北を語る会・移動例会(前)

Posted by 秋山孝二
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 ユニークな異業種交流の「北を語る会」・20周年記念移動例会が、総勢40数名・二泊三日で富良野・美瑛・白金温泉・旭川を巡る旅になり、密度の濃い企画の数々は、感動につぐ感動で息つくヒマもありませんでした。北海道は素晴らしい、惚れ直しですよ! 

 まず1日目は、今春オープンした富良野「カンパーナ六花亭(http://www.rokkatei.co.jp/facilities/campana.html)」です。ブドウ畑を育成中で、数年後には素晴らしい場となるのでしょう。ここからの眺望も、坂本直行・相原求一郎作品ギャラリーも、お洒落でセンスが抜群でした。ここでの昼食後は、富良野市内に同様に春開設した「フラノマルシェ:http://www.furano.ne.jp/marche/」です。連休の初日でもあり、沢山の人で賑わっていました。

六花亭ブドウ園より

カンパーナ六花亭・ブドウ園より十勝岳を望む

   次はお馴染みの「富良野演劇工場:http://www.furano.ne.jp/engeki/engekiopen16.htm」です。今上演中の富良野グループ(http://www.furanogroup.jp/)「歸國」を観ました。面白い設定だとは思うのですが、少々無理があるのかな、とも。場面・場面は現代への批判的メッセージも良く分かりますが、「英霊」が今を語る違和感というか、しゃべり過ぎというか、もっと「霊的」であって欲しかった(?)、シナリオとして後半部の刺された息子の登場は冗漫な気がしました。私にとっては昨年の「屋根:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=584」の方がはるかに胸に迫りましたが。かなり期待していただけに残念でした。

富良野グループ演劇ポスター

富良野グループ演劇ポスター

  そして1日目の宿泊場所、「ハイランドふらの:http://highland-furano.jp/」です。ラベンダー畑が香りも上品で見事でした。

富良野高原ホテル・ラベンダー畑

ハイランドふらの・ラベンダー畑

 夜も盛りだくさん、まずは「風と啄木鳥(きつつき)」のギター・尺八のコラボ演奏、ギターは富良野市内でスナック「啄木鳥」を開業している小林庸さん、尺八は山中詔市さんです。「北の国からのテーマ:http://www.youtube.com/watch?v=hsSAnsrQvLk」に始まり北島演歌まで、素晴らしいハーモニーでしたね。特に尺八の音色は多彩で色っぽかったです。

 そして「富良野メセナ協会:http://d.hatena.ne.jp/nobuko945/archive」代表・篠田信子さんのご講演でした。(社)企業メセナ協議会(http://www.mecenat.or.jp/)とも連携した活動をされています。篠田さんは、日本で初めてのNPO法人「富良野演劇工房:http://www.furano.ne.jp/engeki/」の初代理事長で、富良野の演劇を永年地域で支えてきた第一人者です。(財)北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)でも設立以来、大変お世話になっています。

 「文化を手法にまちの活性化を願う」、その草分けとして市民活動をリードし、地域の方々を信頼してすそ野をいつも広く展開して、「演劇のまち・富良野」、「文化の香るまち・富良野」、「50年後の子供たちに宝を残したい」と語りかける彼女の一言ひと言に説得力がありました。行政へのアプローチもポイントをつかんでブレず、怒らず、男はその点ダメですね、女性の「しなやかな強さ」を受け止めました。

 「FURANO」を満喫した一日となりました。

北海道の「流儀」

Posted by 秋山孝二
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 今年で20年を迎える異業種交流「北を語る会」の例会は、毎回内容が濃く印象的です。私自身、仕事の関係で暫く欠席が続いた時期もありましたが、この数年は出席率も上がり、多彩な方々のお話・演奏等を、ひと時楽しんでいます。

