「環境」への新たなアプローチ

Posted by 秋山孝二
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 先日東京で、「富士通フォーラム:https://forum.fujitsu.com/2010/tokyo/report/?fjsmnroute=F_am_tm03」が開催されましたが、そこでの特別講演は枝廣淳子さんでした。ジャパン・フォー・サステナビリティ( JFS:http://www.japanfs.org/ja/共同代表 ほか環境分野で大活躍されています。今回は「持続可能な社会を目指して~世界の動向と日本企業への期待~」と題して500名程の聴衆の前で、中国語、英語、文字電光板も用意されて、素晴らしい講演でした。会場の設え等、時の移り変わりも感じましたね。以下、印象に残る幾つかの点をメモします。

* 温暖化よりも先に来る「エネルギー問題」、そして「食糧問題」

* これからの環境問題は、時間軸を意識した「バランス良く全体を」考えた取り組みが重要

* 「生物多様性」はストックの問題、「生態系サービス」はフローの問題、と理解すべき:「つながり」と「バランス」がキーワード

* 現在は、「次の長期的均衡を探る混乱期」と位置づけられる――パイの拡大から配分へ、買わない消費者の出現、量的拡大から質的成熟へ、GDPからGNHへ

* 「3脱」の時代: 1)くらしの脱所有化(クルマ、本、CD)、 2)しあわせの脱物質化(つながり)、 3)人生の脱貨幣化(半農半X)

* 競争方位は、「ヒト、モノ、カネ」が自社を越えて、「伝える力」、「つながる力」、「共創力」等のコラボレーションへ――企業・NGO・セクターを越えて「共創型パートナーシップ」がキーワード

* 「チャネル」から「場」へ、マルチ・ステークホルダー(MSH)

* 真の多様性は「真の対話:ダイアローグ」の作法に則って展開されるべき

 

 一方、北海道では、「環境」活動の中間支援4団体がテーブルに着き、「コンソーシアム」を形成して市民活動支援に取り組みつつありますhttp://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=3137

 新しい環境への取り組みは、ローカルにもグローバルでも進展しているようですね。

COP10、10月に名古屋で開催

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  今年は「国際生物多様性年」であると同時に、10月には名古屋で「生物多様性条約第10回締約国会議:COP10」が開催されます。年明けの新聞各紙を読む限り、今一それへの関心は高まっているとは言えませんが、これから生物多様性についての議論と行動が益々活発になり、また世界の注目が日本に集まる機会となってくれることを期待したものですね。

 今年の「COP10」は着地点ではなく、むしろ「企業と生物多様性」の本格的な活動の出発点と言えるかもしれません。08年に北海道の洞爺湖・札幌で「G8サミット」が開催された時もそうでしたが、これを機会に考えるきっかけになって貰いたいと思います。

 株式会社レスポンスアビリティhttp://www.responseability.jpの足立直樹さんは、これまで企業と生物多様性の保全に対してメッセージを発信し続けています。昨年末からNIKKEI NETへの連載を開始しました。 秋山財団の「ネットワーク形成事業」の一つ、社会企業研究会で第一回のゲストとして興味深い講演をして頂きました。http://www.akiyama-foundation.org/network/tema02.html

 一方、枝廣 淳子さん・小田 理一郎 さん著 (技術評論社)の「企業のためのやさしくわかる『生物多様性』」http://gihyo.jp/book/2009/978-4-7741-4043-8 では、日本の先進的企業の事例も示されています。

 「温暖化」に比べて今一つ理解が難しいテーマなのでしょうか、生物多様性を失うリスクについて、今年は一歩踏み込んだ議論に自分自身も入っていきたいものと思っています。

「降りてゆく生き方」、汐留のイネ

Posted by 秋山孝二
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  今年の早稲田祭で、映画「降りてゆく生き方http://www.nippon-p.org/concept.html」の上映会が開催されました。主催は「早稲田の米プロジェクト(代表・松橋拓郎)http://www.wasedasai.net/2009/wasepedia/profile/wasekome/で、当日定員800名の会場がいっぱいになっていました。この映画会に関しては、歌手の加藤登紀子http://www.k-sizenohkoku.com/index_top.htmlさんのメーリング、環境活動の枝廣淳子http://www.es-inc.jp/edablog/index.htmlさんのメーリングでもご案内を頂きました。

