何故、急に左手なのか?
つい10日ほど前に、自分の不注意でポットからの熱湯を左手に浴びました。沸騰してからほんの少し時間が経ってはいたのですが、すぐに流水で冷やし続け、その後仕事中はアイスノンをハンカチで包んでほぼ半日はその状態でした。直接アイスノンだと今度は凍傷になる危険性もありますので。水ぶくれとか心配しましたが、お陰さまでそんな展開も無く、次第に薄皮が捲れ出して、十日後の様子がこれです。
敢えてこんな写真を載せたのは、大変な目にあったと言いたかったのではありません。毎日、時々刻々変化していく手の皮膚の状態が否応なく目に入り、何とも自分の体の再生能力に感動を覚えるのです。日を追うごとに回復するのはもちろんですが、朝と晩、飛行機の中、クーラーの効いている室内、屋外を歩いて汗をかいている時、いずれも表面の皮膚の状態が環境に対応するがごとく微妙に変わるのを、如実に感じている日々です、そう、いじらしいほど対応している。
私には火傷には忘れ難い思い出があります。小学校5年生の時、理科の実験で試験管の水をアルコールランプで温める実験がありました。木製の試験管バサミで斜めに角度をつけながら、そこまでは教科書通りだったのですが、ゆっくり回転させることもなくじっと熱源の上に置いたままにしていると、1回、2回の沸騰の後に、いわゆる「突沸」で熱湯がドッと試験管から飛び出して、持っていた右手にかかったのです。見ていた先生もびっくりしてすぐに保健室へ行って手当をし、理科室に戻りました。痛みは取れてその後回復はしましたが、その時の火傷の跡は、今も右手の甲にうっすらと少しの「シミ」となって残っています。自分が中学校の理科教諭になり、理科の授業で実験する際に、真っ先に私はいつもこの「突沸」の注意をしていました。
還暦を過ぎたからでしょうか、自分の体の所々の傷一つ一つに、振り返られる物語があることにふと気が付きます。幸い私には不幸な体の傷はありませんが、その時の状況、心境等がリアルに再現されるからなかなか根深いものがありますね。
今回の自分の左手は、後1・2回「脱皮?」を繰り返して、元の状態に戻ることでしょう。それにしても、人間の「再生力」って、すごいものですね、あらためて感動します。