札幌劇場祭(TGR)の審査を終えて(4)

Posted by 秋山孝二
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 公開審査会後に、いろいろ知ったことがありました、「客演」、「ロングラン」の難しさもその一つです。

 今の北海道では、演劇関係者(役者・脚本家ほか)がプロフェッショナル(専業)として生活するのはなかなか難しい環境であり、生活の糧としての「仕事」をし続けながらの公演にならざるを得ません。当然そこには「職場の都合」があり、未成年の場合は夜の時間制限等社会的制約も順守しなければなりません。一つの劇団であれば、その約束を長年共有してきていますが、客演となると、稽古・公演の時間帯等がいつもとは違い、なかなか全員が揃う場の確保が難しい、ロングランでも同様で、まさに「芝居以前の環境整備」ができていない状況なのだと思います。

 今、札幌では、「演劇創造都市札幌プロジェクト:http://s-e-season.com/about-project/」を展開中で、私はその副代表の一人です。札幌劇場祭も終り頃の先月末に、「このひとと語ろう~札幌の演劇へのアプローチトーク②~」が、第二回目として秋山財団2階で開催されました。第一回は代表の荻谷忠男さん(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14386)、来年1月17日の第三回は副代表の高堂理さんの予定です。

 今回は私と「劇団yhs:http://yhsweb.jp/」主宰・演出家の南参さんとのトーク、司会はNPO法人コンカリーニョ(http://www.concarino.or.jp/events/)理事長の斎藤ちずさんで、40名の皆さまがお集まりになりました、ありがとうございます。劇団yhsは今年で15周年の節目の年を迎えています。苦節15年(?)、一直線ではなかった様子を先日も南参さんから伺うことができました、また彼は私の中学校の後輩ということも知りました。

中央が南参さん、右が斎藤ちずさん

中央が南参さん、右が斎藤ちずさん

 このプロジェクトでは、札幌で、仕事として、演劇に従事する演劇人が100 人誕生することを目標としています。演劇にかかわる専門技術者は、俳優だけではありません。舞台美術、装置、音響照明、衣装、メイク、ヘアなどの技術者、広告宣伝、印刷やメディアの業界、劇作家や演出家、作曲家、演奏家、歌手、ダンサー、振付家、劇場に欠かせない飲食業、などなど、その波及範囲は極めて広いのです。演劇人が、仕事として継続的に演劇創造ができる街・札幌、そこに、多彩な技術と才能が集まります。その軸として、「札幌劇場祭(TGR)」と「さっぽろ演劇シーズン」がしっかり根付くことが大切であり、今年の審査会を終えて、今、その手応えを実感しているのは私一人ではないと思います。

 芝居のクオリティを上げることは勿論ですが、多彩な公演の場を支える、演劇にかかわる人々「演劇人」が仕事として暮らせる芸術・文化の香りの高いマチを創っていく、それが3・11以降の地域の大切な価値なのだと思いますね。

<参考>

代表     荻谷 忠男(北海道テレビ放送株式会社代表取締役会長)
副代表    秋山 孝二(秋山記念生命科学振興財団理事長)
       高堂 理(株式会社電通北海道代表取締役社長)

幹事   飯塚 優子(レッドベリースタジオ主宰)、碓井 雅博(株式会社電通北海道マーケティング・クリエーティブ局長)、尾崎  要(舞台監督)、斎藤 ちず(NPO法人コンカリーニョ理事長)、林 亮一 (北海道テレビ放送株式会社取締役報道情報担当)、三上 敦(株式会社ノヴェロプロジェクト推進室・プランナー)、右谷 誠(シアターZOO幹事)、閔(ミン)鎭(ジン)京(キョン)(北海道教育大学岩見沢校准教授)

事務局長    平田 修二(北海道演劇財団専務理事/プロデューサー)

■連絡先
北海道演劇財団 Tel:011-520-0710 Mail:office@h-paf.ne.jp
NPO 法人 コンカリーニョ Tel:011-615-4859 Mail:mail@concarino.or.jp

北海道の演劇、過去から未来へ

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 今年も札幌で始まりました、「さっぽろアートステージ2012:http://www.s-artstage.com/2012/」、そしてその舞台芸術部門の「さっぽろ劇場祭:シアター・ゴー・ラウンド:TGR(http://www.s-artstage.com/2012/tgr2012/)」も盛況です。

 これまで以上に、今年の11月は盛りだくさんです。中島公園の北海道文学館(http://www.h-bungaku.or.jp/)では、特別展示「戦後の北海道の演劇:http://www.h-bungaku.or.jp/」で、多彩なトーク等も12月中旬まで予定されています。

特別展示「戦後の北海道の演劇」

特別展示「戦後の北海道の演劇」

(公財)北海道演劇財団 平田修二専務理事のトークタイム

(公財)北海道演劇財団 平田修二専務理事のトークタイム

 「さっぽろ劇場祭」では、私は今年3年目の審査員です。11月最初から12月1日まで、エントリー作品を12月2日の公開審査会までに札幌市内9劇場で観劇し、今年の「大賞」、「特別賞」、「新人賞」を決めます。公演日時が限定されているので、多い時は一日3つの芝居を渡り歩いて観る時。まさに来る日も来る日も幅広いジャンルの「演劇」鑑賞です。昨日現在、折り返し点間近といった感じでしょうか、熱演が続いていますし、この所は「人形劇」のジャンルが格段に進化しているような気がします。

中島公園から藻岩山を

中島公園から藻岩山を

 気がついてみると、中島公園もすっかり秋の気配、この写真は1週間程前ですから、今日あたりはもう葉っぱもすっかり落ちているかもしれません。色とりどりの紅葉、それぞれのシーズンの収穫期とでも言うのか、2年前にも書きましたが(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6454)、私は「秋」が最も好きな季節です。

「ちびタイ」、オシャレですね!

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  「tibitie : ちびタイ」って、ご存知でしたか?

 先日、「公益財団法人 北海道演劇財団:http://www.h-paf.ne.jp/の理事会で、隣の席のO理事長(テレビ会社:http://www.htb.co.jp/代表取締役会長)の襟に注目が集まりました、会長はファンサービスにVサインまで!

 申し訳ありません、ご自慢の笑顔は「カット!」とさせて下さい、ねっ!?

スーツ襟にストライプの小さなネクタイ!

スーツ襟にストライプの小さなネクタイ!、Vサインの奥に映る女性は財団職員のKさん

 

「tibitie : ちびタイ(http://www.nagashima-fukushoku.co.jp/tibitie.html)」 は永島服飾(http://www.nagashima-fukushoku.co.jp/index.html)の登録商品です、「意匠登録 登録第1408705号こちら」。

 ネクタイ型アイテムリストはこちら(http://www.prio.co/item/tibitie/pg328.html)です。クールビズでネクタイの行き場がなくなり、オシャレポイントも一つ減った今、ネクタイの生地を活かして新しく「ちびタイ」の登場です、素晴らしいアイディアとセンス、シアターZooの稽古場で行われた理事会に、さらに、「華」ならぬ「ネクタイ」を添えました!!!

