あるセリフ、映画「野のなななのか」

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comment: 1

 北海道・芦別を舞台にした映画「野のなななのか(http://www.nononanananoka.com/」については、5月にここに書きました。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=19951

  大林宣彦監督のこの映画への意気込みはこちらでも読み取れます(http://www.nononanananoka.com/message.html)。

 映画全体についてはさておき、私は5月にこの映画を観て、実はずっと気になっていたことがありました。ご覧になった方はお分かりでしょうが、後半部に、草原で鈴木冬樹、鈴木春彦兄弟が語る場面です。北海道・泊原発に勤務する弟の春彦(松重豊)が、これからの自分の人生について語ります、「北海道には『エネルギーチェンジ100プロジェクト』という活動があり、自分は泊原子力発電所の仕事を辞めてこの活動に参加しようと思う」、そう兄・冬樹につぶやくのです。

 私は、思わず「エネルギーチェンジ100プロジェクト(http://www.enechan100.com/?page_id=174)!」と一人繰り返してしまいました。何故なら、私自身、「認定NPO法人北海道市民環境ネットワーク(http://www.kitanet.org/」理事長として、この活動の発起人の一人であり、今年から「エネルギーチェンジ100ネットワーク(http://enechan100.blogspot.jp/」として独立した活動団体としてバージョンアップしていましたので。

 上映後から、このセリフのよって来たる所以を調べてみようと関係の方にあたってみたところ、このたび全て分かりました。

 まずは、この映画の原作者、演劇関係の劇団「弘前劇場(http://www.hirogeki.co.jp/主宰の長谷川孝治さんにお会いする機会が今月あってお聞きしたところ、この部分は彼の原作にはなく、大林監督が強く要望したとのことです。余談ですが私は以前からこの劇団のファンで、札幌劇場祭でもたびたび上演されていて大賞他も受賞されています。

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=17165

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15633

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15224

* http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=11060

 そこで次に、この映画の制作委員会(http://blog.goo.ne.jp/nanananoka)メンバーで、地元で熱心に活動している「一の薬局(http://byoin.me/pharmacy/147440549/)」石川睦子社長にお電話で伺ってみました。調剤薬局の経営で地域の医療・健康に永年ご尽力されている石川先生には、私はお亡くなりになった石川博識先生とともに幼い頃からお世話になり、また商売上は秋山愛生舘、今の医薬品卸「スズケン」としても大変ご愛顧頂いてます。石川先生はいつものお元気なお声で、セリフは確かに自分の記憶にあるけれど、誰が大林監督にアドバイスしたかは、恐らく芦別で学芸員をやっているハセヤマさんが知っていると思うのですぐに連絡してみます、とのご返事でした。ハセヤマさんのお名前をお聞きしてアレッと気になって私は電話を終えて確認してみましたら、芦別市役所(http://www.city.ashibetsu.hokkaido.jp/)の長谷山隆博さんで、昨年の秋山財団と前田一歩園財団との合同報告会において、15番目に活動報告をされた方でもあります。秋山財団の宮原広幸常務理事(芦別出身)の高校の後輩になり、以前からお名前を承知していました。

* 昨年の合同報告会の様子――>  http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=17201

 翌日、石川社長、長谷山さんから相前後してご連絡を頂き、このセリフの情報提供者が分かりました。今回の発信源である制作委員会事務局で活動され、旭川市役所所属、現在釜石でお仕事中の酒井智則(http://d.hatena.ne.jp/haruka_nostalgie/)さんです。

 大林監督が脚本を作られる時に、泊原発の将来の方向性や、登場人物(春彦)が原発を退職したあとの選択肢を考えたいとのことで、酒井さんが集めた資料の中にこのプロジェクトがありました(インターネットで見つけたそうです)。酒井さんは、「できあがった脚本の中に、プロジェクトの名前がそのまま使われていたのでちょっとびっくりしましたが、多くの方に伝わる良いきっかけになりましたね」と、FBを通じてご連絡を頂きました。

 そして、この間私と一緒にずっとこの「セリフ」を追いかけてきた「エネルギーチェンジ100ネットワーク」代表・宮本尚さんは、今、語っています。

~~~~~~~~~ 宮本尚さんのコメントから

  名前を出していただいたのも光栄ですが、こうして私がとても喜んでいる理由は、北海道の「未来」のために変わっていこう!という登場人物の選択として、取り上げられたことなんです。全国のみなさん、ぜひ映画「野のなななのか」を見てくださいね。
映画の中のセリフだけ聞くと、架空のプロジェクトに感じるかも。

  実際「北海道エネルギーチェンジ100プロジェクト」で、具体的に、発電所をつくってる、とか、そういう組織ではありません。でも、今年5月に立ち上がった新団体北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク」には、地域で自然エネルギーをつくり出している方、省エネルギーの活動で成果をあげている方、環境保全に関する活動をしている方、教育に関わっている方など、いろんな分野で実績をあげてきている方が参画してくださっていて、どんどんネットワークが拡がってきています。みなさま、応援お願いします。会員も募集中です!

「北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク」 http://enechan100.blogspot.jp/

~~~~~~~ 引用 おわり

 これまでのリアルな繋がりをたぐり寄せて、今回の「『セリフ』のよって来たる所以」調査(?)は、思わぬネットワークの再確認となりました。一本の映画の一つの「セリフ」がこんなにも多くの方々の関係性を背景としていること、そして、私自身のこれまでの人生の積み重ねとも言えて、大きな感動を覚えるのです。今回関係した皆さん、お問い合わせをするとすぐに連絡を取って頂いて、空間を稲妻が走るがごとくアッという間に情報がつながっていく、そんな「凄さ」を感じました。

 ネットワーキングのスピード、それは個々の活動の「ホンモノらしさ」に比例するのでしょうね、久しぶりのワクワク感でした!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<追記:2014.12.13>

 実は、上記のブログを書いてから、縁あって大林宣彦監督の娘さん・大林千茱萸(ちぐみ)さんとお会いする機会があり、そこでさらにこのセリフに至った詳細を伺いました。映画のセリフに入れる場合は、大変慎重な言葉の吟味・検証を行うそうです。特に活動の場合は、代表者の信頼性、活動の公開性、今後の継続性・可能性等です。今回の場合、その辺りを念入りに千茱萸さんのご主人がかなり時間を掛けて行っての結果とのことでした。映画はまさに、大変多くの方々のご尽力でできあがるのですね。そんな厳しい検証をパスしたこの「北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク」に関わる者として、嬉しくもあり、誇りにも感じます。

演劇シーズン 2014 冬

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 札幌演劇シーズン 2014 冬(http://s-e-season.com/」もいよいよ終盤を迎えています。これまでにいろいろこの欄に書き留めてきました。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E6%BC%94%E5%8A%87%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%B3

「西線11条のアリア(http://s-e-season.com/program/nishisen/index.html)」

会場受付で

会場受付で

■キャスト
木村洋次 佐藤健一 弦巻啓太 宮田圭子 林千賀子 山本菜穂 高子未来
川崎勇人(劇団東京乾電池) 彦素由幸(札幌ハムプロジェクト)
上田文雄(札幌市長) ※上田市長のご出演は2月15日(土)14:00開演の回となりました。

■スタッフ
照明プラン:熊倉英記(株式会社ステージアンサンブル)
照明オペレーター:矢口友理(株式会社ステージアンサンブル)
音響プラン:百瀬俊介(shusa) 舞台スタッフ:札幌座員
宣伝写真:高橋克己
制作:笠島麻衣、横山勝俊
ディレクター:斎藤 歩
プロデューサー:平田修二
 

