酪農学園大学連続公開シンポジウム「健康な土から生まれるリンゴと牛乳」で、「奇跡のリンゴ」の青森県弘前市果樹農家・木村秋則さん、「希望のミルク」の網走郡津別町酪農家・山田照夫さんの講演会・総合討論が、500人を越える聴衆を集めて開催されました。
木村秋則さんhttp://www.sun-act.com/kimura/ は、農薬と肥料を一切使わない農法により、りんごと米を栽培しています。10年近い無収穫のリスクを取っての体験からとは想像も出来ない明るさで語られました。
山田照夫さんhttp://www.nhk.or.jp/tabemono/back_number/081109.html は、「自然」「人」「牛」全てにやさしい循環酪農をめざして活動してきたお話をされました。以下、キーワードを幾つか書きとめました。
*新しいことは何もしていない、自然の仕組みを取り込んでいるだけ
*ずっと土の上だけを見てきた、土の中を見ていなかった――山の土を畑に戻しただけ
*「熊も食わないリンゴ、9月に咲く花」、何か変でしょう
*葉の穴は、自分の病気を落としている跡――木が自分を治癒している
*「有機畜産」とは、1)有機飼料の給与 2)動物用医薬品の未使用 3)「家畜福祉」という考え方
*アブラムシの天敵はテントウムシ(?)、一日に何匹食べるか数えたのか!自分は数えた
*柔らかい土の驚くほどの保水性
*根が生えやすいように、その助けをしているだけ
*リンゴを作るのはリンゴの木
*土づくり、それは多種多様の雑草をはやすこと
*虫が虫を食べること、これが自然であり、対症療法は間違っている
*対症療法ではなく、予防が一番
とにかく、あっという間の4時間でした。予定を1時間以上もオーバーしましたが、誰一人途中で帰る者もなく、ホール全体は熱気と一体感で最後まで溢れていました。山田さんの「消費者が一番難しいね」とポツリと語ったのが印象的でした。
締めの酪農学園大学・谷山弘行学長のご挨拶では、「お二人のリスクを取った勇気ある試みに、これまでアカデミックセクターは農業分野で何をしてきたのか、大きな問題提起でした。酪大は『実学』を誇りとしてきましたが、『座学』であった事をあらためて認識しました」、とおっしゃっていました。大変謙虚で、そしてお二人への最大限の称賛のお言葉と受け止めました。新年度から、有機農業の講座も開設されるそうです。
お二人とも大地の現場からのお話で、大変説得力があり、明るく面白く、北海道・東北での食・農の可能性を感じた場でした。