さっぽろアートステージ2011

Posted by 秋山孝二
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 今年で7回目、「さっぽろアートステージ2011:http://www.s-artstage.com/2011/」が始まりました。

 「さっぽろアートステージ」とは、札幌で活躍するアーティストに発表の場をつくり、その作品を市民と一緒に観て、ふれて、感じるアートイベントです、市内各所で関連イベントも盛んです。

駅前地下通路で

駅前通り地下通路で

 「アート」は、ふれて、感じて、はじめて楽しめるものだと思いますね、HPには次のように書かれています。

~~~~~その「アート」を街に開放し、気軽に楽しめるように、わたしたち「さっぽろアートステージ」はアーティストと市民がつながる「アートの入口」をつくり出しています。その入口は、舞台へ、現代アートへ、音楽へつながる入口です。そんな入口を街の至る所に出現させ、みなさんと「アート」の距離を縮めたい、「アート」を身近に感じてもらいたいと思っています。

 2011年もアートステージは「舞台芸術部門」「学生音楽部門」「音楽部門」「美術部門」の4部門で構成。「特別企画」として今年限定で、3月に開通した「札幌駅前地下通歩行空間」を舞台に「キックオフイベント」を開催いたします。アートステージのスタートとなる「キックオフイベント」ぜひ、ご期待ください!~~~~~~~~

 キックオフイベントは、今月5・6日に地下通路で開催されました。

地下通路での展示

地下通路での展示

 一方、 「札幌劇場祭:TGR(http://www.s-artstage.com/2011/tgr2011/)」も、先月下旬から、先立って市内9つの劇場で一層レベルアップし始まっています。

琴似・パトスロビーで、多様なチラシ

琴似・パトスのロビーに揃う多様なチラシ

 今年も私は審査員として、1カ月に32本のエントリー演劇を観ることになり、すでに8本は終わりました。昨年は初めての審査で要領も良く分かりませんでしたが、その後1年経ち、今年はかなり周辺情報も増えていますし、しっかりした審査で臨みます。今年の私の視点を、劇場祭のHPに掲載しています。

~~~~~<コメント> 3・11以降、芸術・文化の価値が人々に生きる力を与えるとして、高く評価されています。まだ一度も演劇を観たことの無い、或いは「敷居が高い」と敬遠している多くのごく普通の市民に対して、劇場に足を運んで貰う努力・意欲が感じられること、芝居を通して伝えたいメッセージ、問題提起が明確であること、そして何か新しいものを追いかけている姿、等が私の視点です。演劇に興味はありますが、基本的に「素人」の立ち位置にこだわりたい、北海道の演劇人に期待しています!~~~~~~

●今年のTGR札幌劇場祭大賞の審査員は以下の7人です。
・飯塚 優子 (レッドベリースタジオ主宰) ※審査委員長
・早川 渉 (映画監督)
・秋山 孝二 (NPO法人北海道市民環境ネットワーク理事長)
・松井 哲朗 (劇評誌「続・観劇片々」主宰)
・桑田 信治(株式会社インテリジェンス anウィークリー北海道版編集担当)
・北田 静美 (株式会社ウエス CREATIVE5 営業企画 プロデューサー)
・森  彩夏 (北海道教育大学岩見沢校 芸術文化コース  アートマネージメント音楽研究室所属4年生)

 12月4日は、午後から公開審査会があり、そこで大賞他が決まります。実は、私の所属、この「秋山財団」から「NPO理事長」に変更しました。肩書を入れると漢字が20文字以上も続くことになり、芸術・文化には馴染まない(?)と勝手に自分で判断して代えました!

 

  更に、今年から「常設」となった「500m美術館:http://www.s-artstage.com/2011/artstreet_about/」も一段とレベルアップです。

今年から「常設」へ:500m美術館

今年から「常設」へ:500m美術館

  芸術の秋、札幌は今、盛りなり、ですね。

「男肉 du Soleil」、大復活!