開場前にはすでに長い列ができて、特に子供連れのご家族、中・高校生ほか、若いお客さんがこれまでの演劇公演に比べて多かったような気がします、嬉しいことですね。

教育文化会館小ホール、開場前からのお客さんの列

教育文化会館小ホール、開場前からのお客さんの列

 この公演、札幌ではこれまでシアターZooでしたが、今回は教育文化会館小ホール(http://www.kyobun.org/)です。当日配布のパンフに私も寄稿しています。

~~~~~~~~~~~ 配布パンフより

札幌で生まれ、18歳まで中央区南1西5で育った私にとって、「市電」は札幌の原風景です。4歳から高校卒業までの毎日、通学は定期券で、特に、「西線:ニッセン」の響きは、藻岩山麓の四季の景色とともに、いつでも心地よさを醸し出します。

20113月、札幌座(前TPS)が初めて「レパートリーシアター」と銘打って、1ヶ月のロングラン公演を行いました。「アンダンテ・カンタービレ」、「西線11条のアリア」、「秋のソナチネ」のオリジナル三作品上演。途中、11日に大震災があり、継続を危ぶまれましたが、「今回の三作品は、いずれも生きることの意味、死とどう向き合うかを描いたものであり、今、多くの方に観ていただきたい」との見識と勇気ある判断で、予定通り公演を続け大盛況でした。

日本全国では、演劇公演はじめ、殆どのイベントがキャンセルになり、札幌でも同様の傾向が見られました。そんな中この企画により、こういった状況であるがゆえに、芸術・文化の価値を再発見した気がします。足を運んだ動機として、「毎日、悲惨な光景のテレビ映像で気が滅入ってしまったので・・・」とおっしゃる方も多かったのです。

もう一つ、シアターZOOがこの年に10周年を迎えました。ロングラン千秋楽お祝いとともに、10周年のお祝いの会も同時に開催されました。札幌にこのような場としての「劇場」がうまれ、演劇人が演劇の仕事に専念できるように、まずはロングラン公演を形にしてみましょうと。そして、「演劇シーズン冬・夏」へと発展し、11月の登竜門としての「札幌劇場祭TGR」を含めて、これまで多くの方々のご尽力で、札幌・北海道に演劇の種がまかれ、芽が出て、今、「産業」としての基盤が創られつつある手応えを感じています。

生命、安全、衣食住の確保、さらにもうひとつ私たちが望むものは、芸術文化に触れる時間です、生きる意味を問い、時空を超えて限りある時間を共有する、私たちの大切な営みです。

札幌座として新しい体制でスタートし、次々とチャレンジが続きます。昨年11月の札幌劇場祭(TGR)参加作品「ロッスム万能ロボット会社」は、すがの公が原作をベースに新ジャンルに挑み、多くの客演を迎えて、それぞれの役者がこの舞台で可能性と新たなイメージに体当たり、私はTGRでもトップレベルの公演だったと信じています。

オレゴン・シェークスピア・フェスティバル(OSF)を越える「創造都市・さっぽろ」の中核として、今、演劇の存在感が着実に増している、そんな実感です。

~~~~~~~~~~~~~ コピー おわり

 

今回の公演はこれまでより広い舞台、目線もいつもよりも下からの観劇となりました。猛吹雪の迫力は今回が一番、雪の量も随分増したのでしょうね、ご飯の炊ける香りは広い分だけ拡散したかなと、少々残念ではありました。「死」に向き合う重たいテーマですが、これまでの公演の中で最も突き抜けた明るさというか、後味の良さを感じました、何が違うのでしょうか、後日ゆっくり聞いてみたいなと思います。

演劇シーズンは札幌市内で演劇のすそ野を広げる目的が第一、子供連れ、小・中・高校生の若いお客さまが多いのは本当に嬉しいし、きっと喜んで帰られたと思っています。

 

今回、サイト「ゲキカン(http://s-e-season.com/gekikan/nishisen.html」の劇評は実に新鮮で面白いです、多くの方々にアクセスして頂きたいですね。

チェーホフ劇場 2013 in Sapporo

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 今年も、「札幌劇場祭:TGR(http://s-artstage.com/2013/tgr2013/about/」の季節となり、海外からの劇団も熱演でした。

今年は韓国・インチョン、ロシア・サハリンからの劇団公演

今年は韓国・ソウル、ロシア・サハリンからの劇団公演

 外国からの劇団が札幌にいらっしゃった時は、公演後の至近距離での交流がいつも楽しいですね、サハリンのチェーホフ劇場の皆さんとも、交流会で盛り上がりました。

公演後の劇団のみなさんとの交流

公演後の劇団のみなさんとの交流

総支配人

総支配人

抜群の存在感

抜群の存在感

素晴らしい歌声、頭にはお土産の手拭いを巻いて
お土産のタオルを頭に巻いて

  言語が放つ雰囲気というのは私たちが受け取る印象として強いインパクトがあります。ロシア語は力があるというか、優美ではないけれど断定的に受けとめられるのは私だけでしょうか。役者の滑舌が良いのか、とにかく「力強さ」を感じます。

 今回の公演「私の人生」、主人公ミサイール・ボロズニェーフという若い男は、本当の自分の人生を探し求めて生きる姿を通して、メッセージを伝えてくれました。交流会でもお話が出ていましたが、舞台上のたくさんの本が、ある時は椅子になり、ある時は墓標になり、ある時は知識の象徴となり、重要なここというポイントで小道具に変化していく様も見事です。また、劇団として多様な世代の役者集団も作品に奥行きを創りますね、特に年配の女性と男性の役者の存在感、札幌には少ない価値かも知れません。

 自分に好きなジャンルと問われれば、私は今回のような芝居だと思いましたね。北海道からわずかの距離に、彼・彼女らが暮らしていることを知っただけでも、昨年6月の日本海航海ツアー(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=13241)同様に、大きな収穫でした。

「OSF 2013」 in アッシュランド(前)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 3

 Oregon Shakespeare Festival:OSF(オレゴン・シェークスピア・フェスティバル)http://www.osfashland.org/とまちづくりをテーマに、北海道演劇財団(http://www.h-paf.ne.jp/)関係者による調査・研究のツアーに参加してきました。

 米国オレゴン州アッシュランドは、札幌の姉妹都市ポートランド市の南460キロ、サンフランシスコとのほぼ中間点にある人口2万人のこじんまりした町ですが、この「OSF」で世界的にも有名です。1935年にアンガス・ボウマーによって始まった最も古く大きなプロフェッショナル劇場でのフェスティバルで、全米、外国から、毎年40万人の人々が訪れます。

オレゴン・シェークスピア・フェスティバル 2013

オレゴン・シェークスピア・フェスティバル 2013 10演目(2月~11月)

中心部の劇場群

中心部の劇場群

商工会議所・スタッテリー専務理事(左)とOSF・ギブス理事(右)

商工会議所・スタッテリー専務理事(左)とOSF・ギブス理事(右)

 今回、私たちは今札幌で続けている芸術・文化都市創造の一環で、「演劇によるまちづくり」の基盤等について、現場感覚を磨くことと、継続的にこれらを支えて来ている方々にインタビューを試みて、札幌におけるヒントを得たいという目的でした。

 今、札幌では、毎年11月の「札幌劇場祭:TGR(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6621」、「演劇シーズン夏・冬(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=17643)」等、これまでの多くの方々の努力により、市民の暮らしの中に演劇が定着し始めてきています。これをさらに発展・進化させて、プロフェッショナルな役者、演出家、照明、衣装等も含めた「産業」としての基盤を創り上げたいとの夢を持ちながら、アッシュランドの方々からのお話を聞きました、大変貴重なお話の数々、これらを活かして今後の札幌での活動に繋げたいものです。

メンバーと記念写真

メンバーと記念写真

【追記:10月4日】 地元メディアに掲載されました。
http://www.ashlandchamber.com/News.asp?NewsID=921

2013 新春 「Zooサロン」、ほか

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comment: 1

 新春早々、演劇関係のイベント・フォーラムが目白押しです。

 まずは、「Zooサロン:http://www.h-paf.ne.jp/salon/index.html」。今年最初のサロンでは、盛りだくさんの表彰と「2012札幌劇場祭:http://www.s-artstage.com/2012/」において、「素麺」でTGR大賞受賞された劇団弘前劇場(http://www.hirogeki.co.jp/)代表の長谷川孝治さんも、超多忙の中、お越し頂きました。

札幌劇場祭2012大賞受賞の弘前劇場・長谷川孝治さん

札幌劇場祭2012大賞受賞の弘前劇場・長谷川孝治さん

 表彰も続きました。 「橋本久明賞」は、札幌座の発展にご尽力された故橋本久明元TPSくらぶ(現札幌座くらぶ)会長の功績を称え、2005年に創設された賞。前年に最も札幌座の活動に貢献した劇団員に贈られます。今年は昨年に続き、高子未来さんでした。

第8回橋本久明賞の高子未来さん

第8回橋本久明賞の高子未来さん

  「【Re:Z】大賞」は、シアターZoo提携公演【Re:Z】において、観客を魅了し、最も優れた舞台を創造した劇団・演劇人に贈られる賞。副賞は2013年札幌劇場祭参加権と賞金。今年は「WATER 33-39」でした。

【Re:Z】2012大賞受賞の「WATER 33-39」のカンパニー

【Re:Z】2012大賞受賞の「WATER 33-39」のカンパニー

  「らてるね賞(北海道演劇宣伝美術大賞)」は、演劇を下支えする宣伝美術の担い手を励まし、小さな灯り(ラテルネ、ランタン)で照らすささやかな個人賞。伏島信治さんが主宰しています。今年の大賞は長尾修治さん、優秀賞は温水沙知さん、小島達子さんでした。