祝!「公益移行認定」、二財団

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 3年前から、日本全国の財団・社団法人が、今後の法人格について、5年以内に選択を迫られています(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=174)。その中で、私が関わっているいくつかの財団法人では公益移行認定(http://www.koueki.jp/pdf/080704nintei_tebiki.pdfを終えましたが、先日残っていた「北海道対がん協会:http://www.hokkaido-taigan.jp/」、「北海道演劇財団:http://www.h-paf.ne.jp/が、共に公益移行認定を受けて、晴れて4月1日から「公益財団法人」として再スタートすることが決まりました。「民が担う公共」の主体が、より現実的になってくる時代の到来を実感しています。

 これまでに、私が関わっている財団法人は、以下の通りです。

* 公益財団法人 秋山記念生命科学振興財団(http://www.akiyama-foundation.org/

* 公益財団法人 ワーグナー・ナンドール記念財団(http://www3.ocn.ne.jp/~wagner/TOP.html

* 一般財団法人 北海道札幌南高学校林(http://www.rikka.net/officer/

* 公益財団法人 杉野目記念会(http://www.mext.go.jp/b_menu/koueki/daijin/01/018.htm

* 一般財団法人 前田一歩園財団(http://www.ippoen.or.jp/

 「公益財団法人」への移行が多いですが、活動の自由度に重点を置いて、敢えて「一般財団法人」を主体的に選択した財団もあります。今回の変革の目的が、民間の自主・自立的活動を目指すことにあるのですから、それぞれの活動主体が自身の理念・目的で、新しい時代の社会貢献の実を挙げることを期待します。

 私が副理事長をつとめる「北海道演劇財団:http://www.h-paf.ne.jp/」は、今回の公益財団法人への移行を機に、付属の劇団「TPS(Theater Project Sapporo):http://www.h-paf.ne.jp/tps/tps.htmlが名称を変更し、「札幌座」となります。札幌を拠点に、プロフェッショナルな演劇創造を目指す北海道演劇財団主宰の演劇集団。これまでの15年間の数々の実績を基盤に、さらにオール札幌・北海道で演劇の「磁場」を創造していこう!、そんなメッセージを全国・世界に発信です。

 「演劇」と名のつく財団が、今回、「公益財団法人」として新しい公共の担い手に認められたこと、そのことの意味合いが、北海道で演劇に関わる方々、ファンの皆さまには、大変大きな意義があると思っています。これからの活躍が楽しみです!

札幌演劇シーズン2012-冬

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 「札幌演劇シーズン2012―冬:http://s-e-season.com/」と銘打って、まずは来年1月28日(土)から2月25日(土)までの1カ月間、札幌に演劇シーズンを創ろうと、、二つの専属プロ劇団がレパートリー作品を再演します。先日、その記者会見が和やかに開催されました、いずれ欧米のように、冬3カ月、夏3カ月の半年間にしていきたいという意欲も感じましたね。この辺の経過は、北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)・平田修二専務理事が、こちらで詳細を語っています(http://theaterkino.net/wp/?p=1726)。

 劇団イナダ組(http://www.inadagumi.net/)・イナダさん、劇団TPS(http://www.h-paf.ne.jp/tps/tps.html)・齊藤歩さん、そして、今立ち上がっていて私も呼びかけ人の「演劇による創造都市札幌実現プロジェクト:http://s-e-season.com/about-project/」の代表幹事・蔵隆司さんが壇上に並んでの会見でした。まずは来年の冬・夏の1ヵ月間、毎日レパートリー作品の上演をしていく所から始まります。

記者会見で抱負を語る演出・役者の皆さん

記者会見で抱負を語る演出・役者の皆さん

  今年3月、劇団TPSが「レパートリーシアター:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7983」を行いました。途中、大震災が起こりましたが、こんな時期であるがゆえに舞台の力で皆さんを力づけようと、公演を続けました、素晴らしい判断だったと思います。今回、この大成功も踏まえて、札幌のマチづくりの軸としての多彩な「芸術・文化」を皆で育て・楽しもう、そんな進化を感じます。

 すでに名のある役者・芝居をただ観るのも結構でしょうが、手身近な惣菜を買ってくるように芝居を観て終りで「消費する」のではなく、役者を目指す若い連中、或いは芝居で生きていこうと決めている人たちが、この札幌のマチから続々と輩出される、そのような人たちを劇場に足を運ぶことで育て、勇気づけるみたいな、少々おこがましいですが、こんな風土が北海道にはあると思うし、期待したいですね。

 テレビ・映画・舞台を観ながら、「あの役者、若い頃はこの劇場で一生懸命だったね」とか、辛口の批評も大歓迎、役者・演出家とともに育つファンは魅力的だとは思いませんか!

シアターZOO演劇祭、「ZOO11」

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 北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)では、毎年いろいろな取り組み・企画を実践しています。今年3月、初めての試み、「レパートリーシアターhttp://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7699http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7983」では、大震災の最中も継続して敢行し、いらっしゃった観客に力を与えました。
 「シアターZOO演劇祭:http://zoo11.seesaa.net/」は、今年で5年目を迎えました。今年は「ZOO11:ズー・イレブン」と銘打って、「弦崎東総合病院」の一室を舞台に、6つの若い劇団の熱演が続いています。

シアターZOO演劇祭「ZOO11」

シアターZOO演劇祭「ZOO11」

  この企画は、小劇場で演劇を続ける劇団同士が出会い、観客に何度も足を運んでもらおうと始まり、今年で5回目の開催となります。プロデューサーはシアターZOOフランチャイズ劇団・弦巻楽団(http://tgakudan.blog98.fc2.com/)代表の弦巻啓太さん、今年で3年目ですが、最初は「旅館」、2年目は「ファミリーレストラン」、そして今年は「病院」が舞台です。彼は演劇製作に関して、その周辺でたくさんメッセージを発信しているので興味深いですね。私は以前から感じているのですが、劇団代表とかプロデューサーの方は、いろいろな場で遠慮なく芝居に関しての情報発信を広く一般向けにするべきだと思います。役者のインタビューをチラシに掲載するとか、ブログなどは多くあり、観劇前も後も楽しめます。普通の人、或いは劇場に足を運んだことがない人たちにも目に触れる場での発信が、すそ野を広げることになっていくのだと思います。もちろん、私のような素人が、観た感想を率直に書き留めることも少しの応援になるのかな、と。

 私はこの企画、これまで時間が取れなくて、全ての劇団を観る(10日予定の二つを含めて)のは今年が初めてです。ベッドが4つ並ぶ病室、全く同じ舞台にもかかわらず、患者と看護師、患者同士、患者とその関係者、それぞれのストーリーで観客を楽しませてくれます、実に面白い企画ですね。昨晩は、同じ劇団で5人の役者が全て違う芝居を観ましたが、まあ、全く別物ですね。同じ劇団でも初日と千秋楽、役者の違い、その回の観客の雰囲気等で大きく印象が変わる、一回一回が「オンリーワン」、その辺が演劇の面白さなのでしょうね。

 そう言えば、私が最初に演劇の魅力に取りつかれたのは、今から40年くらい前に、東京新宿で演劇学校の卒業公演観劇に誘われた時からでした。朝から同じ演目を役者を変えての卒業公演、夜まで観ていましたが織りなす雰囲気の違いが実に面白かったですね。今回の演劇祭、足を運んでいる方々は若い世代も多く、これからの北海道で担い手となる期待も大きく、楽しみです。演劇を「消費」するだけではく、「表現」し、「生産」していく担い手の育成、芸術・文化の土壌を育みたいですね!