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 「男肉 du Soleil:オニク・ド・ソレイユ(http://oniku-du-soleil.boy.jp/)」の公演がシアターZooでありました。若い男たちが上半身裸で踊り、叫びまくる舞台、予想はしていましたが「緊張感?」がありましたね!「写肉祭(フォトコンテスト)」に応募しようと数枚写真も撮ったのですが、動きが速くてとても作品までは至りませんでした。

男8人が踊り、語る2時間

男8人が踊り、叫ぶ2時間

ほとばしる汗、熱気が充満!!

ほとばしる汗、熱気が充満!!

 以前この欄に、私のパリ・ムーランルージュの舞台に引き出される体験 (http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2264)を書きましたが、今回も舞台で踊ったお客さまがいらっしゃいました、まるで違和感が無い素晴らしい踊りでした。客席では裸の男が私の横を行ったり来たり、終盤は汗いっぱいの体で私に向かって倒れ掛ってきて、まさに「緊張感」もいっぱいでした。20代の男たちの何とも言えない切なさが伝わってきました。

 アフタートークは、劇団「千年王國:http://sen-nen.org/」代表の橋口幸絵(http://bamora.seesaa.net/)さんと「オニク・・・」代表の池浦さだ夢さんでした。池浦さんからは、私には意外な程純朴な(!)お話の数々で、少しの驚きがありました。

口直し(失礼)のアフタートーク

口直し?(失礼)のアフタートーク

 橋口さんは、「今回の公演、見ているだけで妊娠しそう」とおっしゃっていました、すごいフレーズですね!公演前に丁度ロビーにいらしゃったので、ようやくご挨拶ができたし、お話も大変興味深かったです、今回はこの劇団の受け入れで場所も提供して、「寮母状態」とのことでした。

昨年の「札幌劇場祭:http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/12/865/」で、私は審査員の一人でした。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6621

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6707

 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=148

 劇団「千年王國」はこの劇場祭で「ダニーと紺碧の海:http://sennencocuchi.blog.shinobi.jp/Entry/38/」を上演しました、若さ溢れて大変オシャレな舞台で好きでした。今月14・15日には、韓国・光州市で開かれるビエンナーレ「光州平和演劇祭」に日本の代表として「贋作者」公演の予定です、素晴らしい舞台を期待したいですね!

面白いですね、地元演劇界は

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 北海道舞台塾(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/dbs/butaijuku/)公演「ぐるぐる、しない:http://www.haf.jp/butaijuku/」は、大変面白かったですね。演出・脚本・出演の納谷真大(なや・まさとも)さんは、以前から注目していますが、この3年間の貴重な経験を生かして、一層飛躍をして貰いたいです。

北海道舞台塾公演「ぐるぐる、しない」チラシ

北海道舞台塾公演「ぐるぐる、しない」

  毎年、事務局を担う北海道文化財団(http://haf.jp/)では、「北の舞台塾」公演もコーディネートして、昨年の札幌劇場祭(http://www.s-artstage.com/2010/category/tgr/)には、以下の三つが参加しました。

* 釧路市から、劇団北芸(http://www.geocities.jp/hokugei_nori/hokugei.top.index.html)の「この道はいつか来た道:作/ 別役実、演出/ 加藤直樹」

* 帯広市から、おびひろ市民ミュージカル(通称:obiカル:http://www.obical.com/Top.html)の 「ミュージカル さようなら、スパッツァカミーノ!原作/『黒い兄弟』(1941年 作/ リザ・テツナー)脚色/ 山本和彦(obiカル)演出/ 黒田勝史(obiカル)」

* 大空町から、町民舞台東藻琴の「薄荷物語-軌道が走っていた頃:作・演出/ 松岡義和」

 特に劇団北芸の芝居は完成度が高く、実に味わいの深い舞台で素晴らしかったです、一昨年の韓国公演でも高い評価を得ました。

 一方、日本の戯曲をしっかり舞台にのせるシリーズを、との企画で「じゃぱどら!!」が始まりました。今回は「地区大会」と銘打って、先日は井上ひさし作・西脇秀之演出・劇団回帰線(http://web.me.com/kaikisen/Top/KaikisenWeb/KaikisenWeb.html)「国語事件殺人辞典」が上演されて、来月には岸田國士(くにお)作・清水友陽演出・WATER33-39(http://water33-39.com/)「犬は鎖に繋ぐべからず」が予定されています。

「日本の戯曲:ジャパニーズ・ドラマ」シリーズのはじまりです!