らてるね賞優秀賞受賞の小島達子さん

らてるね賞優秀賞受賞の小島達子さん

  

 一方、「このひとと語ろう」シリーズの第三弾、(株)電通北海道(http://www.dentsu-hokkaido.jp/)社長の高堂理さん、劇団千年王國(http://sen-nen.org/)主宰の橋口幸絵さん、司会は北海道教育大学の閔鎭京さんでした。

第3回「この人と語ろう」 

第3回「この人と語ろう」 

 高堂社長の音楽・演劇への高い見識ほか、お三人の軽妙なトークは時の経つのも忘れるほど楽しいひと時でした。企業経営者と演劇人とのこのようなコラボレーション、少しずつ拡げていくと面白い展開が期待できますね。 第2回目は秋山財団で、恥ずかしながら私も登場しました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15265)。

 

 もう一つ、北海道教育大学特別公開講座「新国立劇場の現場より~舞踊チーフプロデューサー、研修主管として見た舞台芸術と劇場~」と題して、永田宣子(よしこ)さんのご講演がありました。新国立劇場(http://www.nntt.jac.go.jp/)で活躍する永田さんのお話、DVD映像は、バレエ舞台創りの魅力、舞踊鑑賞の楽しみ方、次世代芸術家育成について等、参加した方々に大変示唆に富むメッセージでした。

 新年早々、濃い演劇関連のイベントが続きました、これからも楽しな札幌・北海道の演劇です。

札幌劇場祭(TGR)の審査を終えて(5:最終)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 審査会から5日経つのに、延々と芝居のセリフが頭を巡るから不思議です。

 特に、intro「モスクワ」の「わたし、ドブリニンスカヤ駅のマクドナルドに行く・・・・」のフレーズが繰り返します、リズムと響きが耳に心地よいのでしょうかね、すっかり通過点、通過点で、地下鉄に乗っていても降りそびれるくらいです!

ドブリニンスカヤの駅で

わたし、ドブリニンスカヤ駅のマクドナルドに行く

  「審査」の難しさについて、私は繰り返し言ってきました。たまたま先月、京都に行く用事があり、お寺の住職・寺前浄因さんのお話をお聴きしました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=15178)。その中の自己紹介で彼が、当初入学した大学哲学科を退学した理由を、「大学では教授も学生も、『哲学する、探究する』ことというよりも『解釈を競う』ことに終始していたので」とおっしゃっていましたが、私には実によく理解できるのですね、その雰囲気が。

 私は、演劇の「審査」も、何か審査員の解釈・講評を競う場になっているような気がするのです。仮に審査員が創り手だとすれば、「自分だったらこうするけれど・・・」になるでしょうし、観る側だとすれば、「こう言った展開、演出だったら自分は好みだけれど・・・」みたいな感じ。いずれにしても作品製作に関わった側には余計な話、観劇した感想としてはそれぞれ価値があるのでしょうが、それが「評価」とか「審査」となると、とても私は僭越な感じが致します。一つの「尺度」程度に理解して頂ければ気が楽ですし、あまり一喜一憂して貰いたくないなと思います、本来芸術分野の価値は、「一人一人が感じる固有なもの」なのでしょうから。

 昨年でしたか、私が大通駅から続く「500m美術館」で展示を観ていたら、すぐ後ろにお母さんと15歳くらいの少し障がいをお持ちの息子さんの二人連れが歩いていました。「作品を観て思った通りを言ってごらんなさい」と、語りかけるお母さんの優しい言葉が印象的でした。

 この劇場祭(TGR)で、特にスタートラインについたばかりの将来の演劇人の皆さまには、一連の審査員の甘口、辛口のメッセージが、今後のモチベーション向上につながることを期待したいですね。

札幌劇場祭(TGR)の審査を終えて(4)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 2

 公開審査会後に、いろいろ知ったことがありました、「客演」、「ロングラン」の難しさもその一つです。

 今の北海道では、演劇関係者(役者・脚本家ほか)がプロフェッショナル(専業)として生活するのはなかなか難しい環境であり、生活の糧としての「仕事」をし続けながらの公演にならざるを得ません。当然そこには「職場の都合」があり、未成年の場合は夜の時間制限等社会的制約も順守しなければなりません。一つの劇団であれば、その約束を長年共有してきていますが、客演となると、稽古・公演の時間帯等がいつもとは違い、なかなか全員が揃う場の確保が難しい、ロングランでも同様で、まさに「芝居以前の環境整備」ができていない状況なのだと思います。

 今、札幌では、「演劇創造都市札幌プロジェクト:http://s-e-season.com/about-project/」を展開中で、私はその副代表の一人です。札幌劇場祭も終り頃の先月末に、「このひとと語ろう~札幌の演劇へのアプローチトーク②~」が、第二回目として秋山財団2階で開催されました。第一回は代表の荻谷忠男さん(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=14386)、来年1月17日の第三回は副代表の高堂理さんの予定です。

 今回は私と「劇団yhs:http://yhsweb.jp/」主宰・演出家の南参さんとのトーク、司会はNPO法人コンカリーニョ(http://www.concarino.or.jp/events/)理事長の斎藤ちずさんで、40名の皆さまがお集まりになりました、ありがとうございます。劇団yhsは今年で15周年の節目の年を迎えています。苦節15年(?)、一直線ではなかった様子を先日も南参さんから伺うことができました、また彼は私の中学校の後輩ということも知りました。

中央が南参さん、右が斎藤ちずさん

中央が南参さん、右が斎藤ちずさん

 このプロジェクトでは、札幌で、仕事として、演劇に従事する演劇人が100 人誕生することを目標としています。演劇にかかわる専門技術者は、俳優だけではありません。舞台美術、装置、音響照明、衣装、メイク、ヘアなどの技術者、広告宣伝、印刷やメディアの業界、劇作家や演出家、作曲家、演奏家、歌手、ダンサー、振付家、劇場に欠かせない飲食業、などなど、その波及範囲は極めて広いのです。演劇人が、仕事として継続的に演劇創造ができる街・札幌、そこに、多彩な技術と才能が集まります。その軸として、「札幌劇場祭(TGR)」と「さっぽろ演劇シーズン」がしっかり根付くことが大切であり、今年の審査会を終えて、今、その手応えを実感しているのは私一人ではないと思います。

 芝居のクオリティを上げることは勿論ですが、多彩な公演の場を支える、演劇にかかわる人々「演劇人」が仕事として暮らせる芸術・文化の香りの高いマチを創っていく、それが3・11以降の地域の大切な価値なのだと思いますね。

<参考>

代表     荻谷 忠男(北海道テレビ放送株式会社代表取締役会長)
副代表    秋山 孝二(秋山記念生命科学振興財団理事長)
       高堂 理(株式会社電通北海道代表取締役社長)

幹事   飯塚 優子(レッドベリースタジオ主宰)、碓井 雅博(株式会社電通北海道マーケティング・クリエーティブ局長)、尾崎  要(舞台監督)、斎藤 ちず(NPO法人コンカリーニョ理事長)、林 亮一 (北海道テレビ放送株式会社取締役報道情報担当)、三上 敦(株式会社ノヴェロプロジェクト推進室・プランナー)、右谷 誠(シアターZOO幹事)、閔(ミン)鎭(ジン)京(キョン)(北海道教育大学岩見沢校准教授)

事務局長    平田 修二(北海道演劇財団専務理事/プロデューサー)

■連絡先
北海道演劇財団 Tel:011-520-0710 Mail:office@h-paf.ne.jp
NPO 法人 コンカリーニョ Tel:011-615-4859 Mail:mail@concarino.or.jp

札幌劇場祭(TGR)の審査を終えて(3)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

5) 札幌座「ディヴィッド・コパフィールド」は、協働の場としての「札幌座」の4番目の公演でした。ディケンズの自伝的小説64章の原作を2時間の脚本にまとめ、21名の役者が登場して、150以上の登場人物をあのシアターZooの空間でこなす、まさに意欲的挑戦作品だと思いました。「どこまで削ぎ落とせるか、何を残すのか」、構成・演出の清水友陽さんの葛藤を垣間見る気がしました。コパフィールドの人生、山あり谷あり、多くの人々の出会いそれ自体が彼の人生の宝物なのでしょう。多くの客演の中で、特に亀井健さん、小林エレキさんが、これまでのTPS・札幌座になかったカラーを呼び込んでメリハリが出ていて、コラボレーションの面白さがまさに発揮された作品だと思いますね。