大盛況、レパートリーシアター

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 北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)の付属劇団TPSが、初めて「レパートリーシアター」と銘打って、1ヶ月のロングラン公演を行い、大盛況で昨日終了しました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=7699)。「アンダンテ・カンタービレ」、「西線11条のアリア」、「秋のソナチネ」のオリジナル三作品上演、途中、11日に大震災があり、継続を危ぶまれましたが、「今回の三作品はいずれも、生きることの意味、死とどう向き合うかを描いたものであり、今、多くの方に観ていただきたいと考えております」との勇気ある判断で、予定通り公演を続けました。

初めての一ヵ月連続公演

初めての一ヵ月連続公演

  千秋楽は、「西線11条のアリア」で締めくくりました。会場はいつもにも増して大盛況、特に若い層が多かったのが心強かったですね。

千秋楽、「西線11条のアリア」は大入り

千秋楽、「西線11条のアリア」は大入り

 日本全国では、演劇公演はじめ、殆どのイベントがキャンセルになり、札幌でも同様の傾向が見られました。そんな中、今回の連続公演は、そういった時節柄であるがゆえに、逆に芸術・文化の価値を再発見した気がします。足を運んだ動機として、「毎日、悲惨な光景のテレビ映像で気が滅入ってしまったので・・・」とおっしゃる方も多かったです。