「日本の戯曲:ジャパニーズ・ドラマ」シリーズのはじまりです!

来年この「1JAPADORA(?)紙幣」持参すると何かのサービスがあるそうです

来年この「1JAPADORA紙幣?」を持参すると、何かのサービスがあるそうです、ホントかな?

 言葉を縦横無尽に駆使して芝居にしてしまう、そんな勢いを感じます。観客としては、後半部にその膨大な言葉を追いかける疲労感も出てきたのですが、タイミング良く織り込まれる役者のアドリブで、ホッと一息つける場面もありました。日本語の原作はセリフに奥行きがあり、演技と相まってひと味違う面白さがあります、今後に期待したいですね。

2010年、少しの満足!

Posted by 秋山孝二
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 今年は、私にとっては情報発信をする機会に恵まれました。この欄は勿論ですが、北海道新聞の1年間の「新聞評」担当、パネルディスカッションのパネラー、札幌劇場祭審査員等です。「新聞評」は、辛口でと担当の方から言われて多少意気込んで取り組みましたが、多くの新聞等も読まなくてはとても辛口での論評は難しく、予想以上の作業でしたね。でも、本当にたくさんの方からの反応も直接頂き、手応えがかなりあったので嬉しかったです。

北海道新聞「新聞評」・担当3回(各1300字)で、以下その抜粋:

<2月上旬掲載>・・・・・・未来は予測するものではなく創り出すものであり、激変期にありながら「従来型」の視座に固執では感動はない。特に「東アジア共同体」構想の国際社会での意味、4つの密約等について、編集には座標軸と原点を示す「覚悟」と「勇気」を期待したい。

<6月上旬掲載>・・・・・・「APEC札幌会合まで1ヶ月」(5日朝刊)、「日本酒外交舞台で存在感」(17日夕刊)に接して、2年前のG8北海道洞爺湖サミットの記憶が蘇った。私は留寿都・国際メディアセンター(IMC)にNGO枠でしばし滞在し、海外からを含めて4000名を越える報道関係者の活きた取材・発信現場を垣間見た。NGOメンバーの記者会見等を含めた真摯で積極的な情報提供活動、市民メディアの的確な課題把握力、日本の映像メディアの浅薄さ、そして質・量ともに贅を尽くしたセンター内の無料飲食メニュー等である。国際会議で大切な地元の姿勢は、上滑りな「おもてなしの心」ではなく、しっかりした議論に裏付けられたメッセージの発信であり、日本のマスメディアに今問われているのは、目の前の状況から課題を認識・抽出する感性と能力なのではないだろうか。

<10月上旬掲載>・・・・・・・・・昨年、足利事件の菅家利和さんが釈放されたのは、元局長が逮捕されるわずか10日前である。多くのメディアは、今年3月に菅家さんの無罪判決が出た時、「捜査の全面可視化」を提起する一方、裁判員制度の導入も踏まえて事件報道のあり方に関して、捜査中心から公判中心へ基本的に転換したはずではなかったのか。本紙には、発表依存の報道から脱却し、以前、道警裏金報道で見せたような、果敢な取材に基づく調査報道の復活を期待したい。

<10月・新聞週間特集(800字)として>~~~~~~~~~

 メディアとしての「新聞」の危機は、諸外国の事例で頻繁に語られている。日本では、発行部数の多さ、テレビと内容的に同期している点、広告料の構成比の違い等、特有の環境があり、必ずしも同じ道をたどるとは思えない。ただ、本来の新聞の強みを関係当事者が見失った時、衰退が始まるのだろう。