6) 一昨年からずっと感じていたことに、「人形劇」のジャンルの奥深さがあります。今年もこぐま座、やまびこ座でのそれぞれの劇団の公演は、皆、実に面白くメッセージも明確でした。子どもたちは勿論のこと、大人にとっても余韻の残る素晴らしい作品と演技で楽しめます。私も毎回のチラシを2人の子どもを持つ長男家族に渡して、近いうちに足を運ぶことを薦めていました。何と言っても、劇場、劇団の方々のお客さんに対する優しい眼差しが素晴らしいです。開演前の諸注意、休憩中には人形が客席に現れたり、そして、舞台では場面の転換も流れるような見せる場面として、とにかく劇場に居るお客さまに喜んで頂こうという姿勢から学ぶものは多いですね。

7) 今年は、公開審査会後の交流会で、多くの創り手の方々とお話をすることができました。それぞれ実に内容があり、創り手の伝えたかったことをあらためて知る機会となり、私的には嬉しかったです。ただ、一方で、お話をしてみて初めて「ああそうだったのか」と分かる時、「それはそう説明を受けないと分からないよ」と思う時も多く、たった一回の観劇では、なかなかその創り手たちの意図を捉えきれない自分もよく分かっているので、可能な限り「再演」を希望したいですね。一回だけではかなり見逃しているセリフ・場面もあったり、創り手にとってもその後の手直し、作品の進化としても価値ある場だと思うのですが。時々再演を観て、「かなり修正したでしょ」と製作者に言うと、「いえ、脚本は全く手直しをしていません」などと言われる場合もあったりしますので。

8) 7)にも関係しますが、それ故に、昨年から始まった「さっぽろ演劇シーズン:http://s-e-season.com/」企画は、再演を集めての1カ月ロングランであり、この劇場祭を踏まえてさらにすそ野を拡げる企画として期待したい所です。このTGRでの公開審査会での辛口審査が、次のこれらの企画で活かされてくると、北海道での演劇のすそ野は大きく拡がり続けるような気がします。観てお仕舞いの演劇鑑賞の「消費」ではなく、ともに創る「パートナー」としての観客に一段レベルアップすることと思います。

いずれにせよ、多くの方々の情熱と時間を費やして創られた一つ一つの芝居を、これ程濃密に鑑賞し前後に意見交換できる場を与えて頂いた劇場連絡会の皆さまに、心から感謝申し上げます、これからも劇場に足を運び続けますよ、「審査員」ではなく応援する「一観客」としてですね!

札幌劇場祭(TGR)の審査を終えて(2)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comment: 1

 今年の劇場祭、結果は以下の通りで、詳細はこちら(http://www.s-artstage.com/2012/news/2012/12/536/)。

< TGR札幌劇場祭大賞2012 >
大賞 弘前劇場「素麺」(http://www.hirogeki.co.jp/
特別賞(作品賞) /intro「モスクワ」(http://intro-sapporo.com/
特別賞(脚本賞) /座・れら「不知火の燃ゆ」(http://hakouma.eux.jp/2012/06/shiranuino_moyu/
新人賞 /劇団パーソンズ「CRY WOLF!」(http://persons.xxxxxxxx.jp/

< 審査員奨励賞 >
人形劇なかま パラパラポナ「ルドルフとイッパイアッテナ」(https://www.sapporo-info.com/eventDetail.php?event_code=43264
赤星マサノリ×坂口修一 二人芝居「貧乏ネ申 -The Poor Zombies-」(http://blog.livedoor.jp/aka_saka/archives/4057024.html
劇団怪獣無法地帯「The Lady・Blues~彼女に何が起こったか~」(http://muz-web.com/

< オーディエンス賞 >
ホームラン王 /劇団千年王國「火盗人」(http://sen-nen.org/
首位打者 /人形劇集団チーム・パース「大どろぼうホッツェンプロッツ」(http://www.s-artstage.com/2012/tgr2012/profile/#yamabikoza

 審査員3年目、地域で演劇を支えるすそ野は、この3年間を見ただけでも大きな進化・深化を実感致します。2年前の感想はこちら(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6707)。それにしても、「審査」の難しさは変わらず感じ続けましたね。個々の講評は、TGRのHPに譲るとして、今年のTGRの感想を2回に分けて書き留めます。

1) 昨年3・11を経て、今年のオリジナル脚本にはそれ以降の時代をにじませる雰囲気が漂っていました。創り手も観る側も、「3・11以降」をはっきり意識して生きている気がしましたね。大賞・特別賞2作品は、三つともに大震災・津波・原発事故の犠牲、及びその後の対応への批判的メッセージでしたが、昨年とは違って、新たな時代の始まりをしっかり引き受けて前に進んでいる姿も感じ取れました。

2) 弘前劇場は、以前から私の大変好きな劇団です。今年の公演、「素麺」はその中でもとりわけ素晴らしく、セリフ、間合い、照明、舞台装置等、完成度の高い作品でした。現実と真摯に向かい合う作者の姿勢、3・11以降を生きている者が「歴史を引き受ける」と力強いセリフ、一人一人の生きる「物語」が舞台の本棚からも感じられて、「生き直す」との新たな出発を感じ取りました。終了後はしばし立ち上がることができずに、その余韻に浸っていましたし、出口にいらっしゃった長谷川孝治さんに、「素晴らしい作品ですね」と、声をお掛けして帰りました、このような芝居をありがとう、と言ったお礼の気持でしたね。

3) introの「モスクワ」は、その題名からも魅力があり、どんな公演なのか興味津々でした。「わたし、ドブリニンスカヤ駅のマクドナルドに行く・・・・」、繰り返しのフレーズが私には少々耳障りでしたが、他の審査員は全くそんなことは無かったようです。「通り過ぎれば、そこは通過点」、この繰り返しも「分かったよ」と私の心の中ではそう呟いていましたが、ロシア語の文字を記号に、環状線をデザインとしてのサークルに、モスクワ、パリ、東京と、想像力は世界を駆け巡りました。そして、「1986」とそれ以降の世界、アントン・チェーホフ「三人姉妹」、映像の斬新さ、リズム感とスピード感、イトウワカナさんの「脱家族」、「個とコミュニティを見つめ直して境界を越えていく」心意気を感じました。前の若い女性が食べていたカップのスープみたいなもの、後で分かりましたが入り口で販売していたボルシチだったようです、ピロシキも売っていたと分かり、大変残念なことをしました。

4) 座・れら「不知火の燃ゆ」も衝撃的でした。戸塚直人さんの演出、水俣病を取り上げてはいますが、これは明らかに3・11原発事故を「放射能公害」と意識した作品。公開審査会後の交流会では戸塚さんともしばし歓談できて、その辺の意図を伺うことができました。役者の方々ともお話して、舞台で観る表情とは違った側面を垣間見た貴重なひと時でした。(次回につづく)

札幌劇場祭(TGR)の審査を終えて(1)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 今年は、札幌劇場祭(TGR:http://www.s-artstage.com/2012/news/)の審査員3年目、最終年でしたが、昨日の公開審査会が終了して、私のこの間の任は終了しました。数回に分けて、今年の劇場祭を私なりにふり返ってみたいと思います。

 まずは、FBにも掲載しましたが、<お詫び&訂正>です。

 昨日の公開審査会について、詳細は後日書くつもりですが、私の受け持ちの「『新人賞候補』講評」で、事実と違うコメントをしたことが分かりました。劇場「BLOCH:http://www.bloch-web.net/で公演した劇団「遊罠坊(あそびんぼう):http://asobinbou.web.fc2.com/の講評の中で、当日事前の審査員会で出た意見として、「開演を15分も遅らせる行為」を劇団の判断と言及したのですが、直後の交流会で関係者から事実関係をお聞きした所、これは劇団の判断とは全く異なっていたことが明らかになりました。この件に関して、確認もせずに公開の場でネガティブなメッセージとして伝えたことを、関係者の皆さまに心からお詫び申し上げます。

 これまで、公開審査会での各審査員の発言の影響力は殊の外大きく、仮に誤解に基づいた発言が放置されると、思わぬ尾ひれがついて関係する方々にご迷惑をお掛けします。特に「新人賞」については、若いこれからの劇団ばかりであり、期待を込めての「辛口コメント」のつもりでしたので、なおさらのことと心を痛めています、申し訳ありませんでした。

 3年目の審査員として、まずは「お詫び」からのご報告でした。

大いなるチャレンジ、「輪舞(ロンド)」

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 文化庁と(公社)日本劇団協議会(http://gekidankyo.blog59.fc2.com/blog-entry-38.html)主催、日本の演劇人を育てるプロジェクト・新進演劇人育成公演「輪舞-ロンド-」(原作アルトゥル・シュニッツラー、脚色・演出橋口幸絵=劇団千年王國・札幌座)の公演がありました。「国会議員」、「女優」、「夫」、「娼婦」、「人妻」、「作家」、「女子高生」、「ヤクザ」が織りなす一室でのやり取り、これまでとは違ったシアター「ZOO」の空気でした。

チラシの表紙

チラシの表紙

8通りの輪舞?