 案内パンフの中で、レッドベリースタジオ(http://www.akai-mi.com/)主宰の飯塚優子さんが、まるで今回を予測するかのように書かれています。

~~~~~きょうは芝居でも観ようかな、そう思ったらいつでも演劇をみることができる。そんな夢を実現するのが、レパートリーシステムによる「ロングラン」という上演形式です。せっかく創った作品を、1回の上演で消費してしまうのではなく、大切に日々新たに再演する。これは特に珍しいことではありません。歌舞伎も新派も、欧米のオペラ劇場でもパブリックシアターでも、ロングランは演劇を産業として成立させるために、広く採用されてきたオーソドックスなシステムです。

 まちに劇場があるということは、そこに「ひとの心と身体」について、いつでも考えている人たちが居るということです。病院に医者が居て病を治すように、大学や研究所に科学者が居て世界の成り立ち解明に挑んでいるように、劇場に演劇人が居て人間とこの世の関わりのあらゆる姿を映し出す仕事をします。

 生命、安全、衣食住の確保、そしてもうひとつ私たちが望むものは、芸術文化に触れる時間です。生きる意味を問い、時空を超えて限りある時間を共有する、私たちの大切な営為です。

 札幌にそのような場としての「劇場」がうまれ、演劇人が演劇の仕事に専念できるように、まずはロングラン公演を形にしてみましょう。すべてを、ここから始めましょう。~~~~~~~~

 もう一つ、シアターZOO(http://www.h-paf.ne.jp/zoo/index.html)が今年10周年を迎えました。昨日はロングラン千秋楽お祝いとともに、10周年のお祝いの会も同時に開催されました。誕生の3つのポイント、特に扇谷治男さん、ご夫人の高木孔美子さんからの寄付の経緯等も紹介されました。

 これまで多くの方々のご尽力で、札幌・北海道に演劇の種がまかれ、芽が出て、今、産業としての基盤が創られつつある確かな手応えを感じています、楽しみですね。

「TPSレパートリーシアター」始まる!

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 私も副理事長を務める北海道演劇財団の付属劇団TPS(http://www.h-paf.ne.jp/)が、今年、初めてのチャレンジ「レパートリーシアター」を始めました。役者は大変ですが、3月一ヵ月間にレパートリー3つの作品を公演します。場所は、中島公園横のシアターZoo(http://www.h-paf.ne.jp/ogist/)です。

 初日公演後、関係者が集まってキックオフ・パーティー、すごい熱気でした。

シアターZooのロビー:これまでのポスター

シアターZooのロビー:これまでのポスター

レパートリーの名場面

レパートリーの名場面

初日を終えて「祝スタート・ミニパーティ」で挨拶する斎藤歩さん

初日を終えて「祝スタート・ミニパーティ」で挨拶する斎藤歩さんと出演者たち

 札幌には、たくさんの若手の演劇人が活躍しています。ただ、コマーシャル料等が首都圏と違っていて、ギャラにも限界があり、なかなか演劇だけでは食べていかれないのが現実です。そんな中でも果敢に挑戦する役者達に拍手を送り続けて、北海道発の人材を世に送っていきたいものです。「創造都市・さっぽろ」を謳うのなら、すでに著名なものを呼んできての「興行」、作品鑑賞だけの「消費」ではなく、人材の育成を主軸にすべきではありませんか!今必要なのは、それぞれできる活動、たとえば資金的支援、場を創る、鑑賞する、広く宣伝する等を通して、産業としての育成的視座をもつことなのだと思います。

 今回の公演は、身近なテーマを扱っていて、北海道のローカルな話題で大変面白いと思いますよ!!!!

ライブ・芝居ほか、今年も楽しみ

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 この数年、ライブ演奏とか芝居とか、自由になる時間を得たこともありますが、随分たくさん足を運んできました。今年も出来るだけ機会を見つけて、興味深いものを追いかけたいですね。

 2008年12月(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=170)、2009年1月(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=427)、2009年3月(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=741)と、この欄にも書き留めた白田路明(http://con-sent.net/peace/shirata_michiaki/index.html)くんのライブが、昨年末開催されました。

“あしあと”10周年記念コンサートのチラシ

“あしあと”10周年記念コンサートのチラシ

 10周年記念コンサートとなった今回のライブ、スペシャルゲスト・ピアニストの齊藤桃子さんとのコラボが素晴らしかったです。伝統と新しい試みとがバランスよく、自然な流れの中であっという間の時間が過ぎました。「疲れない」というのか、心地良いライブで、これからの活躍が一層楽しみになってきました。この10年にヨーロッパ公演も数回経験して、多様な観客の前で学んだことも多いのでしょう、今後も原点を見失わずに飛躍することを期待しています。 

 一方、年明けの3日夜には、昨年1月3日にお亡くなりになった高木(扇谷)孔美子さんの一周忌追悼公演として、朗読劇・北の本棚、原作・高橋揆一郎、構成・演出・斎藤歩、「観音力疾走」が、斎藤歩の朗読で上演され、その後に「偲ぶ会」も開催されました。作品のいのちに寄せる優しい眼差しが心に響きました。

一周忌追悼公演として

一周忌追悼公演として

 今から10年ほど前に、孔美子さんの多大な寄付の申し出が切っ掛けとなり、マンション地下倉庫部分が劇場・スタジオへと整備されて、シアターZOO(http://www.h-paf.ne.jp/ogist/)開設につながりました。現在、この施設は演劇財団の創作活動に無くてはならないものになっています。

 「偲ぶ会」で斎藤歩は、「今日の朗読は、自分が孔美さんに言った通りの振り付けでやってみたのでけれど、自分で演じて見て、本人が足を骨折している時も無理な演出を強要した気がして、誠に申し訳ないことの数々でした」と、涙をこらえて語っていました。

 高木孔美子さんはじめ、演劇に寄せる熱き思いの数々が、今の北海道演劇の基盤を創ってきたのでしょうね。故人を偲ぶと共に、あらためて「情」の奥行きを感じるひと時でした。

北を語る会・移動例会(前)

Posted by 秋山孝二
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 ユニークな異業種交流の「北を語る会」・20周年記念移動例会が、総勢40数名・二泊三日で富良野・美瑛・白金温泉・旭川を巡る旅になり、密度の濃い企画の数々は、感動につぐ感動で息つくヒマもありませんでした。北海道は素晴らしい、惚れ直しですよ! 

 まず1日目は、今春オープンした富良野「カンパーナ六花亭(http://www.rokkatei.co.jp/facilities/campana.html)」です。ブドウ畑を育成中で、数年後には素晴らしい場となるのでしょう。ここからの眺望も、坂本直行・相原求一郎作品ギャラリーも、お洒落でセンスが抜群でした。ここでの昼食後は、富良野市内に同様に春開設した「フラノマルシェ:http://www.furano.ne.jp/marche/」です。連休の初日でもあり、沢山の人で賑わっていました。

六花亭ブドウ園より

カンパーナ六花亭・ブドウ園より十勝岳を望む

   次はお馴染みの「富良野演劇工場:http://www.furano.ne.jp/engeki/engekiopen16.htm」です。今上演中の富良野グループ(http://www.furanogroup.jp/)「歸國」を観ました。面白い設定だとは思うのですが、少々無理があるのかな、とも。場面・場面は現代への批判的メッセージも良く分かりますが、「英霊」が今を語る違和感というか、しゃべり過ぎというか、もっと「霊的」であって欲しかった(?)、シナリオとして後半部の刺された息子の登場は冗漫な気がしました。私にとっては昨年の「屋根:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=584」の方がはるかに胸に迫りましたが。かなり期待していただけに残念でした。

富良野グループ演劇ポスター

富良野グループ演劇ポスター

  そして1日目の宿泊場所、「ハイランドふらの:http://highland-furano.jp/」です。ラベンダー畑が香りも上品で見事でした。

富良野高原ホテル・ラベンダー畑

ハイランドふらの・ラベンダー畑