 代表の松橋くんは冒頭の挨拶で、「ただ映画を観るだけでなく、映画を中心に私たちと皆さまが繋がり、共に考え、行動していくような会にしたいと思います」と語っていました。彼自身、大学を1年間休学してヨーロッパに農業を学ぶ旅に出かけました。その後、この映画のプロデューサー森田貴英さんとお会いして、大学院への進学から地元秋田での就農へと進路を変えたそうです。森田貴英さんも当日駆けつけて、制作に絡む裏話も聞く事が出来ました。

 この欄、「08.12.31付」で、私は次のようなコメントを書きました。

・・・・一方自分たち自身は、五木寛之著「人間の覚悟」http://www.shinchosha.co.jp/book/610287/にある様に、覚悟を決める時期かと感じています。「下山の哲学を持つ」必要性を、私も強く意識した今年2008年でした。「林住期」を生きる、あるいは、「そもそもボランティアというのは、最後は『石もて追われる』存在であるべきなのだから」と五木寛之が語る言葉に、大変納得のいく感動を覚えます。・・・・・

 今回の上映会では、私の世代ではなく若い世代の方々が多数参画していて、意識の変化・時代の変化を実感しました。

 

 一方早稲田大学に向かう途中、汐留の地下広場では、「水土里(みどり)の体験展’09:http://www.inakajin.or.jp/」が開催されていました。「ふるさとの田んぼ」を都会に再現です。無機質なコンクリート空間に突然現れた稲穂の一群は、存在感抜群でしたね。

汐留のイベント

汐留のイベント

都会の中のイネ

イネの神様も現れて

 そして、札幌では雪の朝を迎えました。

いよいよ冬の到来でしょうか

いよいよ冬の到来でしょうか

卒後40周年の同期たち、そして同窓会

Posted by 秋山孝二
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  今年は高校卒業後40年、そこで以前から計画していた「卒後40周年同期会」を開催した所、全国から60名を越える同期生が集まりました。場所は登別「滝の家:玉の湯」です。須賀社長が同期で、玄関の看板も同期生の制作によるものです。

入口看板

入口看板

  10年前は「卒後30周年」で同じような企画をしましたが、半分程度の出席者。夜の懇親会で「50周年は何人集まるのかな?増えるのか減るのか」、日本の高齢化社会の中で、世代によるライフスタイルの推移を実感するひと時でした。

 翌朝、バス組が洞爺・支笏方面に出発した後、須賀社長に案内して貰い昨年新築した「滝の家http://www.takinoya.co.jp/」を覗きました。川に掛かる橋は、「My 橋」。中庭は以前と同じですが、紅葉も素晴らしく、「日本の秋」を象徴するような素晴らしい景観です。中国他アジアからのお客様も多く、大変印象的な場となっているようです。朝日と静寂さの中、なぜか「平和な日本」をしみじみ感じました。

My 橋

My 橋

   夜は例年通り札幌で同窓会総会・懇親会でした。毎年プラスバンド部がオープニングを飾るのですが、今年は現役高校生がインフルエンザで「学校閉鎖」中とのこと。9月の記念イベントのビデオがそれに代わりました。今年を象徴するような、まさに「ハプニング」ですね、今年は650名を越える参加者でした。

 同窓会の幹事長を拝命している私は、依頼があり会誌にメッセージを送りました。昨年、枝廣淳子さんが主催するワークショップhttp://www.es-inc.jp/で学んだ「多様性」をベースに、「人の多様性」の価値を語ったつもりですが。

同窓会旗は来年当番期に受け継がれ・・
同窓会旗は来年当番期に受け継がれ・・

自立、絆、そしてバランスでしょうか

 

 ・・・今年のテーマ「六華繚乱」は、数々の華の眩しいほどの乱舞をイメージさせるまさに多様性の象徴ですね。生物多様性のキーワードは「つながり」と「バランス」と指摘する方が多く、その実態は「つながり」を取り戻す活動であり、更に厳密にいえば「戻す」よりも「先へ進む」ことなのでしょう。「Resilience」という言葉が「温暖化リスク」と同様に、この頃この分野では良く使われていて、「しなやかな強さ」と一般的には訳しているそうです。

一方昨年のリーマンショック以降、ビジネスの世界でも企業経営者のマインドは随分変化してきている気がします。最近のある経営フォーラムでは、「スピードを上げることは企業競争力を高める手段だったが、人間をハムスター化した。これからは人生のスピードにプレーキを掛ける必要があるだろう」と言い切るコンサルティング会社のトップもいました。そしてこれからの時代は、企業の成長を個人の幸せにつなげる時代、「多様性のシナジー効果」としてのイノベーション等、価値の大転換と位置づけていました。