 先日のゲストスピーカーは、磯田憲一さんでした。元北海道副知事で、現在は(財)北海道文化財団(http://haf.jp/)・理事長、(財)北海道農業企業化研究所(HAL財団:http://www.hal.or.jp/)・理事長、NPO法人アルテピアッツァびばい(http://www.kan-yasuda.co.jp/arte.html)・代表、旭川大学客員教授等でご活躍中です。

 「北海道の流儀」と題してのスピーチは大変素晴らしい内容でした。行政マンとして、従来型の殻を破り、実に多くの足跡をこの間北海道に残しています。全国的にも有名になった「時のアセスメント:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gkk/toki/tokiindex.htm」、「試される大地」のキャッチフレーズ、BSEの全頭検査実施等、勇気をもった施策の数々は、今の道政には見る影もありません。

 ご紹介のあった中標津の「マイペース酪農」を実践する三友さんご夫婦(http://www.goto-chi.com/seisansya/mitomo.htm)は、豊かさの基準として「草をミルクに変えられる」、「乾いた薪をストーブへ」、「家族で夕食を食べられる」等でも有名です。また、海に投げ出されて漂流する人が、たいまつを灯しているゆえに周囲が真っ暗で何も見えずに方角が判別できず、ひとりの人が「この灯を消せ」と言って暫く周囲に目を凝らすと、ある方角の遠くにうっすらと光るマチの灯を見ることができた、というお話を引用して、今の北海道が、「たいまつの灯を消す勇気があるか」、と鋭く問題提起をされました。

 「観光」、「観光」と時流に乗った観光客の入れ込みにただ大騒ぎするのではなく、「生き方に迷った人がやってくる北海道」とか、そんな奥行きのある魅力づくりにこそ我々はまい進すべきではないか、とメッセージも発信されました。

 磯田さんというと、忘れられない思い出があります。10数年前の北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)設立時は、行政側の責任者として本当にお世話になりました。設立記念パーティでのご来賓挨拶で、中島みゆきの「ファイト:http://www.youtube.com/watch?v=9TH1Xm25FIM」の一節

「 ああ小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく 諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく

  ファイト!闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう ファイト! 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ」

を引用して、これからの活動を激励して頂きました。そんな来賓挨拶を、私はそれまで、そしてそれ以降も聞いたことがありませんでした。言葉に対して素晴らしいセンスをお持ちだと興奮致しました。その後も韓国・光州市、ソウル市で、北海道演劇の海外公演でも磯田さんとは文化財団理事長として何回かご一緒し、引き続きご指導を頂いています。 

 本当に久しぶりに聞く格調の高いスピーチでした。つい先週、高知で行われたブータン王国ジグミ・ティンレイ首相の基調講演と重なって、「本当の豊かさとは何か」を問う、感動的な言葉とメッセージがぎっしり詰まっていました。本物を目指し、それを実現する「勇気」を持て、まさに「Boys,be ambitious!」の心意気、それこそ「北海道の流儀」と受け止めました。

今、7月のG8サミットをどう評価するか

Posted by 秋山孝二
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私は異業種交流会「北を語る会」の会員です。先日会報担当の方から連絡があり、今年7月のG8サミットを市民はどう考えるかについて、この間私なりに活動した視点から、下記のように報告をまとめてみました。また、それとは別に下記のサイトでも様子を知る事が出来ます。

http://kamuimintara.net/detail.php?rskey=143200809t01

 

 

世界は、きっと、変えられる 」

 

G8サミット市民フォーラム北海道 共同代表

http://www.kitay-hokkaido.net/

(財)秋山記念生命科学振興財団  理事長    秋山孝二

http://www.akiyama-foundation.org/

2008年7月6日から3日間、札幌コンベンションセンター他で開催されたオルタナティブな「市民サミット」は、国内140のNGO会員からなる「2008G8サミットNGOフォーラム」(星野昌子代表 以降 NGOフォーラム)http://www.g8ngoforum.org/forum/と、北海道の80NGO会員からなるG8サミット市民フォーラム北海道」(以降フォーラム北海道)の共催でした。「市民サミット」は札幌市の後援と、18の資金助成団体、43の協賛団体・企業からの支援を頂いて、40を越えるワークショップ・フォーラムの数々に、延べ2000人を越える参加者で盛況でした。 3日間の議論では、「気候変動」「生物多様性」「人権・平和」「貧困・開発」の大きな枠組みで、問題提起と意見交換が活発に為されました。