8通りの輪舞?

 2者間の関係性が、相手が変わることにより全く違うやり取りとかもし出す雰囲気、役者と観客のこれまでの人生によって、それぞれに受けとめ方も違う、そんな不思議な芝居でした。5年後、10年後、再演があると、自分も今回とは違ったメッセージを受けとめるような気がしています。 この種の性のテーマは、日本人を含めたアジア文化と欧米文化とでは、味の濃淡で、大きな違いがありますね。もっと濃厚な味が私は好きというか、役者の皆さんが少し若過ぎる?還暦過ぎの私にはそんな気がしました。

 このところの札幌の演劇環境は、「札幌劇場祭:http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?s=%E6%9C%AD%E5%B9%8C%E5%8A%87%E5%A0%B4%E7%A5%AD」、「札幌演劇シーズン:http://s-e-season.com/」等、企画も継続してきており、大きな盛り上がりを見せています。若い役者の皆さんの進化と今後の活躍に期待したいです。

札幌演劇シーズン、2012冬 (2)

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 「札幌演劇シーズン、2012冬」は、1月28日から始まり(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=11645)、後半日程(25日まで)を迎えています。思えば、昨年8月の札幌での記者会見(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=9763)から7カ月、もうすぐ初年度が終了です。

 私は、劇団イナダ組(http://www.inadagumi.net/の「このくらいのLangit:http://s-e-season.com/season/2012/winter/inadagumi/は、2回目の観劇を14日に、劇団TPS(http://www.h-paf.ne.jp/)の「亀、もしくは・・・・:http://s-e-season.com/season/2012/winter/tps/は、19日、今回のキャストで初めて観ました、22日には2回目の予定も。

ロビーでは、これまでの公演の写真も展示

ロビーでは、これまでの公演の写真も展示

 先日は公演後に、「演劇は仕事になるのか?~演劇の経済的側面とその未来」の著者・米屋尚子さんの講演と鼎談がありました。社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協:http://www.geidankyo.or.jp/top.shtml)で仕事をされて、長年にわたり舞台芸術にかかわる調査研究、政策提言などを担当する一方で、「芸団協セミナー」の責任者として数々の制作者向け講座を企画してきた方です。

東京からのゲスト:米屋尚子さん

東京からのゲスト:米屋尚子さん

  この日は盛りだくさん、講演の後は、毎月の「ZOOサロンの会:http://www.h-paf.ne.jp/salon/index.html」、今回は恒例の「橋本久明賞」の発表でした。「橋本久明賞」とは、TPSの発展にご尽力された故・橋本久明前TPSくらぶ会長の功績を称え、2005年に創設された賞で、年間を通じて最もTPSの活動に貢献した劇団員に贈られる賞です。今年は、全演目に出演し、存在感のある演技で好評だったニセコ町出身の高子未来さんが受賞されました。昨年の札幌劇場祭授賞式後のパーティで、私は彼女に直接、独自の目立たない演技が素晴らしかったと言っていたので、今回の受賞は大変嬉しいです、この賞の審査員の評価がです。

第7回橋本久明賞受賞:高子未来さん

第7回橋本久明賞受賞:高子未来さん

  さらに昨日のNHK総合テレビ・道内版「「つながる@きたカフェ」」の番組では、TPSチーフディレクターの斎藤歩さんが出演して、北海道におけるこれまでの演劇創造等について熱く語っていました。一昨日のサロンの会では、隣の席で日本酒を飲みながらワイワイやっていて、これまでの活動、海外公演のお話等は、大変身近に感じられました。彼は、NHK大河ドラマ「龍馬伝」、今放送中のTBS「運命の人」にも出演している「個性派(?)俳優」で、今回の演劇シーズンでは、「亀、もしくは・・・・」に出演しています。

齊藤歩、NHK総合テレビに出演:北海道での演劇創造について熱く語る

齊藤歩、NHK総合テレビに出演:北海道での演劇創造について熱く語る

 ハンガリー公演でも、韓国公演でも、同行ツアーで斎藤歩さんとは一緒でした。いろいろゆっくりお話をする機会もありましたが、「若い時に海外公演を経験して、外国のお客様の反応、多様な評価を体験して、世界に通用する役者に育って貰いたい」という彼のメッセージは、これまでの草分け的な地道な育成活動に裏付けされた重みのある言葉でした。

 想い出しますね、ハンガリー公演のブダペスト・メルリン劇場で、「亀、もしくは・・・・」の初日、始まってからの3分間の緊張、山野久治さん扮するハドバー先生のセリフにどっと笑いが起きた時のあの感動。そして、その後日本国内での一段とレベルの上がった公演活動は、役者陣の確かな進化を実感しました。

 人を育てる、それには芝居を創る多くの方々、足を運ぶ観客・ファン、そして、場なのでしょうね。札幌・北海道が本当に本物の場となるような活動が、今年始まったと言えるのでしょう、期待したいし、応援もします!

演劇創造の担い手たち

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comment: 1

 演劇を愛する人たちの「サロンの会・例会」が、劇団千年王國(http://sen-nen.org/index.htm)の稽古場でありました。今年の札幌劇場祭(TGR2011:http://www.s-artstage.com/2011/about/)で大賞・特別賞を受賞された劇団・脚本・演出の方々をゲストでお招きし、製作の苦労話ほか、公演にまつわるこぼれ話を聴くことができました(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=11060)。

・札幌劇場祭 大賞 劇団千年王國 「狼王ロボ」
・札幌劇場祭 特別賞 [演出賞] intro 「蒸発」
・札幌劇場祭 特別賞 [作品賞] 弘前劇場 「海辺の日々」

・札幌劇場祭 新人賞 劇団アトリエ 「もういちど」

・札幌劇場祭 オーディエンス賞  ※星5つ満点の観客アンケートによる賞
  リーディングヒッター賞(☆の平均) 劇団千年王國 「狼王ロボ」
  ホームラン王賞(獲得した☆の総数) 劇団千年王國 「狼王ロボ」

劇団千年王国の橋口幸絵さん(右)と民俗楽器奏者の福井岳郎さん(左)

劇団千年王國の脚本・演出・橋口幸絵さん(右)と民俗楽器奏者の福井岳郎さん(左)

introの脚本・イトウワカナさんほか

introの脚本・イトウワカナさん(右)、役者・菜摘あかねさん(左)

劇団弘前劇場

劇団弘前劇場の照明・中村昭一郎さん

新人賞:劇団アトリエの役者・小山佳祐さん(右)と役者・柴田知佳さん

劇団アトリエの役者・小山佳祐さん(右)と役者・柴田知佳さん(左)

 今年の作品を振り返り、舞台とは違った魅力も感じて楽しいひと時でした。役者の皆さんの表情が実に綺麗ですね、目が輝いているというか、普段仕事でお会いする方々が曇っているという訳ではないのですが、発散するエネルギーみたいなものをそばにいて感じます。特に、今年は製作に関わった全ての皆さんが、3・11をどう受け止めるか、その後どう表現活動を行うべきか等、災害と真正面に向き合おうとする姿勢が印象的でした。

 先日の会では、目の肥えた参加者の方々から次々と質問もあり、内容の濃いサロンの会でした。写真の背景の壁に貼られている年表とオオカミのスケッチは、「狼王ロボ」の稽古にあたって、オオカミの歴史等についての調査研究の跡でしょうね、観終わった後に稽古場を訪れると、また作品の完成までのプロセスも思い起こされて感動もひと際です。

 来年1月から2月に、「札幌演劇シーズン~100人の演劇人が活躍する街をめざして:http://s-e-season.com/about-project/」もいよいよ開催されますし、演劇創造の新しい担い手たちを応援する意味でも、出来るだけ多く劇場に足を運びたいものです。今年、演劇にかかわった全ての方々に感謝です、ありがとう!!!

さっぽろ劇場祭(TGR)2011、終了!