静かに考えてみると、21世紀は「ひと」の時代に間違いなく、イノベーション、リーダーシップ、ライフワークバランス、コラボレーション等、昨今繰り返し重要性を指摘される言葉は、みな「ひと」に絡む課題ばかりです。私のように高度経済成長期を生きてきた人間の視点からは、まさに様変わりの様相を呈していますが、別の言い方をすれば一中・一高・南高の志で育まれた六華同窓生たちには、まさに「我々の時代」の到来とも言えるのではありませんか。「未来は予測するものではなく、創り出すもの」と、ハンガリーの哲学者アービン・ラズローはメッセージを提起しました。

多様な「いのち」が存在できる世界、それは人間社会でも自然界でも、最も豊かで健康で価値のある状態だと確信しています。六華同窓生、そして現役在校生を含めた将来の仲間たちの多様な「いのち」の躍動を期待し、大切にしたいものですね。・・・・

 

 

ところで母高の同窓会館には、以前から鳩山一郎氏による大きな「有愛」の書が飾られています。どういった因縁なのでしょうね。

 

生物多様性フォーラムで、一歩前進

Posted by 秋山孝二
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 秋山財団の助成事業の中で、環境をテーマにした活動への助成が多く、昨年開始した「ネットワーク形成支援事業」でも、同様の傾向が見られます。それらを評価する為にも、私自身が見識を高める必要を感じて、この数年遅ればせながら環境分野の勉強を深めつつあります。「温暖化リスク」に続いて、有限会社イーズhttp://www.es-inc.jp/ が主催する「企業と生物多様性フォーラム」に参加しました。企業の環境関係部署の方々、環境へのコンサルティング会社の方々等、大変インテリジェンスを感じる「知的集団」というか、熱心な雰囲気のひと時でした。遅れて関心を持った私としては、みなさん先輩という気がして得るものが多かったです。

特に「いまなぜ生物多様性か」で、最新の世界・日本の動向を知ったこと、と

ミレニアム生態系評価http://www.biodic.go.jp/cbd/2006/pdf/1204_2_4.pdf

生態系サービス評価(ESR) http://pdf.wri.org/corporate_ecosystem_services_review_jp.pdf 

について知る事が出来て、ストンと腑に落ちました。「生物多様性」と「人間の幸せ」との間に、生態系の機能として「生態系サービス」という概念を想起する事により、人間と生物多様性との関係性が大変明確になりました。橋渡しの「言語」としての4種類も分かりやすいですね。そのイメージをつかむと、生物多様性の「保全」と「活用」が人類にとってのテーマだと浮き彫りになってきます。以下、当日の私のメモから印象に残るフレーズを幾つか。

*生物多様性のキーワードは、「つながり」と「バランス」、そして「つながり」を取り戻す活動であり、「戻す」よりも「先へ進む」事。「Resilience」という言葉が「温暖化リスク」と同様に、こちらでも出てきました。「しなやかな強さ」と訳しているそうです。

*環境問題の人類としての進化: 公害ーー>温暖化ーー>生物多様性

*アービン・ラズロー 「未来は予測するものではなく、創り出すもの」

*企業としてポイントは、「どこで見切って活動を開始するか」である

*企業で多様性のリスク・オポチュニティを分かりやすくする為には定量化(お金に換算する必要性)も大切、アメリカでは連邦法でクレジットの売買を市場で初めているとか。

*日産自動車(株)の取り組み事例では、「水問題」もテーマの一つ

先進的企業は、本業での技術開発ばかりではなく、水問題への考察・取り組みにも着手している事を初めて知りました。講師だった有限会社イーズの枝廣淳子さんは、日本の企業は基本的に大変真面目なので、課題の認識が明確になって方向性が定まると、几帳面に推進していく信頼感があるとお話をされています。先日集まられた企業の方々とお話をしていても、強くそれを感じました。ただ、日本の90%以上は中小企業で、この企業群が日本経済を支えている訳で、先日の意識レベルと活動を、どう地元で展開していけばよいのか、知恵のいる所だと思います。逆に、地場企業は、地域環境とは密接ですので、環境悪化等は現場感覚として持ちやすいとも思いますね。一番の壁は、従来型の「経済団体」幹部の意識変革かもしれず、当初は恐らく抵抗勢力として構造的にはなるのでしょう。子供・孫の世代の為に、あきらめずにやれる光を見出した先日のフォーラムに感謝です。