                                                         この「市民サミット」の意義は、ただG8サミット期間中に企画したという意味合いだけではありません。この市民フォーラムの一連の活動と有機的に結びついている所に更なる価値があります。 たとえばその一つとして、G8と日本政府、そして北海道庁に対して今年6月に政策提言を行いました。それは活動する市民たちがお互いの違いを尊重しながらも、市民の目から政策に反映させていくという、新たな時代の到来を期待させるものでした。

振り返ると、2007921日に「フォーラム北海道」を設立して以来、もうお二人の代表世話人他皆さんとともに、大変密度の濃い活動をして参りました。設立時の挨拶の中でもお話しましたが、私自身は二つの意味合いから、今回の関わりでの自分の使命を感じていました。1)世代としての使命:20世紀半ばに生まれた者として、これからの若い世代が夢を持ち続けられる社会・自然環境への努力を惜しまないこと、2)北海道に育った者としての使命:行政・企業とは異なった、本来の「市民セクター」として、北海道においてプラットホームの構築、そして世界との直接的なネットワークづくりの実践です。市民活動的課題と企業的課題は相対立するのではなく、担い手こそ違うとは言え、その理念はかなり共通していると信じています。永く企業セクターに身を置いた私は、少しでもこの「市民活動への支援」に、メディアを含めた地元民間企業が興味を持つべく、出来る限りの努力をするつもりでこの任をお引き受けしました。

 

手始めの活動として、昨年1029日に、内閣総理大臣、外務大臣、北海道知事宛に、「サミットに対する要望書」を提出しました。いわゆる「開催のあり方」に対する要望書です。具体的内容としては、1)市民に開かれたサミットの開催:政策提言の事前打合せ、CivilG8の開催、イベント・デモ等の市民活動への理解、市民メディアセンター設立への協力等、2)環境と人権に配慮したサミットの開催:会場周辺の環境保全、過剰警備・過剰交通規制反対、無駄な税金投入反対等、です。

 

次は今年1月に札幌市に提出した「公園使用に関する要請書」です。活動自粛を促すとも受け取れる市役所の姿勢に対して、普段と変わらない公的空間での活動を強く要請しました。

 

そして66日に、市民フォーラムは北海道知事へ「政策提言」を提出し、更に北海道的課題への意見交換の場を要望致しました。618日にはNGOフォーラムと共同で、首相官邸において「政策提言」を提出し、その後約1時間半に渡ってそれに基づいた意見交換を首相官邸会議室で行いました。私は市民フォーラムの代表として出席しましたが、30数名出席した政府関係者、海外・国内NGO関係者との緊張感のある意見交換は、大変貴重な経験でした。

 

200877日から3日間開催された「北海道洞爺湖サミット」。いつものように、北海道内ではそれに合わせてさまざまなイベントが繰り広げられました。北海道知事を会長とする「サミット道民会議」は、行政、経済団体などで構成され、サミット1年前の昨年6月に発足、「みんなでサミットを成功させよう」のスローガンのもと、3億円近い予算を立てて、その費用の大半は民間企業からの寄付でまかないました。それに対して私たちは、「おもてなしのこころ」と称して相変わらずの中央依存のこのようなお祭り騒ぎとは明確に立ち位置を異にして、コンパクトな予算の中、しっかり世界に向かって、北海道的課題を共有し発信していく強い決意を表明しました。

 