 夜も盛りだくさん、まずは「風と啄木鳥(きつつき)」のギター・尺八のコラボ演奏、ギターは富良野市内でスナック「啄木鳥」を開業している小林庸さん、尺八は山中詔市さんです。「北の国からのテーマ:http://www.youtube.com/watch?v=hsSAnsrQvLk」に始まり北島演歌まで、素晴らしいハーモニーでしたね。特に尺八の音色は多彩で色っぽかったです。

 そして「富良野メセナ協会:http://d.hatena.ne.jp/nobuko945/archive」代表・篠田信子さんのご講演でした。(社)企業メセナ協議会(http://www.mecenat.or.jp/)とも連携した活動をされています。篠田さんは、日本で初めてのNPO法人「富良野演劇工房:http://www.furano.ne.jp/engeki/」の初代理事長で、富良野の演劇を永年地域で支えてきた第一人者です。(財)北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)でも設立以来、大変お世話になっています。

 「文化を手法にまちの活性化を願う」、その草分けとして市民活動をリードし、地域の方々を信頼してすそ野をいつも広く展開して、「演劇のまち・富良野」、「文化の香るまち・富良野」、「50年後の子供たちに宝を残したい」と語りかける彼女の一言ひと言に説得力がありました。行政へのアプローチもポイントをつかんでブレず、怒らず、男はその点ダメですね、女性の「しなやかな強さ」を受け止めました。

 「FURANO」を満喫した一日となりました。

劇場/新時代への展望

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 今月上旬に、劇作家・演出家、劇団青年団(http://www.seinendan.org/jpn/seinendan/about/index.html)主宰、内閣官房参与の平田オリザさんを東京からお招きして、「劇場/新時代の展望」と題してのセミナーが(財)北海道文化財団(http://haf.jp/)主催で行われ、当日は260名を越える方々の参加で、大変な盛り上がりを見せました。

平田オリザさん(右端)も参加の鼎談

平田オリザさん(右端)も参加の鼎談

  平田オリザさんの基調講演では、「芸術立国論」を発表してからの10年の足跡を辿り、「舞台芸術の現状と未来~優れた劇場からの創造発信」や、「創る、観る、育てる」劇場と新しい国立劇場構想、劇場法策定の意義について、貴重なお話を聴くことができました。その理念については、文化庁文化審議会文化政策部会の資料からも読みとれます(http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/seisaku/08_08/pdf/shiryo_2.pdf)。

 創作活動としての「劇場」の位置づけ、成熟した国家・社会における「政策」の重要性、そしてそれが世界へ発信できる人材の確保・育成につながる一連の効果を、フランス・イギリスの例も提示されて大変分かりやすいお話でした。不足している「教育システム」と「劇場の創作活動」とのご指摘はまさにその通りで、従来型ハコモノ政策ではない市民活動の高まりとして、「文化で生きていく覚悟」を問われたような気がします。思えば、これまで北海道演劇財団の設立以来発信してきたメッセージそのものでもあります(http://www.h-paf.ne.jp/hpaf/tokushoku.html)。

 従来の「国立劇場」のイメージとはかなり違った、創作活動の拠点としての全国各地の「創る劇場」構想は実に興味深く、北海道の芸術・文化政策としてもかなり現実味を帯びていると感じました。今後、道民としてもしっかり地に着いた議論を重ねて、実現したいと思いましたね。

 来月2日午後6時30分から、札幌市中央区大通東3丁目・内田洋行1階「U-cala」で、「演劇文化は街の活力~演劇人が活躍する街をめざして」をテーマにフォーラムが開催されます。札幌をもっと芸術・文化のあふれる街にしたい、そんな想いから「芸術・文化フォーラム:ACF」が結成されて、今回はここ主催の第5回フォーラムとなります。私もパネラーの一人として参加する予定です。

沖縄「慰霊の日」、ほか

Posted by 秋山孝二
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 今日は、沖縄「慰霊の日」です。1945年4月1日にアメリカ軍が沖縄本島上陸で開始された「沖縄戦」は、6月23日、日本軍第32軍司令官・牛島満中将他指令部の自決をもって組織的戦闘が終結されたと言われています。現地沖縄本島ではその後も悲惨な戦いが続き、多くの民間人が犠牲になったことは周知の事実です。1962年から毎年沖縄県が主催する「沖縄全戦没者慰霊祭」が執り行われる一方、1974年制定の県条例によって、この日が「慰霊の日」の休日となりました。「沖縄戦」については、後日私なりにここで記述しようと思っています。

 

 出張の合間に、面談する相手の都合により時間がポッカリ開く時もあり、先日も映画「グリーン・ゾーン」、「孤高のメス」を相次いで観る機会をもてました。

 ポール・グリーングラス監督、マット・デイモン主演の映画「グリーン・ゾーン:http://green-zone.jp/」は、徹底的に現場に固執していて面白かったですね。「面白い」と表現するのは不謹慎かもしれませんが、アメリカが始めた戦争をアメリカ人が映画製作して世界で上映する、そんな国としての懐(ふところ)の深さを感じるのです。

 イラク戦争開戦から4週間後、ロイ・ミラーと彼の部隊は、砂漠地帯に隠された大量破壊兵器の行方を追う極秘任務で、イラクの首都バグダードを駆けずり回りますが、空振りが続きます。国防総省の動きに不信感を覚えた彼は、同じ疑念を抱いていたCIA調査官ブラウンと共闘することに。部隊を離れ単独で調査を開始し、様々な妨害工作に苦しみながら、更に、ウオール・ストリート・ジャーナル紙の記者も絡んで、核心に迫っていきます。結論は「大量破壊兵器は存在しなかった」です。バグダッド市内の「グリーン・ゾーン」の際立った違和感も含めて、誰が味方で誰が敵なのかが混とんとして進む映像の迫力は、映画の魅力です。ただ、これがほぼ歴史の真実ですから、開戦以来マスメディアによる上空から私たちの目に届いていたイラク戦争の報道とは、一体何だったのでしょうか。この映画では、私には イラク人フレディの役回りが注目でした。

 もう一つ、話題の邦画、成島出監督の「孤高のメス:http://www.kokouno-mes.com/」です。「字幕付き上映」と切符売り場で言われて、「あれっ、外国語映画なの?」と一瞬戸惑いましたが、勿論日本語の映画でした。

 「生体肝移植」、「地域医療」等の課題を正面から扱い、そこに繰り広げられる人間の恨み・つらみ・妬み等、意欲的な映画でした。手術場の臨場感も素晴らしい迫力でしたし、臓器移植(http://www.jotnw.or.jp/)の法的環境の変遷も勉強になりました。更に、北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)でチーフディレクターを創立以来つとめている斉藤歩さんが、悪い(?)医師役で出演していました。舞台の俳優・演出、そして映画に頑張っていますね。

 この数年、比較的お年寄りの観客の多い映画では、2時間を越えて来るとトイレに立つ方々が目立ちます。行く時は良いのですが、戻って来た時にご自分の席を見つけられない方も複数いらっしゃる様子は昔は無かった光景だけに、高齢社会を実感します。

 「いのち」を巡る多方面からのメッセージの数々、平和な時代に感謝しつつ、なお課題と向き合い解決を模索する世代の責任も感じます。

北海道の「流儀」

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 今年で20年を迎える異業種交流「北を語る会」の例会は、毎回内容が濃く印象的です。私自身、仕事の関係で暫く欠席が続いた時期もありましたが、この数年は出席率も上がり、多彩な方々のお話・演奏等を、ひと時楽しんでいます。

 先日のゲストスピーカーは、磯田憲一さんでした。元北海道副知事で、現在は(財)北海道文化財団(http://haf.jp/)・理事長、(財)北海道農業企業化研究所(HAL財団:http://www.hal.or.jp/)・理事長、NPO法人アルテピアッツァびばい(http://www.kan-yasuda.co.jp/arte.html)・代表、旭川大学客員教授等でご活躍中です。

 「北海道の流儀」と題してのスピーチは大変素晴らしい内容でした。行政マンとして、従来型の殻を破り、実に多くの足跡をこの間北海道に残しています。全国的にも有名になった「時のアセスメント:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/gkk/toki/tokiindex.htm」、「試される大地」のキャッチフレーズ、BSEの全頭検査実施等、勇気をもった施策の数々は、今の道政には見る影もありません。