 先月の記事で、私が数社を比較して注目した一行の見出しがある。2010年版防衛白書・閣議報告は「沖縄海兵隊の役割強調」(10日夕刊)、他紙は「防衛白書、薄い民主色」(11日朝刊)と、一歩踏み込んで沖縄普天間問題の迷走との関連を表現していた。また青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場問題で、本紙が「再処理工場2年延期」(10日夕刊)とした記事が、他紙では「核燃 展望なき操業延期」(11日朝刊)だった。「安心・安全」への国民の高い関心に応える見出し、記事になっているかどうか、考えていただきたい。

 私はこよなく新聞を愛する読者として、期待を込めて望むことがある。一つは、「時代を展望して」、「流れを読んで」と難しいことを言うつもりはないが、少なくともリアルな現場から発せられる「今」を伝えてもらいたい。現場を深く掘る取材によって、「時代の空気」を読者に提供できないものだろうか。もう一つは、「たれ流し」のごとき発表報道ではなく、徹底した取材を基に、主語の明確な検証・調査報道を行ってほしい。発表報道の偏重は、いずれテレビやインターネットへ取って代わられる自滅行為ではないか。

 戦前、新聞は「上から目線」の国民教育機能で、権力の監視機能とは大きく性格を異にしており、さらに「報道」が「宣伝」に変わっていった。検証・調査報道の意義は、出来事には時間がたってから分かることがあり、安保・沖縄関連の「密約」でも明らかなように、当時「報道されなかったこと」の意味も、後に検証すると重要性を再認識することができるということである。

 市民の視点を貫き、立ち位置を明確にするためにも、記事の検証企画・調査報道にこだわって頂きたい。冷戦後の国際社会、政権交代後の日本社会、今、新しい時代に会社としての「覚悟」が問われているような気がする。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~

パネラーとして: 

8月「札幌の芸術都市構想フォーラム」http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=5134

12月「社会起業研究会フォーラム」http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6770

 

劇場祭審査員として:

11月札幌劇場祭審査員講評:http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/12/936/

 

 いずれも多くの皆さま方からご批判、お褒めを頂き、私自身大変励みとなりました。世の中まだまだ先の見えない混とんとした時期が続きますが、やらなければならない事がたくさんあります、来年も一日一日丁寧に生きていきたいものと心に決めています。今年1年、この欄を読んで頂いた方には心から感謝申し上げます。どうか、良いお年をお迎え下さい。

演劇の審査って?TGRで

Posted by 秋山孝二
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 「審査」って何だろう?と思いますね。もう何回も書いていますが、この一カ月と少し、「さっぽろアートステージ2010劇場祭:http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/12/865/」の審査員をやってみて、そう感じます。賞自体の存在が、この祭典に参加した方々の今後のモチベーション向上につながることが大切です。今回、更に初めての「公開審査会」とのこと、普段舞台を専門とする数多くの関係者の前で、ライブ中継もあり、作品の講評・審査を行う「素晴らしい?」機会を与えて貰いました。以下、いくつか審査を通じて感じたままを書き留めます。

 

* 演劇の劇評については、日頃からいくつかのブログが面白いです。加藤さんの「シアターホリック:http://theater-holic.seesaa.net/」、市民記者ブログ「http://ameblo.jp/s-artstage/」等です。同じ演劇を観ても、実に多様な受け止め方をする、その辺が楽しいところでしょうか。今回の審査員との意見交換、事前審査、公開審査、いずれも大変面白いひと時でした。

* 30近い演劇のうち、私は26を観ました。新人賞に輝いた学生達の芝居は、今回私は残念ながら観ることが出来ていませんでした。いつもでしたら開始3分くらいで「ハズレ」と感じる演目もあるのですが、今回集中的に観たものはいずれも面白かったです。この札幌劇場祭の過年度分の記録を読むと、審査員の大変辛口のコメントが多い年もあったりで、そんな意味からは今年はレベルが高ったのかもしれません、有り難いことです。

