今回のハンガリー滞在の最後の夜は、参加者の皆さん出席のパーティです。5年前も彫像「母子像」をかたどった丸いケーキがサプライズでしたが、今回はより精度高く登場でした。
* 5年前の様子――>http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14710
翌日、出発の早朝に、ウィーン門からブダ城内を散歩し、まだ観光客で賑わう前の広場、マーチャーシュ聖堂(http://www.matyas-templom.hu/)は気持がよかったですね、ピリッと寒く、札幌とほぼ同じ気温。
朝食後は、今度は城壁の下に沿って「岩の病院」入口まで歩くと、また違ったお城の雰囲気を味わえました。
この博物館、ハンガリーの歴史を野戦病院からの視点で考察した素晴らしい内容でした。館内は撮影禁止でしたので、インターネット検索で以下をご参考に。特に、終盤の展示は、反核兵器のコーナーで、広島の原爆投下・被害等の展示がリアルにされていて、出口の天井には折り鶴がたくさん吊るされ、平和への強い願いを感じました。ハンガリーの歴史考察とメッセージの強さは、彫刻ばかりでなく、歴史に真摯に向き合う姿勢を学びます。
Hospital in the Rock
広島市原爆資料館 http://hpmmuseum.jp/modules/news/index.php?action=PageView&page_id=31
毎年10月6日は、セーケシュフェヘールバール市では、戦没者慰霊式典が開催されています。ここはバラトン湖の入口、かつて、ハンガリーの歴代国王が戴冠・埋葬された歴史のある都市です。私はこの式典にこれまで2回参列していますが、今年はワグナー・ナンドール没後20年の記念の年でもあり、スウェーデンからナンドール氏の三男・ワグナー・バーリントご夫妻も加わって、一層印象に残る行事となりました。式典の行われるマチの広場には、ワグナー・ナンドール作品「ハンガリアン・コープス」が建立されています。
* 2011年 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=10357
* 2012年 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14622
チェル=パルコヴィチ・アンドラーシュ市長(前列右3番目)、関係者も整列、私たちも右側に
毎年、地域の小・中学生が学校単位で臨席し、高校生による著名な戦没者の一人一人の最期の言葉を次々と朗読しています。戦争中に一人一人が懸命に闘い不条理にも亡くなった歴史をしっかり伝えていく姿勢は、大いに見習う必要があります。侵略される側の歴史の継承は、人々のアイデンティティの形成となっていくのでしょう。
約1時間半の式典が終了し、ブダペストに向かう途中のレストランで昼食です。ここのフィッシュスープは素晴らしかったです!
ワグナー・ナンドール没後20年の記念会がブダペスト市内のゲストハウスで開催されました。
私も日本におけるワグナー・ナンドール財団のこれまでの活動について報告をしました。
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2017.10.4ブダ記念会あいさつ文 秋山 孝二
<財団の事業報告>
今年でWN財団は30年を迎えます。5年前に3代目の理事長に就任し、今、WN没後20年を振り返っています。ちよさんは、先月の誕生日で88歳、日本では「米寿(べいじゅ)」と言ってお祝いを致します。本人は益々元気いっぱいですのでこれからも宜しくお願い致します。
WN自身の業績は、すでに皆さまよくご存じだと思いますので、私はこの20年間、特に直近5年間のちよさんを先頭にしたWN財団の活動をご報告致します。
まずは、これまでの栃木県益子を拠点とした春・秋の展示会、及びコンサート・写真展の同時イベント開催により、知名度が飛躍的に上がってきていること、そして、栃木県が2020年東京オリ・パラピックのハンガリー選手団のホスト県になったことにより、関係が大変親密になっています。
今年7月には、「ようこそ!栃木県に!」をハンガリー語で大きく横断幕に書き、栃木県庁でHOC代表(ハンガリーオリンピック委員会)の方々をお迎えしました。 そのハンガリー語をちよさんはキシュ夫妻に教わったので、この場を借りて御礼申し上げます。さらに栃木県教育委員会とHOC代表二名がWN財団を訪問し、アトリエ他をゆっくりご見学されました。両者とJOC三者による栃木県での「五輪前合宿の覚書」の正式調印は、10月6日 で、WN財団からも立ち合いに評議員が出席しています。