もろ手を挙げたサミット応援とは一線を画して開催されたのが、「市民サミット」や「オルタナティブ(既存のものとは別な・もう1つの)サミット」と呼ばれる市民参加の集いです。北海道では、環境、平和・人権、開発・貧困問題など多様な分野で活動している道内の団体・個人が一堂に集結し、その中心を担ったのが市民フォーラムでした。東京では昨年1月、NGOフォーラムが結成され、昨年6月初旬にドイツで開かれたハイリゲンダム・サミットに人を派遣し、現地で開催されたオルタナティブサミットに参加していました。近年のサミットでは市民活動団体からの働きかけが活発になり、諸団体が連携して声を上げ、途上国の債務や貧困問題などがサミットの議題に反映し始めています。NGOフォーラムはそんな世界的な動きの中で生まれました。

 

沢山の取り組みをご紹介したいのですが、紙面の都合も限られているので、幾つかだけを紹介致します。

一つは、市民ウイークスとして、補助金なしで成し遂げた「先住民族サミット」です。71日から4日まで二風谷・札幌で開催されて、海外・国内の多数の先住民族・市民の方々が参加し、最終日には「二風谷(にぶたに)宣言」と「日本政府への提言」が発表されました。「宣言」の序文は「イランカレプテ-アイヌ語で『あなたの心にそっと触れさせていただきます』」で始まり、内容は環境、食料、教育など多岐にわたりました。

 

次は、フォーラム北海道とNGOフォーラムが主催する市民サミットです。キャッチコピーは「世界は、きっと、変えられる」、英語で「We can change the world」。各国首脳が続々と来日した76日、オープニングシンポジウム「人々の声を世界に響かせる」が開かれました。冒頭にも書きましたが、3日間で40をえるワークショップを通して、湧き上がるG8サミットへの疑問、地域と世界の課題の共通性、行政とNGOとの新しい関係性等に関して、大変貴重な情報共有と共感を経験しました。たとえば、「夕張から考えるー債務と貸し手の責任を問う」の企画では、フィリピン・インドの方々から貴重な提起があり、別の企画でも北海道の自立と農業・エネルギーを巡るグローバルな課題との関連性を知ることが出来ました。この間主体的に関わった市民には、新たな気づきと連帯感により、確かな手ごたえを得たに違いありません。

 

 最終日のクロージング・セッションでは、参加した中から次の14団体/個人によって、3日間を締め括るレビュースピーチが行われました。G8を問う連絡会(小倉利丸)、市民外交センター(上村英明)、先住民族サミット(木幡カムイサニヒ)、ゆうばり再生市民会議(熊谷桂子)、Japan Volunteer Center (熊岡路矢)、日本自然保護協会(道家哲平)、生物多様性フォーラム(山下洋)、SANSAD/インド(Anil Singh)、日生協保健部会(北嶋信雅)、Africa Jubilee SouthNoel)、毎日新聞(横田愛)、Youth G8 Project(林雄太)、ezorock(草野竹史)、ACE(岩附由香)。

 

そして総括挨拶として、NGOフォーラム代表の星野昌子さんが、「政府に取り込まれることなく、緊張感と距離感を持ち続ける一方、大組織主体ではなく、多様なNGOの声に耳を傾け続ける姿勢を大切にしたい」と、含蓄のあるお言葉で締めくくられました。

別の活動として、どうしてもご紹介したいのが日本初とされる「市民メディアセンター」が札幌市内の3カ所に設置された事です。デモでの逮捕報道だけでなく、シンポジウムの内容の詳しい報道や、市民活動の記者会見などで大きな力を発揮したのが独立メディアや市民メディアと呼ばれる新しいジャーナリズムでした。動画・音声・活字をフルに活用し、近年のG8サミットやWTOなどの国際会議では、こうした草の根的なメディアの活動を支援するための組織が現地に設置されており、今回は「G8市民メディアセンター札幌実行委員会」が結成され、中心的活動を担いました。

この間主体的に関わった幅広い市民には、新たな気づきと連帯感により、確かな手ごたえを得た一連の活動だったに違いありません。そして単に思い出に留めるのではなく、今後のNGO活動へのステップとして役立てたいと今思っています。