* こぐま座・やまびこ座(http://www.katsudokyokai.or.jp/sisetu/gekijou/)には、今回のような機会が無ければなかなか足を運ぶことがなかったかもしれません。小さなお子様を連れた保護者の方、保育園の先生たちを含めての観客に対して、熱演の人形劇・芝居・パフォーマンスは、大変感動的でした。舞台だけでなく、観客の子どもたちを見ていても面白かったですね。ちょっと退屈なセリフのやり取りの場面では、大変素直に寝転がったりぐずったりの反応、感情表現も豊かで舞台にまで駆け上がらんばかりに近づく子もいたりしました。小さい頃からこういった「優れた」芝居に接することが、将来の芸術・文化の担い手育成の基盤なのでしょう、これからも大切にしたい札幌の宝です。

* 札幌オペラスタジオ(http://www.sos-opera.com/)「COSI FAN TUTTE恋人たちの学校」も大変良かったです。あらすじがパンフに書かれていたので、翻訳に目をそれ程やらずに舞台に集中することも出来ました。クラシック音楽の奥行きと生の迫力を感じました。私はボリショイ劇場、サンクトペテルブルク、ウィーンと、海外出張の時にこれまで観る機会がありましたが、札幌で今回このような機会に恵まれて嬉しかったです。

* 「大賞候補」となった5つの作品のうち、原作が今回オリジナルなのは弦巻啓太さん(http://www.t-gakudan.com/)の作品だけでした。この演劇祭が「すそ野を拡げて基盤をつくる」、「担い手育成」を目的とするのなら、何か地元発の新しい作品・脚本を促進する仕掛けがあってもいいのかな、と思います。もう一つ、「劇場祭」と銘打っての企画ですから、9つの劇場の大賞みたいな賞があってもよいのかな、とも。これは後日の反省会で提案しようと思っています。

* 私は、「気に入られたいオジサン症候群」で、若い方々の芝居をかなりの違和感があっても「分かろう」と努力しているつもりです。「あのセリフは良く理解出来なかったけれど、多分こう言う意味なのだろうな」と身勝手に納得させる自分がいます。決して創り手に対して攻撃的にはならないタイプだと自認しているのですが。でも、審査・選考では、その辺の私の思いは恐らく若い世代には伝わらないのでしょうね。自分の感想を「講評」と称して語ると、「還暦世代のオヤジに何が分かる!」と、まぶしいライトの向こうに座っている関係者からの声を感じます。「新しい観客を増やすこともこの劇場祭の目的であれば、観劇の次の予定を設定する為にも上演時間をあらかじめ表示して欲しい、事前に演出家の作品にかける思い等をチラシで明示してもえないか」、先日の公開審査会でもそう言うのが精いっぱいの私でした。

* 個々の自分なりの「講評」は手元にありますが、今回残念だったのは韓国からの二つの演劇が大賞・特別賞に選出されなかったことですね、私は二つとも自信を持って推薦したのですが、ノミネートにもなりませんでした。一昨年・昨年と韓国各地に札幌からの同行ツアーで行きましたが、彼らの観客を意識した確かな演技力と楽しませようとする姿勢は、今回の芝居でも十分発揮されていました。しっかりと伝統を受け継ぎ、現在の社会問題にも鋭く問題提起をする、そんな誠実な姿勢に感動しました。今後は、外国作品には事前・事後の簡単な文化・芸術の背景説明をする企画も必要なのかもしれません。これも後日の反省会で提案してみます。多様性社会の価値は、すなわち「違い」から学ぶ姿勢だと思います。

* 次に残念だったのは、劇団千年王国(http://sen-nen.org/index.htm)「ダニーと紺碧の海」でした。審査とかを離れて素晴らしい雰囲気で、私が最も印象に残り、もう一度見たかったなと思う作品でしたね。オシャレな会場設定、審査員でなければビールを数杯飲んでいたでしょう。眼前で展開される若い男女の会話の激しいやり取り、やがて変わっていく関係性等、遠い昔を想い出す(?)ような、何とも愛おしい切ない舞台でした。原作がシャンティでアメリカ的だからなのでしょうか、むき出しの言葉のやり取りの中に優しさを感じました。是非、再演をお願いします。