 ご紹介のあった中標津の「マイペース酪農」を実践する三友さんご夫婦(http://www.goto-chi.com/seisansya/mitomo.htm)は、豊かさの基準として「草をミルクに変えられる」、「乾いた薪をストーブへ」、「家族で夕食を食べられる」等でも有名です。また、海に投げ出されて漂流する人が、たいまつを灯しているゆえに周囲が真っ暗で何も見えずに方角が判別できず、ひとりの人が「この灯を消せ」と言って暫く周囲に目を凝らすと、ある方角の遠くにうっすらと光るマチの灯を見ることができた、というお話を引用して、今の北海道が、「たいまつの灯を消す勇気があるか」、と鋭く問題提起をされました。

 「観光」、「観光」と時流に乗った観光客の入れ込みにただ大騒ぎするのではなく、「生き方に迷った人がやってくる北海道」とか、そんな奥行きのある魅力づくりにこそ我々はまい進すべきではないか、とメッセージも発信されました。

 磯田さんというと、忘れられない思い出があります。10数年前の北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)設立時は、行政側の責任者として本当にお世話になりました。設立記念パーティでのご来賓挨拶で、中島みゆきの「ファイト:http://www.youtube.com/watch?v=9TH1Xm25FIM」の一節

「 ああ小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく 諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく

  ファイト!闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう ファイト! 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ」

を引用して、これからの活動を激励して頂きました。そんな来賓挨拶を、私はそれまで、そしてそれ以降も聞いたことがありませんでした。言葉に対して素晴らしいセンスをお持ちだと興奮致しました。その後も韓国・光州市、ソウル市で、北海道演劇の海外公演でも磯田さんとは文化財団理事長として何回かご一緒し、引き続きご指導を頂いています。 

 本当に久しぶりに聞く格調の高いスピーチでした。つい先週、高知で行われたブータン王国ジグミ・ティンレイ首相の基調講演と重なって、「本当の豊かさとは何か」を問う、感動的な言葉とメッセージがぎっしり詰まっていました。本物を目指し、それを実現する「勇気」を持て、まさに「Boys,be ambitious!」の心意気、それこそ「北海道の流儀」と受け止めました。

大盛況、後藤ちしをさんのリサイタル

Posted by 秋山孝二
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  今月2日に続き、更に一つ「2」が増えた平成22年2月22日です。

 北海道演劇財団http://www.h-paf.ne.jp/の応援団、「TPSくらぶ」の新年会でもお会いしたソプラノ歌手・後藤ちしをさんのリサイタルが札幌でありました。500席を越えるホールは満席の盛況で、イタリアオペラ、日本のオペラ等幅広いジャンルから素晴らしいコンサートでした。

プログラムとチラシ

プログラムとチラシ

  以前、土田英順さんのミニコンサートを中島公園のシアターZooで行いましたが、その時にほんの少し後藤さんの歌を聞かせて頂きました。今回は、日本の「芭蕉布」、「落葉松(カラマツ)」は綺麗な日本語を久しぶりで聞く感じがしたし、「さくら横ちょう」は加藤周一の詩で意味が深かったですね。後藤さんの歌声は若さゆえか力がありました。

 今回のリサイタルは、彼女の世界というか、ホールの空間丸ごとの雰囲気を感じ取ることができて素晴らしかったです。札幌ご出身でこれまで多くの方々の支援で海外留学も経験して学ばれて、現在はイタリア・ミラノを拠点に活躍されているようですが、これからも楽しみなプロのソプラノ歌手です。普段あまり使っていない脳の部分を大いに刺激されて、大変心地よいひと時でした。こらからの活躍を期待しています。

TPS海外公演、クルジュ・ナポカで!

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  北海道演劇財団http://www.h-paf.ne.jp/の専属劇団TPSが、ルーマニア・ハンガリーで今年も海外公演「冬のバイエル」を上演しています。私は、4年前のハンガリー「亀もしくは、・・・」、一昨年の韓国・光州市「冬のバイエル」、昨年の韓国・ソウル「春のノクターン」の海外公演同行に続いて、今回もTPSの活躍をこの目に焼き付けたく同行しています。昨日は、ルーマニアのクルジュ・ナポカで公演しました。この街は、「トランシルバニアhttp://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C8%A5%E9%A5%F3%A5%B7%A5%EB%A5%D0%A5%CB%A5%A2」の中心都市です。

ルーマニアのクルジュ・ナポカ

ルーマニアのクルジュ・ナポカ

 

植物園

植物園

教会前の噴水と虹

教会前の噴水と虹

 「冬のバイエル」の現地でのポスターです。

昨晩は若いカップル他、沢山の現地の方々が来られました。因みにチケット代は13レウ:Leu(約400円)です。会場は昔の教会、そこには開演前にもすでに集まり始めていました。

昔の教会

昔の教会

会場入り口で待つ人々

会場入り口で待つ人々

 今回の公演ツアーは、東ヨーロッパでも新たなチャレンジとのこと。数年前までは「国立劇場」しか存在しなかったこのジャンルで、若者たちが企画する斬新な試みにTPSも果敢に参画したのです。それにしても今回のTPSはヨーロッパ経験者は二人くらいしかいないのに、昨晩の芝居でもあの落ち着きは何なのでしょうか。4年前にブダペスト公演で、始まって数分間の緊張感と比べると、いとも自然な役者の立ち振る舞いを見て、逆にこちらが驚きました。着実に経験が受け継がれている、そんな確信を得た気がしますが。

 今回は、これまでの作品とは一味違った「淡々とした会話」にこちらの人たちがどう反応するのか、私も大変楽しみです。今晩もまた出かけます。

蘇るとき、「僕たちの好きだった革命」

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公演パンフより
公演パンフより

 この全国公演を北海道演劇財団http://www.h-paf.ne.jp/もお手伝いしています。主演の中村雅俊は私と同じ年齢、企画・原案の堤幸彦もほぼ同じ年齢、脚本・演出の鴻上尚史は年下です。会場には若い世代のお客さんも予想以上に多く、ロビーには「キーワードの解説」と称して、「シュプレヒコール」「バリケード封鎖」「「ナンセンス!」等の言葉の丁寧な説明が掲示されていました、隔世の感でしたね。

芝居の冒頭からあの時代の記録フィルムで一気にタイムスリップです。この舞台が大学ではなく高校である設定が、一層面白さを増しているのでしょう。「自主的文化祭」とか、「主体性」とか、今の高校生には何を言っているのか理解が難しいですね。一方、「ムカつく」とか「ラップ」は、今でも私には違和感があります、理解しているつもりではいますが。

この数年私はある高校の「評議員」をやっていまして、年数回校長室で、今の学校教育に関して校長・教頭に意見具申を行う機会があります。「具申」といっても、むしろ私たちが現在の現場教育の説明を受ける場面が多いのですが、特に「総合学習」のプログラムには大変斬新で目を見張るものがあります。この芝居を見ていて、もし今私が高校のある教室で現役高校生と語る場面があるとすると、中村が扮する「山崎」同様の存在かと思わず一人で苦笑いでした。

会場で配布された「ごあいさつ」の中で、鴻上尚史さんが書いているフレーズで全く同感な部分がありましたので、引用します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーアナログで、つまりフィルムで撮った写真は、時間の経過とともに劣化します。色が落ちたりセピア色が強くなったり、輪郭がぼやけたりします。けれどデジタルで撮った写真は劣化しません。ビデオテープも同様で、昔買った名画のビデオテープは段々古くなります。10年経ってもう一度見る時、私たちは物語と共に“時間”も同時に体験するのです。けれどDVDになった作品は、もう時間が忍び込むことはありません。

