尊敬しあうようになるのにちがいない。そのようになることが、君たちへの私の期待でもある。~~~~~~~~~~~「二十一世紀に生きる君たちに」より引用

 江戸の各地における多様な教育の再評価、「理屈」と「道理」との違い、岡潔の「鋭い発見の喜び」ほか、パネルディスカッションで紡ぎ出される味わいのある言葉を反芻し、私は帰り道に何回もうなずきながら余韻に浸っていました、素晴らしい会でした。

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