* もう一つ、劇団イナダ組(http://www.inadagumi.net/index.html)「ミズにアブラ ヌカにクギ」でした。今回、大賞5つのノミネートに入らなかったのは残念でしたね、私は一票入れたのですが。昨年の設定の方が良かったという人が多かったですが、実は私は今年のしか観ていません。「ネット社会」の息苦しさ、初めてその構図を目の当たりにした感じです。私たちの還暦世代にとっては、ネット社会は「選択肢の一つのコミュニケーション」なのですが、若い世代にとっては「全て」なのですね。学校で、家で、「敵は誰なのか」と追い込まれていく様子がリアルでした。

* このような「劇場祭」、札幌市内9つの劇場が連携して年一回の「お祭り」にまで漕ぎ着けるまでには、かなりの関係者のご努力があったのだと思います。率直に申し上げて、これまでの私の体験から、芸術・文化の担い手は「自分が自分が」の世界で、口を開けば他者の批評と悪口の数々、ビジネス世界に長らく身を置いた私からは、いかにも子供っぽく感じたものでした。ここまで創り上げてきた価値を高く評価すると同時に、この企画が札幌のマチの世界へのプロモーションとしても一層発展することに尽力をすると同時に、これから知恵を出して更に創っていきたいものですね、関係者の皆さま、お疲れさまでした!!!

さっぽろアートステージ2010

Posted by 秋山孝二
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 10月末から12月中旬まで、「さっぽろアートステージ2010:http://www.s-artstage.com/」が開催中です。「舞台芸術部門」「学生音楽部門」「音楽部門」「美術部門」の4部門とひとつの「特別プログラム」で構成されています。

今年のポスターから

今年のポスターから

  「舞台芸術部門」では、「札幌劇場祭」と「第5回北海道中学生演劇発表大会」でした。中学校演劇(http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/11/848/)では、各地区の予選を通過した6校が作品を披露しました。私はその2つしか観ることが出来ませんでしたが、素晴らしい表現力で感動しました。まさに世界に向けて将来の演劇を背負う人材が、北海道から輩出されるでしょう。指導の先生のご尽力にも頭が下がります。

第5回北海道中学生演劇発表大会で

第5回北海道中学生演劇発表大会で

 「美術部門」では、地下鉄大通駅からバスセンター前を利用した「500メートル美術館:http://www.youtube.com/watch?v=cYsTUVySv0Y」が見事です。

500m美術館

500m美術館

 今年、私は、「舞台芸術部門」の「札幌劇場祭:Theater Go Round 2010:http://www.s-artstage.com/2008/archives/90」の6人の審査員の一人になり、約1ヶ月間、30の演劇(オペラ・人形劇を含め)を観ての審査でした。先日、その締めとして公開審査会と表彰式が、演劇関係者の方々も多数出席して開催されました。

 「TGR札幌劇場祭2010大賞」、「特別賞」、そして「サプライズ賞」の決定。今年は初めての試みで「公開審査会」の形で行われ、なかなかの緊張感でした。日頃はただ、「楽しみながら」の観劇ですが、今回は「審査」という目的もあり、当初は少々緊張して足を運んだものの、時が経つうちにいつもと変わらぬ感じになってくるから不思議ですね。当日も言いましたが、「『スポーツ』とひと言で行っても、柔道、野球、バレーボール、サッカーの試合の中で、誰が一番?」と問われているような、そんな舞台芸術の幅の広さと多様性でしたね。また、「総合芸術」と言われるだけあって、舞台上の役者だけでなく、原作・脚本・演出・音楽・効果・道具等、多くの方々の努力の結晶であることを再確認しました。

 審査発表に向けた審査員会の議論も面白かったです。事前審査で、一人5つの作品をあげる時も、一人一人かなり違っているのです。中には、私としては「?」と思うものでも、「素晴らしかった」とおっしゃる方もいたり、またその逆もあったりで。それ程、演劇というのは「指向性が強い」のかな、とも。結局は、「好き・嫌い」の選考になるのかも知れませんね。個別の感想はまた別の機会に。

 とにかく、北海道の演劇創造を担う方々との新たな出会いに感謝します。