人間の記憶は時間と共に劣化します。色鮮やかだった記憶は段々とぼんやりしてきます。どんなに忘れたくないと思っていも、どんなにこの瞬間を永遠に覚えておきたいと思っていても、人間の記憶は劣化します。私たちは哀しいけれど時間に振り回される存在なのです。

色褪せていく写真も、輪郭がぼやけていくビデオテープも、そういう意味でまさに人間の記憶と対応していました。色褪せた写真は、「過去」とは何かを具体的に人間に教えてくれました。「過去」とは記憶の色が落ち、輪郭がぼやけるということ。けれどデジタル写真は人間の時間を無視します。DVDに記録された風景はどんなに時間が経っても人間の記憶とは無関係に鮮やかであり続けるのです。

時間に振り回されることが哀しいと書きましたが、時間と共に記憶が色褪せていくからこそ、生きていこうと思えるのです。時間と共に劣化しない情報に囲まれながら生きていくことは、たぶん、無意識に息苦しい人生を送るということだと思います。そして、劣化しない映像を見ていると、現在の自分の身体が劣化していることを強烈に意識させられます。永遠を前にして、自分の存在が必ず劣化して死ぬ存在だと突きつけられるのです。十代か二十代、自分の人生が永遠に続くと“誤解”できる間は、デジタルの永遠を愛せるのだと思います。そして、いつの間にかデジタルの永遠は、自分の人生の有限を鮮明に教えてくれるようになるのです。ーーーーーーーーーー引用おわり

時の経過と記録映像と人間の記憶について、輪郭がぼやけていく、色が褪せる、そのことが生きていく糧になる、最近つくづく私はそう感じます。忘れるメカニズムを人間に備えたこと、それは「いのちの最高のシステム」だと思います。コンピューターの「Delete」とは違う、まさにぼやけていく微妙な感じですよ。

「ヘルメットに書きたい言葉は?」との質問に、出演した役者の方々がそれぞれ自分なりの言葉を書いていました。「Never Say Never」、「PEACE」、「生きろ!」・・・・etc。もし今、私に問われれば、私は「絆:きずな」と書きたいですね。

非武装地帯、さらに「北」への道

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  昨年5月に、韓国のソウルで、北海道演劇財団TPSの海外公演があり、同行ツアーで副理事長の私も参加しました。公演の合間にオプショナルツアーとして板門店へ行き、貴重な光景を垣間見ることが出来ました。この数日間の「飛翔体(?)発射」騒動の中で、北朝鮮の動向は注目を浴びて(浴び過ぎて?)いますが、非武装地帯(DMZ) の現場は、歴史と現実の重みを感じながらも、驚くほどの静けさでした。ただこのツアー自体、米・韓のプロパガンダの臭いも強く、演出の過ぎる場面はかなりの違和感もありましたが。
捕虜交換の場:板門店・帰らざる橋
捕虜交換の場:板門店・帰らざる橋

今から6年前の秋山財団主催の講演会で、東京大学大学院・農学生命科学研究科教授・樋口広芳先生が、「鳥の渡りと地球環境の保全」http://www.justmystage.com/home/hhiguchi/index.html と題して特別講演をされました。シリーズの財団ブックレットとしてまとめてあります。その中で、この非武装地帯が多くの鳥の渡りにおいて重要な中継地となっている事実が、発信機を付けた渡り鳥と人工衛星によるデータで明らかになっている事を力説されていました。非武装地帯は立ち入り禁止区域で、ごく一部を除いて人間の活動は全て禁止されています。また、隣接する緩衝帯では、経済開発も強く規制されています。それゆえに皮肉にも、渡り鳥にとってはいわば聖域、安住の地になっているというのです。国境を越えた自然界にとって、非武装地帯はまさに地球上で数少ない理想的空間となっているのでしょう。そう言えば、昨年行った時も、道端に実に綺麗なキジを見つけました。

歌の「イムジン河」http://protestsongs.michikusa.jp/korean/imjin-river.html も懐かしいですね。ソウルから板門店に向かう途中で、しばし道路と並行して流れていました、この河があのイムジン河で向こう側が北朝鮮か、と。

「ふるさとをいつまでも 忘れはしない、イムジン河水清く とおとおと流る」、あの時代の香りですね。

この非武装地帯(DMZ)は、1953年7月、朝鮮戦争の休戦協定の締結とともに作られた区域で、南北それぞれ2キロメートルずつ(幅4キロ)、東から西まで総延長241キロメートル、総面積6,400万坪の広大な地域です。北朝鮮にとっての歴史認識では、今も交渉相手は国連軍(実質的にはアメリカ軍)しかなく、南北朝鮮問題ではないのでしょう。今一度きっちり振り返りたいのは、朝鮮戦争の位置づけと、更にさかのぼれば第二次世界大戦の日本とアジア諸国との関係性、そして戦後の構図だと思います。

今回の打ち上げ実験でも、ひとえにアメリカに対するデモンストレーションであり、日本への攻撃等と敢えて喧伝するのは、例によって日本メディアとそれを使って防衛予算を増額しようとする輩の思惑に違いありません。「誤探知?」と聞いた時に、とっさに私は「臭うな」と思いました。間違った事が不安なのではなく、これを材料に「システム整備・構築予算」の要求だの、日本の防衛力の不備等の議論の盛り上がりを期待する勢力の画策が「臭い(くさい)」のですよ。

今回は中央官庁の防衛省が「国防」の視点から対処・準備・喧伝し、東北地方をはじめとする各市町村が行政の「防災」の視点から現地で体制を取っていた、と理解出来るのではないでしょうか。自衛隊の活動を接点として、この違いを無意識にも、意図的にも混合してはならないと思います。

いずれにせよ、相変わらずの日本外交の貧弱さを痛感しています、公式発表はともかく、複数の人的パイプがないというか。外交上は、今こそ、東アジアにおける平和と安全に関して「非核化」をキーワードにして、日本は本来のリーダーシップを発揮する時だと思います。そして、一味違う視点として、自然科学者・環境科学者を中心として、たとえば「オホーツク海の生態系」、「北東アジアの大気汚染」、「朝鮮半島の生態系」といったテーマでの、周辺6・7カ国ネットワーク形成プロジェクトを、日本がリーダーシップを取って場の構築等は出来ないものでしょうか。

過去の歴史を受け止めながら、21世紀的テーマの新しい構想の中で平和の時代を創る、そんな時代なのだと強く思います。

秋山孝二プロフィール

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プロフィール

氏名 秋山孝二
生年月日 1951(昭和26)年1月18日 札幌市生まれ
最終学歴 千葉大学教育学部 1974(昭和49)年3月 卒業
現住所 札幌市
連絡先 公益財団法人 秋山記念生命科学振興財団
http://www.akiyama-foundation.org
電話番号:011-612-3771
ファックス:011-612-3380

略歴

1974(昭和49)年 4月 東京都江戸川区立鹿本中学校 理科教諭
1979(昭和54)年 4月 株式会社秋山愛生舘 入社
1992(平成 4)年 6月 同      代表取締役社長
1998(平成10)年 4月 株式会社スズケン 代表取締役副社長
2002(平成14)年11月 同     退社
2003(平成15)年 8月 秋山不動産有限会社 代表取締役社長、2013(平成25)年4月に代表取締役会長
1996(平成 8)年 3月 (公財)秋山記念生命科学振興財団 理事長

公職

1993(平成5)年10月 伊藤組100年記念基金 評議員
1996(平成8)年 4月 公益財団法人 杉野目記念会 評議員
1996(平成8)年 4月 北海道経済同友会 幹事
1997(平成9)年 3月 公益財団法人 北海道対がん協会 理事
同上 2004(平成16)年5月より 監事
2004(平成16)年 4月 公益財団法人 北海道演劇財団 副理事長、2014.6 理事長、2020.6 副理事長
2006(平成18)年 3月 公益財団法人 ワグナー・ナンドール記念財団 副理事長、2012.6より 理事長
2006(平成18)年 4月 札幌学院大学(SGU) 客員教授
2009(平成21)年 5月 非営利活動法人 北海道市民環境ネットワーク 理事
2011(平成23)年 7月 一般財団法人 北海道札幌南高等学校林 理事、2014.11より 理事長
2012(平成24)年 4月 公益財団法人 北海道環境財団 評議員

出版された、「ドナウの叫び」

Posted by 秋山孝二
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 下村徹著「ドナウの叫びhttp://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4344015908.html」 が昨年11月25日に出版されました。