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 2

 さっぽろ劇場祭(TGR)2011(http://www.s-artstage.com/2011/tgr2011/)が、4日の公開審査会で終了しました、詳細はこちら(http://www.s-artstage.com/2011/news/2011/12/606/http://hakouma.eux.jp/2011/12/tgr2011_taisho/)。U-streamでライブ映像もアップされていたようですし、twitterでもたくさんつぶやかれていました。

 私は昨年(http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6621)に引き続きの審査員として、一ヵ月間に32本の参加作品の観劇、昨日の公開審査会では7人の審査員が分担し、32本全作品の講評を行いました。今年こそは一作品1分間の持ち時間でと意気込んで臨みましたが、私は最初の4分間の持ち時間で6分32秒もしゃべってしまいました、作品の評価を端的に表現するのは本当に難しいものですね。

【2011年度 札幌劇場祭 受賞作品】~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・札幌劇場祭 大賞 劇団千年王國 「狼王ロボ」
・札幌劇場祭 特別賞 [演出賞] intro 「蒸発」
・札幌劇場祭 特別賞 [作品賞] 弘前劇場 「海辺の日々」

・札幌劇場祭 新人賞 劇団アトリエ 「もういちど」

・札幌劇場祭 オーディエンス賞  ※星5つ満点の観客アンケートによる賞
  リーディングヒッター賞(☆の平均) 劇団千年王國 「狼王ロボ」
  ホームラン王賞(獲得した☆の総数) 劇団千年王國 「狼王ロボ」

・札幌劇場祭 審査員奨励賞 yhs 「忘れたいのに思い出せない」
・札幌劇場祭 審査員奨励賞 AND 「ばらひまわり」
・札幌劇場祭 審査員奨励賞 座・れら 「トランス」

・フライヤーコンテスト 優勝
  ミュージカルユニット もえぎ色 「Teardrop」 (同数 1位)
  きりがたりシアター 「ジャックと豆の木」 (同数 1位)

[各賞についてのメモ]
大賞・特別賞は、TPS / 人形劇団ぽっけ&ばおばぶ&ボクラ を加えた最終候補 5作品からの公開審査。新人賞は結成3年以内の団体が対象です。オーディエンス賞は今年度はじめて実施されたもの。フライヤーコンテストはTGRのキックオフイベント(11/5,6)にて実施されたものです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 個々の講評は、後日こちらにアップされると思います(http://www.s-artstage.com/2011/news/2011/12/606/)。3・11の大震災を経て、芸術・文化のエネルギーを一層感じた今年の劇場祭でした。演劇関係に携わっている全ての方々に感謝するとともに、これからの活躍を大いに期待しています!そして、プロとして生活出来るためにも、多くの市民に劇場に足を運んで頂くことをお願いしたいです!

さっぽろアートステージ2011

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 今年で7回目、「さっぽろアートステージ2011:http://www.s-artstage.com/2011/」が始まりました。

 「さっぽろアートステージ」とは、札幌で活躍するアーティストに発表の場をつくり、その作品を市民と一緒に観て、ふれて、感じるアートイベントです、市内各所で関連イベントも盛んです。

駅前地下通路で

駅前通り地下通路で

 「アート」は、ふれて、感じて、はじめて楽しめるものだと思いますね、HPには次のように書かれています。

~~~~~その「アート」を街に開放し、気軽に楽しめるように、わたしたち「さっぽろアートステージ」はアーティストと市民がつながる「アートの入口」をつくり出しています。その入口は、舞台へ、現代アートへ、音楽へつながる入口です。そんな入口を街の至る所に出現させ、みなさんと「アート」の距離を縮めたい、「アート」を身近に感じてもらいたいと思っています。

 2011年もアートステージは「舞台芸術部門」「学生音楽部門」「音楽部門」「美術部門」の4部門で構成。「特別企画」として今年限定で、3月に開通した「札幌駅前地下通歩行空間」を舞台に「キックオフイベント」を開催いたします。アートステージのスタートとなる「キックオフイベント」ぜひ、ご期待ください!~~~~~~~~

 キックオフイベントは、今月5・6日に地下通路で開催されました。

地下通路での展示

地下通路での展示

 一方、 「札幌劇場祭:TGR(http://www.s-artstage.com/2011/tgr2011/)」も、先月下旬から、先立って市内9つの劇場で一層レベルアップし始まっています。

琴似・パトスロビーで、多様なチラシ

琴似・パトスのロビーに揃う多様なチラシ

 今年も私は審査員として、1カ月に32本のエントリー演劇を観ることになり、すでに8本は終わりました。昨年は初めての審査で要領も良く分かりませんでしたが、その後1年経ち、今年はかなり周辺情報も増えていますし、しっかりした審査で臨みます。今年の私の視点を、劇場祭のHPに掲載しています。

~~~~~<コメント> 3・11以降、芸術・文化の価値が人々に生きる力を与えるとして、高く評価されています。まだ一度も演劇を観たことの無い、或いは「敷居が高い」と敬遠している多くのごく普通の市民に対して、劇場に足を運んで貰う努力・意欲が感じられること、芝居を通して伝えたいメッセージ、問題提起が明確であること、そして何か新しいものを追いかけている姿、等が私の視点です。演劇に興味はありますが、基本的に「素人」の立ち位置にこだわりたい、北海道の演劇人に期待しています!~~~~~~

●今年のTGR札幌劇場祭大賞の審査員は以下の7人です。
・飯塚 優子 (レッドベリースタジオ主宰) ※審査委員長
・早川 渉 (映画監督)
・秋山 孝二 (NPO法人北海道市民環境ネットワーク理事長)
・松井 哲朗 (劇評誌「続・観劇片々」主宰)
・桑田 信治(株式会社インテリジェンス anウィークリー北海道版編集担当)
・北田 静美 (株式会社ウエス CREATIVE5 営業企画 プロデューサー)
・森  彩夏 (北海道教育大学岩見沢校 芸術文化コース  アートマネージメント音楽研究室所属4年生)

 12月4日は、午後から公開審査会があり、そこで大賞他が決まります。実は、私の所属、この「秋山財団」から「NPO理事長」に変更しました。肩書を入れると漢字が20文字以上も続くことになり、芸術・文化には馴染まない(?)と勝手に自分で判断して代えました!

 

  更に、今年から「常設」となった「500m美術館:http://www.s-artstage.com/2011/artstreet_about/」も一段とレベルアップです。

今年から「常設」へ:500m美術館

今年から「常設」へ:500m美術館

  芸術の秋、札幌は今、盛りなり、ですね。

「男肉 du Soleil」、大復活!

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 「男肉 du Soleil:オニク・ド・ソレイユ(http://oniku-du-soleil.boy.jp/)」の公演がシアターZooでありました。若い男たちが上半身裸で踊り、叫びまくる舞台、予想はしていましたが「緊張感?」がありましたね!「写肉祭(フォトコンテスト)」に応募しようと数枚写真も撮ったのですが、動きが速くてとても作品までは至りませんでした。

男8人が踊り、語る2時間

男8人が踊り、叫ぶ2時間

ほとばしる汗、熱気が充満!!

ほとばしる汗、熱気が充満!!

 以前この欄に、私のパリ・ムーランルージュの舞台に引き出される体験 (http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=2264)を書きましたが、今回も舞台で踊ったお客さまがいらっしゃいました、まるで違和感が無い素晴らしい踊りでした。客席では裸の男が私の横を行ったり来たり、終盤は汗いっぱいの体で私に向かって倒れ掛ってきて、まさに「緊張感」もいっぱいでした。20代の男たちの何とも言えない切なさが伝わってきました。

 アフタートークは、劇団「千年王國:http://sen-nen.org/」代表の橋口幸絵(http://bamora.seesaa.net/)さんと「オニク・・・」代表の池浦さだ夢さんでした。池浦さんからは、私には意外な程純朴な(!)お話の数々で、少しの驚きがありました。

口直し(失礼)のアフタートーク

口直し?(失礼)のアフタートーク

 橋口さんは、「今回の公演、見ているだけで妊娠しそう」とおっしゃっていました、すごいフレーズですね!公演前に丁度ロビーにいらしゃったので、ようやくご挨拶ができたし、お話も大変興味深かったです、今回はこの劇団の受け入れで場所も提供して、「寮母状態」とのことでした。

昨年の「札幌劇場祭:http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/12/865/」で、私は審査員の一人でした。

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6621

http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6707

 http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=148

 劇団「千年王國」はこの劇場祭で「ダニーと紺碧の海:http://sennencocuchi.blog.shinobi.jp/Entry/38/」を上演しました、若さ溢れて大変オシャレな舞台で好きでした。今月14・15日には、韓国・光州市で開かれるビエンナーレ「光州平和演劇祭」に日本の代表として「贋作者」公演の予定です、素晴らしい舞台を期待したいですね!