また、パラノビチ・ノルバート駐日大使にはプライベートで益子のWN財団に足を運んで頂き、つい先日は、東京都中野区哲学堂公園の「哲学の庭」に、ハンガリーのホッパール・ペーテル文化担当事務次官、パラノビチ駐日大使、田中中野区長、出井(いでい)区議会議長ほかが訪問され、大変熱心に鑑賞されていました。田中区長は、帰り際に、「中野区にとって誇りである」と私におっしゃっていました。
一方、日本の文化庁宮田長官は6月に益子を公式訪問され、ちよさんはじめ、財団理事・評議員がお出迎え、ご案内しました。
今年の「WN没後20周年記念事業」は、7月の栃木県宇都宮南図書館でのコンサート、講演会でスタートし、9月の札幌での「母子像・ふるさと」を巡るご講演、ピアノトリオ演奏、いずれも大変好評でした。今後は、来週の東京で評議員の堅田さんの娘さんが指揮する合唱団コーラスライブ、12月東京都中野区でのフォーラム、パネルディスカッションと盛りだくさんに続きます。これにはブダペストのノジュ・ガーボール・タマシュ区長のご出席も決まったと先日伺いました。
今年は、本当に内容の濃い一年、皆さまの応援を背に受けて、栃木県益子から元気いっぱいWN財団も世界に発信して参りますので、宜しくお願い致します。
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会の後は交流パーティ、100歳になるワグナー・ナンドールの友人もご参加・ご挨拶でした。
没後20年記念に相応しい、ハンガリー、スウェーデン、日本での創作活動の振り返りのひと時でした!
(1)で「前回訪問時は、リノベーション工事中でしたが、敢えて古く見せる建築・リニューアル技術がすごいです。そして、博物館前の大きな戦士の像は、この期間の特別展示用のディスプレイで、全てプラスティック製、まるで歴史的彫像のようです。」と書きました。古い建物・彫像の復元技術は、別の言葉では「歴史の復元技術」とも言えるような気がします、「ねつ造技術」ではなくてですよ。
昼間に探索したブダ城内のリノベーションと同じように、ペシュト地区でも随所にこの発想が活かされていました。その中で特に印象的だったのは、ワインセラーです。町なかの古いビルの一階には広いワインショップ、その地下は、旅行ガイドブックにはレストラン、イベント会場「DOMUS VINORUM(http://www.domusvinorum.hu/)」となっていますが、実はそれ以外にもワインセラー&会員制クラブとしての場ともなっています。
WN財団理事でブダペスト在住のキッシュ・シャンドールさんはここの会員になっているので、その日はご自身のボトルキープの中からとびっきりのビンテージ赤ワインを一本取り出して4人で飲みましたが、素晴らしい香りと味でした。
まな板・ナイフを含めて、パン、チーズはお好みを持参してワインと一緒に、です。
因みにここの会員年会費は、驚く程安いのです。金持ちのサロンというようりも、会員であることのステイタス、プライベートクラブの人間関係を大切にしていると言ってもいいのでしょうね。会員相互のコミュニケーション、そしてゲストをお招きしてのおもてなし、会員制の原点とも言える「楽しみ」をそこに観た思いです、素晴らしいですね。
翌日の早朝散歩で歩いたブダ城内、こちらも復元、或は古代の歴史の復元・保存の表れかと。
ワグナー・ナンドール没後20周年の記念の年、活動拠点だったハンガリー・ブダペストでも記念会ほかが企画され、日本からも和久奈ちよ、WN記念財団の堅田憲弘評議員と私が参加しました。
幾つかの行事に先立ち、まずはブダペスト市内のゲレルトの丘中腹に建立されている「哲学の庭」に行き、キッシュ理事を交えてのこの間の振り返りでした。
しばし懐かしい思い出話の後は、ワグナー・ナンドールがアトリエとして使っていた王宮下の場所、今はリノベイトされて新しい観光名所となっています。
前回訪問時は、リノベーション工事中でしたが、敢えて古く見せる建築・リニューアル技術がすごいです。そして、博物館前の大きな戦士の像は、この期間の特別展示用のディスプレイで、全てプラスティック製、まるで歴史的彫像のようです。
ここはブダ城の東の端、ここから階段、エスカレーターで昇っていくと、従来のブダ城内に繋がっています。
ブダペスト到着翌日の日中は、20年を振り返り、ワグナー・ナンドールの創作活動の原点を見つめ直すひと時となりました。