2008年11月8日のこの欄に、「日本に帰化した芸術家、ワグナー・ナンドール」と題して私の叔父を紹介致しましたが、昨年末に彼の人生をたどったワグナー・ナンドール物語が出版されました。芸術家というと日本では、社会的には芸術・文化の世界を担う、或いは教育界で活躍する人々というような、ある限定されたイメージを持つのは私一人ではないと思います。しかしながら、ワグナー・ナンドールは、二度の敗戦、冷戦、動乱(革命)、政治犯としての指名手配等、時代の荒波に翻弄されながらも、希望を捨てず主体的にたくましく生きました。そして日本の武士道精神と出会い、日本人ちよと巡り合い、日本に帰化して、栃木県益子町でアトリエを構えて創作活動を続けた波乱万丈の人でした。

http://wagnernandor.com/indexj.htm  、http://kankou.4-seasons.jp/asobu/509.shtml

私はこれまでハンガリーには2回程行った事があります。最初は、この本にも登場するテーケシュ氏が中心となって、ナンドールの生まれ故郷ナジュバラド(現在はルーマニア領で名称もオラディア)で開催されたシンポジウムに参加の為に、もう一回は北海道演劇財団のハンガリー公演の同行でした。http://www.h-paf.ne.jp/ 今年の秋、3回目が実現するかもしれません。

ある時に、現在ハンガリーに設立されているワグナー・ナンドール財団の理事長から、日本ではどうしてハンガリー「動乱」と言うのでしょうね、と問われました。「動乱」とは辞書によると、世の中が騒がしく乱れること、と何の事かよく分かりませんね。彼は、1956年の出来事は明確にハンガリー「革命」ではないか、との主張でした。私は、日本の教科書では昔も今も確かに「ハンガリー動乱」であり、ハンガリー政府への配慮のつもりなのではありませんか、と曖昧に答えました。そうすると、「ハンガリー共産党政権は、1989年に崩壊しているのですよ」と更なる言及でした。

日本の教科書の歴史記述には、幾つか意図的な言い換えがありますね。最近では沖縄戦における日本軍の関与について、無かった事にさえなってしまいますので、要注意です。特に立場の違いによる戦いの歴史の記述では、「闘争」が「紛争」になったり、「革命」が「事件」となったりです。在った歴史事実を削除するのは論外としても、事実に基づいて時代とともに表現が変わる事(再評価)はあってもよいのではないか、と思います。

芸術分野も同じかも知れません。周辺諸国も含めたハンガリーにおいて、この10数年来ワグナー・ナンドールとその作品の再評価のうねりが高まっていて、実際に幾つかの街で彼の作品が広場・公園に新たな設置が始まっています。ブダペスト市内のゲレルトの丘に建てられた「哲学の庭」も、その一つです。ヨーロッパにおいては、日本に比べて彫刻作品は強いメッセージ性を持っていて、時代の評価も実に激しいものがあります。4年前のナジュバラドでのシンポも、ルーマニアの政変後に実現したイベントでしたし、開催前日にブダペストからマイクロバスでの5時間程の陸路で、途中途中で昔の同志をピックアップして乗せていく様子、ルーマニア国境を越える時の緊張感は、まるで映画の雰囲気でした。ソビエト崩壊による東欧の激変を実感しました。

広場に建つ彫刻作品は、民衆の心の支えだったり、運動のシンボルだったりする場合が多いですね。芸術家がそれだけ社会との関わりの中で重要な位置づけであり、それ故に迫害とか追放といった権力からの攻撃の的にもなってきたのでしょう。この本にも記述されていますが、ハンガリー動乱のリーダー達のその後の人生で、交通事故等の不慮の事故で亡くなる確率が異常に高いとか、何か言い知れない闇の世界を感じさせます。日本では、直近の戦争といえば第2次世界大戦ですが、そんな国は世界の中で実に数少ない恵まれた国なのかも知れません。

進む札幌と韓国との演劇交流~これからも楽しみ

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 私は、北海道演劇財団http://www.h-paf.ne.jp/の副理事長を務めています。昔、演劇に携わった訳でも何でもないのですが、東京で生活していたときから時々舞台を観に足を運んではいました。TPSはこの演劇財団のファンクラブで、毎月一回、「サロンの会」が催されて、役者とか演出家とか、その時々のゲストをお招きして交流を深めています。舞台で見る姿とはまた別の側面を垣間見て、芝居の楽しみは倍加します。

数年前から、この演劇財団活動は海外との交流が活発になっていて、私も時間の都合がつく限り、劇団と同行しては楽しんでいます。札幌で見る芝居と同じものでも、外国での公演では観客の反応がかなり違って、それ故に役者の演技も微妙に変化し、まるで別の雰囲気の芝居へと変身します。3年前にハンガリー・ブダペスト公演「亀、もしくは・・・」は、そんな変化を実感しましたね。毎回、劇場客席後方の端の席から、舞台と観客の両方を観察していました。札幌よりもよりはっきりした笑いに、役者も乗ってくる様子がよく分かりました。後日、出演したある役者に「最初は緊張していたようだけど、次第に乗ってきたのではないの?」と聞くと、彼は「いえ、いつもと何も変わりませんでしたよ」と、平静を装っていました。これが役者のプライドと言うのでしょうか。海外公演の後、再度札幌で同じ芝居を見ると、大きく成長した姿を確認出来て、本当に嬉しかったものです。進化する芝居を目の当たりにした時、たまらない魅力を感じます。有名な役者を観に行くというのも足を運ぶ大きな動機だとは思いますが、若い役者が経験を積むごとに成長して育つ姿を追うのも、また楽しみです。

昨年は、北海道文化財団と韓国光州市との交流プログラムの初回として、北海道演劇財団TPSが光州市で「冬のバイエル」の公演を行いました。その時の様子を演劇財団会報に寄稿しました。

1012日から18日まで、韓国光州公演、ソウル演劇協会との交流協定調印の二つを目的に、TPSのカンパニーとともに参加しました。

光州市は1980518光州民主化運動でも世界的に有名で、地元の方々も「民主化運動の聖地」として、誇りを持ってこの地を語っていたのが印象的でした。公演の合間のわずかに見つけた時間に、TPSのメンバーとともに、この時亡くなった10代の方々が数多く埋葬される共同墓地・記念館も訪問しました。

今年の「2007光州平和演劇祭」のテーマは「疎通」で、多様な方々とのコミュニケーションといった意味と理解いたしました。TPSの公演は、北海道文化財団様の推薦により今回実現し、9日間の演劇祭の一環として、二日間二公演で、合計400名のお客様が会場に足を運び、唯一の外国劇団でもあり、大変大きなインパクトを与えました。

初日公演の冒頭、光州演劇協会パク会長がお客様にご挨拶をしました。その時は言葉も判らずに過ごしましたが、終了後に木村さんからその趣旨を聞くと、「今日は子供さんも多くいらっしゃっています。万が一騒いだり、ぐずったりしたとしても、決して叩いたり叱ったりはしないで下さい。なぜなら、将来の韓国の演劇を創っていくのは彼らなのですから。」と語ったそうです。

もう一つの目的は、ソウル演劇協会との交流協定調印でした。毎年11月開催の「札幌劇場祭」と、5月開催の「ソウル演劇祭」をベースに、毎年交互に公演を行う事他、今後交流を深めて行く枠組みで合意しました。「札幌劇場祭」に参加の団体を代表して、北海道演劇財団の上澤理事長の代理として署名して参りました。早速11月末から12月上旬に、今年のソウル演劇祭で最優秀賞受賞の劇団「青羽」の公演が、シアターZooで予定されています。この間、現地で粉骨砕身ご努力頂いたKさんのご活躍に、心から感謝申し上げます。大きな事業のスタートには、必ずキーになる方々のご努力がある事を、あらためて認識し、感動致しました。

こうして、韓国の若い世代と札幌の演劇人の交流がスタートしています。先日16日、光州市からの「青い演劇村」による「音楽詩劇:阿娘別曲」を、琴似のコンカリーニョで見ました。満席の熱気の中で、韓国伝統音楽と旋律、身振り、オブジェ等を盛り込みつつも、ストーリーは懐かしさを感じる悲しい愛の物語。代表のオ・ソンワンさんは、昨年私たちが韓国を訪問した際に、空港まで出迎えてくれた方です。彼らの伝統の再解釈、現代化、大衆化への挑戦意欲を強く感じました。昨年11月のソウルからの劇団「青羽」の芝居でもそうだったのですが、独特の身振り・ステップ等で、どういう意味なのかを質問すると、その背景に韓国文化の奥深い伝統芸能がある事の説明を聴いて、一層作品を楽しむ事が出来ました。まさに演劇を窓口として、「交流」の真骨頂だと思います。今回は交流会には参加出来なかったのですが、昨年秋は公演直後の役者・演出家との交流会に出席して、舞台で見せる姿とは違った役者の美しさが魅力的でした。

先日の琴似では、終了後会場外で私が誘った若い経営者が言っていました。「何か元気を貰いました。映画とは違う同じ空間のすぐ近くで熱演する生身の姿から、エネルギーを感じました」と。

いつか近いうちに、発祥の地と言われる光州の「パンソリ」を生で聴きたいと思っています。