面白いですね、地元演劇界は

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 2

 北海道舞台塾(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/dbs/butaijuku/)公演「ぐるぐる、しない:http://www.haf.jp/butaijuku/」は、大変面白かったですね。演出・脚本・出演の納谷真大(なや・まさとも)さんは、以前から注目していますが、この3年間の貴重な経験を生かして、一層飛躍をして貰いたいです。

北海道舞台塾公演「ぐるぐる、しない」チラシ

北海道舞台塾公演「ぐるぐる、しない」

  毎年、事務局を担う北海道文化財団(http://haf.jp/)では、「北の舞台塾」公演もコーディネートして、昨年の札幌劇場祭(http://www.s-artstage.com/2010/category/tgr/)には、以下の三つが参加しました。

* 釧路市から、劇団北芸(http://www.geocities.jp/hokugei_nori/hokugei.top.index.html)の「この道はいつか来た道:作/ 別役実、演出/ 加藤直樹」

* 帯広市から、おびひろ市民ミュージカル(通称:obiカル:http://www.obical.com/Top.html)の 「ミュージカル さようなら、スパッツァカミーノ!原作/『黒い兄弟』(1941年 作/ リザ・テツナー)脚色/ 山本和彦(obiカル)演出/ 黒田勝史(obiカル)」

* 大空町から、町民舞台東藻琴の「薄荷物語-軌道が走っていた頃:作・演出/ 松岡義和」

 特に劇団北芸の芝居は完成度が高く、実に味わいの深い舞台で素晴らしかったです、一昨年の韓国公演でも高い評価を得ました。

 一方、日本の戯曲をしっかり舞台にのせるシリーズを、との企画で「じゃぱどら!!」が始まりました。今回は「地区大会」と銘打って、先日は井上ひさし作・西脇秀之演出・劇団回帰線(http://web.me.com/kaikisen/Top/KaikisenWeb/KaikisenWeb.html)「国語事件殺人辞典」が上演されて、来月には岸田國士(くにお)作・清水友陽演出・WATER33-39(http://water33-39.com/)「犬は鎖に繋ぐべからず」が予定されています。

「日本の戯曲:ジャパニーズ・ドラマ」シリーズのはじまりです!

「日本の戯曲:ジャパニーズ・ドラマ」シリーズのはじまりです!

来年この「1JAPADORA(?)紙幣」持参すると何かのサービスがあるそうです

来年この「1JAPADORA紙幣?」を持参すると、何かのサービスがあるそうです、ホントかな?

 言葉を縦横無尽に駆使して芝居にしてしまう、そんな勢いを感じます。観客としては、後半部にその膨大な言葉を追いかける疲労感も出てきたのですが、タイミング良く織り込まれる役者のアドリブで、ホッと一息つける場面もありました。日本語の原作はセリフに奥行きがあり、演技と相まってひと味違う面白さがあります、今後に期待したいですね。

2010年、少しの満足!

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 0

 今年は、私にとっては情報発信をする機会に恵まれました。この欄は勿論ですが、北海道新聞の1年間の「新聞評」担当、パネルディスカッションのパネラー、札幌劇場祭審査員等です。「新聞評」は、辛口でと担当の方から言われて多少意気込んで取り組みましたが、多くの新聞等も読まなくてはとても辛口での論評は難しく、予想以上の作業でしたね。でも、本当にたくさんの方からの反応も直接頂き、手応えがかなりあったので嬉しかったです。

北海道新聞「新聞評」・担当3回(各1300字)で、以下その抜粋:

<2月上旬掲載>・・・・・・未来は予測するものではなく創り出すものであり、激変期にありながら「従来型」の視座に固執では感動はない。特に「東アジア共同体」構想の国際社会での意味、4つの密約等について、編集には座標軸と原点を示す「覚悟」と「勇気」を期待したい。

<6月上旬掲載>・・・・・・「APEC札幌会合まで1ヶ月」(5日朝刊)、「日本酒外交舞台で存在感」(17日夕刊)に接して、2年前のG8北海道洞爺湖サミットの記憶が蘇った。私は留寿都・国際メディアセンター(IMC)にNGO枠でしばし滞在し、海外からを含めて4000名を越える報道関係者の活きた取材・発信現場を垣間見た。NGOメンバーの記者会見等を含めた真摯で積極的な情報提供活動、市民メディアの的確な課題把握力、日本の映像メディアの浅薄さ、そして質・量ともに贅を尽くしたセンター内の無料飲食メニュー等である。国際会議で大切な地元の姿勢は、上滑りな「おもてなしの心」ではなく、しっかりした議論に裏付けられたメッセージの発信であり、日本のマスメディアに今問われているのは、目の前の状況から課題を認識・抽出する感性と能力なのではないだろうか。

<10月上旬掲載>・・・・・・・・・昨年、足利事件の菅家利和さんが釈放されたのは、元局長が逮捕されるわずか10日前である。多くのメディアは、今年3月に菅家さんの無罪判決が出た時、「捜査の全面可視化」を提起する一方、裁判員制度の導入も踏まえて事件報道のあり方に関して、捜査中心から公判中心へ基本的に転換したはずではなかったのか。本紙には、発表依存の報道から脱却し、以前、道警裏金報道で見せたような、果敢な取材に基づく調査報道の復活を期待したい。

<10月・新聞週間特集(800字)として>~~~~~~~~~

 メディアとしての「新聞」の危機は、諸外国の事例で頻繁に語られている。日本では、発行部数の多さ、テレビと内容的に同期している点、広告料の構成比の違い等、特有の環境があり、必ずしも同じ道をたどるとは思えない。ただ、本来の新聞の強みを関係当事者が見失った時、衰退が始まるのだろう。

 先月の記事で、私が数社を比較して注目した一行の見出しがある。2010年版防衛白書・閣議報告は「沖縄海兵隊の役割強調」(10日夕刊)、他紙は「防衛白書、薄い民主色」(11日朝刊)と、一歩踏み込んで沖縄普天間問題の迷走との関連を表現していた。また青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場問題で、本紙が「再処理工場2年延期」(10日夕刊)とした記事が、他紙では「核燃 展望なき操業延期」(11日朝刊)だった。「安心・安全」への国民の高い関心に応える見出し、記事になっているかどうか、考えていただきたい。

 私はこよなく新聞を愛する読者として、期待を込めて望むことがある。一つは、「時代を展望して」、「流れを読んで」と難しいことを言うつもりはないが、少なくともリアルな現場から発せられる「今」を伝えてもらいたい。現場を深く掘る取材によって、「時代の空気」を読者に提供できないものだろうか。もう一つは、「たれ流し」のごとき発表報道ではなく、徹底した取材を基に、主語の明確な検証・調査報道を行ってほしい。発表報道の偏重は、いずれテレビやインターネットへ取って代わられる自滅行為ではないか。

 戦前、新聞は「上から目線」の国民教育機能で、権力の監視機能とは大きく性格を異にしており、さらに「報道」が「宣伝」に変わっていった。検証・調査報道の意義は、出来事には時間がたってから分かることがあり、安保・沖縄関連の「密約」でも明らかなように、当時「報道されなかったこと」の意味も、後に検証すると重要性を再認識することができるということである。

 市民の視点を貫き、立ち位置を明確にするためにも、記事の検証企画・調査報道にこだわって頂きたい。冷戦後の国際社会、政権交代後の日本社会、今、新しい時代に会社としての「覚悟」が問われているような気がする。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~

パネラーとして: 

8月「札幌の芸術都市構想フォーラム」http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=5134

12月「社会起業研究会フォーラム」http://blog.akiyama-foundation.org/weblog/?p=6770

 

劇場祭審査員として:

11月札幌劇場祭審査員講評:http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/12/936/

 

 いずれも多くの皆さま方からご批判、お褒めを頂き、私自身大変励みとなりました。世の中まだまだ先の見えない混とんとした時期が続きますが、やらなければならない事がたくさんあります、来年も一日一日丁寧に生きていきたいものと心に決めています。今年1年、この欄を読んで頂いた方には心から感謝申し上げます。どうか、良いお年をお迎え下さい。

演劇の審査って?TGRで

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 3

 「審査」って何だろう?と思いますね。もう何回も書いていますが、この一カ月と少し、「さっぽろアートステージ2010劇場祭:http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/12/865/」の審査員をやってみて、そう感じます。賞自体の存在が、この祭典に参加した方々の今後のモチベーション向上につながることが大切です。今回、更に初めての「公開審査会」とのこと、普段舞台を専門とする数多くの関係者の前で、ライブ中継もあり、作品の講評・審査を行う「素晴らしい?」機会を与えて貰いました。以下、いくつか審査を通じて感じたままを書き留めます。

 

* 演劇の劇評については、日頃からいくつかのブログが面白いです。加藤さんの「シアターホリック:http://theater-holic.seesaa.net/」、市民記者ブログ「http://ameblo.jp/s-artstage/」等です。同じ演劇を観ても、実に多様な受け止め方をする、その辺が楽しいところでしょうか。今回の審査員との意見交換、事前審査、公開審査、いずれも大変面白いひと時でした。