企業の温暖化リスク

Posted by 秋山孝二
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 先日東京で、「企業の温暖化リスク」に関するセミナーが開催され、日刊温暖化新聞http://daily-ondanka.com/のパートナー企業の方々が集まってのワークショップは、大変面白いものでした。

秋山財団http://www.akiyama-foundation.org/ も微力ながら活動の一環として、昨年パートナーの一員になりました。財団活動として、「生命科学の基本目標は、人類、そして地球の『健康』を確保する点にあると言えましょう。『健康』とは、人類が、世界が、平和を保つ状態だと思うのです。それは人間のコモンセンスに属すべきものであり、秋山財団の地味ではあっても着実な助成・育成活動が、北海道から日本へ、そして世界へ向けて、人類のそうしたコモンセンスの確立へと発展し、貢献する事を期待して止みません。」とメッセージを発信しています。

ワークショップでの意見交換・懇親会でのやりとりは、多様な参加者の世代・所属等により、終了してから反すうしてみても、大変奥深い内容でした。例えば、温暖化の因果関係は不確実性の中でどの程度説得力を持つのか、10年後の影響については偶然性が大きいが、10年単位での変動という時間軸ではかなりの裏付けを持つ事が出来るのではないか、合意形成の難しさ、危機の「見える化」の重要性、多様な要因の体系化等、キーワードの数々が次々に出されました。

温暖化というのは、平均値の上昇と言う以上に、変動幅の増大にそのリスクが潜んでいることもあらためて確認しました。また、科学的数字に過剰に依存しない事、変化への最適化だけではなく「しなやかさ」の必要性、頭の中に「未来の記憶」を蓄積しておく、と言った新鮮なフレーズに、当日集まった中では最高齢世代の私の頭も覚醒されましたね。

変動幅の増大に対して、「しなやかな強さ」での対応、それは時として効率化とか生産性向上とは相反する活動ともなること、そして「ムダ学」のススメ、すなわち一見ムダに見える事と本当にムダな事との違いを見極めること、の大切さも学んだつもりです。

会が終了した時に主催者の枝廣淳子さんが窓の暗幕を開けると、素晴らしい「夕日」が見えました。「ここは夕日が見える会議室で大好きです」と語りながら・・・。これまで会の終了時にこんな主催者の発言を聞いた事がありません。これが「しなやかな強さ」というのでしょうね、恐れ入りました。

生物多様性の保全は

Posted by 秋山孝二
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 今年のG8サミットでは、環境問題が中心課題と大きくメディアでも取り上げられました。終わって発表された沢山の声明を冷静に読み返してみると、あれもこれもで、その後それぞれの関係する方々が都合よく「これがG8サミットの合意だ」と言っている様子を、8月以降のいくつかのフォーラム等で語っているのを目に致しました。

一般的に新聞を読んでいると、環境問題は即「気候変動:温暖化」と読み替えている場合が多いですね。勿論それは重要なテーマではありますが、私のような遅れてこの問題に関心を寄せる者としては、環境問題にはもう一つ、「生物多様性の保全」という視点がある事を忘れてはならないと思います。

洞爺湖で開催されたサミットとほぼ同じ時期に、札幌のコンベンションセンターで「市民サミット」が開催されて、海外・国内・地元のNGO及び市民が約3000人参加致しました。2010年に名古屋で開催される生物多様性条約締約国会議(COP10)を控え、国内でも生物多様性に関する動きや話題を見聞きすることが増えてきました。企業にとっても、環境や持続可能性に関する「温暖化の次の大きなテーマ」ともいわれています。市民サミット」の分科会でも熱気のこもった議論があったようで、クロージングセミナーでの報告では、名古屋に繋がる総括報告もなされました。

私にとって、環境関係の大切な情報は個人会員になっている下記から送られるものです。週何回も、世界からの膨大な情報が送信されるので、読みこなすのも大変ですが、それを支えるスタッフも素晴らしいですね。
http://www.japanfs.org/ja/ 

このJFSの代表のお一人、枝廣淳子さんは日本の誇るべき女性です。先日も英字新聞で「 Asia’s first lady of the environment」という見出しで紹介されていて、写真には「green queen」として大きく掲載されていました。http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fe20081126sh.html

これから、生命科学をテーマとする秋山財団としても、この二つを視野に入れて「地球の健康」を考えていかなくてはならないと思っています。取り急ぎ、その一つ「気候変動:温暖化」について、下記の場で学んでいこうと思っています。http://daily-ondanka.com/thoughts/index.html