* 30近い演劇のうち、私は26を観ました。新人賞に輝いた学生達の芝居は、今回私は残念ながら観ることが出来ていませんでした。いつもでしたら開始3分くらいで「ハズレ」と感じる演目もあるのですが、今回集中的に観たものはいずれも面白かったです。この札幌劇場祭の過年度分の記録を読むと、審査員の大変辛口のコメントが多い年もあったりで、そんな意味からは今年はレベルが高ったのかもしれません、有り難いことです。

* こぐま座・やまびこ座(http://www.katsudokyokai.or.jp/sisetu/gekijou/)には、今回のような機会が無ければなかなか足を運ぶことがなかったかもしれません。小さなお子様を連れた保護者の方、保育園の先生たちを含めての観客に対して、熱演の人形劇・芝居・パフォーマンスは、大変感動的でした。舞台だけでなく、観客の子どもたちを見ていても面白かったですね。ちょっと退屈なセリフのやり取りの場面では、大変素直に寝転がったりぐずったりの反応、感情表現も豊かで舞台にまで駆け上がらんばかりに近づく子もいたりしました。小さい頃からこういった「優れた」芝居に接することが、将来の芸術・文化の担い手育成の基盤なのでしょう、これからも大切にしたい札幌の宝です。

* 札幌オペラスタジオ(http://www.sos-opera.com/)「COSI FAN TUTTE恋人たちの学校」も大変良かったです。あらすじがパンフに書かれていたので、翻訳に目をそれ程やらずに舞台に集中することも出来ました。クラシック音楽の奥行きと生の迫力を感じました。私はボリショイ劇場、サンクトペテルブルク、ウィーンと、海外出張の時にこれまで観る機会がありましたが、札幌で今回このような機会に恵まれて嬉しかったです。

* 「大賞候補」となった5つの作品のうち、原作が今回オリジナルなのは弦巻啓太さん(http://www.t-gakudan.com/)の作品だけでした。この演劇祭が「すそ野を拡げて基盤をつくる」、「担い手育成」を目的とするのなら、何か地元発の新しい作品・脚本を促進する仕掛けがあってもいいのかな、と思います。もう一つ、「劇場祭」と銘打っての企画ですから、9つの劇場の大賞みたいな賞があってもよいのかな、とも。これは後日の反省会で提案しようと思っています。

* 私は、「気に入られたいオジサン症候群」で、若い方々の芝居をかなりの違和感があっても「分かろう」と努力しているつもりです。「あのセリフは良く理解出来なかったけれど、多分こう言う意味なのだろうな」と身勝手に納得させる自分がいます。決して創り手に対して攻撃的にはならないタイプだと自認しているのですが。でも、審査・選考では、その辺の私の思いは恐らく若い世代には伝わらないのでしょうね。自分の感想を「講評」と称して語ると、「還暦世代のオヤジに何が分かる!」と、まぶしいライトの向こうに座っている関係者からの声を感じます。「新しい観客を増やすこともこの劇場祭の目的であれば、観劇の次の予定を設定する為にも上演時間をあらかじめ表示して欲しい、事前に演出家の作品にかける思い等をチラシで明示してもえないか」、先日の公開審査会でもそう言うのが精いっぱいの私でした。

* 個々の自分なりの「講評」は手元にありますが、今回残念だったのは韓国からの二つの演劇が大賞・特別賞に選出されなかったことですね、私は二つとも自信を持って推薦したのですが、ノミネートにもなりませんでした。一昨年・昨年と韓国各地に札幌からの同行ツアーで行きましたが、彼らの観客を意識した確かな演技力と楽しませようとする姿勢は、今回の芝居でも十分発揮されていました。しっかりと伝統を受け継ぎ、現在の社会問題にも鋭く問題提起をする、そんな誠実な姿勢に感動しました。今後は、外国作品には事前・事後の簡単な文化・芸術の背景説明をする企画も必要なのかもしれません。これも後日の反省会で提案してみます。多様性社会の価値は、すなわち「違い」から学ぶ姿勢だと思います。

* 次に残念だったのは、劇団千年王国(http://sen-nen.org/index.htm)「ダニーと紺碧の海」でした。審査とかを離れて素晴らしい雰囲気で、私が最も印象に残り、もう一度見たかったなと思う作品でしたね。オシャレな会場設定、審査員でなければビールを数杯飲んでいたでしょう。眼前で展開される若い男女の会話の激しいやり取り、やがて変わっていく関係性等、遠い昔を想い出す(?)ような、何とも愛おしい切ない舞台でした。原作がシャンティでアメリカ的だからなのでしょうか、むき出しの言葉のやり取りの中に優しさを感じました。是非、再演をお願いします。

* もう一つ、劇団イナダ組(http://www.inadagumi.net/index.html)「ミズにアブラ ヌカにクギ」でした。今回、大賞5つのノミネートに入らなかったのは残念でしたね、私は一票入れたのですが。昨年の設定の方が良かったという人が多かったですが、実は私は今年のしか観ていません。「ネット社会」の息苦しさ、初めてその構図を目の当たりにした感じです。私たちの還暦世代にとっては、ネット社会は「選択肢の一つのコミュニケーション」なのですが、若い世代にとっては「全て」なのですね。学校で、家で、「敵は誰なのか」と追い込まれていく様子がリアルでした。

* このような「劇場祭」、札幌市内9つの劇場が連携して年一回の「お祭り」にまで漕ぎ着けるまでには、かなりの関係者のご努力があったのだと思います。率直に申し上げて、これまでの私の体験から、芸術・文化の担い手は「自分が自分が」の世界で、口を開けば他者の批評と悪口の数々、ビジネス世界に長らく身を置いた私からは、いかにも子供っぽく感じたものでした。ここまで創り上げてきた価値を高く評価すると同時に、この企画が札幌のマチの世界へのプロモーションとしても一層発展することに尽力をすると同時に、これから知恵を出して更に創っていきたいものですね、関係者の皆さま、お疲れさまでした!!!

さっぽろアートステージ2010

Posted by 秋山孝二
Categorized Under: 日記
Comments: 5

 10月末から12月中旬まで、「さっぽろアートステージ2010:http://www.s-artstage.com/」が開催中です。「舞台芸術部門」「学生音楽部門」「音楽部門」「美術部門」の4部門とひとつの「特別プログラム」で構成されています。

今年のポスターから

今年のポスターから

  「舞台芸術部門」では、「札幌劇場祭」と「第5回北海道中学生演劇発表大会」でした。中学校演劇(http://www.s-artstage.com/2010/tgr/2010/11/848/)では、各地区の予選を通過した6校が作品を披露しました。私はその2つしか観ることが出来ませんでしたが、素晴らしい表現力で感動しました。まさに世界に向けて将来の演劇を背負う人材が、北海道から輩出されるでしょう。指導の先生のご尽力にも頭が下がります。

第5回北海道中学生演劇発表大会で

第5回北海道中学生演劇発表大会で

 「美術部門」では、地下鉄大通駅からバスセンター前を利用した「500メートル美術館:http://www.youtube.com/watch?v=cYsTUVySv0Y」が見事です。

500m美術館

500m美術館

 今年、私は、「舞台芸術部門」の「札幌劇場祭:Theater Go Round 2010:http://www.s-artstage.com/2008/archives/90」の6人の審査員の一人になり、約1ヶ月間、30の演劇(オペラ・人形劇を含め)を観ての審査でした。先日、その締めとして公開審査会と表彰式が、演劇関係者の方々も多数出席して開催されました。

 「TGR札幌劇場祭2010大賞」、「特別賞」、そして「サプライズ賞」の決定。今年は初めての試みで「公開審査会」の形で行われ、なかなかの緊張感でした。日頃はただ、「楽しみながら」の観劇ですが、今回は「審査」という目的もあり、当初は少々緊張して足を運んだものの、時が経つうちにいつもと変わらぬ感じになってくるから不思議ですね。当日も言いましたが、「『スポーツ』とひと言で行っても、柔道、野球、バレーボール、サッカーの試合の中で、誰が一番?」と問われているような、そんな舞台芸術の幅の広さと多様性でしたね。また、「総合芸術」と言われるだけあって、舞台上の役者だけでなく、原作・脚本・演出・音楽・効果・道具等、多くの方々の努力の結晶であることを再確認しました。

 審査発表に向けた審査員会の議論も面白かったです。事前審査で、一人5つの作品をあげる時も、一人一人かなり違っているのです。中には、私としては「?」と思うものでも、「素晴らしかった」とおっしゃる方もいたり、またその逆もあったりで。それ程、演劇というのは「指向性が強い」のかな、とも。結局は、「好き・嫌い」の選考になるのかも知れませんね。個別の感想はまた別の機会に。

 とにかく、北海道の演劇創造を担う方々との新たな出会いに感謝します。